中国の景気回復まだ不安定、支援強化必要か-追加金融緩和の見方も 為替対応している間は無理。 これまで当ブログが書いてきた通り、不動産バブル崩壊に直面している中国は、根本的な問題は脇に置いとくとしても大規模な財政支出と大胆な金融緩和を行わなければ短期間での景気V字回復は難しい。 【過去参考記事】 中国経済の低成長を招いた原因と再成長に必要な要素についての考察 しかし、大規模な財政支出と大胆な金融緩和は自動的に人民元の流通量を増やすものとなるため、米国が強烈な金融引き締めをしている中では自動的に人民元安を招くことになる。 外国人投資家も同じようなことを考えており、これまで外国人は中国国債買い・人民元ショートドル買いポジションを構築することによって中国国債のキャピタルゲインを狙う戦略が増えていた。 さらに中国内側でも習近平の民営企業圧迫経済政策でコンフィデンスを失っていることから、外貨資産へのキ
中国はここ数年で最大の資本流出に見舞われており、当局者の間では低迷する人民元への圧力が強まるとの懸念が浮上している。 金融市場から資金が流出し、グローバル企業は中国の代替投資先を探し、海外旅行の回復がサービス貿易に打撃を与える中、元は圧迫されている。政府の最新データによると、8月の資本収支は490億ドル(約7兆2400億円)の赤字と、2015年12月以来の大幅な流出超となった。 こうした資金流出は中国の成長失速と米国との金利差拡大が背景で、人民元が16年ぶりの安値に落ち込む一因となった。通貨安で市場の魅力がさらに低下し、資本の流出加速で金融市場が不安定になりかねないリスクがある。 15年の衝撃的な通貨切り下げ後やトランプ政権下の米国との貿易摩擦の際、中国当局は資本規制を強化し、香港における元建て資金調達コストを引き上げる必要があった。当局は今回も通貨安を抑制するためにさまざまな措置を講じて
1ドル7元を割り込んでゼロコロナ最中の最安値に近付いた人民元が話題になっているが、以前同じような場面の2015年のチャイナショックや2018年の貿易戦争では注目されていた外貨準備はさっぱり話題にならなくなっている。中国の外貨準備は国家外貨管理局 (State Administration of Foreign Exchange, “SAFE”)が管理しており、かつての固定相場制時代や、2005年に管理フロート制に移行(人民元改革・人民元切上げ)した後の人民元への資金流入を吸収し人民元上昇のペースを緩めようと連日為替介入を行った過程で積み上がったのが3兆ドルの外貨準備である。しかし米国が金融危機から復活すると共に米ドルが再び強含み始め、更に2014年の欧州と日本の金融緩和に伴う米ドル独歩高に人民元が無理して付いて行ったため中国の輸出は伸び悩みはじめ、米ドルの低金利時代に積まれた外債返済の米ド
中国は過去1年間、ロシア産コモディティー輸入決済で人民元の使用を劇的に増やしており、石油、石炭、一部金属のほぼ全てをドルではなく人民元で決済するようになった。写真はイメージ。2022年9月撮影(2023年 ロイター/Dado Ruvic) [シンガポール 11日 ロイター] - 中国は過去1年間、ロシア産コモディティー輸入決済で人民元の使用を劇的に増やしており、石油、石炭、一部金属のほぼ全てをドルではなく人民元で決済するようになった。 ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、約880億ドル(約11兆8800億円)のコモディティー取引の大半が人民元決済に移行。これにより中国による人民元国際化の取り組みが加速してはいるが、厳しい資本統制があるため、近い将来に人民元が国際的役割を果たせる可能性は小さそうだ。
豊島逸夫氏プロフィール 豊島逸夫事務所代表。 1948年、東京都生まれ。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現三菱UFJ銀行)を経て、スイス銀行で外国為替貴金属ディーラーとして活躍。2011年9月までワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の日本代表を務める。独立後はチューリッヒやニューヨークでの豊富な相場体験と人脈をもとに、自由な立場から金市場や国際金融、マクロ経済動向について情報発信を行うとともに、“金の国内第一人者”として金投資の普及に尽力。投資の初心者にも分かりやすいトークや文章にファンも多い。得意分野はスキー系、鮨スイーツ系、温泉系。 留意事項 当ブログでは“金の国内第一人者”豊島逸夫氏が貴金属ビジネスの最新事情をはじめとした日々の様々な事象について、分かりやすい切り口で読み解き発信しています。 豊島氏の個人的見解も含まれる内容である旨ご了解の上、閲覧ください。 ご了解
ロシアのウクライナ侵攻に対する西側の制裁により、ロシアの銀行や多くの企業はドルとユーロの決済網から締め出された。孤立したロシアはアジアの大国、中国から金融面の安全保障を得ようと、急速に「人民元化」を進めている。写真は人民元紙幣。2017年5月撮影(2022年 ロイター/Thomas White) [モスクワ/上海 29日 ロイター] - 発光ダイオード(LED)照明の企業を営む中国の実業家ワン・ミンさんは今年、ロシア顧客向けの価格設定をドルやユーロではなく人民元でできるようになったことを喜んでいる。自社は為替リスクを抑えられ、顧客は支払いが簡便化する「ウィン・ウィン」の関係だ。 ロシアのウクライナ侵攻に対する西側の制裁により、ロシアの銀行や多くの企業はドルとユーロの決済網から締め出された。孤立したロシアはアジアの大国、中国から金融面の安全保障を得ようと、急速に「人民元化」を進めている。
中国の金融市場から数年ぶりの速いペースで資金が流出している。人民元安や景気の失速などを主因に投資家の中国離れが広がっているためだ。写真は米ドルと人民元紙幣。9月29日撮影(2022年 ロイター/Florence Lo/Illustration) [香港 17日 ロイター] - 中国の金融市場から数年ぶりの速いペースで資金が流出している。人民元安や景気の失速などを主因に投資家の中国離れが広がっているためだ。アナリストは「裏ルート」で流出する資金はもっと多く、信認はかなり傷ついている可能性があると指摘している。 流出の大半を占めるのは債券市場で、背景には諸外国の金利上昇がある。しかし流出は規模が大きく、外国人投資家のポートフォリオを超えて広がっている様子がうかがえることから、中国の信認の揺らぎと資本市場におけるドル高の「資金引き寄せ効果」が際立っている。中国の信認低下で将来的に人民元が一段と下
豊島逸夫氏プロフィール 豊島逸夫事務所代表。 1948年、東京都生まれ。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現三菱UFJ銀行)を経て、スイス銀行で外国為替貴金属ディーラーとして活躍。2011年9月までワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の日本代表を務める。独立後はチューリッヒやニューヨークでの豊富な相場体験と人脈をもとに、自由な立場から金市場や国際金融、マクロ経済動向について情報発信を行うとともに、“金の国内第一人者”として金投資の普及に尽力。投資の初心者にも分かりやすいトークや文章にファンも多い。得意分野はスキー系、鮨スイーツ系、温泉系。 留意事項 当ブログでは“金の国内第一人者”豊島逸夫氏が貴金属ビジネスの最新事情をはじめとした日々の様々な事象について、分かりやすい切り口で読み解き発信しています。 豊島氏の個人的見解も含まれる内容である旨ご了解の上、閲覧ください。 ご了解
新年早々物騒なニュース:中国のとんでもない噂 本当なら中国経済は超インフレに突入し、世界経済も大打撃。COVIDに続き再び中国が混乱の原因になるのか。 造幣局が「公式」偽造紙幣2兆元を印刷? 中国国家紙幣印刷造幣局の陳耀明が自首してきたとのニュースがネット上に流れている。2兆元(約36兆円)の「同数紙幣」を私的に印刷した疑いだ。 陳耀明氏は造幣局内の材料を利用し2兆元相当の偽札を印刷したという。紙幣には発行済み番号が再び印字されているので流通すれば同じ紙幣が存在することになる。 中央銀行の公表文によると、2021年11月の流通通貨(M0)は8兆7400億元なので、2兆元は23%を占める。 もし、2兆元の「本物」の偽札が流通していれば、間違いなく巨大なインフレを引き起こし、物価高騰と国の経済破綻を招く。 12月22日、中国人民銀行は、「性質の悪い噂」と一蹴した。 「人民元の印刷と発行には厳格
<早々と来年の冬季五輪でデジタル人民元がデビュー。あらゆる業種の構造に分散化技術を導入し他国に先駆ける> 暑さもウイルス感染も真っ盛りの時期に始まったシュールな東京五輪はともかく、本来ならオリンピックは選手にとっても開催国にとっても最高の晴れ舞台だ。思い返せば2008年の夏、世界金融危機の直前に開かれた北京五輪の開会式では、中国古来の打楽器を総勢2008人の奏者が一糸乱れずに打ち鳴らし、高らかに現代中国の復権を告げた。 そして半年後、今度は北京で冬のオリンピックが開催される。もちろん中国政府はすごいサプライズを用意している。世界初の官製暗号資産(仮想通貨)、デジタル人民元(e-CNY)の世界デビューだ。 世界初といっても、一般の消費者が戸惑うことはなさそうだ。価値は既存の人民元と同じだし、使い方は既存のキャッシュレス決済と大差ない。端末画面をタップ、スワイプ、またはQRコードを読み込むだけ
山西省太原の金アクセサリーの店で買い物する市民(2019年1月7日撮影、資料写真)。(c)CNS/張雲 【10月12日 東方新報】中国黄金協会がこのほど発表した「中国黄金年鑑2020」によれば、中国の金産出量は連続13年世界首位。また、金鉱の勘探作業にも力を入れており、金埋蔵量も2019年末時点で、前年より492.66トン増(3.61%増)の14131.06トンに上ることが明らかになっている。 金の鉱脈は地質勘探作業の周期が長く、投資の大きさのわりに成果が見えるのが遅い。年鑑によれば中国は長年金鉱地質勘探に力を注ぎ続けてきた結果、ようやく2012年から2019年まではその埋蔵量が消費を差し引いたベースで安定的に増加してきたという。2012年時点では、中国の金埋蔵量8196.24トンだった。 2019年の中国の金産出量は380.226トン(輸入原料としての金を含めず)で、前年同期比20.89
8月13日、中国国内では、米国との関係が急激に緊張する中で、「金融戦争」の行き着く先としてドルを中心とする国際通貨システムから中国が締め出される恐れがあるとの不安が高まりつつある。写真は米ドルと中国人民元の紙幣2月撮影(2020年 ロイター/Dado Ruvic) [北京/上海 13日 ロイター] - 中国国内では、米国との関係が急激に緊張する中で、「金融戦争」の行き着く先としてドルを中心とする国際通貨システムから中国が締め出される恐れがあるとの不安が高まりつつある。かつてはまさかと思われていた破局的な展開が、現実味を帯びてきたと受け止められている。 中国がドル決済の枠組みから遮断されたり、米政府が中国の膨大なドル建て資産の一部を凍結ないし差し押さえたりするような最悪シナリオが、中国の当局者やエコノミストの間でここ数カ月、公然と論じられるという異例の光景が見られるようになった。
我々は貿易戦争を映画や小説のようなノリで見ているが、特定の企業や技術で勝った負けたは瑣末でしかない。中国の最大の弱点はチャイナショックの時と同じく、あくまでも外貨準備であると本ブログは考えている。チャイナショックにおける人民元切下げや崩壊を狙った取引が厚い外貨準備の壁にぶつかってことごとく失敗してきたので、今回も人民元レートの話になると人々は学習の結果もあって「外貨準備があるからどうせ動かない」と思考停止しがちである。 図は前回の記事の使い回しであるが、中国の経常収支(黒線)とその各要素の寄与である。中国の経常収支は歪みが大きいのが特徴であり、コツコツと稼いだ貿易黒字を近年になって急速に「旅行」(サービス収支)の赤字で散財しており、今にも経常赤字転落しそうな水準になっている。旅行、つまりいわゆる「インバウンド爆買い」の解釈は難しく、格差の拡大と共に13億の人民が稼いだ貴重な外貨を一部の腐敗
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