【バンコク=共同】タイ暫定政権は9日、中国新疆ウイグル自治区からタイに逃れてきたウイグル族約100人を中国に強制送還したと発表した。国際人権団体は迫害の恐れがあると非難、国際社会から強い反発が起こるのは必至だ。複数の関係者によると、ウイグル族を乗せた航空機
【バンコク=大野良祐】コメ輸出大国のタイで、政府が一昨年導入した事実上のコメ買い上げ制度が巨額の財政赤字を生んでいる可能性が高まっている。インラック首相が公約としていた制度だが、政府は赤字額を公表できず、野党などから批判が高まりつつある。 米格付け大手のムーディーズ・インベスターズ・サービスが最近、赤字額は最大2600億バーツ(約8500億円)に達し、タイの信用格付けに影響しかねないとの報告書を出した。政府は懸念を払拭(ふっしょく)するために今月7日、記者会見を開いたが、赤字額を公表できなかった。逆に「(損失は)もっとひどいのではないか」との臆測を呼んでいる。 この制度は、農家が生産したコメを担保に政府系機関の農業銀行から金を借りるという、融資のかたちの所得補償制度。借金を返さなければ担保のコメは戻らないが、それは政府が売るため、買い上げと変わらない。これまでも農家の収入を支える制度は
タイ人の女性(36)が長野県松本市のスナックから三重県内へ売り渡された人身売買事件は、被害女性が正規のビザと旅券で入国し、引き渡しに日本人が介在しないなど、長野県警がこれまで手掛けた事件で例がない手口が判明した。 松本署と県警生活環境課は、人身売買組織が摘発を逃れようとしたとみて、実態解明に向けて捜査を進めている。 ◆ブローカーが同行◆ 捜査関係者によると、被害女性が子供の養育費などを稼ぐため、バンコクのスワンナプーム国際空港から成田空港に着いたのは1月下旬。人身売買組織の引率ブローカー2人が常に同行し、成田からはバスで松本市にやって来た。 渡航費用などの名目で500万円の借金を背負わされた女性は、「ホステスとして働いてもらうが、売春はしなくてもいい」というブローカーの言葉を信じて来日した。しかし、松本に来て数日後、売春婦やホステスとして三重県志摩市の飲食店経営者に200万円で売り渡された
「医療の邪魔をしないで」と集会で訴える看護師ら=3日、バンコクのチュラロンコン大付属病院、古田写す 【バンコク=古田大輔】タイの首都バンコク中心部を占拠するタクシン元首相派に対し、医療関係者から批判の声が上がっている。病院への乱入や道路封鎖で救急活動が妨害されているためだ。政府との間に解決に向けた対話の機運は生まれているが、占拠地のバリケードは今も築かれたままだ。 「占拠地を開放して。私たちが患者を治す場所を返して」。3日、チュラロンコン大付属病院で開かれた集会には、千人を超える医師や看護師らが集まった。 4月30日、元首相派の占拠地に隣接する同病院に「治安部隊の待機所になっている」として元首相派十数人が乱入し、病院は閉鎖された。看護師のニサさん(26)は「平和なデモと言うが、私たちと患者には脅威だ」と憤る。 騒乱の影響は、占拠地周辺の病院にとどまらない。バンコク都内の救急要請を一
バンコクの中心部をタクシン元首相の支持派が占拠して1カ月半、タイの政治危機に打開の糸口は見えない。タクシン氏を失脚させた3年半前の軍事クーデター以降、国内の対立は深まるばかりだ。その裏にあるのは、この国特有の二重構造であり、その矛盾に気付いた貧困層や地方住民の政治的覚醒(かくせい)である。 イサーンと呼ばれるタイ東北部のある寒村に正義感に燃える若い教師が赴任する。木材を不法伐採する地元の顔役に教師は敢然と立ち向かうが、1発の凶弾に倒れる。こんな内容の映画「田舎の教師」が公開されたのは1979年のことだ。タイで大評判になり日本でも紹介され、筆者も見た。静かな語り口の中に社会の不正への怒りをにじませた秀作だった。 監督のスラシー氏はこの作品を再映画化し、今年1月に公開された。「抑圧、不平等…。地方の人々が直面する問題はこの31年、変わっていない。現実はむしろ悪くなっている」。再映画化の意義を監
バンコクで18日、フェースブックなどを通じて集まり、政治状況の安定を訴える人びと=AP 【バンコク=山本大輔】政府とタクシン元首相派の対立が続くタイで、元首相派の「赤シャツ」と反タクシン派の「黄色シャツ」のどちらでもない「多色シャツ」と呼ばれる新たな集団が首都バンコクで関心を集めている。インターネットで声を掛け合って集まった人が多く、タイ政治状況の正常化を願う草の根運動の芽生え、と期待する声も出てきた。 この集団は自らを「国家を守る市民」と呼び、バンコク内で連日場所を変えながら数百人から数千人の人を集めてデモを展開。シャツの色を統一することなく、国旗を振って「タイ人に決まった色はない」などと訴えている。 参加者にはタクシン派政権時代に黄色シャツを着て、空港占拠などの過激な行動を繰り返した「民主主義市民連合」(PAD)のメンバーも交じり、多数の死傷者が出た今月10日の騒乱後に政府を支持
【シンガポール=宮野弘之】インドシナ半島を流れるメコン川の水位が現在、ほぼ20年ぶりの低さまで下がり、流域のタイ、ラオス、ベトナムで農作物に被害が出たほか、船を使った人や物の輸送も滞り、地域経済にも深刻な影響を及ぼしている。タイでは地域住民が、メコン川上流に中国が新たに建設したダムが原因として反発を強めている。中国政府はダムの影響を否定しているが、4、5月は例年、メコン川の水位が最も下がる時期のため、放置すれば住民の不満がさらに高まるのは確実だ。 メコン流域各国で構成するメコン会議(MRC)が2月末に発表した資料などによると、メコン川の現在の水位は大渇水となった1992年に並ぶ低さとなった。タイ北部チェンライ県では通常、海抜2・2メートルある水位が2月には33センチまで減少した。原因については、昨年からの降雨量が例年の半分以下だったことなどをあげている。この結果、各地で船による人や物資の輸
【バンコク=山本大輔】タイ政府は28日、ラオス政府による「迫害」を訴えてタイ北部に流入し、収容キャンプで暮らしていた4千人以上の少数民族モンの強制送還を始めた。年内に全員を送り返す方針だが、欧米諸国や人権団体は「非人道的措置」と厳しく批判している。 タイ政府によると、約5千人の兵士を動員し、タイ北部ペチャブン県にあるキャンプから軍用トラックで陸軍施設へ移送。その後、400台のバスでラオス国境へ向かうという。全員を送還するには数日かかる見通しだ。 モン族はベトナム戦争時に米国に協力してラオスの共産主義勢力と戦い、1975年にラオスに共産政権が発足すると弾圧の対象となった。多くは国外に逃れたが、一部は山間部で抗戦を継続。政府軍の攻勢が強まったことで2004年以降、タイに相次いで集団流入したとされる。 タイ政府はモン族をキャンプに収容し、ラオス政府と協議。経済的な困窮で流入した「経済難民」
タイの「難民キャンプ」から8月下旬にラオスへ送還されたブアセン・リーさん(手前)=ラオス中部トンナミ村、山本写す 【バンコク=山本大輔】ラオス政府による「迫害」を訴えて04年以降、タイ北部に大量流入した少数民族モンの処遇をめぐり、両国の国防相が11日、キャンプにいる全員を年内に強制送還することで合意した。欧米諸国などは「難民」として保護するよう求めてきたが、両国は「不法入国者」との位置づけを変えなかった。人権団体などは送還後の弾圧を懸念しており、両国への批判が強まりそうだ。 合意文書によると、対象はタイ北部ペチャブン県フアイナムカオ村のキャンプにいる4700人。タイ政府は06年以降、17回にわたり3095人を送還しており、今回の合意で合わせて8千人近くが送還されることになる。再越境を防ぐ手段を共同で講じることでも一致した。 ベトナム戦争時に米国に協力してラオスの共産主義勢力と戦ったモ
「日本でメードとして働いてみたいな」 タイの最高学府、チュラロンコン大学2年のノイさん(19)の言葉に思わずのけぞった。だが、日本のオタクの聖地とされる東京・秋葉原名物のメード喫茶のことだとわかり、ホッとした。とはいえ、メード喫茶の仕事が普通のアルバイトと思われていることに違和感を覚えた。 タイでは日本のポップカルチャーが浸透している。特に、アニメや漫画、ファッションへの一部若年層の傾倒は顕著。日本と同様、オタク化も進んでいる。専門雑誌があふれ、メード喫茶もオープン。コスプレ大会が開かれ、人気歌手グループの歌と踊り、衣装をアレンジで披露する「カバーダンス」なるタイ独自のイベントも盛んだ。 このような現状を見越してか、日本外務省は、日本のポップカルチャーのイメージ向上を目的とした「カワイイ大使」(正式名称「ポップカルチャー発信使」)を任命し、初仕事の舞台にタイを選んだ。「女子高生制服風ファッ
【シンガポール=宮野弘之】タイのアピシット首相は12日、テレビを通じ、タクシン元首相派のデモ隊によって、11日のパタヤでの東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議が中止に追い込まれた事件を受け、これ以上の混乱を避けるため、首都バンコクとその周辺に非常事態を宣言した。同日夕、バンコク市内の各所に軍の装甲車が展開した。軍スポークスマンはAP通信に対し、「軍が展開したのはクーデターではなく、秩序を回復するためだ」と説明した。 これに先立ち、タイ警察は12日、デモを呼びかけたタクシン派の市民団体「反独裁民主戦線」の幹部を扇動罪などで逮捕した。民主戦線側は、直ちに釈放するよう要求。受け入れられなければ、タイ全土に抗議行動を拡大するとしていた。 アピシット首相は12日のテレビ演説で、「政府は暴力行為を避けるために努力してきたが、反対派は抗議行動を拡大し、違法行為を働いている」として、事態の沈静化
10日からタイ中部のリゾート地パタヤで開かれている東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の会議の主会場に11日、タイのアピシット政権退陣を求めるタクシン元首相派約1000人が乱入した。議長国のタイ政府は、麻生太郎首相らが出席を予定していたASEANプラス3(日中韓)首脳会議、東アジアサミットなど同日午後以降の会議を全面中止とし、2、3カ月後に延期すると発表した。 アピシット首相はパタヤ市と、隣接のチョンブリ県に非常事態を宣言。ASEAN会議がデモで中止となるのは前代未聞の事態。ASEANプラス3などの首脳会議は、首都空港占拠などの政情混乱で昨年12月から延期されており、度重なるタイの「失態」に、加盟国から議長国返上を求める動きも出そうだ。タイ政府筋によると、混乱を受け、ASEAN各国首脳はパタヤから避難した。(共同)
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