2007年の米国発の金融・経済危機は日本に多大な影響を及ぼし、円は米ドルやユーロなどの主要通貨に対して急激に上昇した。ここに来て、円相場は反転し、円は対米ドルで大幅に下落、日本株式市場は上昇し、現行水準で為替相場を安定化させる政策について議論が起こっている。これは安倍政権ならびに黒田総裁率いる日本銀行が直面する大きな課題になるだろう。 安倍首相は迅速かつ決断力を持って新たな経済戦略を打ち出し、1月11日に閣議決定された「日本経済再生に向けた緊急経済対策」の中でその概要を明らかにした。この重要な文書には、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略が盛り込まれた。このいわゆる「三本の矢」政策は2月28日に閣議決定された「平成25年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」においても言及されている。 もちろん金融政策の権限は日銀にあるが、すでに思い切った政策が打ち出されており、