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スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

2号機、核燃料が炉外漏出か(英紙ガーディアン)

2011-03-30 22:49:20 | コラム
イギリス・ガーディアン紙によると、2号機の燃料棒の溶融した一部が漏出しているという可能性があるとのこと。日本の原子力安全・保安院はこの可能性までは言及してこなかったが、スウェーデンの放射線安全庁はすでに先週金曜日(3月25日)の段階で、その可能性が十分にありうるとの見解を述べていた。

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福島2号、核燃料が炉外漏出か 英紙で専門家指摘

 29日の英紙ガーディアン(電子版)は、福島第1原発2号機で、核燃料の一部が溶融して原子炉格納容器の底から漏れ出しているとみられると、複数の専門家が指摘しているとし、現地での大量の放射線放出の恐れが高まっていると報じた。

 2号機では建屋内で高い放射線量のたまり水が見つかった。原子力安全委員会は原子炉圧力容器が破損した可能性があり、溶融した燃料と接触した外側の格納容器内の水が直接流出したとの見方で、燃料自体の漏出までは言及していない。

 同紙によると、福島原発の原子炉を開発した米ゼネラル・エレクトリック(GE)社で福島原発建設時に同型炉の安全性の研究責任者を務めた専門家は、少なくとも溶融した燃料が圧力容器から「溶岩のように」漏れ、格納容器の底にたまっているようだと説明。

 その上で同紙は格納容器も爆発で破損し、核燃料が容器外に出ている可能性を示唆した。(共同)
2011/03/30 18:42 【共同通信】

イギリス・ガーディアン紙原文 "Japan may have lost race to save nuclear reactor"

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もう一つは、読んでとても悲しかった記事。

朝日新聞 2011年3月29日5時30分
福島の野菜農家が自殺 摂取制限指示に「もうだめだ」

 福島県須賀川市で24日朝、野菜農家の男性(64)が自宅の敷地内で首をつり、自ら命を絶った。福島第一原発の事故の影響で、政府が一部の福島県産野菜について「摂取制限」の指示を出した翌日だった。震災の被害に落胆しながらも、育てたキャベツの出荷に意欲をみせていたという男性。遺族は「原発に殺された」と悔しさを募らせる。

 自宅は地震で母屋や納屋が壊れた。ただ、畑の約7500株のキャベツは無事で、試食も済ませ、収穫直前だった。遺族によると、男性は21日にホウレンソウなどの出荷停止措置がとられた後も「様子をみてキャベツは少しずつでも出荷しないと」と話し、納屋の修理などに取り組んでいた。

 23日にキャベツの摂取制限指示が出ると、男性はむせるようなしぐさを繰り返した。「福島の野菜はもうだめだ」。男性の次男(35)は、男性のそんなつぶやきを覚えている。「今まで精魂込めて積み上げてきたものを失ったような気持ちになったのだろう」

 男性は30年以上前から有機栽培にこだわり、自作の腐葉土などで土壌改良を重ねてきた。キャベツは10年近くかけて種のまき方などを工夫し、この地域では育てられなかった高品質の種類の生産にも成功。農協でも人気が高く、地元の小学校の給食に使うキャベツも一手に引き受けていた。「子どもたちが食べるものなのだから、気をつけて作らないと」。そう言って、安全な野菜づくりを誇りにしていたという。

 遺書はなかったが、作業日誌は23日までつけてあった。長女(41)は「こんな状態がいつまで続くのか。これからどうなるのか。農家はみんな不安に思っている。もう父のような犠牲者を出さないでほしい」と訴える。(西堀岳路)

ス放射線安全庁による渡航自粛令の緩和とヨウ素剤の服用奨励の取り消し

2011-03-29 23:40:06 | コラム
スウェーデン放射線安全庁は、29日(火)朝にそれまで発令していた日本への渡航自粛令ヨウ素錠剤の服用の奨励を少し緩和した。具体的には次の3点。

(1) これまで発令されていた「日本へのすべての渡航の自粛」を「日本への必要ではない渡航の自粛」へと切り替えた。(つまり、今どうしても日本に行かなければならない、という場合を除いて、日本へは行かないように、ということ)

(2) 「福島原発から250km圏内(東京を含む)にいるスウェーデン人(40歳以下)はヨウ素錠剤を服用するように」という呼びかけを変更し、「服用する必要はなくなった」とした。

(3) 「福島原発から80km圏内からの退避」は今後も継続。


スウェーデン放射線安全庁は「原発の状況はいまだに深刻だ」としながらも「すこし安定しており、大規模な放射性物質の放出の可能性は以前と比べれば小さくなったと判断した」と説明している。

ヨウ素錠剤を服用しなくてもよい、としたことについては、原子炉が自動停止した3月11日までに原子炉内で生み出された放射性ヨウ素(I-131)は、それから16日以上が経ち半減期が2回過ぎたため、放射線の量も4分の1以下に減っているからだ、と述べている。
(注:ヨウ素I-131の半減期は8日であるため、たとえば放射線の量が当初100ベクレルであったとすれば、8日目には50ベクレルに減り、16日目には25ベクレルになっている。この放射線安全庁の説明から判断するに、放射性ヨウ素が発生するのは原子炉の運転中のみで停止後は発生しない、ということのようだ。)

ただし、今後事態が急激に悪化することもありうるので、日本の行政機関からの情報を常にチェックするようにと呼びかけている。また、放射性物質が大気中に大量に放出される事態が発生すれば、東京のスウェーデン大使館に連絡先を登録しているスウェーデン人の携帯電話にはSMS(携帯メール)が発信され、すぐに通知されるから、その際には屋内に退避するように呼びかけている。

原発の安全性をどの省が監督するべきか?

2011-03-28 01:24:00 | コラム
日本の原子力発電施設の安全を監督したり活動を規制する原子力安全・保安院(Nuclear and Industrial Safety Agency, NISA)という組織が、経済産業省の所轄下にあることは、大きく批判されている。国策として原発推進を掲げる経済産業省のもとで果たして公正で客観的な安全監督が行えるのか?という疑問はもっともだ。実際、原発推進に都合の悪い事実は隠したり、表現を丸く改める(原子炉の「設計ミス」を「溶接ミス」としたり)ような体質があるという。また、電力会社の高級ポストが経済産業省の天下り先となり、持ちつ持たれつの関係が出来上がっているようだ。例えばこのサイト

原子力安全・保安院が、仮に第三者の観点からきちんとした安全監督や活動規制が行えたとしても、経済産業省とのそのような組織関係を持っていたのでは外部からは常に疑いの目で見られざるを得ない。

だから、電力業界との利益関係から独立した原子力安全監督機関が作られるべきだし、今までそれが放置されてきたことはとても不思議だ。一応、内閣府の中に原子力安全委員会という別組織があり、原子力施設の安全管理については原子力安全・保安院とともにダブルチェックを行うことになっているようだ。しかし、審議会程度の組織であり、経済産業省や原子力安全・保安院に対してどれだけ発言力を持っていたのだろうか? (東海村の臨界事故や東京電力のデータ改ざんなどの不祥事を受けて、組織の強化がなされたというが。)そもそも、今回の事件においてほとんど存在感がない気がする(HPを見ると皆勤賞であることは分かるのだが・・・)。

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では、スウェーデンではどのようになっているかと思い、少し調べてみた。日本の原子力安全・保安院に相当するスウェーデンの行政機関は放射線安全庁(Strålsäkerhetsmyndigheten)である。このブログでも過去2週間ほどに何度か登場した。日本で起きている福島原発の動向をスウェーデンにおいて刻々と追っているのがこの機関であり、メディアでも何度も状況の解説をしたりコメントを述べたりしてきた。

さて、この放射線安全庁はスウェーデンのどの省の管轄下にあるかというと、環境省である。人間を含む動植物や生態系を放射線から守ることは環境政策の一つという位置づけからであろう。よって、原子力産業とも産業省とも一線を画しているため、客観的な立場からの監督は行いやすい。そして、実際にも、その客観性・中立性はちゃんと機能しているようだ。

福島原発が危機的な状況になっていく中、テレビやラジオ、新聞などのスウェーデンのメディアでは大学や研究機関の研究者がコメンテーターとして招かれ、危機的な状況の解説や原発の安全性、放射能汚染の拡大などについて様々な解説を行っていたが、よく調べてみるとそれらの研究者の大部分が電力・原子力業界から研究資金を拠出してもらっており、「中立的な専門家コメント」と呼べるかどうか疑わしいケースも多かった。彼らをコメンテーターとして招いたメディア側も、放送の中や紙面上においてその人物が業界側から研究資金を得ていることにきちんと言及していれば、視聴者や読者は自分の頭で彼らのコメントの信憑性を判断することができただろうが、それをきちんと伝えないケースもあったことが問題視されている。

そんな議論がいまスウェーデンであることを念頭に置きながら、話を進めたい。メディアにコメンテーターとして招かれた人の中には、大学・研究機関の研究者だけでなく、行政機関である放射線安全庁の専門家もいた。今週末、スウェーデン・ラジオ(公共放送)のある真面目な番組は、メディア上で取り上げられた大学・研究機関の研究者のコメント放射線安全庁の専門家のコメントを比較調査し、それを発表していた。それによると、研究者のコメントは福島原発の現状や原発そのものの安全性を楽観視する傾向にあったのに対し、放射線安全庁の専門家のコメントは慎重であり、根拠とできる情報が手元になければ「分からない」ときちんと述べたり、原発の安全性に対しても厳しい発言をしたりと、違いがあったという。

これはあくまで一例に過ぎないが、原子力の安全性を監督するこの放射線安全庁環境省に属していることを評価できる、一つの材料になりそうだ。

ちなみに、放射線安全庁は、スウェーデン語ではStrålsäkerhetsmyndigheten、英語名はSwedish Radiation Safety Authorityである。StrålとはStrålning(光線・電波・電磁波)の略であり、säkerhet安全性を意味していることからも分かるように、この行政機関が監督しているのは、原発から出る放射線に対する安全性だけではない。医療機関で用いられる放射線の安全性や、自然界に存在するラドンなどの放射性物質のほか、太陽の紫外線が人体に与える影響や、携帯の電磁波、レーザー光、マグネットカメラなどの医療機器などに対する安全性についても監督対象としている。


放射線安全庁のホームページ

福島原発に関する報道(3.25)

2011-03-25 10:50:57 | コラム
スウェーデンでの3月25日(金)朝のニュース

以下は、SR、DN、SVTの報道をまとめたもの
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東京電力は、3号機の炉心の圧力容器が損傷した可能性があると発表した。3号機ではプルトニウムを含む燃料が用いられており、これまでの修復作業においても懸念が大きかった。圧力容器の損傷は、周囲への深刻な放射能漏れを意味することになるかもしれない。

この情報に対し、原子力安全保安院は「容器が損傷したという理解を裏付ける情報は得られていない」とコメントしたという。

日本政府は、福島第一原発から30キロ以内に住む住民に対し、屋内での待機ではなく圏外への退避を呼びかけた。原発から北西30キロの地点で、年間の通常の放射線量を上回る放射線が検出されたと、政府は発表している。政府は住民が自発的に圏外へ退避してくれることを期待しているが、いずれ退避命令に切り替えられる可能性も否定できないとしている。

日本の当局によると、東京で栽培された野菜からも基準値を上回る放射能が検出されたという。検出されたのは小松菜からであり、1キロ当たり890ベクレルのセシウムが検出された。国が定める基準は500ベクレルである。

日本の原子力安全保安院は、今回の事故の深刻度のINESスケールによる分類について「レベル5からレベル6に引き上げる可能性も、今の時点ではまだ捨て去ることはできない」と発言している。

東京から中国東部へ飛行機で入国した2人の乗客が、到着後に現地の病院へ運ばれた。中国当局は、「基準を大きく上回る放射線が検出されたため」としている。
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この「3号機の炉心の圧力容器が損傷」について、私は水素爆発などで圧力容器がダメージを受けたことを言っているのかと思っていたが、下の記事を見るとどうやらそれだけでなく、溶けた燃料棒が圧力容器の底に溜まって高熱を放っており、それが圧力容器の底を突き破った(かもしれない)ことを言っているようだ。これが本当であれば、大規模なメルトダウン(炉心溶融)に発展する可能性もある。

下の記事はSvDのもの
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原子力安全保安院によると、3号機の炉心の圧力容器が損傷を受けた可能性があるが、これまでに集められたデータからはそれを裏付けることができない、と述べている。原子力安全保安院はさらに、原発内の配管や換気システム、使用済み燃料の貯蔵プールなどの他の箇所も損傷した恐れがある、と述べている。

スウェーデン放射線安全庁の専門家はこう見解を示している。
「既に燃料棒の一部が溶融していることは分かっている。圧力容器内に水を半分近くまで注ぎ込んでいるのに、容器の底の温度が高止まりしているからだ。つまり、溶けた燃料棒が底に溜まっているということだ。」

しかし彼によると、現時点で発表されているデータを見る限りでは、溶けた燃料棒が圧力容器の底を高温によって突き破ったことを示すデータは見当たらない、という。

「しかし、それが本当に起きていても、データに現れるまでには時間がかかる」と彼は付け加えている。「つまり、燃料棒が大きな損傷を受けているため圧力容器までも損傷を受けた可能性はあるが、それがまだ実証できたわけではない、ということだ。」

圧力容器が損傷を受けた場合、それを覆っている格納容器が重要になってくるという。
「3号機の格納容器については、3月24日に日本政府は『損傷なし』と発表している。」
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なお、圧力容器格納容器については、朝日新聞の次の図解を参照のこと。


またスウェーデンのメディアの略称は
SVTとはスウェーデン・テレビ(公共放送)
SRとはスウェーデン・ラジオ(公共放送)
DNとは日刊紙ダーゲンス・ニューヘーテル
SvDとは日刊紙スヴェンスカ・ダーグブラーデット

福島原発に関する報道(続き)

2011-03-23 20:37:43 | コラム
地震・津波による被災や福島原発に関するニュースはスウェーデンでも下火になり、いまはリビア情勢が新聞の第一面で報じられている。しかし、福島原発の状況は安定化に向かっているとはいえ、いまだ予断を許さない状況だ。

地震の発生からこれまでを振り返ってみると、まず「原子炉が自動停止した」というニュースに続いて「冷却装置が機能しない」となり、「予備の電源装置が動かない」「炉心の温度上昇」「海水を原子炉に入れざるを得ない」「水素爆発」「部分的炉心溶融の発生」と事態が目まぐるしく展開していった。そして、海水注入が始まった頃からさらに新たな問題が発生。「使用済み燃料の貯蔵プールの水が減少、温度が上昇している」という。そしてこれ以降は原子炉の格納容器内の状況はあまり伝えられなくなり、3・4号機の貯蔵プールに焦点が絞られるようになった。「ヘリで海水投下」がダメで「警視庁の放水車」もダメで「航空自衛隊の消防車」そして「東京消防庁の消防車」が一定の効果を発揮したという。この頃には同時に5・6号機の貯蔵プールの水温も上昇しているというニュースが入ってきていた。そして、電源車の設置電線の接続の話が続き、そして、いまや通電冷却装置の再起動の試みなどの話題が続いている。

こうして振り返ってみると、様々な箇所の問題が深刻になるたびに東京電力や政府がその問題を公表し、メディアのスポットライトが次から次へと移動していき、人々の関心もそれに踊らされていたのではないかと思う。福島原発をめぐる潜在的な問題の全体像が最初の時点で明らかにされるのではなく、情報の小出し小出しで、気づいてみればこんなに深刻な問題だったのか、ということを国民は知るようになった。

ただ、「最初の時点では潜在的な問題がどこにあるか分からなかった」という反論もあろう。しかし、こうやってスポットライトが次々と移動していくことのもう一つの問題は、スポットライトが一度過ぎ去ってしまった部分の情報が十分に伝わってこない、ということだと思う。例えば、先週の木曜日から土曜日にかけて、ヘリや放水車・消防車で3号機や4号機の貯蔵プールに対して放水が試みられていた頃、当初の問題であった1号機・2号機・3号機の格納容器やその中の炉心の状況については、日本のメディア報道を見ていてもほとんど分からなかった。海水を注入するといっていたが、容器内が高圧になるなか本当にうまく行っているのか? とか、部分的な炉心溶融が起きたとされる原子炉ではそれがさらに進んでいるのか?といった疑問に対する答えは日本の主要メディアからは手に入らなかった。

いまでこそ通電が一部ではうまく行き、またコンクリートポンプ車で4号機への注水が行われるなど、明るいニュースも多くなっており、状況は確かに少しずつ改善しているのかもしれないが、一方で、では1号機・2号機・3号機の炉心の状態はどうなのか? そして、これまでほとんど焦点が当てられてこなかった1号機・2号機の貯蔵プールの状態はどうなのか?を調べてみると、状況はいまだ大部分が「不明」とか「冷却できず」とのことだ。燃料棒の3分の1から半分が水を被らずまだ露出しているようだし、貯蔵プールもうまくコントロールできていないようだ。2号機と3号機から上がる白煙や黒煙の原因も不明なままだ。

事態がもっと落ち着いたら、報道のあり方やそれこそ記者クラブのあり方など、メディア全般に関する改革に向けた議論が起こって欲しいものだ。


図の出典


以下は、今週月曜日からのスウェーデンのニュース(日本でのニュースと同じものは省きます)


<3月23日 水曜日>

○ 東京の水道水から検出された放射性ヨウ素の濃度は1キロ当たり210ベクレル。日本政府が定める水道水中の放射性ヨウ素(131)の上限は1キロ当たり300ベクレルであり、乳児には100ベクレルである。EUが定める基準もほぼ同じである。スウェーデン放射線安全庁の担当者は「これらの基準はずいぶん余裕を持って低めに設定されている。よって、この基準値内であれば健康に影響を及ぼすことはない」と答えている。

○ スウェーデン食品庁は各自治体に対し、3月11日以降に日本で生産され、スウェーデンに輸入された食料品の放射線の検査を行うように命じた

○ 福島原発から放出された放射性物質は今週はじめ頃にスウェーデンに到達すると見られ、ストックホルム上空でも観測が行われたが、大気中の放射性物質の濃度上昇は確認されなかった。

○ 東京の大使館を閉鎖し、館員を国外に退去させたか、大使館機能を関西に移動させた国はフィンランド、ドイツ、スイスなどこれまで25カ国にのぼる。しかし、スウェーデンは東京の大使館を閉鎖し移動させる予定は今のところないという。

○ ノルウェーは東京の大使館を閉鎖し、神戸にある領事館に職員を移動させると発表した。ノルウェー政府は、先週末以降、ノルウェー国民に対し東北や関東地方から退避するように呼びかけている。大使館機能の神戸への移動の理由として、「東京で今後、もしも事態が深刻になり、ノルウェー国民に対して退去支援などの対応が必要になった場合に、大使館員の退去に追われて自国民への対応に手が回らないという事態にならないよう、今から事前に行動しておきたいから」と説明している。


<3月21日 月曜日>

○ 3号機の炉心格納容器内の圧力が高まっているため、作業員は内部のガスを放出させ、圧力を下げることを検討しているが、スウェーデン放射線安全庁の専門家は「これは非常に憂慮すべき事態だ。放射性物質のさらなる放出につながるためだ」と述べている。「福島原発の原子炉には放射性物質を除去するためのフィルターが取り付けられていないため、格納容器内のガスがそのまま大気中に放出することになる」と述べている。

(私のメモ: 格納容器の圧力弁を開いて内部のガスを放出させる作業は、先週も1号機や2号機で行われたと思うが、この際にもスウェーデン放射線安全庁の別の専門家が「多くの国では当然のように取り付けられているフィルターが、この福島の原発には取り付けられていないことが分かり、驚愕している。もしフィルターがあれば、原子炉内部からの放射性物質の放出がもっと抑えられていただろうに」と答えていた。この点については、日本のメディアでは取り上げられていないようだが、重要なことのように思う。)

(私のメモ2:さらにこの3号機の圧力低減のためのガス放出については、スウェーデンのメディアは「圧力弁を開く」とは書かず、「格納容器上部に穴を開けてガスを放出させる」ことを作業員は検討していると書いていた。日本の新聞では、私の知る限り、通常の圧力弁を開くと伝えていた。どちらが正しいのだろうか?)

○ 日本の原子力安全保安院は、福島原発で作業を続ける作業員が放射線を帯びたホコリを吸い込み内部被曝する可能性を認めたが「そういうことが既に起きたという兆候はまだ現れていない」とも述べた。

(私のメモ:ただ、元原発作業員の人の、例えばこのサイトの情報によると、通常の原発の作業でもホコリを吸い込むことで内部被曝するケースは一般的であるようだから、果たして今の厳しい状況の中で「そういうことはまだ起きてはいない」などと簡単に言えるのだろうか? 何を根拠に言っているのだろうか?)

スウェーデンでの募金活動

2011-03-22 00:56:41 | コラム
日本の震災の被災者を支援するための募金活動

○ ストックホルムにて(日曜日)
動画TV4(最初に45秒ほどCMがあり、その後にニュースが始まるが、その8:10地点あたりから)

○ ヨーテボリにて(土曜日)
Goteborg for Japan


○ ストックホルムで週末に開かれたコンサートの案内


スウェーデン・ラジオのサイト

原発に関するスウェーデンでの報道(原発周囲80kmからの退避を勧告)

2011-03-17 02:27:07 | コラム
先週金曜日の地震発生以降、NHKのニュースをリアルタイムで見てきたし、日経新聞・朝日新聞のサイトを中心に新聞の報道も追ってきた。これらの報道自体はきちんとしたものであることは間違いないと思うが、一方でその報道が基づいている政府や東京電力の発表がどこまで信憑性に足るものかどうかは疑問に感じる。もちろん、無用な不安感を与えたくないという配慮から情報によっては控えめな伝え方をしている部分もあるだろうし、その配慮を私が批判するつもりはない。しかし、その反面として原発の事態が深刻になるにつれて、それまで持っていた情報を後手後手で少しずつ公表することに終始しているという感は否めない。

これに対して、スウェーデンをはじめとする海外のメディアは日本の世論に対するそのような配慮はないだろうから、知ったことはすぐ伝えるし、専門家の見方も様々な角度から伝えようとしている。ただしその他方で、むしろ大袈裟な表現を使ってニュース性を意図的に高めようとする傾向もあるだろうし、彼らが伝える東京や日本からの外国人の退避も具体的な脅威が原因というよりも、漠然とした不安や日本語が分からず現地生活における情報収集に困難を伴うからといった理由もあるだろう。

私自身の考えるところでは、この原発の損傷は日本のメディアが伝えてきた以上に相当に深刻な問題ではないかと思う。自分の頭で状況を判断する上で、やはり危険だと思うのは一つの情報源に頼ることだと思うので、判断材料の一つになればとの願いからスウェーデンにおける報道を逐次更新していきたいと思う。

以下、時系列的(下に行くほど以前)にスウェーデンで伝えられる情報をアップデートしていきます。原発に関するものに絞ります。
SVTとはスウェーデン・テレビ(公共放送)
SRとはスウェーデン・ラジオ(公共放送)
DNとは日刊紙ダーゲンス・ニューヘーテル
SvDとは日刊紙スヴェンスカ・ダーグブラーデット


3月20日付のスウェーデンの新聞などでよく使われた写真


<3月20日・日本時間>

09:34(日本時間17.34)DN
最も大きな被害を受けた3号機の格納容器内の圧力が高まっており、作業員は日曜日中に内部のガスを放出することを検討している。日本の原子力安全保安院によると、冷却作業が続けられているにもかかわらず、圧力の上昇が続いているという。
そのため、容器内のガスを水に通した上で外部に放出する手を打とうとしている。水に通すのはガス中に含まれる放射性物質を除去するためである。この手が難しいのであれば、ガスを直接外部へ放出するしかないが、この場合は100倍以上高い濃度の放射性ヨウ素が放出されると考えられる。いずれの道をとるにしろ、その場合にはガス放出に先駆けて、周辺で放水・注水作業に当たっている作業員をまず退避させる必要がある。

09:12(日本時間17.12)SR, SVT
台湾政府は日本から輸出される食料品の放射能検査を行っているが、日本の南部から輸出された豆で放射能が検出された。この豆は鹿児島産だが、東京の飛行場からの輸出の際に放射性物質に触れた可能性がある。ただし、放射能の量は台湾政府が定める基準を大きく下回るものである。汚染された食品が日本の外で見つかったのは初めてのこと。

07:37(日本時間15.37)SvD
日曜日の午前中も3号機と4号機を対象とした消防車による放水活動が続けられている。
東京電力によると、2号機の冷却装置の復旧作業は難航しており、当初予定していた本日中の復旧は難しいという。その理由は、放水活動と同時進行で電流を流し始めることができないためである。
電流を流し始めた後は、まず冷却ポンプや関連設備の動作点検が行われる。IAEAによると、地震や津波で損傷した可能性が高く、再起動できるかどうかについては疑問点が多いという。
状況が深刻だった3号機は「若干安定している」と日本政府は報告した。5号機と6号機の貯蔵プールの水温は、ディーゼル発電機による冷却システムの再開によって減少を始めている。

02:00(日本時間10.00)SR
夜の間、一時中断されていた放水活動が再開された。使用されている特殊消防車は遠隔操作が可能である。放射能にさらされる人員を極力少なくするためである。
現地時間の午前中の段階では、原子炉の通常の冷却システムを起動できるかどうかは分かっていない。

19:50(日本時間03.50)SR, SVT
スウェーデン放射線安全庁は、福島原発から250km以内にいるスウェーデン人に対し、予防的措置としてヨウ素錠剤を服用することを推奨している。250km圏内には東京も含まれる。放射線安全庁は、風向き次第では放射性物質の降下が広範囲に及ぶ恐れがあると判断したため、と説明している。ヨウ素錠剤は東京のスウェーデン大使館で現地時間の日曜日朝から入手可能となる。

17.00(日本時間01.00)SR
福島第一原発の状況は少し良い方向に向かいつつある。原子炉の一つへの電線接続に成功したからだ。しかし、地震や津波のために冷却装置が作動するかは明らかではなく、電線の接続が直ちに冷却作業を推し進めるわけではない。ガスが発生していれば電流が流れて火花が散り、発火・爆発を起こす可能性もあるため、慎重な作業が必要となり時間もかかる。すべてがうまく行けば明日中に冷却機能が回復することになるが、当面は消防車による注水作業が続けられる。

<3月19日・日本時間>


19日の日刊紙で大きく取り上げられた写真

13.14(日本時間21.14)SR
IAEAは日本政府が福島周辺地域で生産された食品の販売をすべて中止したという。しかし、日本政府から同じ情報が得られたわけではない。

12.41(日本時間20.41)DN
放射性ヨウ素が東京や群馬・栃木・埼玉・千葉・新潟の地域の水道水から発見された、と日本政府は伝えた。栃木や群馬ではセシウムも検出された。しかし濃度は非常に低く、キロあたり0.5~2.5ベクレルだった。日本では、水道水中に含まれる放射性ヨウ素とセシウムの濃度の上限は、それぞれ300ベクレルと200ベクレルに設定されている。日本の水道水で放射性物質が検出されたのは1990年に測定が始められてから初めてのことである。

12.22(日本時間20.22)SR
共同通信によると、東京の上水道で放射性ヨウ素が検出された。

10.52(日本時間18.52)SR
2号機に電源が接続された。冷却システムの普及作業が続けられている。問題がなければ早くとも明日には電流が流され始める。

10.26(日本時間18.26)SR
福島原発の状況は徐々によい方向に向かっているが、まだ予断が許されない状況である。原子炉に海水が注入された1号機と3号機は安定している。菅首相のツイッターによると、4号機の貯蔵プールの冷却の準備も続けられているという。

09.17(日本時間17.17)SR
推奨される基準を上回る放射線が、福島原発から30km離れた農場のホウレン草と牛乳から検出された。放射性物質が原発から放出されたことによって食料が汚染されたという報告はこれが始めてである。ただし、日本の当局によると「直ちに健康を脅かすレベルではない」という。

09.13(日本時間17.13)SR
電力供給の試みが続けられている。うまく行けば、今日中に4基、明日中に2基に電力供給が行われる見込みだ。
防衛相によると、注水・放水作業は今後は昼夜を問わず行っていく予定だという。

08.30(日本時間16.30)DN
ホウレン草と牛乳から放射性物質が検出されたことに関して、IAEAは日本政府が水曜日の段階で一般の人々にヨウ素錠剤を服用するよう奨励したことを確認した、と伝えた。

06.01(日本時間14.01)SR
東京電力によると、1号機と2号機には日曜日までに電線を接続できるように努力しているという。正午の時点で電線は原子炉の建物のすぐ横まで来ているものの、この電線を原子炉の冷却ポンプに接続する必要がある。その次のステップは、そのポンプと関連設備が地震と津波で損傷を受けていないかを点検することである。
作業員のうち20人が限度を超える高い放射線を浴びたことが分ったと、原子力安全院は記者会見で述べた。作業員たちは防備服を一定時間の作業後に交換しながら作業を行っている。
5号機と6号機には今日中にディーゼル発電機によって電力が供給される見込みである。3号機と4号機には日曜日のうちに電力が供給される予定だ。これによって貯蔵プールに注水が行われ、使用済み燃料の温度を下げることができる。
この日は午後になっても、東京消防庁の特別消防車によって注水が続けられている。

05.01(日本時間13.01)SR
福島第一原発の2基の天井には、ガスによる爆発を防ぐために穴があけられた。

03.13(日本時間11.13)SR
福島第一原発の現状に対して、まだ楽観的になるのは早い、と菅首相は記者会見で述べた。

03.08(日本時間11.08)SR
時事通信によると福島原発の作業員は、ディーゼル発電機を使ってポンプを動かすことについに成功した。まず5号機の貯蔵プールの冷却が行われる。つまり、少なくとも一つの原子炉には電力が回復したということである。

20.13(日本時間04.13)SR
損傷した原発に電力供給が再び行えるようになるまで、あとわずかだ。東京電力の予定では、まず最も損傷の少ない2号機に接続を試み、その後、1号機、3号機、4号機の順で接続を行っていくという。もう少しすれば、冷却のためのポンプが地震とその後の津波で損傷を受けていないかどうか、点検が行われる。

18:53(日本時間02.53)SR
現在300人の無名のヒーローが福島第一原発の大規模なメルトダウンを阻止すべく苦闘している。金曜日には、放水による冷却の何らかの効果が上がったという兆しが見えた。

高熱と危険な放射能の近くで、彼ら作業員は世界で最も危険な仕事を行っている。カメラの見えないところで、刻々と過ぎてゆく時間と戦っている。専門家によれば、大規模なメルトダウンに達するまでに最大でも数日しかない、という。そうなれば大量の放射能が飛散することになる。

最悪の事態を命を賭けてでも阻止しようとしている彼らは何者なのであろうか?

高年の従業員やすでに退職した元従業員が、自発的にこの危険な仕事に名乗りを上げているのだ。原発作業員が年間に浴びてもよいとされる限度が50ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げられた。長期的ながんのリスクが明らかに上昇することを意味している。

日本に20年住むスウェーデン人の言語専門家は、日本人の伝統的な義務感と関連付けている。

「日本社会には責任と義務という強い感情が浸透している。上司がすべての責任を取り、従業員がその任務を実行する強い義務感を持っている。もちろん従業員は企業に対して忠誠心を抱いているのだが、それ以上に彼らは日本の人々を助けたいという義務感に駆られているのだろう。」

消防車が順番に放水を行っている。東京電力によれば、熱が下がったのではないかという。放水が続けられる一方で、作業員は電線を引くことに成功した。冷却装置を起動し、貯蔵プールの熱を下げることが、第一の優先事項である。スウェーデン放射線安全庁の専門家によると、使用済み燃料は900度の達したところで燃焼を始めるという。

すべてがうまく行けば、電力供給の一部を土曜日に開始できる見込みだ。


18:30(日本時間02.30)SR
CNNは、カリフォルニアのサンティアゴで微量の放射性物質が確認されたものの、住民に被害を及ぼす程度ではない、と伝えた。

17:41(日本時間01.41)SR
東京消防庁は放水活動を終了した。

17:18(日本時間01.18)SR
ロシアの原子力専門家は、日本政府が福島原発に関する十分な情報を提供していないと批判した。IAEAの天野事務局長も少し前に、日本政府は「コミュニケーションを強化し円滑にする必要がある」と述べている。

17:03(日本時間01.03)SR
IAEAは福島原発の状況はいまだ非常に深刻であるものの、木曜日以来、悪化しているわけではない、と発表した。

16:17(日本時間00.17)SR
アメリカの西海岸で放射性の粒子が検出された。濃度は健康に被害を与えるよりも低いものであった。ロイターが引用する外交筋によると、粒子は福島原発からのものと思われる。

16:09(日本時間00.09)SR
IAEAは、放射線によって健康被害を被った人がいるかどうかについて、日本政府から全く情報を得ていない、とホームページ上できっぱりと述べている。


<3月18日・日本時間>

15:45(日本時間23.45)SR
日本の原子力安全保安院は、今最も重要なのは使用済み燃料の貯蔵プールに水を注入することである。特に、プルトニウムを燃料に使用している3号機のプールが危急である、と述べた。

15:06(日本時間23.06)SR
300人の作業員が原子炉のメルトダウンを阻止すべく作業を続けている。

14:52(日本時間22.52)SR
日本を訪れているIAEAの天野事務総長は、月曜日に特別会合を開き、原発事故の状況について加盟各国に情報提供を行うと発表した。

14.46(日本時間22.46)SR
冷却装置に電線を引いて電力を供給する試みが続けられている。

14.45(日本時間22.45)SR
日本の技術者は、放射性物質の放出を防ぐための最後の手段は、チェルノブイリ事故のときと同じように原子炉を砂とセメントで「石棺」として覆ってしまうことだと述べた。

13:23(日本時間21.23)SR
IAEAは、今回格上げされたレベル5は、福島原発で発生した一連の事故の一部のみに当てはまると述べた。たとえば、2号機と3号機の冷却機能の喪失にはレベル5が適用されるが、4号機の貯蔵プールの冷却機能喪失はレベル3だという。10km離れた所にある福島第二原発は原子炉が閉鎖され安定しているものの、当初の冷却機能の喪失はレベル3に分類されている。

13:14(日本時間21.14)SR
北欧諸国の政府がチャーターしたスカンディナヴィア航空の特別機のうち、今晩東京を出発する便に搭乗を希望したスウェーデン人は1人だった。希望者が少なかった理由として、スウェーデン大使館の担当者は「告知が直前だったためだ」ことを挙げている。この便への搭乗希望者は全部で20人ほどである。

12:53(日本時間20.53)SR
菅首相は、日本政府が原発事故に関するすべての情報を提供していると述べた。テレビを通じた記者会見の中で、彼は「包み隠さず言えば、状況はいまだに非常に深刻だ」とも述べた。

12:02(日本時間20.02)SR
日本がなぜレベルを4から5に上げたのか定かではない。伝えられる限り、状況をさらに深刻にする事態ここ数日の間に起きたわけではない。当初の判断と対応に戸惑いがあったためではないかと考えられる。

11:01(日本時間19.01)SR
IAEAによると、5号機と6号機の貯蔵プールの温度はそれぞれ65度と62度だという。通常貯蔵プールの温度は25度である。今週大きな問題を抱えてきた4号機の貯蔵プールの水温に関する唯一の情報は、日曜日に観測された84度というもののみである。

10:30(日本時間18.30)SR
スウェーデン放射線安全庁が得た情報によると、貯蔵プールへの放水に関して、放水車は放水の対象を3号機から1号機に移したという。「状態が少しは安定した3号機よりも、1号機の状態のほうが深刻ということではないか。いずれにしろ、事態はいまだに非常に深刻だ」と放射線安全庁の検査官はコメントしている。(私のメモ:日本のメディアでは聞いたことない情報なので、本当に正しいものかどうか疑問?)

08:28(日本時間16.28)SR
200人近い作業員が原発の被害を防ごうと作業を続けている。命がけの作業であり、彼らは多くの日本人にとって「ヒーロー」となっている。

06:40(日本時間14.40)SR
IAEAは日本政府から原発の現状に関するより詳細な情報を要求している。

06:37(日本時間14.37)SR
NHKによると、消防車は順番に3号機への放水を行っている。全部で50トンの水が放水されている。

06:21(日本時間14.21)SR
日本政府は、原発の処理に力を注ぐ一方で、避難した人々の生活支援をおろそかにしているのではないか、との批判を受けている。

06.10(日本時間14.10)SR
日本時間の18日午後、作業員は電線を原子炉に引くことに成功した。

04.04(日本時間12.04)SR
WHOは、福島原発からの放射性物質の拡散はいまだ局所的なものであり、人間の健康に直ちに影響を及ぼすものではないだろう、と述べた。

03.19(日本時間11.19)SR
日本の防衛相によると、自衛隊と消防隊は消防車30台を動員することで金曜日午後に3号機への放水を行う予定だという。

03.14(日本時間11.14)SR
風は海のほうに向かっているため、放射性物質は海のほうに流れている。

03.09(日本時間11.09)SR
原子力安全保安院は、最後の手段としてはチェルノブイリでのような「石棺」がありうることを認識していると述べた。しかし、今のところ、電力を回復させ、原子炉を冷却させることに努めている。

02.17(日本時間10.17)SR
2号機から上がっている白煙もしくは水蒸気は、圧力調整室での爆発か貯蔵プールからのものだろうという見解を、日本の原子力安全保安院は示した。原子力安全保安院は同時に、今日中に2つの原子炉への送電を、また日曜日に別の2つの原子炉への送電を行えるようにしたい、との期待を述べた。

01.43(日本時間09.43)SR
日本の原子力安全保安院は、2、3、4号機から白煙か水蒸気が上がっているのが確認されたと発表。また、3号機の貯蔵プールにはまだ水が入っていると思う、とも述べた。

21.31(日本時間05.31)SVT
NHKによると、福島原発の放射線の量は減少したという。

21.00(日本時間05.00)SVTの21時ニュース『Aktuellt』
ここでは、放射能の近くで命の危険を冒しながら、大勢の人々の危険を防ぐために働いている原子力技術者・作業員が、日本の「ヒーロー」となっていることも報じられた。
それに関連して:記事1 記事2

21.00(日本時間05.00)SVTの21時ニュース『Aktuellt』
今日行われたヘリと放水車による注水の試みは失敗に終わった。注水の対象となったのは貯蔵プールに水が少ないと思われる3号機と4号機である。アメリカ政府は4号機の貯蔵プールには既に水がないのではないかと疑っている。日本政府は考えられるあらゆる手を尽くして、注水を行おうとしている。ヘリコプターや警察の放水車は強い放射能のために原子炉まで十分に近づくことができなかった。一方、自衛隊は特別な放水車を用意して投入した。危機が迫っているのは3号機と4号機だけではなく、17日午前中には2号機から再び白煙が上がっているのが確認された。

今日注水が試みられた3号機の貯蔵プールは容積1200m3、燃料棒全体が水をかぶるためには最低でも400m3の水が入っている必要がある。しかし、水位が下がっており、放射性物質を発している。日本の専門家によると少なくとも燃料棒を水で覆うためには50m3の水が必要だというが、今日の注水作業で放水されたのは30m3にすぎず、しかもこのうちのどれだけが貯蔵プールに入ったか定かではない。プールが空っぽになってしまえば、発火し放射性物質であるセシウム137が飛散する。この物質はチェルノブイリ事故の際の物質と同じである。

最悪のシナリオは、現場の放射線量が多くなりすぎ、作業員全員が退避せねばならず、貯蔵プールだけでなく、原子炉内の水位も下がっていき大規模な炉心溶融に至ることだ。チェルノブイリ事故ほどの規模にはならないと考えられるが、放散された放射性物質がどれだけ遠くに到達するかは、物質の上昇高度や風向き、強さ、天候などに大きく左右される。

東京の特派員のレポート:
わずかに残された希望は、電線を引いて電力を供給することで冷却を行えるようにすることである。既存の冷却システムは損傷が激しいために利用することができないとしても、電力があれば別の方策を講じることで冷却を行えるようになるかもしれないと期待される。
東京の住民は、驚くくらい落ち着いておりパニックは全くない。しかし、話をしてみれば「東京を離れたい気持ちはあるが、仕事や家族、両親がおり東京を離れることができない。職場の同僚が通勤するならば、自分も通い続けなければならない」という言葉が返ってくる。
外国特派員の多くは日本を離れ始めている。もしかしたら大勢の住民が東京から退避せざるをえない事態になるかもしれず、そうなる前に東京を離れるべきだというリスク判断からだ。スウェーデン大使館によると、現地のスウェーデン企業も仕事がほとんどできないため、しばらく従業員を国外に退避させようとしている。

アナウンサーが、スタジオに招かれたスウェーデン放射線安全庁の専門家に質問を投げかける。
アナウンサー:「あなたは日本政府が発表する情報を信頼しているか?」
専門家:「信頼できないという根拠となる情報は私の元にはない。そのため、現状では信頼するのが一番だと考える。」
アナウンサー:「つまり、あなたは『はい』とは明確に言えないわけか?」
専門家:「いや、信頼できるかを判断する材料がそもそもないということだ。我々としては日本政府からもっと情報が欲しいと考えるが、同時に、彼らには自分たちの問題対処に精一杯で、我々により詳しい情報を提供する余裕などないということも理解している。」
アナウンサー:「日本政府自身がそもそも詳しい情報を知らない、ということはないのか?」
専門家:「そういうことも大いにありうる。」


20.59(日本時間04.59)SR
スウェーデン外務省は、さらにもう一機の特別機を確保できたため、これを金曜日の夜、東京からバンコクに向けて飛ばすと発表した。スウェーデンを含むスカンディナヴィア諸国の国民が対象である。「日本からの出国が難しくなっているため、特別機を確保することになった」と外務省の広報担当者は説明する。現時点でどれだけの希望者がいるかは分かっていない。「十分な座席数を確保できたことを願いたいが、多すぎるか少なすぎるかを判断するのは難しい」という。もし希望者がそれ以上にある場合は、さらに飛行機を投入することも検討したいとしている。

20.37(日本時間04.37)SR
スウェーデン人や他のスカンディナヴィア諸国の国民の退去のために、土曜日午前中にスカンディナヴィア航空の特別機が東京からバンコクに向けて出発する、とスウェーデン外務省はホームページで発表した。搭乗を希望するスウェーデン人は東京のスウェーデン大使館に申し出ること。費用は自己負担である。

20.10(日本時間04.10)SVT
東京電力の4号機の運転担当者は、貯蔵プールに「水が入っているようだ」と述べた。この発言は、自衛隊ヘリコプターによる複数の確認作業の結果に基づいているとしている。

19.07(日本時間03.07)SVT
アメリカ人を乗せた最初のチャーター機が今晩日本から台湾に向けて出発した。アメリカ外務省によると約100人が搭乗したという。

18:55(日本時間02.55)SR
日本政府は2号機への電線の敷設に成功したと発表した。放水車やヘリコプターによる3号機の冷却作業が終わり次第、電気を流すつもりだという。

18:35(日本時間02.35)SR
スウェーデンの放射能生物学の専門家によると、現状は落ち着いているという。
今のところ、貯蔵プールの冷却のコントロールができていないことが大きな問題だという。
「原発の外部にいる人々の健康への影響はないに等しい。一方、原発内部で働いている人々は高い放射線を浴びている」と彼は語る。しかし、建物内の放射線量も非常に高いというわけではない、という。

17.56(日本時間01.56)SR
福島原発の状況は少し安定している、とIAEAは発表。しかし、スポークスマンは、状況が悪化する危険性はある、としている。

17.15(日本時間01.15)SVT
IAEAは日本の原発の状況は「非常に深刻だ」が、前日に比べて悪化しているわけではない、と述べた。


<3月17日・日本時間>

15.46(日本時間23.46)SR
イギリス政府は日本を離れたいと願う自国民のためにチャーター機を日本に送っている。

15.39(日本時間23.39)SR
放水車などによる福島第一原発の冷却の試みは、強い放射線のために中断された。

15.32(日本時間23.32)SR
ラインフェルト首相は、スウェーデン外務省が日本への渡航を自粛するように呼びかけていることに触れた際に「日本を離れたい国民には、そのための支援ができるか検討中だ」とコメント。

14.40(日本時間22.40)SR
ヨーテボリのシャルマシュ工科大学の専門家は、今回の事件がチェルノブイリのケースとは異なることを指摘し「被曝のリスクは小さいだろう。原子炉の格納壁が破壊されていないならば炉心はその中にとどまるから、放射線が外部に影響を与えることはない。しかし、その後の処理には多額の費用がかかるだろう」とコメント。「しかし、もし格納壁が損傷を受けていれば、放射性物質が土壌や地下水を汚染する可能性がある。最悪のケースは、様々な出来事が連続的に発生することだ。大規模の水素爆発が起これば、放射性を帯びた大量の粒子が拡散する。この場合、それが及ぼす影響は風による。しかし、汚染地域が広範囲にわたるわけではなく、限られたものになるだろう」と解説した。さらに「当然ながら、問題は爆発による放射能汚染のために原子炉付近での作業が不可能になり、他の原子炉の冷却作業が行えなくなることだろう。その場合には、合わせて4つの炉がメルトダウンを起こすことになる」と付け加えた。

13.56(日本時間22.56)SVT
スウェーデン放射線安全庁はIAEAから、スウェーデンの専門家を放射能測定チームや放射線安全専門家の国際チームに派遣できるかという質問を受けた、と発表。職員は「これはあくまで質問であり、要請ではない。われわれとしてはIAEAが専門家チームによる支援の可能性を模索している、と解釈した」と説明。スウェーデン放射線安全庁はまだ態度を決めていない。「この種の決定はわれわれの庁レベルではなく、省レベルの決定事項だ」

13.48(日本時間21.48)SVT
2号機から白煙が確認された、と東京電力が発表。同時にNHKによると、3号機に対しては2台の消防車を使った放水が続けられている。

13.05(日本時間21.05)SVT
通信社インターファックスは、ロシアが外務省を通じて日本に対し、原発の復旧作業の支援を行う用意があると申し出た、と伝えた。

13.05(日本時間21.05)SVT
デンマークは福島原発の復旧作業を支援するために、6人の支援チームを日本に派遣する。彼らはEUの原子力専門家チームに対する、運輸・コミュニケーション・宿泊などの後方支援を行う、とデンマーク危機準備庁は説明。

12.40(日本時間20.40)SR
外国の金融機関は東京を離れ始めている。金融関係者の間には東京株式市場を閉鎖すべきではないかという声も上がっているが、市場幹部は閉鎖はしないとしている。しかし、ダンスケバンクのチーフエコノミストによれば、閉鎖も場合によってはやむを得ないだろうとのこと。

12.29(日本時間20.29)SVT
フランスのエネルギー・産業相は日本へホウ素を送ることについて「既に先週土曜日に日本政府に提供を申し出たものの、返答がなかった。日本政府はその時点では必要ないと判断したのかもしれないし、もしくは返答の時間がなかったのだろう。」

12.14(日本時間20.14)SR
機動隊の放水車の代わりに、次は自衛隊の車輌によって3号機への注水を試みると、NHKが報じる。

12.02(日本時間20.02)SR
スウェーデンラジオが日本に送っている特派員は「世界で最大の原発事故の一つとなった今回の事故は、その現状がさらに不確実性を増しつつある」と伝える。
機動隊の放水車による注水は中断。放射線量が高すぎるため。
日本政府は、原発周辺の人々に対して、マスクをし、帽子をかぶり、全身を覆う服装を身に付けるよう呼びかけている。しかし、人々は政府に対する不信感をますます強めている。

11:49(日本時間19.49)SVT
原子炉のどれかで完全なメルトダウン(炉心溶融)が発生しても、チェルノブイリのような事態にはならず、局所的な汚染に留まるだろうと、スウェーデン放射線安全庁の専門家は説明。(私のメモ:ここでの関心はおそらく放射性物質が大量にスウェーデンにも到達するかどうか、ということであろうため、「局所的」がどの範囲を示しているのかは不明)

11:35(日本時間19.35)SR
機動隊の放水車による注水の試みは放射能が強すぎるため中断。

11:28(日本時間19.28)SR
フランスは今日中に95トンのホウ素を日本に発送する。このホウ素は原発の燃料棒の冷却に用いられる。

11.17(日本時間19.17)SR
東京電力が損傷した原発に関して知りえた事実を本当に公表しているのかについて、疑問の声が上がっている。菅首相と彼の日本政府は、IAEAに報告義務があるのにもかかわらず、東京電力からの報告の信憑性に疑問があるため、非常に難しい立場に追いやられている。
危機管理に詳しいアメリカ政府の専門家も、日本政府は必要なすべての情報を東京電力から受け取っていないことを示唆している。彼らは、政治リーダーシップの麻痺と官僚主義のために、現状の事の大きさを外部とうまくコミュニケートすることができず、外国からの援助の受け入れをためらう結果となっている、と報告している。

11:10(日本時間19.10)SR
原発の被害について多数の国が独自の判断を行っており、被害の影響は日本政府の発表よりも実際はさらに大きいという疑いが濃厚になっている。中国、アメリカ、フランス、スウェーデンは日本政府が退去勧告を出している原発周囲よりもさらに広い範囲からの退去を勧告している。

11.00 (日本時間19.00)SR
ヘリからの放水は非常に難しいことが明らかになった。今は、放水車などの地上からの試みが行われている。

10.49 (日本時間18.49)SR
エリクソンは、日本にいる外国人従業員のうち日本の職場に絶対に必要な人以外を出身国に戻すことをに決めた。エリクソンは日本国内に890人の従業員を持ち、このうち65人が外国人。フルでの操業を行っているが、今後は顧客へのサービスや設備のメンテナンスに集中したいという。

09.57 (日本時間17.57)SVT
イケアは日本で勤務する外国人従業員89人とその家族が香港に避難できるよう手配すると発表。イケアの関東地域の日本人従業員に対しては、家族とともに関西地方に避難できるようにする。

09.25 (日本時間17.25)SR
損傷した福島原発に対するヘリからの放水が行われた。200回の水投下が必要とされるが、命中したのは4回の試みのうち2回だった。スウェーデン放射線安全庁の専門家は「一回あたり7500リットルであるので、小さな規模に過ぎない。これ以外の手を試すことになるだろうが、現時点ではよく分らない」と答える。

09.17 (日本時間17.17)SVT
スウェーデンの公共テレビSVTは日本に派遣している特派員(3組)をすべて日本から撤退させると発表。本日中に出国させる(1組は既に退出)。

08.20(日本時間16.20)SR
IAEAの報告によると、福島第一原発の事故以来、複数の作業員などが病院に運ばれた。症状としては、骨折や「突然の体調悪化」。1・3号機の爆発では合わせて14人が負傷している。2人が行方不明。原発の作業員も複数の人々が被曝。消防隊員の被曝状況についても調査が行われている。

08.18(日本時間16.18)SR
外国投資機関・企業は自分たちの従業員を東京から退避させるために、日本の金融検査庁に対し、東京株式市場を閉鎖することを要請している。株式市場の責任者は、閉鎖することもありうるが、それは東京に直接的な危険が迫った場合に限る、と答えている。

H&Mは東京の店を閉店とし、希望する従業員には大阪に退避することを認めた。

06.00(日本時間14.00)SR
スウェーデンは夜が明けた。夜の間に福島原発の状況は急激に悪化していると報道。4号機の貯蔵プールは水がなくなっている。これは、そこにある使用済みの燃料は干し上がり、温度が上昇し、放射性物質を発散することを意味する、と伝えている。また、3号機でも貯蔵プールの水が少なくなり、残った水が水蒸気となって白く見えており、同様の問題が懸念されるが、こちらの燃料はプルトニウムであり、ウランよりもさらに大きな問題であることを伝える。
さらに「もし冷却に失敗すれば、後は時間の問題だ。貯蔵プールの水がなくなり、その後、10時間から48時間の間に大量の放射線物質が大気中に飛散することになる」とのスウェーデン放射線安全庁の専門家の見解を伝え、これが「80km圏内からの退避」の根拠だと説明した。

05.59(日本時間13.59)SR
スカンディナヴィア航空は、通常は払い戻しや変更が不可能なチケットの払い戻しや予約変更に応じると発表

03.30(日本時間11.30)NHK
自衛隊CH-47によるヘリによる水の投下は4回(ヘリ2機×各2回)で終わる。
投下の対象を3号機とした理由は、東京電力によると3号機の貯蔵プールの水が少なくなり、このままの放置はおそらく今日が限度だと判断し、自衛隊にそのように要請したからだという。

私のメモ: 原子力安全保安院や東京電力、官房長官、防衛相の記者会見では、後半の質疑応答の部分が非常に重要だと思うのに、NHKは公式発表部分が終わると中継をすぐやめて、スタジオに戻してしまう。例えば、先ほどの東京電力の記者会見でも、貯蔵プールの水量を問われた東電関係者が「ある」と答え、「それはいつの情報か?」との質問に対し、昨日(!)の・・・と答え始めたところで中断してしまった。

02.33(日本時間10.33)SR
30分ほど前にヘリによる3号機への放水が開始。
放水車による地上からの放水も準備が進む。

02.09(日本時間10.09)SR
ルフトハンザなど航空会社の一部は、東京行きの便を日本の別の空港に向かわせ始めた、とスウェーデン外務省の職員が述べる。彼は、今後も日本と国外との航空便の状況の把握に努めるものの、いまのところ日本から自国民を退避させる必要はないと見ている、と答えている。

01.52(日本時間09.52)SR
福島原発では、電線を引いて電源を確保する準備が続けられている。

01.52(日本時間09.52)SR
東京電力は、福島原発の放射線の量が減っている、もしくは少なくとも増えてはいない、と伝えている。

01.04(日本時間09.04)SR
スウェーデン放射線安全庁は、4号機の貯蔵プールの状況を分析するに、冷却のコントロールを失った可能性が高く、原発の80km以内から外に出るように勧告している。


00:42(日本時間08.42)SVT
日本の原子力安全保安院と東京電力は、貯蔵プールの水がなくなったことを否定している。

00.38(日本時間08.38)SVT
スウェーデン外務省は「日本にいることを不安に感じる自国民は、日本を離れることも考慮に入れるべき」と呼びかけている。「しかし、これはあくまで各個人の判断に任せる」としている。在日スウェーデン大使館はしばらくは職員の配置を続け、日本と国外との航空便の状況などについて情報収集を続ける。

00.15(日本時間08.15)SVT
スウェーデン放射線安全庁は「使用済み燃料の貯蔵プールにはもう水がないだろう」とも答えている。また、アメリカの原子力機関NRCも同様の見解を述べている。NRCおよびアメリカ・エネルギー庁は現地に専門家を派遣している。

00.11(日本時間08.11)SR
スウェーデン外務省は日本への渡航を控えるべきとする勧告を、「危急ではない渡航」だけではなく「日本へのすべての渡航」へと拡大した。


00.08(日本時間08.08)SVT
スウェーデン放射線安全庁は、福島第一原発4号機がどれだけ深刻な状況にあるかというジャーナリストからの質問に対し「使用済み燃料の貯蔵プールの冷却ができていないとすれば非常に深刻だ。失敗し水のない状態が続けば、燃料の温度が上昇を続け、ある一定の状態に達したときに大量の放射性物質がばら撒かれることになる。その状態に達するまでには10時間から2日間の時間がかかる」と答える。


00.02(日本時間08.02)SVT
スウェーデンのビルト外相は "Very serious nuclear situation in Japan" とツイッターに書き込み。

23.18(日本時間07.18)SVT
オーストラリア、イギリス、ドイツは自国民に対し、放射線量が今後高くなる可能性が高まったため日本を離れることも検討するよう呼びかけている。すでに、成田空港などでは混雑しているとスウェーデンラジオや英BBCは伝えている。

22:22(日本時間06.22)SVT
スウェーデン外務省は放射線安全庁からの提言を受けて、福島原発の周囲80kmから退去し、また、日本への危急ではない渡航は見合わせるべきだとする勧告を発した。

21.54(日本時間05.54)SVT
スウェーデン放射線安全庁はスウェーデン外務省に対し、福島原発の周囲80kmにいる自国民を退去させるべき、そして、日本への危急ではない渡航は見合わせるよう自国民に呼びかけるべきだという提言を行った。その理由として、スウェーデン放射線安全庁は「福島原発の状況が悪化している。これまでの注水作戦がほぼ失敗に終わり、貯蔵プールには水がなく温度の上昇が著しい。水がない状態が長時間続けば使用済み燃料が発火する。そうなれば、大量の放射性物質が拡散する可能性が高い」と説明。


21.32(日本時間05.32)SVT
日本の機動隊の放水車が福島原発に到着。東京電力はこれを用いて4号機の原子炉と貯蔵プールに注水する予定。

19.54(日本時間03.54)SVT
福島第一原発の4号機の使用済み燃料の貯蔵プールには既に水がなくなっている、とアメリカの原子力機関NRCの専門家が見解を述べる。

19.42(日本時間03.42)SVT
東京電力は、福島原発への新しい電線の敷設がほぼ完了しつつあり、それによって危機を回復できると発表。

19.21(日本時間03.21)SR
ルフトハンザ、アリタリアは東京便の目的地を大阪に切り替えると発表。KLMも東京便の一部を大阪に向かわせるとしている。スカンディナヴィア航空(SAS)は今のところ東京便の変更はないと発表。

19.10(日本時間03.10)SR
イギリス政府は、自国民に対し東京および東京北部から退避することも考慮するよう勧告。

19.08(日本時間03.08)SVT
スイス政府は、自国民に対し東北地方および東京から退避するよう勧告。BBCによるとスイス大統領は「損傷を受けた原発の状況が定かではなく、また余震もありうるため」と説明。

18.50(日本時間02.50)SR
在日のアメリカ大使館は自国民に対し、福島原発の周囲80km圏から外に退避するように勧告。

18.20(日本時間02.20)SR
アメリカ軍は、無人航空機プレデターを用いて福島原発の写真を撮影し、原子炉の現像物内部の状況を確認すると発表。プレデターには赤外線センサーが取り付けられている。

17.00(日本時間01.00)SR
IAEAは福島原発の状況は、非常に深刻だと見解を述べる。原子炉3基の炉心が損傷を受けている、としている。

16.29(日本時間00.29)SVT
アメリカのエネルギー庁長官Steven Chuは、福島原発の事故は1979年のハリスバーグの原発事故よりも深刻だと発表。EUのエネルギー担当委員は、今後数時間の間に深刻な事態に発展するかも知れず、周辺住民に深刻な被害が及ぶかもしれない、と述べた。

16.20(日本時間00.20)SR
福島第一原発の3号機、4号機の使用済み燃料の貯蔵プールは何らかの損傷を受けていると、IAEAがコメント。New York Timesは爆発後、この貯蔵プール上の屋根がないため、使用済み燃料が外気と触れれば炎上を始める危険がある、と述べている。

16.01(日本時間00.01)SR
ロシアは、在日の自国外交官とその家族を2日以内に国外に退避させると発表。

14.30(日本時間22.01)SR
日本政府は、原発作業員が許容できる放射線量の限度を、これまでの100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げた。

社会民主党の新しい党首の決定

2011-03-11 00:49:24 | スウェーデン・その他の政治
社会民主党モナ・サリーン党首が辞任する意思を表明したのは昨年秋のこと。それ以降、新しい党首選びが始まっていった。これまでに様々な社会民主党の政治家の名が挙がったものの「その気はない」と断る人も多かったし、本人にやる気はあってもビジョンがなかったり、有権者に対する人気に欠けるという理由で疑問の声が上がる人もいた。

この党首選びという作業は、見方によっては少し非民主的で、オープン性に欠けるとも言えるだろう。複数の候補者が党大会において党首選に挑み、党員の多数決によって党首を決める、というわけではない。党首選びのために社会民主党内に「選挙準備委員会」が設立され、この委員会が有望な候補者を自薦・他薦によって洗い出し、本人への面接などを通じて適正を評価していく。そして、最終的には全国の社会民主党地方支部の代表者などを交えた密室会議で議論を重ね、党大会に先駆けて候補者を一人に絞り込む。そして、党大会においてその人物に対する信任投票を行うのである。

大所帯であり、党員が持っているイデオロギーや政策主張の幅が広い社会民主党としては、複数の候補者を立てた上で党大会というオープンな場で投票を行ったりすれば、党内の対立が明確になりすぎ、一つの党としてのまとまりを維持するのが難しくなる、という懸念があるのかもしれない。だから、あくまで選挙準備委員会と各支部の代表者などからなる密室会議で議論をし、党大会という公開の場で議決にかける前の段階で誰もがある程度は納得する人物を一人に絞ってしまいたいのだろう。

1996年から2006年まで首相を務めたヨーラン・パーション党首の後任選びでは、選挙準備委員会はすでに2007年1月半ばの段階で候補者をモナ・サリーンだけに絞り、3月後半に開催される党大会に新党首として推薦すると発表した。しかし、今回の党首選びでは多くの党員が納得するような有力な候補者が現れず、3月に入ってもまだ名前が絞られない状態だった。既に10人以上の名前が次の党首の候補として挙がってきたのにもかかわらずである。傍から見る目には、ビジョンと方向性を失った社会民主党の醜態と映っても仕方がなかった。

しかし、今日木曜日(3月10日)ついに選挙準備委員会が発表を行った。これまで名前は挙がっていたものの、ほとんど可能性は薄いと思われていた中年男性を次期党首として推薦すると発表したのだ。どこかのギャンブルサイトではオッズが非常に高く大騒ぎになったことだろう。


彼の名はホーカン・ユーホルト(Håkan Juholt)48歳だ。高校卒業後、出身地であるオスカシュハムンや隣接するカルマルの地方紙でジャーナリストとして働き、1994年(32歳)に初当選し、国会議員をそれ以降務めてきた。ただ、党内での存在感はそこまで強くなく、いわゆるキャリアコース(財務大臣や外務大臣などの要職を務めた上で首相になる)からは外れていた。そもそも、閣僚の経験がないのである! さらに、社会民主党の執行部のメンバーにもなったことがない

閣僚経験がなく、党執行部で活躍した経験がない者が党首になるのは、社会民主党の歴史上、例がないという。だから、党内外の多くの人が驚いている。実は、キャリアコースを経てきた別の候補者がいたのだが、党内の左派からみればあまりに中道寄りであり、ふさわしくないという声が上がり、ある種の妥協としてこのホーカン・ユーホルトが選ばれたようだ。ただ、妥協の産物だからあまり期待できないのかというとそうでもなく、堅実で地に足の着いた政治家であり、労働組合からの信頼も厚いようだ。同時に、戦略家で頭が切れるという声も聞かれる。党内における左派-右派(中道)という分け方では、若干左派寄りだということだ。

ただ、経験が浅いという冷めた声も聞かれる。1994年以降、彼は主に国会の国防委員会のメンバーを務め、国防政策づくりにかかわってきた。その反面、他のより重要な政策、例えば経済や財政、社会保障などの分野での実力が定かではない。

ともあれ、今日の記者会見では「公正・平等が経済成長と社会保障の基礎条件だ」と述べ、「社会保障制度の防衛に力を注ぎたい」と意気込みを語った。これまで影の薄い存在だったから、スウェーデン人の多くがほとんど彼のことを知らないだろう。しかし、今日の様々な報道から感じる限り、社会民主党を建て直していける有望な党首になりそうな気がする。



今日の記者会見の後に撮影されたPR動画。
隣の女性は党首に次ぐ、党第二位のポストであるparty secretary(幹事長とでも訳せるだろうか?)
に推薦されたカーリン・イェムティン(Carin Jämtin)
44秒あたりのウィンクが面白い。
彼は何かに似ていると思っていたが「ぷよぷよ」か?


私の思うところ、選挙準備委員会が彼を選んだ理由は、毛の少ないラインフェルト首相に対抗するには、毛の多い人物が必要だ、ということもあるのではないだろうか・・・?

独裁国・非民主国への武器輸出を巡る議論

2011-03-07 01:31:57 | スウェーデン・その他の政治
チュニジアから始まったアラブ諸国の民主化運動の波は、エジプトのムバラク政権を倒し、そして今、リビアのカダフィ政権を追い詰めている。

ヨーロッパ諸国も「対岸の火事」だと傍観しているのではなく、民主化勢力を積極的に後押しすべきなのだが、EUもアメリカも時として明確な立場表明をためらってきた。スウェーデンのカール・ビルト外相も、リビアにおける暴力行使を批判するコメントをしたものの「重要なのは、カダフィ政権側を支持するのか、民主化デモ側を支持するのか、ということではなく、秩序と安定性を維持するように働きかけることだ」と発言したために、大きな非難を浴びていた。この発言は2月22日頃のことだったが、両者が対等な立場にあるならまだしも、一方の側が圧倒的な武力によって、もう片方の側を無差別に殺害している状況においては、カダフィ政権をしっかりと非難すべきだっただろう。



ヨーロッパ諸国の政治家のなかには、ムバラク政権やカダフィ政権と深い親交を持ってきたがために、今ごろ気まずい思いをしている人々もたくさんいる。相手が本国で人権を踏みにじっている独裁政権であることを知りながら、彼らと仲良くすることで経済的な恩恵に与ってきた閣僚がフランスなどで辞任したし、カダフィの個人パーティーに招かれてパフォーマンスを披露した歌手なども、彼との親交を後悔している。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの学長も辞任した。さんざん良い思いをしておいて、相手が負け馬だと分かった途端に手を切るというのも、非常に情けない話だ。



同様に気まずい思いをしているのはスウェーデンもだ。というのも、チュニジアに対しては30年にわたって、またエジプトに対しては過去10年ほどのあいだ武器輸出を行ってきたからだ。

一般に、武器輸出についてはスウェーデンでもこれまで激しく議論されてきた。スウェーデンは非同盟中立を保つために国防軍の武装・兵器の供給は自ら行うという方針を長い間とってきた。戦闘機から戦車、駆逐艦や潜水艦に至るまで自国で開発・生産するわけだが、スウェーデンの国防軍の需要を満たすだけの数を生産していたのでは規模の経済が働かず、高額の研究開発投資のもとが取れない。だから、どうしても生産量を増やすために外国輸出の道を探ろうという考えになってしまう(それでも過去20年ほど外国から既製品を調達するケースがかなり増えてはいる)。

確かにスウェーデンは、国連やEUの禁輸制裁などは当然ながら遵守しているし、紛争当事国や内戦中の国、人権侵害などを行なう独裁国などには武器輸出は行わない、などのガイドラインを自主的に設けている。しかし、問題なのは、果たしてそのガイドラインがきちんと守られているのか、ということだ。

武器輸出のコントロールを行っているのは、国の行政機関である戦略的製品検査庁(ISP)および議会に設けられ、国政政党すべての代表者からなる輸出監督委員会(EKR)だ。しかし、そのようなコントロール制度にもかかわらず、チュニジア、エジプト、サウジアラビア、バーレーン、オマーン、パキスタンのような独裁国や人権侵害の懸念がある国々に武器輸出が行われてきた。

また、タイでクーデターが発生し軍部が政権を掌握した数年前にも、戦闘機の入札で他の国が入札参加を差し控える中、スウェーデンが戦闘機輸出の手続きを進め、スウェーデン国内でも大きな議論となったことはこのブログでも書いた(結局スウェーデンの多目的戦闘機JAS-39が入札を勝ち取り現在12機の輸出プロセスが進められている)。
<過去の記事>
2007-10-18: Aj aj aj… 軍事クーデターのタイへ戦闘機を輸出か・・・
2007-10-20: ビルト外相:「最終決定は民主選挙を待ってから」

だから、アラブ・中東の問題国に武器輸出を行ってきたことに対しては、スウェーデン国内でも1月以降、非難の声がさらに強まっている。しかし、それに対するラインフェルト首相のコメントが情けなかった。訪問先の小学校の小学生から、スウェーデンが世界平和を掲げる一方で問題のある国に武器輸出を行っていることの矛盾を問われたとき、彼は「相手がいくら気に入らない政府でも対話を持つことは必要」と、あたかも武器輸出が問題国との対話の一つの手段であるかのような答え方をしたのだった。

それに比べたら、戦略的製品検査庁の長官による反論はまだマシだった。彼は、過去5年間のエジプトへの武器輸出の総額は2000万クローナ(2.6億円)、チュニジアへは870万クローナ(1.1億円)に過ぎない、と前置きをした上で、武器輸出と言ってもエジプトへは競技射撃用の弾薬と軍事訓練用の装備であり、またチュニジアへは対空機関砲・対空ミサイル・防空レーダーや小銃に取り付ける照準や弾薬であると指摘したのだった。彼が言いたかったのは、機関銃や爆弾、榴弾などをスウェーデンが輸出しているのではなく、よって「スウェーデン製の兵器が民主化を求める人々の殺害に使われている」というのは間違いだ、ということだった。さらに、人権侵害の恐れがある国への武器輸出と言っても、一般に海賊やテロリストの活動を航空機や艦艇によって監視するシステムなどが多く、それが自国の一般市民に対する抑圧に使われることはなく、戦略的製品検査庁や輸出監督委員会もこの点をしっかり認識したうえで輸出に対してゴーサインを出してきたのだ、と説明したのだった。


新聞のオピニオン欄は行政機関・政治家・NPO・利益団体など様々な主張を
掲載し、論争における双方の生の主張を世論に伝える重要な役割を果たして
いる。日本ではこの点が非常にかけている。

スウェーデンでは、この後もメディア上で様々な議論がNPOや行政機関、政治家などの間で交わされたが、さて、この戦略的製品検査庁の長官の言い分はどう評価できるのだろうか? 本当に、市民の人権を侵害する恐れがある武器そうではない武器と明確に線引きして、後者のみを独裁国に輸出するということが可能なのだろうか? 軍事訓練用の装備は明らかに軍隊の強化を図るものだし、小銃に取り付ける照準だって軍隊や公安警察がデモ隊の封じ込みに使うことは可能だ。

防空システムにしても、それが民衆に直接使われる恐れは小さいものの、例えばリビアに対しては国連においてこの2週間ほどのあいだ、飛行禁止区域を設定することでカダフィ政権が空から民主化勢力を攻撃することを阻止する措置の是非が議論されてきたが、それに実効力を持たせるためにはNATOなどの戦闘機による上空監視が不可欠であり、そのためにはまずリビアの防空基地を叩く必要があるという。スウェーデンは制裁のあるリビアに対しては武器輸出を行ってこなかったものの、もしチュニジアやエジプトなどに対して同様の飛行禁止区域設定が必要となっていた場合に、スウェーデン製の対空ミサイルや防空砲がその障害となっていた可能性さえある。だから、線引きは非常に難しいといわざるを得ない。

スウェーデンは外交方針として諸外国の民主化や人権擁護を支援する立場をとっている。だから、そうではない国への武器輸出は、どのような形をとろうが、いくら額が小さかろうが、やはりダブル・スタンダードと認識せざるを得ない。それでももし、そのようないかがわしい国への輸出なしにはスウェーデンの軍需産業が成り立たない、というのであれば、いっそのこと解体していくべきだろう。

ちなみにスウェーデン製の兵器は、アメリカにも輸出され、それが国際法に照らしてもその正当性が疑われるイラク戦争で使われているし、戦闘機がハンガリーやチェコなどに輸出されるときには、スウェーデン政府に代わって売り込みを担当してきた外国エージェントが多額のお金を使って相手国の官僚や政治家に賄賂を支払っていたことが、スウェーデン・テレビなどのスクープによって明るみに出ている。武器輸出においては常に汚い取引が付きまとう。スウェーデン経済に占める軍需産業の割合はたかが知れているのだから、そのようなことにいつまでも手を染め続ける必要はないだろうに。

新生サーブの「独立」1周年記念日

2011-03-01 00:46:42 | コラム
「スウェーデンの老舗自動車メーカーが1歳の誕生日を迎えた」


先週の日刊紙には丸1ページを使ってこんな広告が掲載された。一見すると矛盾するように聞こえるが、これはサーブ(SAAB)のことだ。

2009年2月に親会社のGMが売却を発表。それから間もなく経営破綻し、会社更生の手続きに入った。その年の6月にはスウェーデンの小さなスポーツカー・メーカーがサーブの買収を発表したものの、その後、撤回。リーマンショック以降の不況下においてサーブを買収し経営を立て直そうとする有力な企業は現れず、2009年末にGMは一度はサーブの廃業を決めた。しかし、年が変わり、急遽一転し、オランダのスポーツカー・メーカーであるスパイカー・カーズが買収を発表した。そして、2010年2月、つまりちょうど一年前、新生サーブは競争がますます激化する自動車の世界市場へ船出したのであった。

このオランダのスパイカー・カーズは高級スポーツカーを年に数十台生産するような小さな自動車メーカーであり、年間少なくとも数万台の自動車を流れ作業で生産し販売するような経営手腕を持っているのか疑問視されてきた。また、スポーツカー事業では創業当初から赤字続きだったから、資金力がいつまで続くのかについても見通しは暗く、新生サーブについては否定的な報道が2010年は相次いだ

例えば、スパイカー・カーズの社長であるヴィクトル・ムラーが当初「2010年は50000台が販売目標だ」と豪語していたのにもかかわらず、その目標を徐々に下方修正していき、その年の終わりまでに販売した車の数が31000台に留まったときには「ほら、見たことか」という冷めた声が日刊紙のコラムなどでも聞かれた。

一方で、2010年の目標は達成できなかったものの、サーブのかつての顧客は着実に戻って来ている。もともとサーブ車は、スウェーデン国内においては企業の社用車企業が従業員に現物給与として貸与するリース車の市場において大きなシェアを持っていた。しかし、サーブが会社更生の手続きに入った後は、スウェーデンの企業は次々とサーブを見捨て、別のメーカーを選ぶようになった。そんなトレンドが今変わりつつあり、かつてのサーブ車を好んで買っていたスウェーデン企業が再びサーブを選ぶようになったのだ。例えば、スウェーデンの大手ゼネコンNCCも昨年末にサーブ回帰を発表した。

そんなこともあり、サーブには追い風が吹いている。先々週は1週間の受注台数が2000台と、新生サーブになってから一番高い水準となった。単純計算で50を掛ければ、年間10万台となる。そんなに単純ではないかもしれないが、経営陣は2011年の販売台数を8万台と見込んでいる。そして、2012年には12万台に達することを目指している。(年間10万台前後が採算ラインといわれる)

サーブにとって嬉しいニュースはさらにある。先日、親会社であるスパイカー・カーズが、本来の事業である高級スポーツカー製造部門の売却を発表したのだ。売却先は、ロシア富豪であり、サーブ買収の際にも資金を提供したとうわさされるウラジミール・アントノフが所有するイギリスの持ち株会社だ。赤字部門を売却したことで売却益がサーブに注ぎ込まれる上、スパイカー・カーズのムラー社長は今後はサーブの経営に専念できると見られている。もともとの本業を売却した今、スパイカー・カーズはおそらく社名をサーブにちなんだ名前に変えるだろう。

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ともあれ、GMからの「独立」1周年であった2月23日は、工場の操業がすべてストップし、3700人の従業員は記念パーティーに招待され、みんなで1歳の誕生日を祝った。




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