『エヴァ』の原案は1991年頃に着想され、その企画が通って具体的な製作がはじまったのは、放送開始の2年前だった。その間に漫画版の連載がはじまる一方、TVアニメ『エヴァ』の第壱話から第拾弐話までが作られた。 そこで本放送が開始されたので、最終話までの残り14回分は約半年の期間で作らねばならない勘定だ。画質を保っていては製作不可能なことは、初めから分かっていた。それでも第拾九話までは、ある程度のクオリティーで作れたが、第拾伍話の段階でスケジュール管理は既に崩壊しており、スタッフの疲弊は限界に達していた。 リタイアする者も現われ、第弐拾壱話の頃には、当初考えた形での完成は無理だとはっきりした。徹夜続きの庵野監督自身がいちばん消耗していると知っていたから、多くのスタッフは我慢したが、ある関係者は「家族を捨てるか、『エヴァ』を捨てるか、ってくらいキツイ状況」と後に話してくれた。だから最終二話があのよ