スウェーデンでは子供が1歳から1歳半になるまでは、育児休暇の制度を利用して職場を休み、育児休暇保険の給付(給与の最大80%)を受けること、そしてそれ以降は子供を保育所に預け、両親は共働きに復帰することを説明した。
でも、育児と仕事の両立が難しいのは、何も子供が1歳半を迎えるまでだけ、というわけではない。コメントに頂いたように、子供が熱を出して誰かが自宅で面倒を見なければならなかったり、保育所から職場のほうへ電話があって、子供が熱っぽいので早めに迎えに来て欲しいと伝えてくることもある。そんな場合、職場を休まなければ(または早退しなければ)ならない親を支援する制度が、前回説明した「育児休暇保険(給付)」とは別に存在する。
その名も「一時的育児休暇保険(給付)」(Tillfällig föräldrapenning)。
これは、① 12歳に満たない子供が病気にかかり、自宅で側にいてやる必要がある、または ② 普段自宅で子供の面倒を見ている人が病気にかかったため、自分が自宅で子供の面倒を見なければならない、という理由で仕事を休んだ場合に、給与の最大80%が社会保険庁から給付される、というもの。
② の場合としては、育児休暇を取って子供の育児をしていた一方の片親が病気になった場合が考えられるだろう。または、子を持つ複数の親とコーポラティブで保育所を運営していたが、その日の担当の親が病気になったという場合や、普段子育てを手伝ってくれる祖父母が病気になったり、もしくは、スウェーデンでは稀だが専業主婦が病気になったりした場合もあるだろう。
この制度を利用できるのは一人の子供につき年間120日間(②の場合は60日間)。
これはあくまで幼い子供を持つ親を経済的に支援する社会的制度にすぎない。実際に職場を休みやすいかどうかは、職種やそれぞれの職場環境にもよるだろう。
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子育て家庭に精神的・経済的ゆとりを与える優れた制度だが、ただし、医者の診断書の提出が必要なのは8日目からなので、逆にこの制度を悪用する人もいるようだ。つまり「子供が病気なのでこの制度の給付を受けたい」と社会保険庁に届け出たにも関わらず、子供は元気でちゃんと保育所に預けられ、本人は何事もなく出勤するというケースだ。この場合、正規の給与に加えて、社会保険庁から給付を受けることになる。
もちろんこれは詐欺だ。しかし、社会保険庁によるコントロールが甘くて、悪用が相次いでいるという報告もある。対策としては、職場の出勤履歴や保育所の出席履歴を社会保険庁のデータと照らし合わせて、イカサマを見抜くことだが、方法によっては大きなコストがかかるという。
とはいえ、社会保険制度の基本はその制度に対する国民の「信頼」だ。つまり、高い保険料や税金が本当に給付を必要としている人々に使われ、いざ自分がそのような立場になった時にちゃんと給付を受けられる、と人々が信じているからこそ保険料や税金を支払う気になるのだ。だから、その信頼を崩さないための処置をきちんとして欲しい。
でも、育児と仕事の両立が難しいのは、何も子供が1歳半を迎えるまでだけ、というわけではない。コメントに頂いたように、子供が熱を出して誰かが自宅で面倒を見なければならなかったり、保育所から職場のほうへ電話があって、子供が熱っぽいので早めに迎えに来て欲しいと伝えてくることもある。そんな場合、職場を休まなければ(または早退しなければ)ならない親を支援する制度が、前回説明した「育児休暇保険(給付)」とは別に存在する。
その名も「一時的育児休暇保険(給付)」(Tillfällig föräldrapenning)。
これは、① 12歳に満たない子供が病気にかかり、自宅で側にいてやる必要がある、または ② 普段自宅で子供の面倒を見ている人が病気にかかったため、自分が自宅で子供の面倒を見なければならない、という理由で仕事を休んだ場合に、給与の最大80%が社会保険庁から給付される、というもの。
② の場合としては、育児休暇を取って子供の育児をしていた一方の片親が病気になった場合が考えられるだろう。または、子を持つ複数の親とコーポラティブで保育所を運営していたが、その日の担当の親が病気になったという場合や、普段子育てを手伝ってくれる祖父母が病気になったり、もしくは、スウェーデンでは稀だが専業主婦が病気になったりした場合もあるだろう。
この制度を利用できるのは一人の子供につき年間120日間(②の場合は60日間)。
これはあくまで幼い子供を持つ親を経済的に支援する社会的制度にすぎない。実際に職場を休みやすいかどうかは、職種やそれぞれの職場環境にもよるだろう。
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子育て家庭に精神的・経済的ゆとりを与える優れた制度だが、ただし、医者の診断書の提出が必要なのは8日目からなので、逆にこの制度を悪用する人もいるようだ。つまり「子供が病気なのでこの制度の給付を受けたい」と社会保険庁に届け出たにも関わらず、子供は元気でちゃんと保育所に預けられ、本人は何事もなく出勤するというケースだ。この場合、正規の給与に加えて、社会保険庁から給付を受けることになる。
もちろんこれは詐欺だ。しかし、社会保険庁によるコントロールが甘くて、悪用が相次いでいるという報告もある。対策としては、職場の出勤履歴や保育所の出席履歴を社会保険庁のデータと照らし合わせて、イカサマを見抜くことだが、方法によっては大きなコストがかかるという。
とはいえ、社会保険制度の基本はその制度に対する国民の「信頼」だ。つまり、高い保険料や税金が本当に給付を必要としている人々に使われ、いざ自分がそのような立場になった時にちゃんと給付を受けられる、と人々が信じているからこそ保険料や税金を支払う気になるのだ。だから、その信頼を崩さないための処置をきちんとして欲しい。
上司の指示により来年2月にスウェーデンへ調査に行くことになったのですが、そのミッションがあまりに曖昧で途方にくれており、なかば泣きそうになりながら情報収集しているところにこのブログに出会いました。豊富な話題や明晰な考察に、感動しながら少しずつ読ませていただいています。調査のヒントになりそうな記事も幾つか見られ、大変助かると同時に、個人的にも良い刺激をいただいております。
こんな優秀な方が海外でご活躍されていることを知り、同じ日本人として嬉しくも誇らしいような思いさえあります。
今後もこちらの記事に関して、コメントやご質問などさせていただくことがあるかもしれません。ご笑覧いただければ幸いです。
長々と失礼いたしいました。
そちらは大変寒い日が続くかと思いますが、お身体に気をつけて、今後ますますのご活躍をお祈りしております。
私はスウェーデンの中学校を度々参観させていただいてています。
私の訪れる学校では幾人かの教師は子どもを学校につれてきて、授業をしたりしています。生徒はごく自然に接しています。
午前中にデイケアから子どもが熱をだしていると連絡が入った女性教師は午後の授業をすべて自習にし帰って行きました。また、子どもが熱をだした際は2日間位休みをとったり午後出勤にしていたりしています。
育児休暇をとっている教師はよく子どもを見せにやってきます。男性もいました。3ヶ月の中で少なくとも4人はみました。
そして思うことは、この国では結婚していない結婚している状態のカップルがたくさんいるということです。
ところで保育園の需要と供給、費用などについてどのようになっているでしょうか。
>そのミッションがあまりに曖昧で
どんなテーマなのか気になるところです。コメント欄でなんなので、メールを送ってくださっても構いません。(自己紹介の所にあります)
コメントや質問、お待ちしております。
学校にも子供を連れてきているのは、面白いですね。育児休暇中でない先生も、連れてきているんですよね。どういう理由からなんでしょうね。(保育所が休みとか・・・?、それとも社会勉強のため?)
>午前中にデイケアから子どもが熱をだして
>いると連絡が入った女性教師は午後の授業
>をすべて自習にし帰って行きました。また、
>子どもが熱をだした際は2日間位休みをと
>ったり午後出勤にしていたりしています。
精神的なゆとりという面で、小さい子を持ちながら家庭外で働く親にとっては、こういうことが可能なのは嬉しいでしょうね。そういえば、こうして突然欠勤する教師を穴埋めするための教員代打の仲介制度があるのをご存知ですか? 教員養成課程の大学生や失業中の教員が加入しています。
需給についてはコミューンによりまちまちだと思いますが、都市部では保育所が足りないところもあるようです。それぞれのコミューンには、保護者の申請から何ヶ月以内に保育所の空きを提供しなければならない、というような義務があるように思います(確かではないですが)。
それから費用ですが、親の所得に比例して若干の自己負担金があります。ただし、2001年か2002年に、この自己負担金に上限を設ける制度が導入されています。保育所の運営費のほとんどが税金によって賄われていると思います。
しかし、完全には仕事はカバーしきれてなかった印象があります。それが、一般企業になるとどうなるのでしょうか。仕事によっては、数ヶ月職場を離れるのは難しい。個人的には、いい制度だと思いますが、いろいろ問題もありそうですね。
1ヶ月もとなるとカバーするのは難しいでしょうね。いや、数日抜けるだけでも、先生方の勤務を管理している学校の管理職の人々は穴埋めに奔走しているのでしょうね。
スウェーデンの子育て支援制度に関して、その制度の良い部分をこれまで説明してきましたが、これはもちろん親の立場に立って場合の話であって、反対側、つまり雇い主の立場ではまた違う評価ができるのでしょう。
スウェーデンに住んでいる夫婦です。
こどもが3人いて保育所にその内二人通っていますが、先生はあまりにもすぐに休むのでよく代理の人が来ますが変わるので困ることも多いです。
小学校に通う娘はクラスで一年だけで産休や育休の先生が3人代わって落ち着きませんでした。
その場所にいるとしわ寄せが来ます。
ヨーテボリのおすし屋さんのご夫婦ご存知ですか。
私自身はそこの奥さんと18のとき知り合い、一緒に歌を歌うようになってスウェーデンに留学にきました。その後だんなさんとも知り合い、正月一緒に過ごしたり、夏遊んだりしています。
私の夫がヨシさんのブログのファンで毎日読んでいます。わたしも新しいことを教えてもらうたびに最近はこのブログからだな~とわかります。
そのほかキコママご夫婦も我が家にとまりがけであそびにきてくれたことがあります。
又聞きになるのですがヨシさんのおうわさは時々うかがっております。これからも楽しみにしています。
>こどもが3人いて保育所にその内二人
>通っていますが、先生はあまりにも
>すぐに休むのでよく代理の人が来ます
>が変わるので困ることも多いです。
>小学校に通う娘はクラスで一年だけで
>産休や育休の先生が3人代わって落ち着
>きませんでした。
>その場所にいるとしわ寄せが来ます。
文面から、しょっちゅう休む保育士の人にコリゴリしておられるのが、よく分かります。確かに、一般企業にしろ、公的部門にしろ、職員や従業員の継続性が途切れるために、企業やクライアント、子供を持つ親にしわ寄せが来るという、制度の裏側が良く分かります。
ヨーテボリのおすし屋さんは、私もお世話になっております。というか、普段、寿司はあそこでしか食べないようにしています。奥さんとお知り合いということは、私の出身県の南の県出身の方ですね(笑)。
ブログをお読みいただいて、まことに恥ずかしい限りです。
キコママさん御夫婦には、私も本当にお世話になりました。あるときは、自転車レースにも応援に来てくださったんですよ!
こちらこそ、これからもよろしくお願いします。もしよろしければ、ご関心のあるトピックなどお知らせくださると、こちらも参考になります。
それではまた!
自転車レースの記事は読ませていただいています。キコママファミリーが応援に来たときのも、(これはキコママのブログから読んだのかも)その次の年の特に途中で疲れてしまって眠くなったところからさいごまでこぎ続けたレースの日記も全部読ませていただきました。立派だなと思いました。やり遂げると後が気持ちいいものですよね。
私は香川出身で大学時代に岡山の奥さんと知り合ったんですよ。一緒に歌を歌っていました。ブログはこれからも夫婦で楽しみに読ませていただきます。共感することや新しく知ることが多くて読んでいて楽しいです。
もしクリファンスタにくることがあればどうぞお立ち寄りください。夫とともに楽しみに待っています。