「暴力」に対する社会の目は、近年ますます厳しくなり、体罰や性暴力などのフィジカルな暴力は当然ながら、さまざまな行為がハラスメントとして認知されてきている。一方、社会的制約によってどれだけ取り締まっても、暴力は人々の目につかないところで依然として残り続けてもいる。陰を潜める“暴力団”と入れ替わるようにして、半グレをはじめとした新興の反社会的勢力が台頭しているのも、その現れの一つだろう。 ヤクザ取材のエキスパートであるジャーナリスト・鈴木智彦氏は、時代によってヤクザの在り方が変わりつつあるものの、その暴力には「人間の本性がある」と語る。「人の生き死に」をテーマに30年以上ヤクザを追ってきた鈴木氏に、新刊『ヤクザ2000人に会いました』(宝島社)についての取材をおこなった。(小池直也) ヤクザはもはや同級生みたいな感じ ――本著はヤクザ文化の教科書のような本だなと感じました。 鈴木智彦(以下、鈴