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この2週間ほど、大変忙しかった。

ようやく新年度の準備が、80パーセントほど出来た。後は新年度になってからの勝負だ。

春と言うのに、霰(あられ)か氷(ひょう)かどちらか知らないが、ぱらぱらと降っている。

異次元の世界に誘うように降り続けている。


新年度への不安はある。そういえば、教え子から手紙が来ていた。

4月より、新採で小学校に赴任するという。この人に教えられるなら、いいだろうな。

すがすがしい生徒だった。 今、彼女はどんな心境だろう。やはり不安か。それとも期待で胸いっぱいか。


最近、新任の若い先生を見ると、うらやましくなる。若さでみなぎっているからだ。その陰に希望が見えるからだ。

私は新任の先生からどう見られているのだろうか。それを考えると…、いや、それは考えまい。

この歳になると、いろいろ思い出す時がある。例えば、以前に赴任した学校の校長室の扉を見ても、「おれはこの学校ですごいことをしてきたなぁ」と魂の奥からうなずく時がある。 また、川のそばの料亭を通ると、「ああ、ここで体育大会の打ち上げをした」と、その時のあの人の顔が浮かび、以前にも増して感謝の思いが深まる。

不思議だ。当時は、たわいもないことだったり、ただひたすらやっていたことが、今、すごく大きなことに感じる。

さて、新年度はもうすぐだ。まずは、構えからだ。






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卒業式でもめる。式次第、国旗・国歌の扱い方、答辞や送辞の内容、証書を一人ひとりに渡すのか、代表だけか、式歌は何を歌う。

国歌や国旗でもめる学校がある。その論争は、生徒にとって重要ではない。

一番大切なのは答辞だ。なぜなら、主役である卒業生たちが、最後に伝える言葉だからだ。式は格調高いものでなければならない。しかし、形式にとらわれると、みんなの心の中心に共振しないまま終わる。


心の中心を射抜く答辞を毎年行っている学校がある。手作りだ。出来なかったこと、情けなかったこと、すべてあからさまに出す。だから、後輩たちに託す言葉も切実だ。

感謝も文面以上に、すでに式場の彼らの姿で分かる。

みんなの心の深くに、大切なものが刻印される卒業式をつくるのは我々だ。

 

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昨年度まで週3時間だった中1の数学を、今年度から週4時間にした。これで、かなり基礎をたたき込めた。1年たってみると、昨年度の生徒より、実力が付いているのが分かる。

しかし、週4時間になったが、教える量も増えた。だから、あれもこれもと教えていると、結局深みがなく、力がつかない。週4時間を有効に使うとなると、教材の精選と重点化が必要だ。

今年度は、どこを重点化したかと言うと、計算力だ。県の統一テストの中の計算問題では、5段階評価で3の生徒の95%が、満点だった。逆に、新しく導入された、資料の整理などは軽く流したので、3年生の入試前に適度の復習が必要だ。

たかだか、週1時間増だったが、得たものは大きかった。さて、これからもうひと踏ん張りして、2年生では、飛躍的におもしろい数学の世界へ入ろうと思った。が、2年生は週3時間となる。これでまた、考えることが多くなった。

 



 

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今春卒業予定の大学生の就職内定率(2月1日時点)は80.0%で、前年同期を6.3ポイント下回り、比較可能な2000年以降で最悪となった。高校生(1月末時点)も81.1%と6.4ポイント低下し、1988年以降で6番目に低い水準。ともに悪化は2年連続で、下げ幅は大学生が2番目、高校生が過去最大だった。

 
 前年比の低下幅は2カ月前の前回調査(大学生が7.4ポイント、高校生が9.9ポイント)に比べ縮小したが、卒業を目前に控えた段階で5人に1人が就職先を決められない厳しい状況が示された。

 
 大学生の内定率は、文系が78.7%で前年同期比7.3ポイントも低下。一方、不況に強いとされる理系は86.2%で、落ち込みは1.9ポイントにとどまった。学校種別では、国公立大が3.3ポイント低下の86.9%だったのに対し、私立大は7.5ポイント低下の77.6%と大きな開きが出ている。

 
 地域別に見ると、最高は関東地区の82.6%(6.0ポイント低下)で、最低は九州地区の75.2%(8.1ポイント低下)。低下幅が大きいのは中部地区で、10.7ポイント低下の77.3%だった。 


以上、共同新聞からの抜粋だ。

私立文系は不況に弱く,理系は強い。しかし、高校生の選択は文系に集中する。それは数学が難しいからだ。最近新聞に載っている、国立大学2次の入試を見れば、理系希望から撤退したくなる気持ちは分かる。しかし、数学は難しいが、極めておもしろい教科だ。それを嫌いにさせる原因は、我々教師側にある。

数学の授業は授業時間が限られている加減で、生徒をとにかくだまして結論へと持っていこうとする。要するに、「こうなるんだ」の連発だ。  

東京大学名誉教授の畑村洋太郎先生が書いた「直感でわかる数学」は、数学が嫌いになる理由を見事に言い当てている。自分の高校時代の気持ちを代弁してくれていて、すっきりする。

例えば、高校の教科書にある「原始関数」についての説明を、「うまく誘導し、積分を教える準備が出来たつもりになっているのであろうが、教わるほうからみれば、まったく逆である。なにか、まんまとハメられたような疑念がわき、意味不明の概念を丸飲みさせられる気色悪さを感じる。」と批評する。「その通り」と思わず叫びたくなった。

さらに、教師側にとって、次のくだりは図星だ。「教師は、AならB、BならC、CならD、というように一直線な教え方をする。しかし、本当はAならばBとはいかず、B´かもしれない、Pかも、Kかもしれないと考えるのが普通だ。実は裏でこっそりD-C-B-Aと逆に組み立てて論理のつながりが確認できたところでひっくり返している。」と明かす。静かにうなづかざるを得なかった。

ある卒業生に、就職を考えて、高校では理系に進めと言った。しかし、なんとその学校の教育課程に、数Ⅲ、数Cがなかった。数学は高校にも敬遠されている悲しい存在だ。

そこで、中学校の数学の授業時間数を増やす策を講じたい。新指導要領では、中学1、3年は週4だが、中学2年は週3になている。中学1年で基礎をたたきこみ、いざ、中学2年で盛り上げていこうとする矢先の1時間減は、数学への興味を減速させる。是非、他の教科を減じても数学を4.4.4にしたい。(他の教科とは総合だ。中途半端な教科はは生徒に中途半端な時間帯をもたらす。あるいは、学校選択で数学を選択する)

授業数を確保することにより、「こうなるんだ」の連発から、「こうだから、そうなっていくよ」へと移行できる。生徒の数学への興味が、減速から等速または加速へと転じ、理系撤退者が減る。







 

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 「誰のために勉強しているんだ、いい加減にしろ」と、私の声が教室に響いた。以前、私の学級のほとんどの教科が授業中に騒がしくなった時があった。私はあせり、生徒に声を荒げた。しかし、やがて日を追うごとに、私への反発の空気が漂い始めた。そして、毎日遅くまで、授業準備や生徒指導で頑張っているのに、なぜ生徒たちは分かってくれないのか、と生徒たちに怒りがまた込み上げてきた。

 だが、学級がそうなる原因は自分にあった事が分かってきた。 苦悩の中、先輩教師に相談した。「君は生徒たちと向き合っていないのと違うか」と言われた。最初は、先輩の言葉に反発を感じた。これほど生徒の事を思っている教師はいないと。しかし、アドバイスは的を射ていた。

 自らを省みた。学級が騒がしくなると、力量不足と見られるかもしれないと怖れ、生徒を怒っていた。つまり、私の怒りは、周りの評価を気にし、担任としての立場を守るための怒りだった。まさしく、生徒に向き合うのではなく、周りの教師や保護者の目と向き合っていた。

 生徒は私の言動の奥にある心の中を見透かしていた。それ以来、「なぜ、何のために私はそれをしたいのか」を自らに問い返すことを日課とした。今後も同様に、周りの目と向き合うのではなく、生徒たちと向き合う。  
 

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公立教員の教科指導の力は、塾や予備校のノウハウを取り入れることにより向上する

以前、駿台予備校の講師募集に電話で問い合わせたたことがある。中学校受験の指導講師である。結果は現職教員は話にならないようで、断られた。理由は、ズバリ、中学入試問題が解けないからと言われた。頭に来たが、実際、入試問題を見て、さらに頭にきた。難しい。

まあ、冷やかしと、世の中調査のつもりで電話したが、公立教員としての高い鼻(本当は低い鼻かもしれない)はへし折られた。

実は、学校の授業は、教員でなくとも誰でも出来る。指導書の通りに教えればよい。板書もテキストに載っているように書けばカッコはつく。しかし、「分かる授業」や「興味が持てる授業」となると、教員としての経験と研究が必要だ。

さらに受験の教科指導となると、塾や予備校のノウハウが必要だ。ただし、ここでは、塾といっても、進学実績のある有名塾を言う。

昨日、ある県の公立高校入学試験が行われた。それを解いてみた。あの量を制限時間で解くとなると、かなりの解答スピードがいる。

学校の授業では、そのスピードは養成されない。なぜなら、授業時間数が、教科書を教えるのに必要なだけしか設定されていないからだ。さらに問題点は、公立教員が解答スピードを速くするノウハウを知らないということだ

さりげなく、同じ教科の先生に、そのノウハウを持ち合わせているかどうかを問うてみた。私は、未だに知っている先生に出会ったことがない。実は私も若き頃知らなかった。どこから取り入れたかというと、ある塾に通う生徒との会話からだ。彼は、私も知らないスピーディーな解法を知っていた。

それから、塾の教師が作る受験雑誌を購読し、研究を始めた。その雑誌からとった教材を授業で使っていたら、知らぬ間に地域の学校に広まっていた。塾の力は強力だった。

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やはり、この年になって教師人生振り返れば、厳しい環境の時が一番思い出に残っている。楽な環境の時は、一応思いでにのこるが、不完全燃焼感が強い。

やはり、しんどいことをするのが人生の最高の妙味。
困難校こそ、教師冥利に尽きる。



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