近年の心理学では、実験結果が再現されない再現性問題が論じられようになってすでに長い。再現性問題にはいくつかの原因があるが、その一つにWEIRD問題がある。WEIRDとは、西洋の,教育を受けた,工業化された,豊かな,民主主義社会の…の頭文字を取ったもので、心理学の研究対象(被験者)がそうした人たちに偏っているせいで、研究成果をWEIRDな人々以外に一般化できない問題である。これについては以前にここで記事を書いたので、詳しくはそれを見てください。 こうした問題を背景として、古典的な認知科学に潜む隠された前提を暴き、新しい枠組みを提示してこれからを展望する興味深い論文(プレプリントの草稿)を読んだ。その論文の内容を大雑把に私の解説付きで紹介してみたい。 Ivan Kroupin, Helen E. Davis and Joseph Henrich "Beyond Newton" https://