台風予報円はなぜ出来たか?(1) 予報官達の苦労「扇形表示」から「予報円へ」 では、第二次大戦後の相次ぐ台風災害の中で、予報精度が非常に悪くても、何とか進行方向だけでも正しい予報を出して防災に役立てようとする当時の予報官達の苦労の結晶が「扇形表示」で、扇形表示が最初から持っていた進行方向の誤差が全くないかのような印象を与えるという欠点を改善したのは「予報円表示」という説明をしました。 しかし、「予報円表示」は、すんなり世の中に受け入れられたわけではありません。台風予報の表示方式がそれまでの扇形表示から予報円表示に変わると、今度は台風の強さを表す表示がないため、予報円の大きな台風が強い台風であるとの誤解が生じてしまいました。このため、新たな改善が求められ、誕生したのが予報円と組み合わせた暴風警戒域です。 予報円と暴風警戒域の組み合わせ図2 昭和60年8月30日9時の台風予報図1985年8月末