Zero's World: Taxonomy 類似性と「みにくいアヒルの子の定理」 小野山 敬一 1.はじめに 類似性 similarity は対象間の関係を見るひとつの方法であり,しばしば分類における基準となるもので,それによって事物のグルーピングが行なわれたりするものである.一方,「みにくいアヒルの子の定理」(the theorem of the ugly duckling)は,形質を同等に評価した場合には類似性にもとづく分類がありえないこと,したがって客観的な分類がありえないことを示すものと解釈されている. 「みにくいアヒルの子の定理」はWatanabeが1961年にAAAS annual meetingで言及し,1962年ブラッセルでの講演で厳密な証明を与えた.後者はWatanabe (1965) に収録されている.その後,渡辺自身は,Watanabe (1969) や渡辺