今年ほど、いわゆる「有事」が意識されたことは、近年なかったはずだ。ロシアによるウクライナ侵攻から始まり、一気に石油や天然ガスなどの供給不足が起きてエネルギー価格が高騰。つれて小麦やとうもろこしなどの食料品や飼料の価格も上がり、食料危機が意識されるようになった。 その影響もあってか、インフレが世界中で吹きあがり、アメリカの中央銀行であるFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)は、これまでコロナ危機で異次元の金融緩和を続けていた金融政策を一転して金融引き締めに転換。日本を除いて世界中で金利が上昇するという事態が起き、為替市場ではドルが買われて歴史的な水準にまで円安が進んだ。加えて、台湾海峡の地政学リスクの高まりなどが続いている。 こうした有事に対して、金やドルへの分散投資という定番は今でも有効なのか……。ロシアがウクライナに侵攻して以後、さまざまな資産がどう動いたのかを検証する。 安全資産「円」が