東京五輪のエンブレムをめぐる「パクリ疑惑」が今夏、国内外の関心を集めた。担当デザイナーに対して、ネットユーザーたちによる過去の作品を含めた「パクリ疑惑」指摘が続いた結果、「取り下げ」という異例の事態に発展した。 ネットユーザーたちがなぜ、これほどまでに「パクリ」追及に奔走したのか、そもそも「パクリ」とは社会的に見てどのようなものだったのか。文化的な生産物の「オリジナリティ」「模倣」について考えるため、学生たちに『完全な「パクリ」レポート作成』をあえて課題に出している大阪市立大学大学院文学研究科の増田聡准教授に、今回の問題の背景について分析してもらった。 東京五輪エンブレム問題については、すでに多くの議論・意見がある。私はそれに付け加える意見をもたないが、ひとつだけ気になっていることがある。それは「パクリ」という言葉の氾濫とその効力の増大だ。 私はここ数年、大学における授業で、特定のテーマに