Frank Richard Stocktonの短編"The Lady, or the Tiger?"(1884) の全文訳を掲載します。 原文はhttp://www.classicshorts.com/stories/tiger.htmlで読むことができます。 今を去ることはるか昔、あるところに半野蛮の王があった。その考えるところといえば、多少なりとも行き来のあるラテン系近隣諸国のおかげで、半ばは洗練され、明敏さを加えてはいたが、未だ尊大で仰々しく、しかも放埒でもあって、いかにも粗野なその王にふさわしいもの。もともと気まぐれな質であったうえに、だれも抗えぬほどの権力を持っていたために、さまざまな気まぐれを思うがままにし遂げさせたのだった。 王は他と心を通わせるということがなかった。しかも何であれ王自身が得心しないかぎり、決して遣らせるということがない。王家の者、まつりごとに連なる者のことご