「反逆罪」はどのように近代国家を形成したか 反逆罪 近代国家成立の裏面史 (岩波新書) 作者:将基面 貴巳 岩波書店 Amazon 今回紹介するのは、将基面貴巳による2024年の岩波新書『反逆罪 近代国家成立の裏面史』。著者は2002年の『反「暴君」の思想史』(現在は入手困難)がデビュー作となり、その後も政治思想についての本を発表し続けている。2021年に刊行された『従順さのどこがいけないのか』(ちくまプリマー新書)のように、入門者向けのものもある。 本書『反逆罪』はタイトルの通り、ヨーロッパにおける反逆罪という罪状の歴史を追った本だ。そのように聞くと、重箱の隅をつつくような、非常にニッチなテーマの本のように思われるかもしれない。ところが実際に読んでみると、このテーマが意外なほどにヨーロッパ史の本流に関わってくることがわかり、驚かされると思う。 反逆罪というものがどのような罪として定められ