オール電化料金が変化の時代を迎えている。東京電力・福島第1原子力発電所事故前からのオール電化プランは長年、優位性を保ってきたが、割引の廃止などで2025年度から新プランより割高にする大手電力が現れたのだ。これは伝統的なオール電化料金の実質的な終焉を意味する。背景には需給バランスの変化があり、その大きな要因である太陽光発電の拡大は「昼間が安い」プランも生み出した。電源移行が進む中でのオール電化料金の未来を読み解く。 住宅で使うエネルギーの全てを電力でまかなう「オール電化」は、全国の新築戸建住宅の4割強が採用しており、九州では新築の8割弱に達している。普及を支えた原動力は、極端に安かった深夜時間帯の電力量料金単価(深夜電力)の経済性にある。 原発事故前、例えば東電のオール電化料金プランである「電化上手」の深夜電力の単価は10円/kWh未満だった。この価格は従量電灯の半額程度と非常に安価で、ガス