情報技術の進歩は、E-mailやインターネットの普及を通じて個人の生活に大きな変化をもたらしてきただけでなく、経済活動においても、POSシステム、電子マネー、オンライントレーディングなどの導入により、従来のビジネスモデルを革新的に変化させてきた。この結果、民間企業において経済活動に伴う業務データが電子媒体で膨大に蓄積されるようになり、これらのデータを調査・分析に活用していくための、物理学のアプローチを取り入れた研究が進んでいる。RIETI政策シンポジウム「大規模業務データから何を学ぶか-経済学と物理学の統合アプローチ」の開催を前に、渡辺努ファカルティフェローに、経済物理学と業務データの分析をテーマにした今回のシンポジウムについて、その背景とポイントについて聞いた。 RIETI編集部: 初めに、今回のシンポジウムのテーマである経済物理学という比較的新しい研究分野について教えてください。 渡辺