「そうか、これは魚を引き上げるためなんだ」。漁船の妙に低い甲板を見ながら納得した。業界では常識なのだろうが、「漁船の燃費、漁船の燃費」と考えながら漁港を歩くまでは、気にしたこともなかった。 燃料費が上がって漁業の採算が苦しくなってきた。前回は漁に出る人たちの役割について書いたが、国には国の仕事があるはずだ。恐らく正解は直接補助ではない。どうすればよいのか。 漁船なのか、輸送船なのか 漁場まで距離がある場合、漁船は「漁をする船」「運ぶ船」の二つの機能を持たされる。両方から矛盾した要求をされると、どうしても中途半端になる。「どっちかにしてくれ」と言いたくなるだろう。 漁船が純粋に漁をするための船とすると、余計なものがたくさんある。1航海分の水揚げを収容する巨大な魚槽、1航海分の燃料と水、乗組員の食料、宿泊施設…。船は大きく、重くなり、燃費も悪くなる。乗組員にとっても、実作業以外の“回送”時間が