「時代と寝た女」――山口百恵の写真を撮り続けた写真家・篠山紀信は彼女をそう表現した。だが、デビューしたての頃の彼女は、野暮ったく、同世代のアイドルにも後れをとる存在だった。それを一変させた一曲が「青い果実」である。年端のいかない少女の大胆な「性」を思わせるこの曲は、14歳の新人アイドルを、時代の欲望に応える「トップスター」に生まれ変わらせた。 【写真】アルバムジャケに笑顔ナシ! ポスト百恵世代にもいた大胆戦略アイドル わずか8年間の歌手生活ながら、いまだ鮮烈な印象を残す「山口百恵」はいかにして生まれたのか。2021年7月16日に85歳で死去したプロデューサーの酒井政利氏は、彼女をスターダムに押し上げた育ての親である。生前のインタビューでは、「青い果実」こそ彼女の表現力を目覚めさせたと語っていた。 (「週刊新潮」2015年8月25日号別冊「『黄金の昭和』探訪」をもとに再構成しました。文中の年