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JP5070935B2 - 炭化珪素半導体装置の製造方法 - Google Patents

炭化珪素半導体装置の製造方法 Download PDF

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JP5070935B2 JP2007137774A JP2007137774A JP5070935B2 JP 5070935 B2 JP5070935 B2 JP 5070935B2 JP 2007137774 A JP2007137774 A JP 2007137774A JP 2007137774 A JP2007137774 A JP 2007137774A JP 5070935 B2 JP5070935 B2 JP 5070935B2
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Description

本発明は、炭化珪素(以下、SiCという)中に不純物をドーピングした不純物層の表面に、熱酸化による酸化膜を形成する工程を有するSiC半導体装置の製造方法に関するものである。
SiCパワーデバイス、特にMOSFETでは、ゲート酸化膜形成前のイオン注入工程や活性化熱処理により発生する表面あれを除去するための犠牲酸化および犠牲酸化膜除去工程、さらにゲート酸化膜形成工程において、いずれも1000℃程度の熱酸化を行っている。これら犠牲酸化および犠牲酸化膜除去工程やゲート酸化膜工程での熱酸化を実施するに際し、不純物を注入した領域と注入していない領域で熱酸化の速度に大きな差が生じる。例えば、蓄積型のMOSFETでは、不純物(リン(P)や窒素(N))を注入したn型ソース領域とチャネル領域を構成するn型チャネル層またはp型ベース層上での熱酸化の速度に大きな差が生じる。つまり、熱酸化速度が不純物を注入していない領域よりも注入した領域の方が大きくなる増速酸化が行われるため、不純物濃度が注入されていない領域よりも注入された領域の方が酸化膜厚は厚くなる。
このため、n型ソース領域がn型チャネル層と比べて凹んでしまい、n型ソース領域が薄膜化してしまう。蓄積型のMOSFETの電流経路は、図6の矢印で示すようになるが、n型ソース領域を縦断していくことになるため、n型ソース領域の薄膜化はデバイス電流特性を著しく低下させる要因となる。
この問題を解決するには、n型ソース領域の増速酸化をいかに抑えるかが重要になる。増速酸化量は、n型ソース領域の不純物濃度及び活性化温度に依存しており、n型ソース領域の不純物濃度は、n型ソース領域のシート抵抗及びオーミック電極とのコンタクト抵抗により決定される。それら抵抗値は、デバイス全体の抵抗値の1/50以下が望ましく、そのためには、例えばコンタクト抵抗は1×10−4Ω・cm以下にすることが必要になる。図7は、n型ソース領域の不純物濃度に対するコンタクト抵抗の関係を示したものであるが、この図に示すように、n型ソース領域の不純物濃度は、例えばオーミック電極がNiの場合、3×1020cm−3以上が必要である。しかしながら、n型チャネル層上に形成される熱酸化膜厚に対するn型ソース領域上の熱酸化膜の比およびn型ソース領域のソート抵抗の関係は図8のように表され、n型ソース領域の不純物濃度を上記に示す値にした場合、n型ソース領域が薄膜化するため、図8に示されるように熱酸化膜厚の比が7倍以上となり(第1軸参照)、n型ソース領域のシート抵抗は不純物濃度が高い程増大することになる(第2軸参照)。
この問題を解決すべく、特許文献1において、n型ソース領域の不純物をイオン注入および活性化した後にn型チャネル層をエピタキシャル成長により形成することが提案されている。
また、特許文献2において、n型ソース領域およびn型チャネル層の上に、さらにn型チャネル層をエピタキシャル成長させることが提案されている。
特開2002−270837号公報 特開2002−270838号公報
しかしながら、特許文献1に示される手法では、電流経路が構造的に長くなり、デバイスのオン抵抗が大きくなるという問題がある。また、n型チャネル層の形成前には、高品質のエピタキシャル成長をさせるために実質的に犠牲酸化をする必要があるので、その時点でn型ソース領域の薄膜化が避けられない。
一方、特許文献2に示される手法では、n型チャネル層の形成工程が増えることとなるし、特許文献1と同様、n型チャネル層の形成前には、高品質のエピタキシャル成長をさせるために実質的に犠牲酸化をする必要があるので、その時点で増速酸化によるn型ソース領域の薄膜化が避けられない。
なお、ここではゲート酸化膜を熱酸化する場合について説明したが、ゲート酸化膜を形成する前の犠牲酸化に関しても、ゲート酸化膜を熱酸化して形成する場合と同様の問題が生じる。
本発明は上記点に鑑みて、オン抵抗の増大や製造工程の増加を防止しつつ、ソース領域の薄膜化を防止できるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、蓄積型のMOS構造を有する炭化珪素半導体装置の製造方法において、ソース領域(4)のうち下層に位置する領域(4a)を第1不純物濃度にて形成する工程と、ソース領域(4)のうち下層に位置する領域(4a)の上層に位置する領域(4b)を第1不純物濃度よりも薄い第2不純物濃度にて形成する工程と、ソース領域(4)のうち上層に位置する領域(4b)およびチャネル層(5)を熱酸化することにより、ゲート酸化膜(7)を形成する工程と、を含むことを特徴としている。
このように、下地となるソース領域(4)のうち上層に位置する領域(4b)つまり酸化させるための領域を下層に位置する領域(4a)つまり酸化させずに残す領域と比べて低不純物濃度としているため、ソース領域(4)を酸化させたときの増速酸化を抑制することが可能となる。これにより、ソース領域(4)が薄膜化することによるシート抵抗の増大を抑制することが可能となる。そして、ソース領域(4)形成の際、不純物イオン注入の濃度を調整することだけにより行うことができ、従来と構造的な相違も生じないため、オン抵抗の増大や製造工程の増加無しでこのような効果を得ることができる。
例えば、基板(1)の上にドリフト層(2)を形成すると共に、ドリフト層(2)内にベース領域(3)を形成したのち、ドリフト層(2)およびベース領域(3)の表面上にチャネル層(5)を形成する工程と、チャネル層(5)の上から、第1導電型不純物をイオン注入することにより、ソース領域(4)のうち下層に位置する領域(4a)を形成すると共に、ソース領域(4)のうち上層に位置する領域(4b)を形成する工程を行い、その後、熱酸化によるゲート酸化膜(7)の形成工程を行えば良い。
なお、ここでは蓄積型のMOS構造を有する炭化珪素半導体装置の製造方法について触れたが、反転型のMOS構造の炭化珪素半導体装置の製造方法に関しても、上記と同様のことが言える。
また、ソース領域(4)のうち上層に位置する領域(4b)を形成する工程では、該領域(4b)の厚さをゲート酸化膜(7)の厚みの1/2以上とすると好ましい。
SiCが酸化されたときに酸化膜の膜厚は元のSiC層の膜厚の倍になるため、ソース領域(4)のうち上層に位置する領域(4b)の厚さをゲート酸化膜(7)の厚みの1/2以上にしておけば、後工程でのゲート酸化膜(7)の熱酸化により、下層に位置する領域(4a)まで酸化されることを防止することができる。これにより、下層に位置する領域(4a)での増速酸化を防止できる。
このように、ソース領域(4)のうち低不純物濃度としておく上層に位置する領域(4b)の不純物濃度としては、1×1020cm−3以下とすることができる。また、ソース領域(4)のうち高濃度としておく下層に位置する領域(4a)の不純物濃度としては、3×1020cm−3以上とすることができる。
また、以上の説明では、ゲート酸化膜(7)を熱酸化する場合について説明したが、ゲート酸化膜(7)を形成する前の犠牲酸化に関しても、ゲート酸化膜(7)と同様のことが言え、上記本発明の特徴を備えることで、上記と同様の効果を得ることが可能となる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。図1に、本実施形態に示すSiC半導体装置の製造方法により製造したノーマリオフ型のnチャネルタイププレーナ型MOSFET(縦型パワーMOSFET)の断面図を示す。本デバイスは、インバータや車両用オルタネータのレクチファイヤに適用すると好適なものである。図1に基づいて縦型パワーMOSFETの構造について説明する。
炭化珪素からなるn型基板1は、上面を主表面1aとし、主表面の反対面である下面を裏面1bとしている。このn型基板1の主表面1a上には、基板1よりも低い不純物濃度を有する炭化珪素からなるドリフト層としてのn型エピタキシャル層(以下、n型エピ層という)2が積層されている。
型エピ層2の表層部にはp型ベース領域3が形成されている。このp型ベース領域3は、B、Al若しくはGeをドーパントとして形成されており、約1×1017cm−3以上の不純物濃度となっている。また、p型ベース領域3の中央部分(図1中の左右両端位置)には、部分的にP型不純物濃度が高くされ、コンタクト領域として機能する。この部分は、他の領域よりも深く形成されていても良く、その場合、ディープベース領域としても機能することになる。
また、p型ベース領域3の表層部には、p型ベース領域3よりも浅いn型ソース領域4が形成されている。このn型ソース領域4は、たとえば1×1021cm−3程度の不純物濃度とされている。そして、n型ソース領域4とn型エピ層2とを繋ぐように、p型ベース領域3の表面部にはn型チャネル層5が延設されている。このn型チャネル層5は、エピタキシャル成長にて形成されたものであり、デバイスの動作時にチャネル形成層として機能する。例えば、1×1015cm−3〜1×1017cm−3程度の低不純物濃度とされている。
型チャネル層5の上面およびn型ソース領域4の上面には熱酸化にてゲート酸化膜7が形成され、このゲート酸化膜7の上にゲート電極8が形成されている。ゲート電極8は、LTO(Low Temperature Oxide)等で構成された絶縁膜9で覆われ、この絶縁膜9の上にn型ソース領域4およびp型ベース領域3と電気的に接続されたソース電極10が形成されている。そして、n型基板1の裏面1bにドレイン電極11が形成され、縦型パワーMOSFETが構成されている。
このように構成された縦型パワーMOSFETはノーマリオフ型の蓄積モードで動作するものであって、以下のように動作する。まず、ゲート電極に電圧を印加しない場合は、n型チャネル層5においてキャリアは、p型ベース領域3とn型チャネル層5との間の静電ポテンシャルの差、及びn型チャネル層5とゲート電極8との間の仕事関数の差により生じた電位によって全域空乏化された状態となる。
この状態において、ゲート電極8に電圧を印加することで、n型チャネル層5とゲート電極8との間の仕事関数の差と外部からの印加電圧の和により生じる電位差を変化させることができ、これにより、チャネルの状態を制御することができる。
そして、オフ状態においては、p型ベース領域3及びゲート電極8により作られた電界によって、空乏領域がn型チャネル層5内に形成されているため、この状態からゲート電極8に対して正のバイアスを供給すると、ゲート酸化膜7とn型チャネル層5との間の界面においてn型ソース領域4からn型エピ層2方向へ延びるチャネル領域が形成され、オン状態にスイッチングされる。これにより、n型ソース領域4→n型チャネル層5→n型エピ層2を順に経由したのち、n型エピ層2(ドリフト領域)からn型基板1(n ドレイン)に対して垂直を成すように電子が流れる。
このようにゲート電極8に正の電圧を印加することにより、n型チャネル層5に蓄積型チャネルを誘起させることができ、ソース電極10とドレイン電極11との間にキャリアを流すことができる。
次に、図1に示す縦型パワーMOSFETの製造工程を、図2〜図5を用いて説明する。
〔図2(a)に示す工程〕
まず、n型4Hまたは6Hまたは3C−SiCからなる半導体基板、すなわちn型基板1を用意する。例えば、n型基板1として、厚さが400μm程度のものを用意する。そして、このn型基板1の主表面1aに厚さ5μmのn型エピ層2をエピタキシャル成長させる。この場合、n型エピ層2は下地の基板1と同様の結晶で得られ、n型4Hまたは6Hまたは3C−SiC層となる。
〔図2(b)、(c)に示す工程〕
型エピ層2の上にLTO膜20を配置したのち、LTO膜20をパターニングすることで、p型ベース領域3の形成予定位置を露出させる。これをマスクとして、p型不純物であるB、Al、若しくはGeをイオン注入する。このときのイオン注入条件は、例えば、温度を700℃、ドーズ量を1×1016cm−2とする。この後、活性化熱処理を行うことで、p型ベース領域3が形成される。その後、LTO膜20を除去する。
〔図3(a)に示す工程〕
型ベース領域3を含むn型エピ層2上に化学気相成長法(CVD法)によりn型チャネル層5をエピタキシャル成長させる。
このとき、縦型パワーMOSFETをノーマリオフ型にするために、n型チャネル層5の厚み(膜厚)を、ゲート電極8に電圧を印加していない時におけるp型ベース領域3からn型チャネル層5に広がる空乏層の伸び量と、ゲート酸化膜7からn型チャネル層5に広がる空乏層の伸び量との和よりも小さくなるようにしている。
具体的には、p型ベース領域3からn型チャネル層5に広がる空乏層の伸び量は、n型チャネル層5とp型ベース領域3とのPN接合のビルトイン電圧によって決定され、ゲート酸化膜7からn型チャネル層5に広がる空乏層の伸び量は、ゲート酸化膜7の電荷及びゲート電極8(金属)とn型チャネル層5(半導体)との仕事関数差によって決定されるため、これらに基づいてn型チャネル層5の膜厚を決定している。
このようなノーマリオフ型の縦型パワーMOSFETは、故障などによってゲート電極に電圧が印加できないような状態となっても、電流が流れないようにすることができるため、ノーマリオン型のものと比べて安全性を確保することができる。
〔図3(b)に示す工程〕
型チャネル層5の上にLTO膜21を配置したのち、LTO膜21をパターニングすることで、n型ソース領域4の形成予定位置を露出させる。そして、LTO膜21をマスクとしてN(窒素)等のn型不純物をイオン注入し、n型ソース領域4を形成する領域にn型不純物を注入する。このとき、n型ソース領域4のうち、後工程で行われるゲート酸化膜7を形成するための熱酸化の際に酸化させずにn型ソース領域4として残す上層側の領域4aと、酸化させるための下層側の領域4bとで、n型不純物の濃度が異なるようにしている。
具体的には、酸化させずにn型ソース領域4として残す領域4aの不純物濃度が3×1020cm−3以上、好ましくは1×1021cm−3程度、酸化させるための領域4bの不純物濃度がそれよりも1桁以上小さな1×1020cm−3以下、好ましくは1×1019cm−3以下となるようにしている。酸化させるための領域4bの厚みは、SiCが酸化されたときに膜厚が倍になることを考慮し、後工程で形成するゲート酸化膜7の1/2程度にすることになるが、領域4aまで酸化されることで増速酸化が行われることを防止するために1/2以上にすると好ましい。
この後、例えば1400℃以上(好ましくは1500℃以上、より好ましくは1600℃以上)で活性化熱処理を行うことで、n型ソース領域4が形成される。
〔図3(c)に示す工程〕
続いて、LTO膜21を除去した後、フォトレジスト法を用いてn型チャネル層5の上の所定領域にLTO膜22を配置し、LTO膜22をパターニングすることで、p型ベース領域3のうち上述したソース電極10とのコンタクト領域となる位置に形成されているn型チャネル層5を露出させる。
〔図4(a)に示す工程〕
LTO膜22をマスクとしてp型ベース領域3上のn型チャネル層5に対してBをイオン注入することで、n型ソース領域4と重ならないように位置において部分的にベース領域3のp型不純物を高濃度としたコンタクト領域を形成する。
〔図4(b)に示す工程〕
LTO膜22を除去した後、例えば、雰囲気温度を1080℃としたウェット酸化(H+Oによるパイロジェニック法を含む)により、p型ベース領域3やn型ソース領域4およびn型チャネル層5の上にゲート酸化膜7を形成する。
このとき、p型ベース領域3やn型ソース領域4およびn型チャネル層5では不純物濃度に差があるため、不純物濃度が濃い部分では増速酸化が起こることになる。しかしながら、上述したように、下地となるn型ソース領域4のうち酸化させるための領域4bを酸化させずに残す領域4aと比べて低濃度としているため、n型ソース領域4を酸化させたときの増速酸化を抑制することが可能となる。実験を行ったところ、上述したように、領域4bを1×1020cm−3以下(好ましくは1×1019cm−3以下)とした場合に、1400℃以上、1500℃以上、1600℃以上それぞれの温度で活性化熱処理を行ったものに対して、ゲート酸化膜7を形成したときに、増速酸化が抑制され、ほぼn型チャネル層5とn型ソース領域4上の酸化膜厚を同等にできるという結果が得られた。
このため、n型ソース領域4が薄膜化することによるシート抵抗の増大を抑制することが可能となる。そして、n型ソース領域4形成の際の不純物イオン注入の濃度を調整することだけにより行うことができ、従来と構造的な相違も生じないため、オン抵抗の増大や製造工程の増加無しでこのような効果を得ることができる。
〔図4(c)に示す工程〕
ゲート酸化膜7の上にポリシリコン層を例えばLPCVDにより堆積する。このときの成膜温度は例えば600℃とする。そして、ポリシリコン層をパターニングすることで、ゲート電極8を形成する。
〔図5(a)に示す工程〕
引き続き、ゲート酸化膜7の不要部分を除去した後、LTOよりなる絶縁膜9を例えば425℃で成膜し、さらに約1000℃でのアニールを行うことでゲート電極8を覆う。そして、絶縁膜9をパターニングし、コンタクトホールを形成する。
〔図5(b)に示す工程〕
この後、室温での金属スパッタリングによりソース電極10及びドレイン電極11を配置したのち、成膜後に1000℃のアニールを行うことで、図1に示す縦型パワーMOSFETが完成する。
以上説明したように、本実施形態においては、下地となるn型ソース領域4のうち酸化させるための領域4bを酸化させずに残す領域4aと比べて低濃度としているため、n型ソース領域4を酸化させたときの増速酸化を抑制することが可能となる。これにより、n型ソース領域4が薄膜化することによるシート抵抗の増大を抑制することが可能となる。そして、n型ソース領域4形成の際のイオン注入の濃度を調整することだけにより行うことができ、従来と構造的な相違も生じないため、オン抵抗の増大や製造工程の増加無しでこのような効果を得ることができる。
なお、本実施形態のような製造方法とした場合、n型ソース領域4の表層部の領域4bがゲート酸化膜7の形成後にも部分的に酸化されずに残ることがある。このような場合には、図5(a)の工程において、絶縁膜9のコンタクトホールを形成したのち、n型ソース領域4の表層部の不純物濃度を高めるためのイオン注入および熱処理工程を行うようにしたり、n型ソース領域4の表層部をエッチング除去する工程を必要に応じて行うようにすれば良い。
(他の実施形態)
上記実施形態では、n型ソース領域4をn型不純物のイオン注入にて形成した場合を例に挙げて説明したが、エピタキシャル成長にて形成しても良い。例えば、図2(c)の工程の後に、領域4a、領域4bを順に異なる不純物濃度でエピタキシャル成長させたのち、n型チャネル層5を形成するための領域において、領域4aおよび領域4bをエッチングする。この状態でn型チャネル層5をエピタキシャル成長させたのち、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)等によりn型チャネル層5を平坦化することで、領域4bの表面が残るようにする。この後は、図4(b)以降の工程を行うことで、上記と同様の構造の半導体装置を製造できる。このように、n型ソース領域4をエピタキシャル成長にて形成しても構わない。ただし、増速酸化は、不純物のイオン注入による欠陥により特に助長されると考えられるため、n型ソース領域4をイオン注入により形成する場合に本発明を適用するのがより効果的である。
上記各実施形態では、n型層をn型チャネル層5とするnチャネルタイプのMOSFETに本発明を適用した場合について説明したが、もちろん各構成要素の導電型を反転させたpチャネルタイプのMOSFETに適用することも可能である。
また、上記実施形態において、ゲート酸化膜は熱酸化工程によって形成しているが、CVD等によりTEOS等を成膜することで形成する場合でも、犠牲酸化処理に熱酸化を実施する際に適用できる。すなわち、上記実施形態ではゲート酸化膜7を熱酸化する場合において、n型ソース領域4の薄膜化を防止する場合について説明したが、ゲート酸化膜を形成する前の犠牲酸化に関しても、ゲート酸化膜を熱酸化して形成する場合と同様の問題が生じる。このため、犠牲酸化を行う場合に関しても、上記と同様に、下地となるn型ソース領域4のうち酸化させるための領域4bを酸化させずに残す領域4aと比べて低濃度としているため、n型ソース領域4を犠牲酸化させたときの増速酸化を抑制することが可能となる。この場合、ゲート酸化膜7をCVD等により形成する場合であっても、上記効果を得ることができる。勿論、ゲート酸化膜7を熱酸化によって形成するのであれば、犠牲酸化で酸化される分とゲート酸化膜7を形成する際に熱酸化される分を加味して、下地となるn型ソース領域4のうち酸化させるための領域4bの厚さを決めれば良い。
さらに、上記実施形態では、n型チャネル層5を有する蓄積型のMOSFETを例に挙げたが、n型チャネル層5が形成されていない構造、つまりp型ベース領域3の表層部のうちゲート電極8と対向する部分にチャネル領域が設定される反転型のMOSFETに対しても、ゲート酸化膜7を形成する際の不純物濃度差に起因するn型ソース領域4の薄膜化の問題が生じるため、本発明を適用することができる。この場合、ドリフト層となるn型エピ層2とn型ソース領域4とを熱酸化することによりゲート酸化膜7を形成することになるが、n型ソース領域4の上層側の領域4bを下層側の領域4aよりも不純物濃度を低くすれば、上記と同様の効果を得ることが可能となる。なお、この場合にも、もちろん、各構成要素の導電型を反転させたpチャネルタイプのMOSFETに適用することも可能である。
また、ここではMOSFETを例に挙げて説明したが、n型基板1の導電型をp型に反転させたIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)に関しても、上記と同様、本発明を適用することができる。
本発明の第1実施形態にかかるSiC半導体装置の製造方法により製造したプレーナ型MOSFETの断面図である。 図1に示す縦型パワーMOSFETの製造工程を示す断面図である。 図2に続く縦型パワーMOSFETの製造工程を示す断面図である。 図3に続く縦型パワーMOSFETの製造工程を示す断面図である。 図4に続く縦型パワーMOSFETの製造工程を示す断面図である。 型ソース領域が薄膜化したときの様子を示した断面図である。 型ソース領域の不純物濃度に対するコンタクト抵抗の関係を示した図である。 熱酸化膜厚に対するn型ソース領域上の熱酸化膜の比およびn型ソース領域のソート抵抗の関係を示した図である。
符号の説明
1…n型基板、1a…主表面、1b…裏面、2…n型エピ層、3…p型ベース領域、4…n型ソース領域、5…n型チャネル層、7…ゲート酸化膜、8…ゲート電極、9…絶縁膜、10…ソース電極、11…ドレイン電極、20〜22…LTO膜、23…レジスト

Claims (12)

  1. 炭化珪素からなる基板(1)と、
    前記基板(1)の上に形成された第1導電型の炭化珪素からなるドリフト層(2)と、
    前記ドリフト層(2)内における該ドリフト層(2)の表層部に形成された第2導電型のベース領域(3)と、
    前記ベース領域(3)内に形成され、かつ、前記ドリフト層(2)よりも高不純物濃度の炭化珪素にて構成された第1導電型のソース領域(4)と、
    前記ベース領域(3)および前記ドリフト層(2)の表面上に形成され、前記ドリフト層(2)と前記ソース領域(4)との間を繋ぐように形成された炭化珪素からなる第1導電型のチャネル層(5)と、
    前記チャネル層(5)および前記ソース領域(4)の表面に備えたゲート酸化膜(7)と、
    前記ゲート酸化膜(7)の上に形成されたゲート電極(9)と、
    前記ソース領域(4)に電気的に接続されたソース電極(10)と、
    前記基板(1)の裏面側に形成されたドレイン電極(11)とを備え、
    前記ゲート電極(8)への印加電圧を制御することで前記チャネル層(5)に形成されるチャネルを制御し、前記ソース領域(4)および前記ドリフト層(2)を介して、前記ソース電極(10)および前記ドレイン電極(11)の間に電流を流す半導体素子が構成された炭化珪素半導体装置の製造方法であって、
    前記ソース領域(4)のうち下層に位置する領域(4a)を第1不純物濃度にて形成する工程と、
    前記ソース領域(4)のうち前記下層に位置する領域(4a)の上層に位置する領域(4b)を前記第1不純物濃度よりも薄い第2不純物濃度にて形成する工程と、
    前記ソース領域(4)のうち前記上層に位置する領域(4b)および前記チャネル層(5)を熱酸化することにより、前記ゲート酸化膜(7)を形成する工程と、を含むことを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
  2. 前記基板(1)の上に前記ドリフト層(2)を形成すると共に、前記ドリフト層(2)内に前記ベース領域(3)を形成したのち、前記ドリフト層(2)および前記ベース領域(3)の表面上に前記チャネル層(5)を形成する工程と、
    前記チャネル層(5)の上から、第1導電型不純物をイオン注入することにより、前記ソース領域(4)のうち前記下層に位置する領域(4a)を形成すると共に、前記ソース領域(4)のうち前記上層に位置する領域(4b)を形成する工程を行い、
    その後、前記熱酸化による前記ゲート酸化膜(7)の形成工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  3. 炭化珪素からなる基板(1)と、
    前記基板(1)の上に形成された第1導電型の炭化珪素からなるドリフト層(2)と、
    前記ドリフト層(2)内における該ドリフト層(2)の表層部に形成された第2導電型のベース領域(3)と、
    前記ベース領域(3)内に形成され、かつ、前記ドリフト層(2)よりも高不純物濃度の炭化珪素にて構成された第1導電型のソース領域(4)と、
    前記ドリフト層(2)および前記ソース領域(4)の表面に備えたゲート酸化膜(7)と、
    前記ゲート酸化膜(7)の上に形成されたゲート電極(9)と、
    前記ソース領域(4)に電気的に接続されたソース電極(10)と、
    前記基板(1)の裏面側に形成されたドレイン電極(11)とを備え、
    前記ゲート電極(8)への印加電圧を制御することで前記ゲート電極(9)と対向する前記ベース領域(3)の表層部にチャネルを形成し、前記ソース領域(4)および前記ドリフト層(2)を介して、前記ソース電極(10)および前記ドレイン電極(11)の間に電流を流す半導体素子が構成された炭化珪素半導体装置の製造方法であって、
    前記ソース領域(4)のうち下層に位置する領域(4a)を第1不純物濃度にて形成する工程と、
    前記ソース領域(4)のうち前記下層に位置する領域(4a)の上層に位置する領域(4b)を前記第1不純物濃度よりも薄い第2不純物濃度にて形成する工程と、
    前記ソース領域(4)のうち前記上層に位置する領域(4b)および前記ドリフト層(2)を熱酸化することにより、前記ゲート酸化膜(7)を形成する工程と、を含むことを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
  4. 前記基板(1)の上に前記ドリフト層(2)を形成すると共に、前記ドリフト層(2)内に前記ベース領域(3)を形成する工程と、
    前記ベース領域(3)に対して第1導電型不純物をイオン注入することにより、前記ソース領域(4)のうち前記下層に位置する領域(4a)を形成すると共に、前記ソース領域(4)のうち前記上層に位置する領域(4b)を形成する工程を行い、
    その後、前記熱酸化による前記ゲート酸化膜(7)の形成工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  5. 前記ソース領域(4)のうち前記上層に位置する領域(4b)を形成する工程では、該領域(4b)の厚さを前記ゲート酸化膜(7)の厚みの1/2以上とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  6. 前記ソース領域(4)のうち前記上層に位置する領域(4b)を形成する工程では、該領域(4b)の不純物濃度を1×1020cm−3以下とすることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  7. 前記ソース領域(4)のうち前記下層に位置する領域(4a)を形成する工程では、該領域(4a)の不純物濃度を3×1020cm−3以上とすることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  8. 前記ソース領域(4)のうち前記下層に位置する領域(4a)を形成する工程および前記上層に位置する領域(4b)を形成する工程は、1400℃以上の活性化熱処理を行う工程を含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  9. 前記ソース領域(4)のうち前記下層に位置する領域(4a)を形成する工程および前記上層に位置する領域(4b)を形成する工程は、1500℃以上の活性化熱処理を行う工程を含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  10. 前記ソース領域(4)のうち前記下層に位置する領域(4a)を形成する工程および前記上層に位置する領域(4b)を形成する工程は、1600℃以上の活性化熱処理を行う工程を含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  11. 炭化珪素からなる基板(1)と、
    前記基板(1)の上に形成された第1導電型の炭化珪素からなるドリフト層(2)と、
    前記ドリフト層(2)内における該ドリフト層(2)の表層部に形成された第2導電型のベース領域(3)と、
    前記ベース領域(3)内に形成され、かつ、前記ドリフト層(2)よりも高不純物濃度の炭化珪素にて構成された第1導電型のソース領域(4)と、
    前記ベース領域(3)および前記ドリフト層(2)の表面上に形成され、前記ドリフト層(2)と前記ソース領域(4)との間を繋ぐように形成された炭化珪素からなる第1導電型のチャネル層(5)と、
    前記チャネル層(5)および前記ソース領域(4)の表面に備えたゲート酸化膜(7)と、
    前記ゲート酸化膜(7)の上に形成されたゲート電極(9)と、
    前記ソース領域(4)に電気的に接続されたソース電極(10)と、
    前記基板(1)の裏面側に形成されたドレイン電極(11)とを備え、
    前記ゲート電極(8)への印加電圧を制御することで前記チャネル層(5)に形成されるチャネルを制御し、前記ソース領域(4)および前記ドリフト層(2)を介して、前記ソース電極(10)および前記ドレイン電極(11)の間に電流を流す半導体素子が構成された炭化珪素半導体装置の製造方法であって、
    前記ソース領域(4)のうち下層に位置する領域(4a)を第1不純物濃度にて形成する工程と、
    前記ソース領域(4)のうち前記下層に位置する領域(4a)の上層に位置する領域(4b)を前記第1不純物濃度よりも薄い第2不純物濃度にて形成する工程と、
    前記ソース領域(4)のうち前記上層に位置する領域(4b)および前記チャネル層(5)を熱酸化により犠牲酸化したのち、犠牲酸化膜を除去する工程と、を含むことを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
  12. 炭化珪素からなる基板(1)と、
    前記基板(1)の上に形成された第1導電型の炭化珪素からなるドリフト層(2)と、
    前記ドリフト層(2)内における該ドリフト層(2)の表層部に形成された第2導電型のベース領域(3)と、
    前記ベース領域(3)内に形成され、かつ、前記ドリフト層(2)よりも高不純物濃度の炭化珪素にて構成された第1導電型のソース領域(4)と、
    前記ドリフト層(2)および前記ソース領域(4)の表面に備えたゲート酸化膜(7)と、
    前記ゲート酸化膜(7)の上に形成されたゲート電極(9)と、
    前記ソース領域(4)に電気的に接続されたソース電極(10)と、
    前記基板(1)の裏面側に形成されたドレイン電極(11)とを備え、
    前記ゲート電極(8)への印加電圧を制御することで前記ゲート電極(9)と対向する前記ベース領域(3)の表層部にチャネルを形成し、前記ソース領域(4)および前記ドリフト層(2)を介して、前記ソース電極(10)および前記ドレイン電極(11)の間に電流を流す半導体素子が構成された炭化珪素半導体装置の製造方法であって、
    前記ソース領域(4)のうち下層に位置する領域(4a)を第1不純物濃度にて形成する工程と、
    前記ソース領域(4)のうち前記下層に位置する領域(4a)の上層に位置する領域(4b)を前記第1不純物濃度よりも薄い第2不純物濃度にて形成する工程と、
    前記ソース領域(4)のうち前記上層に位置する領域(4b)および前記ドリフト層(2)を熱酸化により犠牲酸化したのち、犠牲酸化膜を除去する工程と、を含むことを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
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