印刷 永住権を持つ大分市の中国籍の女性(79)が、市が生活保護を認めなかったのは違法だとして、市を相手に、却下決定の取り消しなどを求めた訴訟の控訴審判決が15日、福岡高裁であった。古賀寛裁判長は、外国籍を理由に原告の訴えを退けた一審・大分地裁判決を取り消し、市の却下決定を取り消すよう命じた。 古賀裁判長は「(永住外国人ら)一定範囲の外国人も生活保護法の準用による法的保護の対象になる」と判断。弁護団によると、永住外国人について日本人と同様に生活保護法の対象となることを認めた判決は初めて。 生活保護法は対象を「国民」に限定しているが、永住外国人について厚生労働省は、同法に準じて支給するよう各自治体に通知。一方で、不服申し立ては認めないよう指導している。 続きは朝日新聞デジタルでご覧いただけます関連リンク〈MY TOWN大分〉裁判中中国籍女性へ生活保護決定/大分市(11/12)
印刷 切り餅をふっくら焼き上げるための切り込みについての特許を侵害されたとして、業界2位の「越後製菓」(新潟県長岡市)が業界1位の「佐藤食品工業」(新潟市)に製造禁止と約15億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、知財高裁(飯村敏明裁判長)は7日、「佐藤食品の切り込みは越後製菓の発明の技術的範囲に属する」との判断を示した。 この裁判では、佐藤食品の「サトウの切り餅」などの側面と上下の面の切り込みが、側面に切り込みを入れた越後製菓の特許技術の範囲内かどうかが争われていた。 高裁はこの日の判断で、特許の侵害と認めなかった昨年11月の一審・東京地裁の判断を逆転させ、特許権侵害を事実上認めた。 最終的な判決の前に、争点を絞り込むために特定の論点について判断を示す「中間判決」。今後は損害額や、サトウの切り餅などの製造・販売を差し止めるかについて引き続き審理する。 関連リンク「サトウの切り餅」は
交通事故と脳脊髄(せきずい)液減少症(髄液漏れ)との因果関係が争われた訴訟で、大阪高裁(紙浦健二裁判長)が7月、事故による発症を認定して被害者側の逆転勝訴判決を言い渡していたことが分かった。判決は、厚生労働省の研究班が6月に明らかにした中間報告書で「外傷による発症もまれではない」としたことに言及し、損保・加害者側が否定の根拠としてきた国際頭痛学会の診断基準(04年)を「厳しすぎる」と批判しており、同種訴訟にも影響するとみられる。 追突事故に遭った堺市の会社経営の男性(67)が06年、加害者側を相手取り損害賠償を求めて提訴。訴訟中に髄液漏れと診断された。大阪地裁は昨年2月に診断について「疑問がある」と退け、髄液漏れに関する補償は認めなかったが、7月22日の大阪高裁判決では、髄液漏れと認定。休業損害額が1000万円以上増額され、確定した。 判決によると、男性は03年の事故直後、腰椎(ようつい)
入学式や卒業式で、日の丸に向かっての起立や、君が代の斉唱とピアノ伴奏をしなければ処分するとした東京都教育委員会の通達をめぐり、教職員約400人が従う義務のないことの確認などを求めた訴訟の控訴審判決が28日、東京高裁であった。都築弘裁判長(三輪和雄裁判長代読)は、一審・東京地裁が、通達は思想・良心の自由を定めた憲法と「不当な支配」を禁じた教育基本法に違反して無効だとした判決を取り消し、合憲と判断した。 教職員1人につき3万円の慰謝料支払いを都教委側に命じた一審判決も退け、教職員側が一転、全面敗訴した。 問題の通達は、2003年10月に都教育長から都立高校などの校長に出された。校長の職務命令に従わなかった教職員は今も停職、減給などの懲戒処分を受けている。 06年9月の一審判決は、君が代・日の丸について「皇国思想や軍国主義思想の精神的支柱として用いられ、今も国民の間で宗教的、政治的に価値中
大阪市平野区のマンションで2002年4月、母子が殺されて放火された事件で、殺人と現住建造物等放火の罪に問われた大阪刑務所職員(休職中)、森健充被告(52)の上告審判決が27日、あった。最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長=堀籠幸男裁判長が代読)は、無期懲役とした一審・大阪地裁判決と、死刑とした二審・大阪高裁の判決をともに破棄し、審理を同地裁に差し戻した。 最高裁が死刑判決を破棄して差し戻すのは極めて異例。戦後混乱期の昭和20年代に起きた松川、八海事件などの例があるが、最近では1989年6月の山中事件以来21年ぶりとなる。 この事件では、森被告と犯行を結びつける直接的な証拠がなく、被告も犯行を一貫して否認。一審・大阪地裁、二審・大阪高裁とも「間接証拠」を総合して有罪と認定し、それぞれ無期懲役、死刑を言い渡していた。 一、二審判決は、森被告が02年4月14日午後、大阪市平野区のマンションに住
神社本庁からの離脱を目的に規則変更した石川県の気多神社(気多大社)の宮司らが、変更を認めなかった文部科学省の裁決取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(田原睦夫裁判長)は20日、神社側の訴えを退けた2審判決を破棄した。規則変更を認め、裁決取り消しを命じた1審判決が確定した。 気多神社は平成17年、神社本庁から離脱するため宗教法人規則を変更し、県の認証を受けた。しかし、離脱に反対する神社本庁の請求を受け、文科省は18年、変更後の規則に財産処分に関する項目がないことは宗教法人法に関する規定を欠き、違法と判断、県の認証を取り消す裁決をした。 同小法廷は「宗教法人の規則は、財産処分に関する事項を定めた規定が存在しなくても、それだけで宗教法人法に違反するとはいえない」と指摘し、裁決を違法だと結論づけた。
2003年の衆院選前に共産党の機関紙を配ったとして、国家公務員法(政治的行為の制限)違反の罪に問われた元社会保険庁(現日本年金機構)職員・堀越明男被告(56)の控訴審で、東京高裁(中山隆夫裁判長)は29日、罰金10万円、執行猶予2年とした一審・東京地裁判決を破棄して無罪とする判決を言い渡した。 「国家公務員の政治的行為を制限した国家公務員法の規定は合憲」としながらも、休日に職務と関係なく党機関紙を配った行為に同法を適用して刑事罰を科すのは違憲だと判断した。 国家公務員が国公法違反の罪で起訴されたのは、社会党(当時)のポスターを掲示・配布した「猿払(さるふつ)事件」で郵便局職員を有罪(一、二審は無罪)とした74年の最高裁大法廷判決から初めてのケースだった。 06年の一審判決は、猿払事件の最高裁判決を踏襲して、堀越被告の行為を「政治的中立性を損なう恐れがある」と指摘し、国公法は合憲と判断
機械部品製造会社を退職した従業員が、競合する業種の会社を始め、元の勤務先の取引相手に営業し、受注した行為が不法行為にあたるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は25日、「自由競争の範囲を逸脱した違法なものとはいえない」との判断を示した。その上で、競合会社側に賠償を命じた2審名古屋高裁判決を破棄、元の勤務先側の訴えを退けた。 同小法廷は「競合会社側が元の勤務先での人間関係を利用することを超えて、元勤務先の秘密情報を使ったり、信用をおとしめたりするなどの不法な方法で、営業活動を行ったとは認められない」と指摘した。 1審名古屋地裁一宮支部は元の勤務先側の訴えを退けたが、2審は「競合行為を隠蔽(いんぺい)する工作を施した。過去の顧客情報を利用したことも、元の勤務先に気づかれないように工作した」などと判断、不法行為を認定した。 2審判決などによると、原告の機械部品
パナソニックプラズマディスプレイ(旧松下プラズマディスプレイ、大阪府茨木市)の工場で、違法な偽装請負状態で働かされていた吉岡力(つとむ)さん(35)が同社に雇用関係の確認などを求めた訴訟の上告審判決が18日、あった。最高裁第二小法廷(中川了滋裁判長)は吉岡さんとパナソニック側の間に直接の雇用関係を認めた二審・大阪高裁判決を破棄し、この点について吉岡さん側を敗訴させた。 二審判決によると、吉岡さんは2004年1月から「請負会社の社員」として働いていたが、05年5月に「実際は松下の社員の指揮命令のもとで働いており、違法な労働者派遣だ」と大阪労働局に偽装請負を内部告発。同労働局は違法状態にあると認定し、是正指導をした。吉岡さんは05年8月、期間工として直接雇用されたが、それまでと異なる業務を命じられたうえ、06年1月末には、期間満了を理由に職を失った。 二審判決は吉岡さんを雇っていた請負会社
卒業式の国歌斉唱で起立しなかったことを理由に、退職後に嘱託教員として雇用しなかったのは違法として、東京都立高の元教師が都に約484万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が15日、東京高裁であった。原田敏章裁判長は、元教師側の訴えを一部認め、都に211万円の支払いを命じた1審東京地裁判決を破棄、元教師側の請求を退けた。 1審判決では「不採用は裁量権の逸脱」と判断したのに対し、原田裁判長は「元教師が不起立で戒告処分を受けてから3年も経過していない嘱託教員の採用選考で、都が不採用としたことは合理性や相当性を欠いておらず、裁量権の逸脱とまではいえない」と指摘した。
控訴審判決で弁護団とともに大阪地裁に向かうウィニー開発者の金子勇被告(中)=8日午前9時45分、大阪市北区の大阪地方裁判所(甘利慈撮影) ファイル共有ソフト「Winny(ウィニー)」を開発・公開してゲームソフトなどの違法コピーを助けたとして、著作権法違反幇助(ほうじょ)罪に問われた元東大大学院助手、金子勇被告(39)の控訴審判決公判が8日、大阪高裁で開かれた。小倉正三裁判長は、罰金150万円(求刑懲役1年)とした1審京都地裁判決を破棄、金子被告に無罪を言い渡した。 ウィニーをはじめとするファイル共有ソフトを用いた著作権侵害は増え続けており、開発者の刑事責任を認めるかどうかが注目されていた。1、2審を通じた争点は、ウィニーの開発が著作権侵害目的だったかどうか、面識のない利用者の違法行為に対するソフト開発者の幇助罪が成立するかどうかの2点だった。
健康保険が使える保険診療と保険外の自由診療を併せて受ける「混合診療」を原則禁じた国の政策が適法かどうかが争われた訴訟の控訴審判決が29日、東京高裁であった。大谷禎男裁判長は「混合診療の禁止に法的な根拠はない」とした一審・東京地裁判決を取り消し、混合診療の禁止を適法として原告患者側の請求を退ける国側逆転勝訴の判決を言い渡した。 07年11月の一審判決は、混合診療を受けた場合に「一体化した医療行為」とみて保険が使えるはずの分も自己負担とする国の政策について、「健康保険法の誤った解釈だ」と判断。原告の患者には保険診療分は給付を受ける権利があると認め、国側敗訴の判決を言い渡した。国側はこれを不服として控訴していた。 訴えていたのは、神奈川県藤沢市の清郷伸人さん。がん治療のため、保険が適用されるインターフェロン療法に加え、適用外の診療を受診。全額負担を求められることから、国の政策は健康保険法に違
勤務の合間にたばこを吸う時間は「休憩時間」か「労働時間」か――。居酒屋チェーンの元店長が心臓病で倒れたのは過労による労災と認めた行政訴訟の判決で、大阪高裁は「喫煙時間は労働時間にあたる」との判断を示した。 原告は大手居酒屋チェーン元店長の男性(44)。大阪府枚方市の店舗に勤めていた01年3月、急性心筋梗塞(こう・そく)で倒れ、約3週間入院した。労災認定されなかったため、男性側は退職後の07年、「発症前1カ月の時間外労働が100時間以上」などとする国の過労死認定基準を超えて働いたと主張し、国を相手に認定を求めて提訴。一審は、男性が1日20〜40本のたばこを吸っていたとして、これらの時間を休憩時間とみて労働時間から差し引き、発症前1カ月の時間外労働は基準以下の78時間余りにとどまると判断した。 しかし、大阪高裁の渡辺安一裁判長は、8月25日の判決で、「店舗内で喫煙していたとしても、何かあれ
東京女子医大病院(東京都新宿区)で01年に起きた女児死亡事件の報道をめぐり、医療ミスをしたとする共同通信社の配信記事で名誉を傷つけられたとして、同病院にいた医師が同社と配信記事を掲載した地方新聞社3社に計約710万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は28日、一審・東京地裁判決の3社に賠償を命じた部分を取り消し、医師の請求をすべて棄却した。 配信記事を掲載したのは、上毛新聞社(前橋市)、静岡新聞社(静岡市)、秋田魁新報社(秋田市)の3社。訴訟では、通信社の配信記事について、加盟社の地方新聞社が損害賠償責任を負うかなどが争点となっていた。 都築弘裁判長は「加盟社は、共同通信が取材上求められる注意義務を果たしていると期待できる法的地位にある」と指摘。共同通信の記事に名誉棄損が成立しないのであれば、加盟社も賠償責任を負わないと結論づけた。一審判決は「一定の関係があるとはいえ共同通
自宅の使用をめぐってトラブルが起きていた不動産業者の従業員の胸を突いて、けがをさせたとして傷害罪に問われた広島市の女性被告(76)の上告審判決で、最高裁第一小法廷(宮川光治裁判長)は16日、有罪とした一、二審判決を破棄し、無罪を言い渡した。女性の財産的権利が侵害されており、正当防衛が成立すると判断した。 生命・身体への攻撃がなかったにもかかわらず、他人への暴行について正当防衛の成立が認められるのは異例だ。 判決によると、女性の自宅の所有権の一部を不動産業者が取得。その後、不動産業者が「立ち入り禁止」と書かれた看板を取り付けては、女性側が外すことが繰り返されていた。女性は06年12月、再び看板をつけようとした不動産業者の従業員を突いて、頭にけがをさせたとして傷害罪で起訴された。 判決は、業者が看板をつけようとしたことで、女性側の建物に関する権利や名誉が侵害されていて、これらの権利を守ろ
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