人生は数奇なものだと人は言う。今のところ僕の人生でベストオブ数奇は、妻との出会いで間違いないだろう。 始まりはたぶん、両親が購入する家を僕が選ぶところからだと思う。大家の都合でそれまで住んでいた借家を出て行くことになったのだ。当時高校3年生だった僕は、親に言われて家を探すことになった。いくら大学受験がおわって、ひまでぶらぶらしているとはいえ、子供に数千万の買い物のリサーチをさせるのは、今だに理解に苦しむ。とにかく、僕は家を探していた。とりあえず、近くの不動産屋にいって、いろいろ物件を見て回った。市内に良さそうな家があって、親に伝えた。彼らも見に行って気に入ったらしい。購入が決まって夏に引っ越すことになった。 4月になり、大学に入学した。浪人をしてまで入ったその大学で、僕は腐っていた。昼過ぎに家を出て、駅前のゲーセンでバーチャストライカーばかりやっていた。夏休みが、引っ越しが終わったらちゃん