自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の積立金から国の一般会計に貸し付けられ、いまだに返済されていない約6千億円の行方が注目されている。 積立金を所管する国土交通省は「借りたものは返すべきだ」と主張。一方、一般会計を預かり“借金”を抱えたたままの財務省は「財政事情が厳しい」と難色を示し、議論は平行線のままだ。 事の発端は平成6、7年度の予算編成。政府は赤字国債の発行を抑えるため、自動車損害賠償保障事業特別会計(当時)から計1兆1200億円を一般会計に繰り入れた。15年度までに一部が返済されたが、利子も含めた約6千億円が未返済のままだ。 国交省が返済を求めるのは、自賠責保険の保険料を運用してためた積立金が減少しているためだ。 積立金は後遺障害など自動車事故の救済事業や、交通事故の防止対策などに使われるが、近年の金利低下で運用益が出にくくなり、毎年度100億円程度積立金を取り崩さないと事業費がま