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ブックマーク / lju.hatenablog.com (98)

  • アレックス・ガーランド “シビル・ウォー アメリカ最後の日” - three million cheers.

    “Civil War” Director, Writer : Alex Garland US, UK, 2024 かなりおもしろかった。 いま見るべき映画。 正確に言うなら、今年11月のアメリカ大統領選挙までの間に見ておいた方がいい映画。 タイトルの通り、内戦が巻き起こっている近未来のアメリカ合衆国が舞台。連邦正規軍を圧倒する西部連合軍がワシントン・D.C.を陥落する寸前、4人のジャーナリストが大統領へのインタビューを行うためニューヨークから1,400kmをかけて首都への旅に出る……という筋立てのロードムービー。 このタイトルと設定を聞いたとき、誰もが現実の大統領選、現実のアメリカの状況を考えずにはいられないだろう。 ただし映画内での内戦の構図は現実の政治状況に重ならないよう慎重に計算されている。「テキサスとカリフォルニアが主導する西部軍」という設定は決してアメリカ政治状況・党派対立を反

    アレックス・ガーランド “シビル・ウォー アメリカ最後の日” - three million cheers.
    sakstyle
    sakstyle 2024/10/14
    面白かった
  • ティム・クレイン “心は機械で作れるか” - three million cheers.

    “The Mechanical Mind: A Philosophical Introduction to Minds, Machines and Mental Representation, Third Edition” 2016 Tim Crane ISBN:432610340X 心は機械で作れるか [原著第3版] 作者:ティム・クレイン勁草書房Amazon 原著副題は「心、機械、心的表象への哲学入門」というもので、心的表象に関する哲学的な問題を分析哲学の視点で整理している。 主張としての大きなポイントは、 世界が何らかの因果的秩序に従っているという前提に立つなら、心も因果的秩序の中に含まれるものと考えるべきだ 因果的秩序にあるものすべてが物理主義で説明できるわけではない(すべての事実が物理学で確定されるということは認めるとしても、複雑な現象すべてを物理学に還元して説明することは実際

    ティム・クレイン “心は機械で作れるか” - three million cheers.
    sakstyle
    sakstyle 2024/07/29
    「心身問題を脇に避けて、あくまでも表象の問題に焦点を当てている」「表象に対する説明には非還元的アプローチが有望」「理論的存在者としての表象」「認知の計算理論は表象の還元的な定義を必要としない」
  • “ガールズバンドクライ” - three million cheers.

    ガールズバンドクライ ©東映アニメーション 高校中退して上京した仁菜を中心に結成された5人組バンド「トゲナシトゲアリ」がデビューしていくというストーリーのオリジナルアニメ。 主な特徴は、フル3Dだという点と、メンバー5人の声優がそのまま同じパートで演奏するバンドがリアル展開するという点。 EP1〜EP13まででシーズン1がちょうど完了した。EP1あたりだと3D表現と楽曲があまりしっくりこないと感じていたけど、主人公の切迫感と一貫性に引きずられて目を離せずにいるうちに、だんだん馴染めるようになった。特に、あたらしいメンバーとしてベースとキーボードが加わったことで楽曲としてもよくなったと思う。 企画自体は2023年5月始動で、その時点ではほとんど情報もなく、ただティザービジュアルだけが公開されていたような状態。いまになって振り返ってみると、このとき示された仁菜の絵がすべてで、まったくその通りに

    “ガールズバンドクライ” - three million cheers.
  • 遠藤健一 “物語論序説 〈私〉の物語と物語の〈私〉” - three million cheers.

    物語論序説: 〈私〉の物語と物語の〈私〉 作者:遠藤健一松柏社Amazon 物語論 (ナラトロジー) の主たる流れに従って、非言語的な物語より言語的な物語を対象としており、なかでも特に 「一人称の物語テクスト」(物語論の用語で言うと 「等質物語世界的物語テクスト」) を扱う。 部分的には、エクフラシスというかたちで絵画に関連する物語も扱われている。 全6章+補論から成り、1〜3章が理論編、4章〜6章と補論が実践編。 ポイント 語るということは、物語る世界の外側に立つことに他ならない。 語るということは、「語る〈私〉」(=潜在的な一人称の語り手) を不可欠に伴うことになる。 どの登場人物の視点が語りのパースペクティブを方向づけているのかという問題と語り手は誰なのかという問題はまったく別であり、区別すべきである。 第1章 物語論の臨界 ──視点、焦点化、フィルター [41ページ] 物語論の 「

    遠藤健一 “物語論序説 〈私〉の物語と物語の〈私〉” - three million cheers.
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    sakstyle 2024/01/07
    「筆者は、物語内容と物語言説のレベル間の混交という現象に着目する。」「エクフラシスというかたちで絵画に関連する物語も」
  • “大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ” 2023.11.01. - 2023.12.25. - three million cheers.

    大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ 国立新美術館 国立新美術館で開催。 ここは多数の展示室を持つ巨大な美術館なのでいつも雑多な展示をやっているイメージがあるけど、ちょうど日展とイヴ・サン・ローラン展も開催されていて、脈絡のなさがいつにも増して際立っていた。それぞれを訪れる客層がけっこう違っていたと思うのだが、そうした人々が雑然と混合して1階のロビーとカフェに溢れている状態がわりとカオスだった。 目玉は最初に待ち構える《Gravity and Grace》と、暗闇の部屋で展開される《Liminal Air Space》で、どちらもアートスペースの大きさを活かしたインスタレーション。 最近は美術館での写真撮影も認められることが多くなってきていて、この展覧会も全面的に撮影可だった。《Gravity and Grace》も写真を撮る人が目立っていたけれど、写真を媒体に体験

    “大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ” 2023.11.01. - 2023.12.25. - three million cheers.
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    sakstyle 2023/11/27
  • “ザ・クリエイター/創造者” - three million cheers.

    “The Creator” Director : Gareth Edwards US, 2023 AIとの戦争が続く近未来を舞台にした物語で、『ローグ・ワン』の監督ギャレス・エドワーズによるSF映画。 まず、冒頭で出てくる軌道要塞 USS NOMAD の造形と地上をスキャンする独特のムーブメントにやられた。 それから、スキャニングの光に先導されながら輸送機が侵攻するときに Radiohead の “Everything In Its Right Place” がかかるシーンも、あぁ、いまSF映画を見ているんだ…ということを強く実感させられる。なぜいまこの曲…?と思いつつ、センスなのか単なる好みなのか、とにかく意志をもって選曲しているというのが伝わって、気分が盛り上がる。航空機による小部隊の敵地侵入シーンにこの系統の曲って、意外な組み合わせだけどとても良い。 その後のロードムービー的展開では

    “ザ・クリエイター/創造者” - three million cheers.
    sakstyle
    sakstyle 2023/10/24
    「Simon Stålenhag とか Jakub Rozalsk のイラストみたいなテイストだったりして、とにかくSF的な絵が延々と続いていく贅沢な映画」「キーワードの扱い方がそれぞれ構成的に整理されてる」
  • Aunty Rayzor “Viral Wreckage” (2023) - three million cheers.

    ナイジェリアのラゴスで活動するアーティスト。ネオ・バイレやトラップ、ドリルなどのトラックにヨルバ語と英語のパワーあるラップを乗せる。 ウガンダのレーベル Hakuna Kulala からのリリースで Debmaster や Scotch Rolex がトラックを提供する女性ラッパー、というと、今年4月に “Yallah Beibe” をリリースした MC Yallah が思い起こされるけれど、キャリアの長い MC Yallah と比べると Aunty Rayzor はまだだいぶ若い。 このデビューアルバム "Viral Wreckage" に参加しているのは DJ Cris Fontedofunk、Scotch Rolex、Debmaster、Kabeaushé といったように世界のさまざまなプロデューサーたち。ナイジェリアのラップ/アフロビートがグローバルなアンダーグラウンド・シーンとつ

    Aunty Rayzor “Viral Wreckage” (2023) - three million cheers.
    sakstyle
    sakstyle 2023/09/20
    「ナイジェリアのラゴスで活動するアーティスト。ネオ・バイレやトラップ、ドリルなどのトラックにヨルバ語と英語のパワーあるラップを乗せる。」
  • “ロボット・アップライジング AIロボット反乱SF傑作選” - three million cheers.

    “Robot Uprisings” 2014 edited by Daniel H. Wilson and John Joseph Adams ISBN:4488772056 ロボット・アップライジング AIロボット反乱SF傑作選 (創元SF文庫) 作者:スコット・シグラー,チャールズ・ユウ,ヒュー・ハウイー,アーネスト・クライン,コリイ・ドクトロウ,ジュリアナ・バゴット,アレステア・レナルズ,イアン・マクドナルド,ロビン・ワッサーマン,ジョン・マッカーシー,ショーニン・マグワイア,ンネディ・オコラフォー,ダニエル・H・ウィルソン東京創元社Amazon 人工知能を持った自律機械が人間の制御を逸脱するという構図の作品13編から成る短編集。 「ロボットによる反乱」というタイトルでまとめられてはいるけれど、各作品の設定を比較すると、けっこうバリエーションに富んでいる。人間社会が崩壊しているものも

    “ロボット・アップライジング AIロボット反乱SF傑作選” - three million cheers.
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    sakstyle 2023/07/31
    作品ごとに特徴を表にしていて面白い(自律機械のタイプは? 文明崩壊は?など)/このテーマ自体にはあまり興味がないのだが、個別には気になる作品がちらほらあるな、この短編集……
  • 倉田タカシ “あなたは月面に倒れている” - three million cheers.

    あなたは月面に倒れている (創元日SF叢書) 作者:倉田 タカシ東京創元社Amazon 9作品を収載した短編集。 全体として会話の文体、固有名詞、フィーチャーする社会的事象の選好テイストが比較的自分の趣向に近くて、概ねストレスなく読めた。自分にとって邦SFは、内容以前にそのあたりで抵抗感じてしまうものが少なくないので……。 といっても内容自体は各作品とも、どこか不明瞭な部分があって、わりきれなさがもやもやと残るようなもの。最初の3編 “二の足で” “トーキョーをべて育った” “おうち” は特にそう。結局〈思考機械〉が黒幕なのかどうかがはっきりしないところとか、まだ状況を大人のようには理解できていない子どもの視点だとか、完全に意思疎通できないだとか……。妙に靄のかかったようなところのあるこの視野設定が個性的。 ハードサイエンスではなく、現存技術の近未来への外挿に拠っている点がSFとし

    倉田タカシ “あなたは月面に倒れている” - three million cheers.
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    sakstyle 2023/06/26
    「現存技術の近未来への外挿に拠っている点がSFとしての特徴」
  • ギャラガー, ザハヴィ “現象学的な心:心の哲学と認知科学入門” - three million cheers.

    現象学的な心: 心の哲学と認知科学入門 作者:ショーン・ギャラガー,ダン・ザハヴィ勁草書房Amazon 書籍紹介やブックフェアでよく見かけていたをようやく読んだ。 現代現象学の観点から「心の哲学」に対して分析哲学とも認知科学とも異なるアプローチで迫る。 これまで分析哲学が「心の哲学」を展開し認知科学の成果へも積極的に関係を結んでいったのに対して、現象学ではこの分野への関心が乏しく、分析哲学と現象学は対話もないまま長く対立・無関心の状態にあった。 だが「心の哲学」が扱うテーマはもともと現象学の研究対象の中心と重なっている。そして1990年代から状況が変化し、現象学と分析哲学の心の哲学との関係に関する研究が現れるようになる。また認知科学も「意識」や認知における身体といったものを取り上げ始め、fMRIなどを用いた実験でも被験者の経験に関する報告が扱われるようになって、認知科学での現象学の役割

    ギャラガー, ザハヴィ “現象学的な心:心の哲学と認知科学入門” - three million cheers.
    sakstyle
    sakstyle 2023/05/08
    現代現象学から、分析哲学や認知科学的な心の哲学へのアプローチ。「現象学は還元主義にも表象主義にもよらない」「「心の理論」に対する理論説とシミュレーション説の双方へ反駁」
  • グレッグ・ベア “鏖戦/凍月” - three million cheers.

    “HARDFOUGHT / HEADS” 1983, 1990 Greg Bear ISBN:4152102268 鏖戦【おうせん】/凍月【いてづき】 作者:グレッグ ベア早川書房Amazon グレッグ・ベアの中編『鏖戦』と『凍月』を収載したもの。 特に『鏖戦 HARDFOUGHT』は、自分にとってSFのなかでのオールタイム・ベスト。 最初に読んだのは『80年代SF傑作選』のなかでだったけど、今回の解説にも載っている初出誌コメントがそこで提示されていた。 作者紹介の前に警告を。あなたが読もうとしている作品は、これまで誌に載ったどんな作品とも違います。難解です──就寝前にさっと読める代物ではありません。けれどもこれは、とても読み甲斐のある作品です。読むのにかけた時間と労力を、あなたが後悔することはないでしょう。 ここまで唯一無比を謳う解説コメントもなかなかない。この紹介文のインパクトがすご

    グレッグ・ベア “鏖戦/凍月” - three million cheers.
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    sakstyle 2023/04/30
  • 古田徹也 “このゲームにはゴールがない ──ひとの心の哲学” - three million cheers.

    このゲームにはゴールがない ――ひとの心の哲学 (単行) 作者:古田 徹也筑摩書房Amazon 言語哲学のアプローチで「心」というものに迫る。 心身問題や他我問題などさまざまな難題を孕む「心」というものに対して、「心とは何か」という問いよりも、そもそもその「心」という語・概念で何を意味しようとしているのか、それはコミュニケーションの実践のなかでどのように用いられているものなのか、という問いから考えていく。 「心」にまつわる懐疑論は言語的混乱に基づくのであって、まずそれらを整理するべきだというアプローチをとる。ただそうした「混乱」は理論の失敗というより、むしろ悲劇と見るべきであって、「心」というものが「虚偽」や「振り」を含みながら日常のコミュニケーションの実践のなかで扱われるあり方が生の価値につながっている──という内容。 主題 「他者の心を確実に知ることは果たして可能なのか」という他我

    古田徹也 “このゲームにはゴールがない ──ひとの心の哲学” - three million cheers.
  • “フォワード 未来を視る6つのSF” - three million cheers.

    “Forward” 2019 edited by Blake Crouch ISBN:4150123926 フォワード 未来を視る6つのSF (ハヤカワ文庫SF) 作者:ブレイク・クラウチ,ベロニカ・ロス,N・K・ジェミシン,エイモア・トールズ,ポール・トレンブレイ,アンディ・ウィアー早川書房Amazon 6作品が収載されているけれど、ブレイク・クラウチの『夏の霜 Summer Frost』が良かったので、その感想だけ書いておく。 ゲーム内キャラクターのAIがテストプレイで異常行動を取り、これに興味を持った開発者がAIに自己進化を促したところ、知能が劇的に向上、最終的にシンギュラリティ突破へ……というストーリー。 人間を陥れるAIという点で映画『エクス・マキナ』に似ているけど、この作品には強い印象を残すふたつの特徴がある。 ひとつは、もともとのゲームの設定が物語によってなぞり直されること。

    “フォワード 未来を視る6つのSF” - three million cheers.
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    sakstyle 2023/01/04
    「6作品が収載されているけれど、ブレイク・クラウチの『夏の霜 Summer Frost』が良かった」「反転しながら伏線に絡み取られていく図式が無駄なく巧妙に組み上げられた短編」
  • E・H・カー “歴史とは何か” - three million cheers.

    “What Is History?” 1961 E. H. Carr ISBN:4004130018 歴史とは何か (岩波新書) 作者:E・H・カー岩波書店Amazon 歴史哲学の古典。最近新訳が出ているけど、読んだのは旧訳。 歴史は確かめられた共通の基礎的事実からなるものではなく、歴史的事実は歴史家の解釈に決定されるとともに、歴史家も歴史的事実から解釈をつくりあげるという相互的関係にある──というのが中心的主張。 Ⅰ 歴史家と事実 この書の主題:「歴史とは何か」 以前は「歴史は確かめられた事実の集成から成る」「すべての歴史家にとって共通な基礎的事実というものがある」という常識的歴史観があった。しかし、現在の歴史哲学はそのようには考えない。 歴史的事実というものは、歴史家の解釈から独立には存在しない。 かつては誰かが知っていたであろう無数の事実全体のうちから生き残って、これが歴史上の事実で

    E・H・カー “歴史とは何か” - three million cheers.
  • サイモン・エヴニン “デイヴィドソン──行為と言語の哲学” - three million cheers.

    デイヴィドソン―行為と言語の哲学 作者:サイモン エヴニン勁草書房Amazon デイヴィドソン哲学の入門的解説書。 デイヴィドソンの論文は哲学の専門的内容を前提として圧縮された議論が展開し、非常に難解であることで知られるが、書はデイヴィドソン哲学の全体像を捉えながら、明瞭な解説でその体系的思索を追っている。 デイヴィドソンの主たる関心:「言語」「心的なもの」「行為」 これらはすべて「寛容の原則」に従っている:合理的な人であればまさに合理的であるがゆえに受け入れることになる原則 まったく異なるふたつの構想 因果と説明に関わる構想:行為の説明や行為の産出、心身関係など、心の哲学の主題を、出来事と因果という基礎的概念で探求しようとするもの 解釈(学)的構想:意味の理論、根源的解釈、言語的全体論など、 言語哲学の諸問題 1. 心的なもの、行為心的なものについての非法則論 デイヴィドソン哲学の支柱

    サイモン・エヴニン “デイヴィドソン──行為と言語の哲学” - three million cheers.
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    sakstyle 2022/01/31
    「心的なものとは、存在論的範疇ではなく概念的範疇」「出来事は本来、物的でもなければ心的でもない」「言語を心的なものについての研究に結びつけている」
  • クリストファー・ノーラン “TENET” - three million cheers.

    “Tenet” Director : Christopher Nolan UK, US, 2020 非常に難解。多くの人が言っているように、タイムトラベル映画で過去最も難解と名を馳せてた『プライマー』(see. https://lju.hatenablog.com/entry/20111023/p1)を超える難度。でもアイデアはとても斬新で、映像として見たことのないおもしろさがある。 基的にタイムトラベル物のフィクションでは、過去方向であれ未来方向であれ、時間を「跳躍」することでタイムトラベルがおこなわれる。過去へのタイムトラベルも、現在から過去へ跳躍した後は、その時点から順行時間(未来方向へ流れる通常の時間)で過ごしていく。 “TENET” のあたらしいところは、過去へのタイムトラベルを離散的な「跳躍」ではなく、連続的な「逆戻し」として描いたという点にある。 もしこの世界の時間があると

    クリストファー・ノーラン “TENET” - three million cheers.
  • “ID:INVADED イド:インヴェイデッド” - three million cheers.

    監督・あおきえい、脚・舞城王太郎。 設定や話が少し難しくて若干取っつきづらいけど、おもしろかった。 いきなり超現実的世界に放り込まれている主人公が超現実的な殺人事件を解くはめになっている──というところから始まる。わけわからないまま見始めると、次第にそれが現実世界の犯罪捜査の一環としておこなわれるシミュレーションか何かであるとわかり、そうやって単発で起こる殺人事件を解決していく話の集積なのかな、と思わせる。 事件の背後にジョン・ウォーカーという怪しい存在を見え隠れさせながら、イド内部の鳴瓢、現実世界の〈井戸端〉、外務分析官という異なる場面が同時並行的に進む展開。 物語を導く主軸は次の三つ。 イド 殺意の残留物から、殺人者の無意識を具現化した仮想世界へ没入する。テクノロジーっぽい見かけが施されているけど、要は夢の中に潜るということ。『インセプション』っぽい雰囲気もある。 そこでは「カエルち

    “ID:INVADED イド:インヴェイデッド” - three million cheers.
  • “劇場版SHIROBAKO” - three million cheers.

    “劇場版SHIROBAKO” 監督 : 水島努 脚:横手美智子 2020 テレビシリーズから4年後の話。 SHIROBAKOの映画版はムサニが映画をつくる話になるんだろうな、と思ってたけど、その通りの内容。 だけど、物語開始時点の状況がこんなに厳しいというのは予想外だった。 元請をやれてない会社になってることよりも、前作の登場人物がことごとく離散状態みたいになってるところの方がショックで。アニメ業界ってそういう流動性があるものなのかもしれないけれども……。 とにかくテレビシリーズ最初のときよりもずっと厳しい状況。それは会議室での放送作品視聴人数の露骨な差に表れている。こうした対比は他にもあって、あらすじ説明のあとの編開始時、また社用車カーレースになると思いきやエンジンが停まってしまうという象徴的な描写とか。あるいは、ラジオから流れる曲の「仕方ない」とか「みんないなくなった」とかの歌詞も

    “劇場版SHIROBAKO” - three million cheers.
  • “OBSOLETE” - three million cheers.

    リアル路線のミリタリー系ロボットSF。 約12分の短いエピソード全6話から成るオムニバス。youtube配信での公開。 虚淵玄が原案・シリーズ構成を手がけている。 近未来、異星人からもたらされた技術を用いた人型機動兵器が各地の紛争に使われつつある時代、という世界設定。各回ともこの兵器をめぐる話を描きつつ、EP5とEP6を除くと直接的なつながりはなく、登場人物も舞台も時期も異なっている。 短い時間のなかに冗長なドラマ部分はなく、非常に断片的な物語が連ねられていく。通常の30分アニメから、後半の戦闘シーンの派手なクライマックス部分だけを抽出した、みたいな感じがある。 細切れのエピソードを通じ、さまざまな紛争の影にいる謎の戦闘部隊の存在が浮かび上がってくるという軸があるのだが、結局全体を通してはっきりした物語とはなっていない。格的な作品展開の前段、という位置付けに思えなくもない。 現在公開され

    “OBSOLETE” - three million cheers.
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    sakstyle 2020/01/15
    “それにしても、「使い捨ての量産型ロボット兵器」たちの動きがいちいちかっこいい。”
  • “キャロル&チューズデイ” - three million cheers.

    “キャロル&チューズデイ” 全面的に音楽をテーマにしたアニメ。 近未来の火星を舞台にしているけれど、ほとんど現実のニューヨークのような雰囲気。 劇中曲をかなり力を入れてつくっているのが大きな特徴。 とくに主役ふたりのユニットは、通常シーンを担う声優たちとは別に、演奏・歌唱シーンでは実際にオーディションで選ばれたミュージシャンふたりが英語で歌っていたりして、格的。 主役以外にも劇中世界のミュージシャンが多数登場し、彼らが演じるどの曲も手を抜かず、物語の展開上も説得力があるものとしてつくられている。 また、作中で演奏されるシーンの細かな描写も非常に良い。鍵盤を弾く指の動き、ギターの弦を擦る音。さらには、楽器ケースを開け閉めする効果音まで。音楽に関わる空気感というものの再現に力が注がれているのがよくわかる。 また、ダイバーシティをすごく意識している。民族的/文化的/性的/経済的/政治etc

    “キャロル&チューズデイ” - three million cheers.
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    sakstyle 2019/10/06
    こんなアニメやってたの全然知らなかった……