CINEMORE(シネモア) 映画 シティ・オブ・ゴッド 『シティ・オブ・ゴッド』容赦なき地獄の暴力映画は、なぜ不朽の名作になりえたか? ※注!ネタバレ含みます
ボブ・マーリーの伝記映画『One Love』を観てきた。 最初のうちはボブがイケメン過ぎて、カリスマ性や神秘性がが薄いなあと思いながら観ていたのだが、そこを含めて、リタ・マーリー・プロデュースの映画なのだと納得して映画館を出ることになった。エピソードの選び方も、ディテールの描き込みも、妻の視線を含んでいるからこその説得力が。 ボブも弱さを抱えた一人の男だった。主演のキングズリー・ベン=アデルがそこを上手く演じている。 回想シーンも切なくて良かった。幼さの残るボブとリタの恋。短髪のボブをリタがラスタの教えに導く。コクソンのオーディション・シーンも最高だった。トレンチタウンのユース・ミュージックがきらきら輝いていた時代の空気が感じられる。 ボブは少年っぽいが、長身のピーター・トッシュはもうラスタ・カラーの帽子をかぶり、ヤバそうな雰囲気を出している。実際、こんな感じだったんだろう。 メインとなる
1980~90年代にかけてブラジル国内で放送された日本の特撮ヒーロードラマ人気が今も続いている。そのブームの火付け役となったのは、2人の日系人だった。サンパウロ在住フォトグラファー兼ライターの仁尾帯刀さんが取材した――。(後編/全2回) 1日17本の特撮ドラマが放送されたことも ブラジルでは1980、90年代に日本製特撮ヒーローのテレビドラマが何度も放送され、子供たちを夢中にさせた。放送回数は増え続け、複数のテレビ局により1日に計17本の特撮ドラマが放送されたこともあった。 特に人気の高かった『巨獣特捜ジャスピオン』では、関連グッズはおもちゃやお面にとどまらず、コミック、LPレコード、文房具など多岐に及んだ。 始まりは日本から持ち帰った「18本のビデオ」 1980年に佐賀大学に県費留学し、翌年ベスト電器佐賀本店で研修した日系1世の江頭俊彦さん(67)はブラジルに帰国する際、自らと父のために
2022年大ヒットしたファンキの曲、L7NNON & OS HAWAIANOSの”Desenrola Bate Joga de Ladin (Dj Bel da Cdd e Biel do Furduncinho)” バイレファンキ(Baile funk)やブラジリアン・ファンク(Brazilian funk)とも呼ばれるファンキ(Funk)。アメリカのヒップホップとはまた違うブラジルらしい魅力にあふれており、世界中の音楽ファンをとりこにしてきました。 私も地球の反対側でファンキを楽しんでいる一人です。レイブに行くようなパリピではなく、孤独に音源をあさるだけのオタクなのですが、オタクなりに毎日ファンキを聴いてきました。 ファンキはもともと爆音でかけて踊るための音楽で、理屈抜きで楽しめるのが魅力です。 ただその一方で、「分かりにくい」ジャンルだと思います。 「同じファンキでも、今と昔とではリ
2010年代初頭にブラジルの新世代が発見され、「ミナス新世代」として日本に紹介された。そのきっかけはマルチ奏者のアントニオ・ロウレイロ。彼の音楽の新鮮さはすぐにリスナーの間に広がり、彼と共演しているブラジルの同世代の豊かな才能たちが芋づる式に発見されていった。彼らの何人かは来日も果たしたし、アレシャンドリ・アンドレスやハファエル・マルチニらに関しては日本盤のリリースもあった。2010年代半ばには現代ジャズの最重要人物の一人でもあるギタリストのカート・ローゼンウィンケルが自作『Caipi』にアントニオ・ロウレイロ(とペドロ・マルチンス)を起用したこともあり、ジャズ・リスナーにとっても広く知られるようになった。 そんなアントニオ・ロウレイロらのコミュニティの中でも鍵盤奏者で作編曲家のハファエル・マルチニは中心人物のひとりと言っていい存在だった。グルーポ・ハモ『Ramo e a Liberdad
変なモノ好きで、比較文化にこだわる2人組(1号&2号)旅行ライターユニット。中国の面白可笑しいものばかりを集めて本にした「 中国の変-現代中国路上考現学 」(バジリコ刊)が発売中。 前の記事:ベトナムの街路樹コレクション(デジタルリマスター) > 個人サイト 旅ライターユニット、ライスマウンテンのページ 値段は40クルゼイロス。地方定価43クルゼイロスとあるが、おそらくブラジル日本人移民が多いサンパウロが40クルゼイロスでそれ以外が43クルゼイロスだと思われる。 50年近く前のブラジルの日本人移民向け雑誌 1975年頃の雑誌というだけでも面白いのに、さらに地球の裏側の日本の移民がブラジルで発刊していた日本語雑誌であり、二重で面白い。面白いに決まってる。 当時30歳の人が記事や漫画を書いていても、今では75歳ということになる。 いったいどんな内容なのだろうとページを開いていく。 今の雑誌と同
80年代半ば、レゲエ音楽にデジタル革命をもたらし、“モンスター・リディム”と称される「スレンテン」。その誕生の裏側には、カシオ計算機(本社:東京都渋谷区)の電子キーボードと新卒の女性開発者の存在があった。スレンテンのルーツ・奥田広子さんが、初めてベールを脱ぐ。 スレンテンのルーツはカシオトーンの音源 ジャマイカのシンガー、ウェイン・スミスの『Under Mi Sleng Teng(アンダ・ミ・スレンテン)』は、レゲエの世界に革命をもたらしたと言われる。友人のノエル・デイヴィーと2人で、カシオの電子キーボードを使って作曲したダンスホール・レゲエだ。1985年に大ヒットすると、デジタル音の心地よく、常習性のあるリズムは、またたく間に世界中に広がっていく。 レゲエでは、ドラムとベースのリズム体を「リディム」や「バージョン」、「オケ」などと呼び、これを繰り返すことで曲に鼓動を生む。同じリディムで複
英国の音楽雑誌MOJOは「最も偉大なレゲエ・アルバム TOP50」を発表。スカからダブ、ボブ・マーリーからThe Bugまで名盤50選 50. Aswad - New Chapter 49. The Paragons - On the Beach 48. Beenie Man - Art And Life 47. Herman Chin Loy - Aquarius Rock 46. Bunny Wailer - Blackheart Man 45. Yellowman - Mister Yellowman 44. Rhythm & Sound w/ Tikiman - Showcase 43. Horace Andy - Skylarking 42. Garnet Silk - It's Growing (Live) 41. John Holt - 1,000 Volts Of Holt
ここ日本においても絶大な人気を誇るレゲエ・ミュージック。音楽はもちろん、その文化やライフスタイルまで多大な影響を与え続け、今や日本は世界を代表する「レゲエ大国」になりました。ハマっちゃった人はジャマイカを訪れ、現地の空気をおもいっきり吸い込み、更に刺激されて何度も足を運んでしまう。最近では、ジャマイカ人と日本人の結婚も増えているそうで、産まれた子供はジャマイカン・ジャパニーズの意である「ジャパメカニーズ」なんて言葉もあるそうです。ここまで日本が「レゲエ大国」になった理由のひとつとして、80年代後半から90年代前半にかけて、世界的に起こったダンスホール・レゲエ・ムーヴメントがあげられるでしょう。アメリカ、イギリスと並ぶ音楽消費大国の日本にも、その波が押し寄せて来るのは当たり前のこと。その後、サウンドシステム・シーンが確立され、レゲエ・ダンサーも大活躍。「横浜レゲエ祭」は日本を代表する夏フェス
以下のようなラテンジャズ/カリビアンジャズについてジャズ・リスナーのためにザックリ解説する記事を作りました。ラテン音楽のガイドはルンバやサルサやティンバなどの情報は充実しているけど、ジャズについて書いているものがほとんどないので、そこだけにフォーカスしたものです。 ここではカリブ海に面する国におけるそれぞれの国の音楽とジャズが融合している事例を紹介しています。 その中で《イギリスのカリビアン・ジャズ:キューバ、トリニダード、バルバドス etc》ということでジャマイカやトリニダード、バルバドスからの移民たちがイギリスで作ったジャズを紹介しました。 その際にジャマイカとレゲエ/スカに関しては省いていたので、その記事の補足的にここに書きたいのと、ジャズのリスナーにもスカやジャマイカン・ジャズに触れてもらえればという思いでここに記事を作ることにしました。 なので、ここではジャズ目線だけで話を進めま
Likkle Maiが出演する刊行記念トーク+上映イベント、7/9(金)渋谷アップリンク・ファクトリーで開催 (c) Ted Bafaloukos レゲエ・ムービーの金字塔『ロッカーズ』(1978年)のメガホンをとったセオドロス・バファルコス監督がその制作の現場を綴ったフォト・エッセイ『ロッカーズ・ダイアリー』が発売された。 ギリシャ生まれのバファルコスは、カメラマンとしての夢をかかえアメリカに赴き、ニューヨークでレゲエに刺激を受け、全米ツアーを行っていたボブ・マーリィと出会うことで、本場ジャマイカで映画を制作することを決意する。連載第2回でご紹介する〈第3章 燃えるジャマイカ 〉は、友人のジャマイカ人とともにキングストンに旅行するチャンスを得るところからスタート。伝説のアーティスト、キング・タビーのスタジオやボブ・マーリィ宅を訪れたりといったエピソードとともに、色鮮やかなキングストンの街
レゲエは昔から一度としてメインストリームにいたことのない音楽だった。レゲエ・シーンきってのスターたちは、もっと広い世界から真っ当な認知を得ようと闘いを続けてきた。だがレゲエ・アーティストがチャート・ヒットを記録しても、大抵は一発屋扱いに終わり、次に出すレコードではまた無名のシンガーとして、イチから始めることを余儀なくされた。だが70年代になると、2本のジャマイカ映画が世界的な変化のきっかけを作ることになった。 そもそも問題だったのは、60年代や70年代のレゲエ・シンガーたちに関して、何ひとつ事前情報がなかったことだ。彼らの殆どはレコード会社との契約もきちんと交わしておらず、自主レーベルを運営する現地のプロデューサーたちを渡り歩き、レコードを作っては僅かばかりのギャラをもらっているだけだった。そのプロデューサーたちはアーティストのキャリアを伸ばすことにも、彼らのイメージを作り上げることにも一
ナタリー 映画 特集・インタビュー 「世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ」特集 映画「世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ」 PR 2020年3月25日 南米ウルグアイの第40代大統領ホセ・ムヒカをご存知だろうか。収入の大半を貧しい人々のために寄付し、職務の合間にトラクターで農業に勤しむ。自己犠牲をいとわず、質素な暮らしぶりから“世界で一番貧しい大統領”と称された政治家だ。 「アンダーグラウンド」「オン・ザ・ミルキー・ロード」などで知られる鬼才エミール・クストリッツァが、そんな彼に感銘を受け制作したドキュメンタリー「世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ」が3月27日より全国で順次公開される。 ドキュメンタリーではあるが、“愛と闘争”を背景とした本作は紛れもない“クストリッツァ映画”と言える。本特集ではイラストを交えてムヒカを紹介するほ
町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でNetflixで配信中のドキュメンタリー映画『ブラジル-消えゆく民主主義-』を紹介していました。 ブラジル 消えゆく民主主義 #tama954 pic.twitter.com/y4vfefnw24 — ギガント大ちゃん (@KV_II) 2019年7月16日 (町山智浩)実は今回はもう公開されているというか、配信が始まっている映画を紹介します。Netflixでもう6月から配信をされている『ブラジル-消えゆく民主主義-』というドキュメンタリー映画についてご紹介します。これ、なんでこれを紹介しようと思ったかというと、一昨日、クエンティン・タランティーノ監督の新作映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』っていう映画の記者会見に行ったんですよ。その映画の話はまだしちゃいけないんですけども。誓約書を書いたんで。 (赤江珠緒)ああ、なるほど!
ベネズエラの自殺 ―― 南米の優等生から破綻国家への道 モイセス・ナイーム カーネギー国際平和財団特別フェロー フランシスコ・トロ グループ・オブ・フィフティ 最高コンテンツ責任者 Venezuela’s Suicide Lessons From a Failed State Moises Naim ベネズエラの貿易産業大臣、フォーリンポリシー誌の編集長などを経て、現在はカーネギー国際平和財団特別フェロー。スペイン紙エル・パイス主任国際コラムニスト、アトランティック誌コントリビューティングエディターも務めている。 Francisco Toro グループ・オブ・フィフティ最高コンテンツ責任者、カラカス・クロニクルズ(ブログニュースサイト)創設者、ワシントンポスト紙グローバルオピニオン・コラムニスト インフレ率が年100万%に達し、人口の61%が極端に貧困な生活を強いられている。市民の89%が
ブラジル人映画監督/写真家のジョアン・ワイネー(João Wainer)を象徴する、3つの重要な経歴がある。まず、2009年の映画『Pixo』、次に、2011年に開局した〈TV Folha(TVフォーリャ)〉、そして、サンパウロ刑務所、通称〈カランジル(Carandiru)〉を撮った写真シリーズだ。カランジルは既に取り壊されているが、かつてはラテンアメリカにおける最大の刑務所だった。 1998年、ワイネーは初めてカランジル刑務所内に足を踏み入れ、〈アマレロン(Amarelão(黄色、弱虫)の意)〉に案内された。アマレロンとは、殺害の脅迫を受け、恐怖のあまり監獄から1歩も出れなくなった受刑者たちが収監されているエリアだ。息が詰まるような、不健康な環境である。「熱気がこもっていて、私のメガネが曇るほどでした」とワイネーは回想する。 カランジル刑務所は、1992年10月2日に起きた受刑者虐殺事件
■ムチャチョ―ある少年の革命 / エマニュエル・ルパージュ バンドデシネ作品『ムチャチョ―ある少年の革命』は一人の修道士の少年が革命と関わることで世界の諸相を知ってゆくという成長物語だ。 舞台は1976年、独裁政権下の中米ニカラグア。冒頭から軍部による暴力的な検問の様子が描かれ、不安な様相を感じさせながら物語は始まる。そんな軍部による圧制にあえぐある村に、教会の壁画制作を委任され一人の若い修道士が派遣される。修道士の名はガブリエル、富裕層に生まれ育った彼は、貧しいながらも明るく逞しく、そして猥雑に生きる村人たちの生活に、最初戸惑いつつも次第に馴染んでゆき、いつしか村の人気者にさえなってゆく。しかしそんな彼の描く絵を、村の神父ルーベンは「物事の上っ面しか見ていない薄っぺらな絵だ」と吐き捨てる。ルーベン神父は言う、ものの表皮の裏に隠された美を知るのだ、と。そんなある日、ガブリエルはルーベン神父
Slackness スラックネス。ダンスホールの歌詞で下ネタを扱ったもの 。 元は怠慢、緩み、たるみを示す。 ワンラヴ
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