東日本大震災の発生から二年が過ぎ、「絆」という言葉だけでは覆い尽くせない問題が露呈してきた。そのひとつが、児童養護の問題である。被災地の子どもたちは、今どんな状態にあるのだろうか。「被災した子ども」という視点から、児童福祉の専門家とともに、社会的養護のあり方について考える。(取材・文/ジャーナリスト 石島照代) 1698人もの子どもたちが 親を亡くした東日本大震災 東日本大震災の発生直後、津波が家を押し流す悲惨な光景を見ながら筆者がずっと考えていたのは、「子どもはどうなるのだろう」ということだった。子どもを亡くす親がいるように、親や親類縁者を亡くす子どもも当然いる。そんな子どもたちは今回、どれくらいいるのだろう…。次々に映し出される被災地の状況を見ながら、とにかく子どもたちのことが気にかかった。その理由は、筆者自身が児童養護施設で育ったことが大きい。いちばん大変なのは、子どもの保護・養育義