2013-04-11 『電気泳動で脳を透明化する技術』が凄い!Natureに出た衝撃の論文に世界中の科学者が沸く 科学 2013年4月11日のNature誌に発表された画期的な論文を見て世界中の研究者が驚いています。 Structural and molecular interrogation of intact biological systems (Nature, 2013) 丸ごとの脳を透明化出来たと言うこの研究内容、いったいなにが凄いのでしょうか。簡単にご説明致します。 透明化した脳で見れる神経回路の美しさ! 「脳って白くてピンクで、透明化しても意味有るの?」と思われるかもしれません。近年の研究によって脳内の神経細胞に色を付ける技術が飛躍的に進みました。この論文では一部の神経細胞にGFPが発現した脳を透明化しています。まずは以下の動画をご覧下さい。脳内に存在する精緻な神経回路の
輪郭を認識する脳の機能が成長につれどう変化するかをマウスで解明 -発達期の視覚野では経験した方位に反応するニューロンが増加- ポイント マウスの視覚機能は生後4週から7週の視覚経験でほぼ決定する 学習機能のピークを過ぎたマウスにも視覚機能が発達する可能性 マウスに特定の方位を視覚経験させるために開発したメガネの有効性を実証 要旨 理化学研究所(野依良治理事長)と電気通信大学(梶谷誠学長)は、マウス用に新たに開発した特定の方向しか見ることができないシリンダーレンズメガネ※1を用いて、形を知覚するための脳の情報抽出機能の成長変化を計測し、臨界期を明らかにしました。また、臨界期※2を過ぎた大人のマウスでも視覚機能が発達する可能性が残っていることも発見しました。これは、理研脳科学総合研究センター(利根川進センター長)行動遺伝学技術開発チームの吉田崇将研究員と、電気通信大学総合コミュニケーション科学
国立遺伝学研究所(遺伝研)は3月22日、ほ乳類の「大脳新皮質」の上層と下層に存在する神経細胞のサブタイプが、ニワトリの脳にも存在することを明らかにしたと発表した。 これはほ乳類と鳥類の共通祖先の段階、すなわち大脳新皮質の「層構造」が誕生するより以前から、存在していたことを示唆しているものだ。ほ乳類にのみに存在する大脳新皮質は、従来の定説として、進化的にほ乳類になってから誕生して進化してきた「完全に新しい脳の領域」とされてきたが、必ずしもそうではないことが発見されたのである。 成果は、遺伝研の鈴木郁夫研究員と平田たつみ准教授らの研究グループによるもの。詳細な研究内容は、米科学誌「Developmental Cell」の4月16日号に掲載の予定だ。 人間の認知機能の多くは大脳新皮質にある神経回路によって支えられている。大脳新皮質は、大脳の背側表面を覆う領域で、多くの認知機能に関わる。ヒトが思考
<研究の背景と経緯> 脳はニューロンと呼ばれる神経細胞からなり、各々のニューロンが、少しずつ情報を処理しています。その処理結果は、ニューロン間の特殊な結合(シナプス)を介して、次のニューロンに伝えられます(図1)。 ニューロンには多くの樹状突起と呼ばれる枝分かれした線維があり、ここにあるシナプスは、樹状突起の先端部分「スパイン」と呼ばれる突出構造を介してほかのニューロンからの情報を受け取ります。樹状突起は複雑に分岐するだけでなく、種々のイオンチャネル注1)や受容体注2)を持つため、「どのスパインが、いつ、どんな入力を受けたのか」が、ニューロンの情報処理に大きく影響します。 ニューロンは主として樹状突起からの入力を受けますが、樹状突起上のシナプス配置のパターンについては、現在、2つの仮説が提唱されています(図2)。1つは、同期した入力(ほぼ同時刻に来る入力)は樹状突起上のある特定の箇所に集中
【脳研究 – reviews】 Perceptual Learning Incepted by Decoded fMRI Neurofeedback Without Stimulus Presentation (Shibata K, Watanabe T, Sasaki Y, Kawato M, Science. 2011 Dec 9: DOI) 実はScience本誌発表よりかなり以前からcorresponding authorでおられるBUの渡邊武郎先生から直接伺っていたのですが、ついに出ました。旧知の友人である1st authorの柴田君(この研究のために日米を短期間で何往復もしたと聞き及んでおります)もこれが初めてのCNS掲載ということで、本当に本当におめでとうございます! この研究はMGHの佐々木由香先生、並びにATR-NAISTの川人光男先生も名前を連ねておられ、まさに日米をま
科学感情を司る扁桃体の知られざる役割。「ブラッド・ピットは動物ではありません」ScienceShot: Brad Pitt Is Not an Animal - ScienceNOWという面白そうなタイトルにつられて読んだら、いろいろ考えてしまう実験だった。 http://www.nature.com/neuro/journal/vaop/ncurrent/full/nn.2899.html "A category-specific response to animals in the right human amygdala" Nature Neuroscience. 2011 Aug 28.被験者はてんかん患者41人で扁桃体に電極を入れて神経活動をモニターする。という方法で驚いたんだけど、薬物療法の効かない難治性てんかん患者は外科手術を必要としていて、頭蓋内に電極を留置して発作の検出で
脳と現状のコンピュータは、計算モデル、アーキテクチャ、 アルゴリズムなどいろいろな観点からみて違いがあります。 はたしてコンピュータの上で脳と同じ機能は実現できるのでしょうか。 実現を難しくする要因として何が考えられるでしょうか。 ◆計算モデルの違い 計算する機械を数学的に抽象化したものを計算モデルと呼びます。 チューリングマシンは計算モデルの1つです。 チューリングマシンとは数学的に異なる計算モデルとしては、 例えば非決定性チューリングマシン、 (理想的な)アナログコンピュータ、量子チューリングマシン (量子コンピュータのモデル)があります。 これらはチューリングマシンよりも強力だったり速かったりします。 さて、「脳の計算モデル」はチューリングマシンと等価でしょうか、 それともより強力だったり速かったりするのでしょうか。 非決定性チューリングマシンは並列度が無限の計算機です。 脳は超並列
【脳研究 – issues&ニセ科学問題】 S氏、『ホンマでっか!?TV』2010年10月20日放送分における発言まとめ – Togetter 似非脳科学は「誤った解釈、過剰な単純化、動物実験に基づいた大胆な推論」が生む:神経科学界のリーダーたちが語る「神経科学者の役割」とは?(追記あり) – 当blog 舌の根も乾かぬうちに、某TV局がやらかしてくれました。しかも、ダークサイドに落ちたS氏(ちなみにダークサイドに落ちた経緯は以前のエントリ[1] / [2]をご参照のこと)とのタッグで。 先に結論から書きましょう。上記リンク先のTogetterまとめに挙がっている彼の番組内での発言の大半は、「誤った情報」「未確定の研究に基づく決め付け」「不正確な理解」「拡大解釈」「過剰な単純化」「動物実験に基づいた大胆な推論」がもたらすただの「憶測」でしかありません。そしてそれは、以前OECDの報告書が指
【脳研究 – issues&ニセ科学問題】 脳について意外と知られていない15の豆知識 – GIGAZINE 15 Things You Didn’t Know about the Brain – Online Nursing Program 何かはてブでブクマが伸びてる記事があるなぁと思ったらこの記事ですよ。 まぁ世の中懲りずによくやるわと思いますね・・・取り上げる方も取り上げる方だと思いますが。もっとも翻訳しただけのGIGAZINEには何の責任もないはずですので、あくまでもその記事内容の方を色々論ってみようと思います。 基本的に、15項目挙げられたもののうち専門家の視点で見ると2, 6, 9, 13, 14に問題があります。中には「どう見ても神経神話(neuromyth)」と断言できるものもあれば、グレーゾーンかなぁ・・・というものもあります。ただいずれにせよ、科学的結論の出ない代物
脳細胞の先端が、右ねじの方向に回転することを発見 -神経突起は、毎分1回のスピードで回転しながら右に曲がる- ポイント 神経細胞から伸びる神経突起の動きを3次元的に捉えることに成功 回転モーターはミオシンV、止めると神経突起は直線的に伸長 左右の脳で同じ右ねじ回転、脳の左右非対称性を生み出すメカニズム解明へ 要旨 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、国立大学法人大阪大学(鷲田清一総長)とともに、脳の神経回路を形成する神経細胞の細長い突起部分「神経突起※1」の動きを3次元的に捉えることに成功し、神経突起が時計回り(右ねじ方向)に回転していることを世界で初めて発見しました。理研脳科学総合研究センター(利根川進センター長)神経成長機構研究チームの上口裕之チームリーダーと玉田篤史研究員らが、大阪大学大学院生命機能研究科の村上富士夫教授と共同で研究した成果です。 脳の働きを担う神経回路は、
【脳研究 - issues】 小川誠二:ニューロイメージングと倫理問題 / Neuroimaging and Ethical Problems [1] - CARLS newsletter No.8 (慶應大学グローバルCOE「論理と感性の先端的教育研究拠点」) 先日何気なく人づてにもらった慶應GCOEのニュースレターに、fMRIの発明者であられる小川誠二先生 [2]の論説が掲載されていたので、ここにご紹介いたします。極めて重要な示唆に富んだ文章ですので、全文引用させていただきます。お読み下さい。 現今、人間の「こころ」(mind/heart)は脳にあるということに異論を唱えるものは居ない。脳の構造と機能に関する知識をもとに、ニューロイメージングの手法を使ってこころの神経基盤を探る努力が盛んになっている。ひとの関与する社会科学の諸問題が脳の中で如何に処理されているのかを可視化することは慶應
12/22 粘土鉱物の摩擦の起源を原子スケールから解明 12/17 赤外線天文衛星「あかり」、小惑星に水を発見 12/17 第二の地球を発見するための新しい多色同時撮像カメラMuSCAT2が完成 12/12 結晶質岩(花崗岩)内の割れ目評価のための新知見 12/01 世界最古の水稲栽培文明を滅ぼした急激な寒冷化イベント 11/30 超巨大ブラックホールを取り巻くドーナツ構造の正体を暴く 11/23 メチルは端だが役に立つ? 11/22 高圧下における水素結合の対称化の直接観察に成功 11/09 受精時にホヤ精子が誘引物質を受容する機構を解明 10/29 長すぎるアルコールが生物に作用しない原因を解明 10/25 光を巧みに操ることで新しい分子分光法の開発に成功 10/22 カーボンナノチューブの新展開:水中で働く不斉触媒の高機能化を実現 10/12 潮の満ち引きと気候を繋ぐメカニズムをシミ
生命誌ではやまと言葉を大事にしているのです。「なる」は古事記※註1で多用されている言葉と教えていただいたのですが、そこでは神さまも日本列島も、誰かが「つくる」ものではなく、自ずと「生(な)る」ものとされていると指摘され、現代の「生る」を考える、具体的には生きもの研究や暮らしを考えてみようと思いました。1回目は宇宙の生まれる話をインフレーション理論の佐藤勝彦さん※註2、2回目は形が生まれる話を建築家の伊東豊雄さん※註3と語り合いました。伊東さんが出された「エマージング・グリッド」(図1)という建築の構造モデルが面白い。二つのグリッドを合わせてひねると生まれてくる空間が、生きものっぽくてとても居心地が良いのです。
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