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JP2011164264A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

定着装置及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】定着部材周方向の温度ムラや温度変動を抑制し、定着性の良好な画像が得られる定着装置及び該定着装置を備える画像形成装置を提供する。
【解決手段】回転する定着スリーブ21と、定着スリーブ21と当接する加圧ローラ31と、定着スリーブ21を介して加圧ローラ31と当接してニップ部を形成する当接部材26と、定着スリーブ21を直接または間接的に加熱する加熱機構部とを備え、前記加熱機構部は、定着スリーブ21の幅方向の異なる部分をそれぞれ加熱する複数の加熱手段と、該複数の加熱手段のうち、第1加熱手段の加熱位置よりも定着スリーブ21の回転方向上流側の所定位置に対応する定着スリーブ21の温度を検知する温度センサ41と、第2加熱手段の加熱位置に対応する定着スリーブ21の温度を検知する温度センサ42と、を有し、温度センサ41,42の温度検知結果に基づき定着スリーブ21の回転時における前記複数の加熱手段の加熱制御を行う。
【選択図】図17

Description

本発明は、定着装置及び該定着装置を備える電子写真方式、静電記録方式等を利用したFAX、プリンタ、複写機またはそれらの複合機等の画像形成装置に関するものである。
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置として、電子写真方式を利用した画像形成装置が種々考案されており公知技術となっている。その画像形成プロセスは、像担持体である感光ドラムの表面に静電潜像を形成し、感光ドラム上の静電潜像を現像剤であるトナー等によって現像して可視像化し、現像された画像を転写装置により記録紙に転写して画像を担持させ、圧力や熱等を用いる定着装置によって記録紙上のトナー画像を定着する過程により成立している。
この定着装置では、対向するローラもしくはベルトもしくはそれらの組み合わせにより構成された定着部材及び加圧部材が当接してニップ部を形成するように配置されており、該ニップ部に記録紙を挟みこみ、熱および圧力を加え前記トナー像を記録紙上に定着することを行っている。
前記定着装置の一例を挙げると、複数のローラ部材に張架された定着ベルトを定着部材として用いる技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような定着ベルトを用いた装置は、定着部材としての定着ベルト(無端状ベルト)、定着ベルトを張架・支持する複数のローラ部材、複数のローラ部材のうち1つのローラ部材に内設されたヒータ、加圧ローラ(加圧部材)、等で構成されている。ヒータは、ローラ部材を介して定着ベルトを加熱する。そして、定着ベルトと加圧ローラとの間に形成されたニップ部に向けて搬送された記録媒体上のトナー像は、ニップ部にて熱と圧力とを受けて記録媒体上に定着される(ベルト定着方式)。
また、上述した画像形成装置に用いられる定着装置において、回転体である定着部材の内面に摺接する固定部材を有している定着装置がある。
例えば、特許文献2では、発熱体(加熱手段)としてのセラミックヒータと、加圧部材としての加圧ローラとの間に耐熱性フィルム(定着フィルム)を挟ませて定着ニップ部を形成させ、前記定着ニップ部のフィルムと加圧ローラとの間に画像定着すべき未定着トナー画像を形成担持させた被記録材を導入して、フィルムと一緒に挟持搬送させることで、ニップ部においてセラミックヒータの熱がフィルムを介して被記録材に与えられ、また、定着ニップ部の加圧力にて未定着トナー画像を被記録材面に熱圧定着させるフィルム加熱方式の定着装置が開示されている。このフィルム加熱方式の定着装置は、セラミックヒータ及びフィルムとして低熱容量の部材を用いてオンデマンドタイプの装置を構成することができるとともに、画像形成装置の画像形成実行時のみ熱源としてのセラミックヒータに通電して所定の定着温度に発熱させた状態にすればよく、画像形成装置の電源オンから画像形成実行可能状態までの待ち時間が短く(クイックスタート性)、スタンバイ時の消費電力も大幅に小さい(省電力)等の利点がある。
しかしながら、熱容量の小さな定着部材を局所的に加熱する方式であるため、定着部材周方向の温度偏差(定点(ニップ部)における周期的な温度変動、温度リップルの変動幅ともいう)が生じやすく、とくに通紙時にニップ部を通過する記録媒体が定着部材から熱を奪うことにより発生する温度落込みなどの温度変動を精度良く解消することが困難であった。また、所定の待機状態のときに非通紙状態で加熱回転させた場合には温度偏差が非常に大きくなり、その状態で通紙を開始すると、画像内での光沢ムラやホットオフセットが発生しやすくなった。
この問題に対して、特許文献3では、温度センサ位置を加熱手段よりも回転方向上流側に配置して、回転速度と制御応答速度の関係から、温度検知位置と加熱位置が一致するように制御する手法が提案されている。しかしながら、待機時や非回転加熱時において加熱手段付近に別途温度センサが必要であった。
また、特許文献4において、定着部材幅方向端部を加熱する加熱手段への通電量を、中央部と端部の温度センサによる温度検知結果に基づいて決定しているが、温度検知位置すなわち加熱位置から定着部材表面への熱伝導に遅れがあると、定着部材周方向の温度ムラを抑えることができないという問題があった。
本発明は、以上の従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、良好なクイックスタート性や省電力化に対応しつつ、定着部材周方向の温度ムラや温度変動を抑制し、定着性の良好な画像が得られる定着装置及び該定着装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する本発明は、以下の通りである。
〔1〕 回転する無端状ベルトの定着部材(定着スリーブ21、定着ベルト201)と、前記定着部材の外周面と当接する加圧部材(加圧ローラ31)と、前記定着部材の内周側に配置され、該定着部材を介して前記加圧部材と当接してニップ部を形成する当接部材(当接部材26、定着ローラ202)と、前記定着部材を直接または間接的に加熱する加熱機構部と、を備え、前記加熱機構部は、前記定着部材の幅方向(軸方向)の異なる部分をそれぞれ加熱する複数の加熱手段(抵抗発熱層22b1,22b2、ハロゲンヒータ22h1,22h2)と、該複数の加熱手段のうち、第1加熱手段(抵抗発熱層22b1、ハロゲンヒータ22h1)の加熱位置よりも前記定着部材の回転方向上流側の所定位置に対応する該定着部材の温度を検知する第1温度センサ(温度センサ41)と、第2加熱手段(抵抗発熱層22b2、ハロゲンヒータ22h2)の加熱位置に対応する前記定着部材の温度を検知する第2温度センサ(温度センサ42)と、を有し、前記第1温度センサ及び第2温度センサの温度検知結果に基づいて、前記定着部材の回転時における前記複数の加熱手段の加熱制御を行うことを特徴とする定着装置(定着装置20,20’,20''、図17,図18,図24,図25)。
〔2〕 前記定着部材の回転時における前記複数の加熱手段の加熱制御は、前記第1温度センサ及び第2温度センサの温度検知結果に基づいて前記複数の加熱手段それぞれの通電量を決定し、該複数の加熱手段への通電を行うものであることを特徴とする前記〔1〕に記載の定着装置(図19)。
〔3〕 前記定着部材の回転時における前記複数の加熱手段の加熱制御は、前記第1温度センサの温度検知結果に基づいて前記定着部材の目標温度に対する温度変動分を補うために前記複数の加熱手段のうち対象の加熱手段で必要な電力量を算出し、前記第2温度センサの温度検知結果に基づいて前記定着部材の実温度が目標温度となるようにするために前記対象の加熱手段で必要な電力量を算出し、それらの電力量を合算したものを前記対象の加熱手段への通電量として決定することを特徴とする前記〔2〕に記載の定着装置。
〔4〕 前記第1温度センサの温度検知結果から得られる前記定着部材の温度変化傾向を打ち消すために前記対象の加熱手段で必要な電力量を前記対象の加熱手段への通電量にさらに加算することを特徴とする前記〔3〕に記載の定着装置。
〔5〕 前記第1加熱手段は該定着部材の幅方向中央部を加熱するものであり、前記第2加熱手段は前記定着部材の幅方向端部を加熱するものであることを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の定着装置。
〔6〕 待機時には、前記第2温度センサの温度検知結果に基づいて前記複数の加熱手段の加熱制御を行うことを特徴とする前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の定着装置。
〔7〕 前記加熱手段は、面状発熱体における抵抗発熱層またはハロゲンヒータであることを特徴とする前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の定着装置。
〔8〕 前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置(画像形成装置1、図23)。
本発明の定着装置によれば、必要十分な複数の温度センサで定着部材における複数の所定位置の温度を検知した結果に基づいて複数の加熱手段について所定の加熱制御を行うので、定着部材上の複数の温度センサが温度検知した部分と複数の加熱手段が加熱する部分とを一致させ、定着部材上の通紙などによる温度落込みなどの温度変動が発生した領域を精度良く目標温度まで加熱することが可能となる。
本発明の画像形成装置によれば、本発明の定着装置を備えるので、定着性が良好な画像を得ることができる。
本発明に係る定着装置の前提となる構成(1)を示す断面図である。 定着スリーブにおける軸方向、周方向を示す概略図である。 本発明で用いる発熱シートの構成を示す断面図である。 面状発熱体と発熱体支持部材を組み立てた例を示す斜視図である。 面状発熱体、発熱体支持部材、端子台ステイを組み立てた例を示す斜視図である。 図5の端子台ステイ上の面状発熱体の電極端子と給電線の接続状態を示す斜視図である。 図1の定着装置における定着スリーブ側の内部機構部の構成を示す断面図である。 本発明で用いる面状発熱体の構成例(1)を示す図である。 本発明で用いる面状発熱体の構成例(2)を示す上面図である。 本発明で用いる面状発熱体の構成例(3)を示上面す図である。 本発明で用いる面状発熱体の構成例(4)を示す上面図である。 本発明の定着装置における回転支持部材と面状発熱体と当接部材の配置例を示す断面図である。 本発明に係る定着装置の前提となる構成(2)を示す断面図である。 図13の定着装置で用いる回転支持部材の構成を示す斜視図である。 図13の定着装置における定着スリーブ側の内部機構部の構成を示す概略図である。 定着スリーブ上において面状発熱体が加熱する位置と同じ位置で温度を検知する温度センサのみで行う加熱制御例の説明図である。 本発明に係る定着装置の構成を示す断面図である。 図17の定着スリーブ上における面状発熱体と2つの温度センサの配置関係を示す展開図である。 本発明に係る定着装置の定着スリーブの回転時における加熱制御方法を示すブロック線図である。 定着スリーブ円周上の位置を示す断面概略図である。 定着スリーブの軸方向中央部における円周上の位置ごとの温度プロファイルと中央ヒータへの通電に関する電力量を示す図である。 定着スリーブの軸方向端部における円周上の位置ごとの温度プロファイルと端部ヒータへの通電に関する電力量を示す図である。 本発明に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。 本発明に係る定着装置の別の構成(1)を示す断面図である。 本発明に係る定着装置の別の構成(2)を示す断面図である。
以下に、本発明に係る定着装置及び画像形成装置の一実施の形態における構成について説明する。
まず、本発明に係る定着装置の前提となる構成について説明する。
図1は、本発明に係る定着装置の前提となる構成(1)を示す断面図である。
図1に示すように、定着装置20は、回転する無端状ベルトからなる定着部材(定着スリーブ21(定着回転体ともいう))と、前記定着部材の外周面と当接する加圧部材(加圧ローラ31(加圧回転体ともいう))と、前記定着部材の内周側に配置され、該定着部材を介して前記加圧部材と当接してニップ部を形成する当接部材(当接部材26)と、前記定着部材の内周側に該定着部材と当接または近接して配置され、前記定着部材を直接または間接的に加熱する面状発熱体(面状発熱体22)と、前記定着部材の内周側に該定着部材との間に前記面状発熱体を挟むように配置され、該面状発熱体を所定位置で支持する発熱体支持部材(発熱体支持部材23)と、を備える。なお、図1では、面状発熱体22が定着スリーブ21の内周面と当接し、直接加熱する構成を示している。
ここで、定着スリーブ21は、軸方向が通紙される記録媒体Pの幅に対応する長さを有し、可撓性を有するパイプ形状の無端状ベルトであり、例えば厚さが30〜50μmの金属材料からなる基材上に少なくとも離型層を形成したものであって、外径が30mmになっている。なお以降、図2(a)に示すように、定着スリーブ21のパイプ長手方向を軸方向と、図2(b)に示すように、定着スリーブ21のパイプ円周方向を周方向と称する。
定着スリーブ21の基材を形成する材料としては、鉄、コバルト、ニッケル、又はこれらの合金等の伝熱性のよい金属材料を用いることができる。
定着スリーブ21の離型層は、PFA等のフッ素化合物をチューブ状に被覆したものであって、その厚さは50μmになっている。離型層は、記録媒体P上のトナー像(トナー)Tが直接的に接する定着スリーブ21表面のトナー離型性を高めるためのものである。
加圧ローラ31は、アルミニウム、銅等の金属材料からなる芯金上に、シリコーンゴム(ソリッドゴム)等の耐熱性弾性層、離型層が順次形成されたものであって、外径が30mmになっている。弾性層は、肉厚が2mmとなるように形成されている。離型層は、PFAチューブを被覆したものであって、厚さが50μmになるように形成されている。また、芯金内には必要に応じてハロゲンヒータなどの発熱体を内蔵してもよい。また、加圧ローラ31は、加圧手段(不図示)により定着スリーブ21を介して当接部材26に圧接され、その圧接部が定着スリーブ21側が凹んだニップ部を形成している。そして、このニップ部に、記録媒体Pが搬送されることになる。
また、加圧ローラ31は、定着スリーブ21に圧接した状態で不図示の駆動機構により回転駆動され(図1において時計回り方向に回転)、この加圧ローラ31の回転に伴って定着スリーブ21が回転することになる(図1において反時計回り方向に回転)。
当接部材26は、定着スリーブ21の軸方向に長さを有し、少なくとも定着スリーブ21を介して加圧ローラ31と圧接する部分がフッ素系ゴムなどの耐熱性を有する弾性体からなるものであり、コア保持部材28により定着スリーブ21の内周側の所定位置に保持された状態で固定されている。また、当接部分26の定着スリーブ21の内周面と接する部分はテフロン(登録商標)シートなどの摺動性及び耐磨耗性の優れた材料からなるものとするとよい。
コア保持部材28は、金属などの板材が板金加工されてなり、定着スリーブ21の軸方向の長さに対応する長さを有し断面がH型形状の剛性部材であり、定着スリーブ21の内周側の略中心部分に配置されるものである。
またコア保持部材28は、定着スリーブ21の内周側に配置される種々の部材を所定位置に保持するものであり、例えばコア保持部材28のH型の一方(加圧ローラ31に対向する側)のくぼんだ部分に当接部材26を収納保持し、当接部材26が加圧ローラ31により加圧されても大きく変形しないようにニップ部とは反対面側から支持している。また、コア保持部材28は、当接部材26を該コア保持部材28から加圧ローラ31側に少し突出するように保持しており、ニップ部でコア保持部材28(また後述する加熱パイプ27)が定着スリーブ21に接触しないように配置されている。
また、コア保持部材28のH型の他方(加圧ローラ31側とは反対側)のくぼんだ部分に、定着スリーブ21の軸方向の長さに対応する長さを有し断面がT字型形状の端子台ステイ24及び端子台ステイ24上に延設され外部からの電力を供給する給電線25を収納保持している。さらに、コア保持部材28のH型の外面に発熱体支持部材23を保持している。図1では、定着スリーブ21の下方半周分(ニップ部の入側半周分)の領域で発熱体支持部材23を保持している。その際、組み立て性を勘案して発熱体支持部材23とコア保持部材28を接着してもよい。あるいは発熱体支持部材23側からコア保持部材28側への伝熱を防止するために、両者を非接着としてもよい。
発熱体支持部材23は、面状発熱体22を定着スリーブ21の内周面と当接または所定ギャップで近接させて配置するために該面状発熱体22を支持するものである。そのため、発熱体支持部材23は、断面形状を円形とした定着スリーブ21の内周面に沿った所定の弧の長さの外周面を有している。
また、発熱体支持部材23は、面状発熱体22の発熱に耐えるだけの耐熱性と、回転走行する定着スリーブ21が近接する面状発熱体22に接触した際に変形することなく面状発熱体22を支持するだけの強度と、面状発熱体22の熱をコア保持部材28側に伝えずに、定着スリーブ21側に伝えるようにする断熱性と、を有することが好ましく、例えばポリイミド樹脂の発泡成形体であることが好ましい。なお、面状発熱体22が定着スリーブ21の内周面と当接する構成の場合、回転走行する定着スリーブ21が面状発熱体22をニップ部側に引っ張る力が該面状発熱体22に作用するため、発熱体支持部材23は変形することなく面状発熱体22を支持するだけの強度が必要になるが、この場合にもポリイミド樹脂の発泡成形体が好適である。また、このポリイミド樹脂の発泡体の内部に補助的にソリッドの樹脂部材を設けて剛性を向上させるようにしてもよい。
面状発熱体22は、図3に示すように、絶縁性を有する基層22a上に、耐熱性樹脂中に導電性粒子が分散されてなる抵抗発熱層22bと、該抵抗発熱層22bに電力を供給する電極層22cと、が形成され、定着スリーブ21の軸方向、周方向に対応して所定の幅及び長さをもち可撓性を示す発熱シート22sを有する。また、基層22a上には、抵抗発熱層22bと隣接する別の給電系統の電極層22cとの間や発熱シート22sの縁部分と外部との間を絶縁する絶縁層22dが設けられている。なお、面状発熱体22は、発熱シート22sの端部で電極層22cに接続され、給電線25から供給される電力を該電極層22cに供給する電極端子22e(不図示、後述)を備える。
また、発熱シート22sの厚さは0.1〜1mm程度であり、少なくとも発熱体支持部材23の外周面に沿って巻きつけることができる程度の可撓性を有している。
ここで、基層22aは、PETまたはポリイミド樹脂などのある程度の耐熱性を有する樹脂からなる薄膜の弾性体フィルムであり、このうちポリイミド樹脂からなるフィルム部材であることが好ましい。これにより、耐熱性と、絶縁性と、ある程度の柔軟性(可撓性)を備える。
抵抗発熱層22bは、ポリイミド樹脂などの耐熱性樹脂中にカーボン粒子や金属粒子などの導電性粒子が均一に分散してなる導電性を有する薄膜であり、通電されると内部抵抗によりジュール熱として発熱する構成となっている。このような抵抗発熱層22bは、ポリイミド樹脂などの耐熱性樹脂の前駆体中にカーボン粒子や金属粒子などの導電性粒子を分散させた塗料を基層22a上に塗布して成膜するとよい。
また、抵抗発熱層22bは、基層22a上にまずカーボン粒子や金属粒子からなる薄膜の導電層が形成され、ついでその導電層上にポリイミド樹脂などの耐熱性樹脂からなる絶縁性薄膜を積層して一体化したものであってもよい。
なお、抵抗発熱層22bに使用するカーボン粒子は、通常のカーボンブラック粉末でもよいが、カーボンナノファイバ、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイルの少なくともいずれかからなるカーボンナノ粒子であってもよい。
また、金属粒子は、Ag、Al、Niなどからなる粒子であり、その形状は粒状であってもよいし、フィラメント状であってもよい。
絶縁層22dは、ポリイミド樹脂などの基層22aと同じ耐熱性樹脂からなる絶縁材料を塗布により形成するとよい。
電極層22cは、導電性インクやAgなどの導電性ペーストなどを塗布して形成したものでもよいし、金属箔や金属網などを接着して形成したものであってもよい。
面状発熱体22を構成する発熱シート22sは、厚みの薄いシートであることから熱容量が小さく、急速な加熱が可能であり、その発熱量は抵抗発熱層22bの体積抵抗率によって任意に設定できる。すなわち、抵抗発熱層22bを構成する導電性粒子の構成材料、形状、大きさ、分散量などにより発熱量を調整することが可能であり、例えば単位面積当りの発熱量35W/cmで、総電力1200W程度の出力が得られる面状発熱体22の実現が可能である。この場合、発熱シート22sは、例えば幅(軸方向)20cm、長さ(周方向)2cm程度のサイズとなる。
また、面状発熱体としてステンレスなどの金属フィラメントからなるものを用いた場合、フィラメントの存在により面状発熱体の表面には凹凸が生じていることから、本発明のように定着スリーブ21の内周面と摺動させると、表面が容易に磨耗してしまうが、本発明で使用する発熱シート22sは前述のように表面に凹凸がなく平坦であることから、定着スリーブ21の内周面との摺動に対して優れた耐久性を示す。またさらに、発熱シート22sの抵抗発熱層22b表面にフッ素系樹脂をコーティングすると、定着スリーブ21の内周面との接触に対する耐久性がさらに向上するので好ましい。
なお、発熱シート22sの定着スリーブ21内周面における配置領域としては、図1では、定着スリーブ21の内周面のニップ部とは反対側の位置からニップ部手前までにかけて配置された構成が示されているが、これに限定されるものではない。
定着装置20における定着スリーブ21側の組み立ては例えばつぎの手順で行う。
(S11) まず、発熱体支持部材23の外周面に沿って面状発熱体22の発熱シート22sを接着剤により貼り付ける(図4)。この際、接着剤は発熱体支持部材23への熱の流出を防ぐために熱伝導率の低いものを用いることが望ましい。
なお、このとき発熱シート22sにおける定着スリーブ21の周方向に対応する一方の端部に、前記電極層22cに接続される複数の電極端子22e(電極端子22e1,22e2)の全てを設けておく。図4では、発熱シート22sにおいて定着スリーブ21の周方向に対応する一方の端部(加圧ローラ31(ニップ部)側とは反対側の端部)の辺(端辺)上であって、定着スリーブ21の軸方向に対応する両端それぞれに電極端子22e1,22e2が1つずつ設けられている。
これはつぎのような理由による。すなわち、面状発熱体22には、抵抗発熱層22bに電力を供給する関係上少なくとも2つの電極端子22eを備えることになるが、例えば2つの電極端子22eを発熱シート22sの両端にそれぞれ1つずつ設けた場合、給電に要する電源ハーネス等を両端それぞれの電極端子22eに接続する必要がある。このとき、発熱シート22s自体は薄膜であり、それ自体の剛性が低いために給電用ハーネスを接続するための端子台を発熱シート22sの両端それぞれに備える必要があり、装置が大型化してしまう。そこで、本発明では電極端子22eを発熱シート22sの一方の端部にまとめて設けて給電される構成にすることにより装置の小型化を図っている。
また、発熱シート22sにおける定着スリーブ21の軸方向に対応する端部に電極端子22eを配置することも考えられるが、発熱体支持部材23の外周面に沿って発熱シート22sを貼り付けたとき、電極端子22eも湾曲するようになり、電源供給する電極部としてはネジ締結時の変形や端子部材の複雑化、組み立て性の悪化等の不都合が生じてしまう。そこで、本発明では発熱シート22sにおける定着スリーブ21の周方向に対応する一方の端部に複数の電極端子22eを配置しており、これにより発熱体支持部材23の外周面に沿って発熱シート22sを貼り付けたときでも電極端子22eを湾曲させず良好な組み立て性を実現している。
(S12) ついで、電極端子22e近傍の発熱シート22sを発熱体支持部材23の縁に沿って折り曲げて、電極端子22eが円形の定着スリーブ21の中央側に向かうようにした上で、電極端子22e1,22e2それぞれを、端子台ステイ24上で給電線25と接続固定する(図5,図6)。電極端子22e1,22e2の端子台ステイ24上での接続固定は、図6に示すようにネジ締結により行うとよい。また、発熱シート22sの電極端子22eが設けられる端辺の中央部から発熱シート22s固定用に延設された固定端子22fが設けられており、この固定端子22fも端子台ステイ24にネジ締結して固定する。
なお、発熱体支持部材23と発熱シート22sを接着剤等で固定しない場合には、発熱シート22sにおいてニップ部とは反対側に位置する電極端子22e及び固定端子22fが端子台ステイ24にネジ締結によって固定されるとともに、その固定された側から発熱シート22sをニップ部側に引っ張るように定着スリーブ21が回転することにより発熱シート22sは発熱体支持部材23と定着スリーブ21の内周面との間に挟まれた状態で安定して定着スリーブ21と接触するようになり、効率的に定着スリーブ21の加熱が可能となる。
(S13) つぎに、コア保持部材28をそのH型の一方のくぼんだ部分に端子台ステイ24が収納されるように装着し、さらにH型の他方のくぼんだ部分に当接部材26を装着して定着スリーブ21側の内部機構部を完成する(図7)。
最後に、この内部機構部を定着スリーブ21の内周側に挿入して、図1のように配置して定着装置20における定着スリーブ21側の組み立てを完了する。
このように構成された定着装置20は、例えば次のように動作する。
まず、画像形成装置が出力信号を受けると(例えばユーザの操作パネルの操作あるいはパソコンからの通信などにより画像形成装置に印刷要求があると)、定着装置20において、加圧ローラ31が定着スリーブ21を介して当接部材26に押圧され、ニップ部を形成する。
ついで、不図示の駆動装置によって、加圧ローラ31が図1の時計回り方向に回転駆動されると、定着スリーブ21も連れ回りして時計方向に回転する。このとき、面状発熱体22は発熱体支持部材23で支持された状態で、定着スリーブ21の内周面と当接し摺動する状態となる。
そして、それと同期して外部電源または内部の蓄電装置から給電線25を通じて面状発熱体22に電力が供給され、発熱シート22sが発熱し、定着スリーブ21は該発熱シート22sと接触していることから効率的に熱が伝達され、急速に加熱される。なお、駆動装置の動作と面状発熱体22による加熱は同時刻に同時に開始する必要はなく、適宜時間差を設けて開始しても良い。
このとき、ニップ部上流側であって、定着スリーブ21の外側又は発熱シート22sの内周側の発熱体支持部材23内から接触又は非接触に配置された温度検知手段(温度センサ)で検知される温度により、ニップ部が所定の温度となるように、面状発熱体22による加熱制御が行われており、定着に必要な温度まで昇温された後、保持され、記録媒体Pの通紙が開始される。
このように、本発明の定着装置では、定着スリーブ21及び面状発熱体22の熱容量が小さいため、省エネを図りつつウォームアップ時間やファーストプリント時間を短くすることができる。また、面状発熱体22における発熱シート22sは樹脂ベースのシートであるため、加圧ローラ31の回転、振動に起因する応力が発熱シート22sに繰り返し作用して、発熱シート22sの屈曲が繰り返し行われても疲労破壊することがなく、長時間の運転が可能である。
なお、画像形成装置への出力信号がない場合、通常は消費電力を抑えるために加圧ローラ31及び定着スリーブ21は非回転で、面状発熱体22は通電を停止されているが、すぐに再出力を開始したい(復帰させたい)場合は、加圧ローラ31及び定着スリーブ21が非回転の状態でも面状発熱体22に通電しておくことが可能である。この場合は、面状発熱体22に定着スリーブ21全体を保温させておく程度の通電を行う。
つぎに、本発明で使用する面状発熱体22における発熱シート22sの詳細構成について説明する。
すなわち、本発明において、発熱シート22sは、基層22aの主面上で任意に区画された複数の領域それぞれに、抵抗発熱層22bが独立して発熱可能に形成されてなる構成となっている。図8〜図10に、その構成例を示す。
図8(a)は、面状発熱体22の構成例(1)を示す上面図である。ここでは、面状発熱体22を発熱体支持部材23に貼り付ける前の状態で平坦面上に展開し上から見た状態を示している。また、図中横方向は、定着スリーブ21の軸方向に対応する幅方向であり、縦方向は定着スリーブ21の周方向に対応する長さ方向となっている。
図8(a)において、発熱シート22sは、その主面上について概略として幅方向(軸方向)で3分割され、さらに長さ方向(周方向)で2分割された6つの分割領域が形成されている。ここで、6つの分割領域を、長さ方向(周方向)が行成分、幅方向(軸方向)が列成分からなる行列マトリクスとして見たとき(図8(b))、(1,2)成分の分割領域(定着スリーブ21の軸方向中央部に対応する領域)に所定幅と長さをもつ抵抗発熱層22b1が形成され、(2,1)成分及び(2,3)成分の分割領域(定着スリーブ21の軸方向両端部に対応する領域それぞれ)に所定幅と長さをもつ抵抗発熱層22b2が形成されている。
また、(1,1)成分及び(1,3)成分の分割領域には、抵抗発熱層22b1に接続された電極層22cが形成されており、さらにそれぞれの電極層22cには発熱シート22sの一辺(図中下方の一辺)から延設された電極端子22e1が設けられ、第1の発熱回路が形成されている。
また、(2,2)成分の分割領域には、2つの抵抗発熱層22b2間を接続する電極層22cが形成され、さらに、2つの抵抗発熱層22b2それぞれには発熱シート22sの長さ方向(周方向)であって前記一辺(図中下方の一辺)側に延びる電極層22cが接続され、またさらにこれらの電極層22cそれぞれには発熱シート22sの該一辺から延設された電極端子22e2が設けられ、第2の発熱回路が形成されている。
また、前記第1の発熱回路と第2の発熱回路の間には両者のショートを防ぐ絶縁層22dが設けられている。
図8(a)の構成の面状発熱体22において、電極端子22e1から通電すると、抵抗発熱層22b1の内部抵抗によりジュール熱として発熱し、電極層22cでは低抵抗のために発熱しないことから、発熱シート22sの(1,2)成分の分割領域のみが発熱することになり、定着スリーブ21の軸方向中央部を加熱することができる。
また、電極端子22e2から通電すると、抵抗発熱層22b2の内部抵抗によりジュール熱として発熱し、電極層22cでは低抵抗のために発熱しないことから、発熱シート22sの(2,1)成分及び(2,3)成分の分割領域のみが発熱することになり、定着スリーブ21の軸方向両端部を加熱することができる。
したがって、定着装置20に小サイズ(狭い幅)の記録媒体Pが通紙される際には、電極端子22e1にのみ通電して、定着スリーブ21の軸方向中央部のみを加熱し、広い幅の記録媒体Pが通紙される際には、電極端子22e1及び22e2に通電して、定着スリーブ21の軸方向全幅を加熱することにより、エネルギー消費を抑えつつ記録媒体Pの幅に応じて適切な定着が可能となる。あるいは、定着装置20に小サイズ(狭い幅)の記録媒体Pが通紙される際には、電極端子22e2への通電量を電極端子22e1への通電量よりも少なくするようにしてもよい。また、記録媒体Pのサイズに応じて面状発熱体22の発熱量を制御できるので、小サイズ紙を連続して通紙しても非通紙部の温度が過度に上昇することなく、部材保護のための機器停止や生産性の低下を招くことがないようにすることができる。さらに、その異なる発熱部位の位置関係を一体の面状発熱体22で提供することにより別体の発熱体で構成するよりも軸方向の温度偏差の少ない発熱体とすることができる。
なお、発熱シート22sにおいて、それぞれの抵抗発熱層22b1,22b2の端部では、絶縁層22dや比較的熱伝導率の高い電極層22cへの熱の流出が発生するために発熱量が低くなる傾向にある。そのため、図8(a)のように、発熱シート22sの幅方向(軸方向)において中央の抵抗発熱層22b1と端部の抵抗発熱層22b2の境目を同一面とする構成であると、電極端子22e1及び22e2に通電した場合に、定着スリーブ21の軸方向の温度分布として抵抗発熱層22b1と抵抗発熱層22b2の境界で温度低下が生じ、定着不良等の異常画像が発生していた。そこで、図9または図10の構成を採用し、この不具合を改善することが好ましい。
図9は、面状発熱体22の構成例(2)を示す上面図である。
図9に示す面状発熱体22の基本的構成は、図8(a)に示すものと同じであるが、抵抗発熱層22b1と抵抗発熱層22b2のお互いの一部が発熱シート22sの幅方向(軸方向)で重なり合ってオーバーラップ領域を形成している点で相違する。これにより、電極端子22e1及び22e2に通電した場合の抵抗発熱層22b1と抵抗発熱層22b2の境界での温度低下を防ぐことができる。
図10は、面状発熱体22の構成例(3)を示す上面図である。
図10に示す面状発熱体22の基本的構成は、図9に示すものと同じであるが、抵抗発熱層22b1と抵抗発熱層22b2のオーバーラップ領域において、抵抗発熱層22b1,22b2それぞれと電極層22cとの境界線を長さ方向(周方向)に対してお互いに異なる方向に傾斜させて、抵抗発熱層22b1,22b2の重なり合う量を調整している点で相違する。
これは、図9の構成では抵抗発熱層22b1,22b2の重なり合う領域の面積比は幅方向(軸方向)で一定であり、その重なり合う幅のばらつきに伴い発熱量のばらつきも大きくなってしまうという不具合があるが、図10の構成では、抵抗発熱層22b1,22b2の重なり合う領域における面積比が幅方向(軸方向)で一定の割合で変化するようにして発熱分布の調整及び部品ばらつきの影響を低減させ、軸方向全体での温度均一性の改善を図り、図9の構成で生じる不具合を改善している。
以上のような図8〜図10の構成の発熱シート22sは、まず基層22a主面上の抵抗発熱層22b1,22b2に当る領域のみを露出させて塗布により抵抗発熱層22b1,22b2を形成し、ついで絶縁層22dに当る領域のみを露出させた状態で塗布により耐熱性樹脂のみからなる絶縁層22dを形成し、ついで電極層22cに当る領域のみを露出させて導電ペーストを塗布して電極層22cを形成することにより可能である。したがって、抵抗発熱層22b1,22b2に当る領域の露出形状を調整することにより、任意の形状の抵抗発熱層22b1,22b2を形成することができる。
また、本発明で使用する面状発熱体22は、複数の発熱シート22sが積層されてなり、該複数の発熱シート22sはそれぞれの基層22aの主面上の任意の領域に、抵抗発熱層22bが独立して発熱可能に形成されてなることが好ましい。図11に、その具体的構成を示す。
図11は、面状発熱体22の構成例(4)を示す分解斜視図である。
図11において、面状発熱体22は、図中上から順に、第1の発熱シート22s、絶縁層22dからなる絶縁シート、第2の発熱シート22sが積層されてなるものである。
ここで、第1の発熱シート22sは、その主面が幅方向(軸方向)に3分割されており、中央の分割領域に抵抗発熱層22b1が形成され、その両側の分割領域それぞれに該抵抗発熱層22b1に接続された電極層22cが形成されている。また、第2の発熱シート22sは、その主面が幅方向(軸方向)に5分割されており、幅方向(軸方向)の2番目と4番目の分割領域に抵抗発熱層22b2が形成され、残りの分割領域それぞれに該抵抗発熱層22b2に接続された電極層22cが形成されている。
この第1の発熱シート22sと第2の発熱シート22sが絶縁層22dからなる絶縁シートを挟んで重ね合わされており、第1の発熱シート22sには独立した第1の発熱回路が形成され、第2の発熱シート22sには独立した第2の発熱回路が形成されている。
これにより、第1の発熱回路に通電すると、抵抗発熱層22b1の内部抵抗によりジュール熱として発熱し、第1の発熱シート22sの幅方向(軸方向)中央領域のみが発熱することになり、定着スリーブ21の軸方向中央部を加熱することができる。また、第2の発熱回路に通電すると、抵抗発熱層22b2の内部抵抗によりジュール熱として発熱し、第2の発熱シート22sの幅方向(軸方向)両端部領域のみが発熱することになり、定着スリーブ21の軸方向両端部を加熱することができる。
図8〜図10に示した面状発熱体22のように、長さ方向(周方向)の分割まで行うと必要な発熱量を確保するために面状発熱体22全体の面積が大きくなり、小径の定着スリーブ21に対応できなくなる場合がある。そこで、図11に示すように面状発熱体22の厚さ方向に異なる発熱部位の発熱シート22sを積層することにより、図8〜図10に示した面状発熱体22と同様に異なる発熱分布を得られる面状発熱体22を実現しつつ、省スペース(小サイズ化)で高出力化を図ることが可能となる。
ところで、定着装置20では、回転時はニップ部で加圧ローラ31に引っ張られることから、ニップ部の上流側の定着スリーブ21は張力が付与された張り側となり、定着スリーブ21の内周面は発熱体支持部材23に圧接した状態で面状発熱体22と摺動している。一方で、ニップ部の下流側では定着スリーブ21に張力は作用しておらず弛んだ状態となっており、この状態のまま装置の高速化を図ろうとすると、ニップ部の下流側の定着スリーブ21の弛む程度がひどくなり、定着スリーブ21の回転走行安定性に支障が出てくることになる。
そこで、本発明の定着装置20において、定着スリーブ21の内周側であって少なくとも前記ニップ部下流側で、該定着スリーブ21の回転状態を支持する回転支持部材を備えることが好ましい。
図12に、その構成例を示す。ここでは、回転支持部材と面状発熱体22と当接部材26の配置例を示している。
図12(a)は、回転支持部材27Aとして金属体、例えばステンレスの薄膜パイプの内周に面状発熱体22を設け、回転支持部材27Aの外周側で定着スリーブ21を支持する構成例である。この構成により、定着スリーブ21の回転走行安定性が確保できるだけでなく、定着スリーブ21を剛性の高い金属製の回転支持部材27Aで支持できるので組立上のハンドリングが容易である。また、面状発熱体22が定着スリーブ21と直接接触摺動することはないので、面状発熱体22表面の保護層(摺動層)や絶縁層が摺動摩耗して、抵抗発熱層22bや電極層22cなどの導電体の露出による電気的リークの懸念がなくなる。なお、回転支持部材27Aとして金属体を備えているので熱容量が大きくなり、ウォームアップ時の昇温速度が図1の構成のものよりも遅くなる欠点がある。
図12(b)は、回転支持部材27A自体の機能は図12(a)と同じであるが、回転支持部材27Aの外周側に面状発熱体22を設けることにより定着スリーブ21への熱伝導を図12(a)のものよりも改善した構成である。ただし、面状発熱体22の裏面(回転支持部材27A側)からの熱流出(損失)は避けられない。
図12(c)は、図12(b)における回転支持部材27Aに替えて金属体よりも熱伝導率が低いソリッド樹脂からなる回転支持部材27Bとした構成である。これにより、面状発熱体22の裏面(回転支持部材27B側)からの熱流出(損失)を抑制することが可能であるが、一般的に樹脂の耐熱性は金属よりも低く、また高耐熱性樹脂は高額でありコスト的に不利であった。
図12(d)は、図12(c)におけるソリッド樹脂製の回転支持部材27Bに替えてポリイミド樹脂の発泡体からなる回転支持部材27Cとした構成である。ポリイミド樹脂の発泡体を用いることにより回転支持部材として必要な断熱性と剛性を確保することができる。また、図12(e)のように、ポリイミド発泡体からなる回転支持部材27Cの内周部に補助的に樹脂部材27Dを設けると、剛性がより向上するので好ましい。
図13は、本発明に係る定着装置の前提となる構成(2)を示す断面図である。ここでは、図1の定着装置に図12(a)の構成を追加したものとなっている。
すなわち定着装置20は、基本的構成が図1に示すものと同じであるが、定着スリーブ21の内周側に設けられるパイプ形状の回転支持部材27Aと、回転支持部材27Aの内周側であってニップ部下流側に配置されるようにコア支持部材28のH型外面に断熱支持部材29と、を備える点で相違する。
ここで、回転支持部材27Aは、例えば厚さ0.1〜1mmの鉄、ステンレス等の薄肉金属からなるパイプ形状のものであり、その外径が定着スリーブ21の内径よりも直径で0.5〜1mm程度小さいものとなっている。また、回転支持部材27Aの外周面においてニップ部側が軸方向に切断されて開口しており、その端部がコア支持部材28側に折り込まれて、ニップ部に接触しないようになっている。
また、定着スリーブ21と回転支持部材27Aとの界面部分に、シリコーンオイルやフッ素グリスなどの潤滑剤を塗布しておくとよい。これにより、定着スリーブ21と回転支持部材27Aの間に潤滑剤を介在させ、該潤滑剤によって定着スリーブ21と回転支持部材27Aとの接触摩擦抵抗力を低減させることができる。
断熱支持部材29は、ニップ部出側で、回転支持部材27Aを介して定着スリーブ21の熱に耐えるだけの耐熱性と、定着スリーブ21と接触する回転支持部材27Aからの熱流出(損失)を防ぐ断熱性と、回転走行する定着スリーブ21が回転支持部材27Aに接触した際に変形することがないように回転支持部材27Aを支持するだけの強度と、を有するものであり、発熱体支持部材23と同じポリイミド樹脂の発泡成形体であることが好ましい。
また、回転支持部材27Aは、図14に示すように、ニップ部の上流側の一定領域の外周面が除去されて開口部27aが設けられている。これにより、図15に示すように、定着スリーブ21の内部機構部を構成した場合に、開口部27aから面状発熱体22の全面が露出するようになり、該面状発熱体22が定着スリーブ21の内周面に近接して配置されるようになる。
したがって、面状発熱体22(発熱シート22s)は、発熱体支持部材23に支持されて、定着スリーブ21の内周面と所定ギャップδで近接して配置されるが、その定着スリーブ21とのギャップδは、回転支持部材27Aの厚さ以下、すなわち0<δ≦1mmとなることから、図12(a)における問題点を改善し、定着スリーブ21を効率的に加熱することが可能である。
図13に示した定着装置20は、図1に示した定着装置20と同様に、省エネを図りつつウォームアップ時間やファーストプリント時間を短くすることができる。また、面状発熱体22における発熱シート22sは樹脂ベースのシートであるため、加圧ローラ31の回転、振動に起因する応力が発熱シート22sに繰り返し作用して、発熱シート22sの屈曲が繰り返し行われても疲労破壊することがなく、長時間の運転が可能である。また、面状発熱体22において、定着スリーブ21の軸方向の異なる発熱部位で発熱することにより、通紙する記録媒体Pのサイズに対応して効率的な温度制御を行うことが可能である。これに加えて、回転支持部材27A(必要に応じて断熱支持部材29)を設けることにより、定着スリーブ21の回転走行安定性を向上させることができ、高速化を図ること可能となる。また、回転支持部材27Aにおいて定着スリーブ21の軸方向への熱伝導により、定着スリーブ21の軸方向の温度均一化を補助的に行うことができるので、より高速の装置へ対応することが可能となる。
以上に示した図1,図13の定着装置20では、定着スリーブ21の温度を検知する温度センサを配置し、該温度センサの検知結果に基づいて面状発熱体22による加熱制御を行っている。
定着装置20における基本的な加熱制御は次のとおりである。なお、温度センサが定着スリーブ21上において面状発熱体22が加熱する位置と同じ位置で温度を検知するように配置された構成とする。
まず、定着装置20の電源がOFFの状態や、いわゆる省電力モードに移行している際などは、定着スリーブ21の温度は低い状態となっている(通常、50℃以下のことが多い。)。
この状態でユーザが電源をONにした場合、あるいは画像形成装置から印刷の要求などを行った場合には、温度センサの検知温度が印刷可能温度未満であることから、加圧ローラ31を駆動する回転駆動系を停止状態にしておき、印刷が可能になるように定着スリーブ21の加熱を行う(静止加熱と称する。)。本実施形態では、定着スリーブ21の加熱は、面状発熱体22における複数の抵抗発熱層22bn(nは2以上の整数)それぞれを発熱させ、その熱を直接または間接的に定着スリーブ21に伝達することで行う。
ついで、温度センサの検知温度が印刷可能温度となった時点で、回転駆動系を始動して加圧ローラ31を回転させて、定着スリーブ21をつれ回りさせることにより、定着スリーブ21の周方向の温度の均一化を図った上で印刷動作へ移行する。
このような加熱制御を行うことにより、消費電力の低減や走行距離の短縮に伴う定着装置の長寿命化を図ることができる。なお、その後、印刷を行わないときは定着スリーブ21を停止した状態で保温し(スタンバイ状態と称する。)、印刷の要求があった場合に即座に回転を開始する動作を行なうようにする。
また、定着装置20が図13に示したものであって、定着スリーブ21と回転支持部材27Aとの界面部分に潤滑剤が塗布されている場合、つぎのような加熱制御を行うとよい。
まず、定着スリーブ21の温度を温度センサにより監視し、温度センサの検知温度があらかじめ設定された温度T1未満の場合、定着スリーブ21を静止状態にして面状発熱体22により加熱を行う。その後、温度センサの検知温度がT1となった時点で、回転駆動系を始動して加圧ローラ31を回転させて、定着スリーブ21をつれ回りさせることにより、定着スリーブ21の周方向の温度の均一化を図る。ついで、温度センサの検知温度が印刷可能温度T2となった時点で、印刷動作へ移行するものとする。
このように、電源ON時やいわゆる省電力モードなど定着スリーブ21の温度が低い状態から温度を上昇させる際に、定着スリーブ21の温度が一定温度(T1)未満の場合には静止加熱を行い、一定温度以上になってから回転加熱、すなわち回転駆動を開始することにより、定着スリーブ21の温度が一定温度以上になり潤滑剤の粘度が低くなってから定着スリーブ21を回転させることになり、定着スリーブ21と回転支持部材27Aとの界面の接触摩擦抵抗が小さい状態で両者を摺動させることができるため、当該摺動部での負荷、トルクを小さくすることができ、よって回転駆動系、さらにそれに関連する部材や連結部材などの損傷、破壊の発生を防ぐことができる。
なお、前記のように静止加熱を終了する温度T1を例えば100℃とする。
以上のように、定着装置20の立ち上げ時やスタンバイ時などの加熱制御では、後述する温度センサ41,42のうち、定着スリーブ21上において面状発熱体22が加熱する位置と同じ位置で温度を検知する温度センサ42のみを使って安全な加熱制御を行うことが可能である。
つぎに印刷動作に移行すると、定着スリーブ21が回転した状態で、該定着スリーブ21の温度が記録媒体P上の未定着トナーを定着させるために必要な温度(目標温度)となるように加熱制御が行われる。
このとき、記録媒体Pがニップ部を通過する際に接触した定着スリーブ21から熱を奪うために、定着スリーブ21ではその部分の急激な温度の落込みが発生する。ここで、定着スリーブ21上において、面状発熱体22が加熱する位置と同じ位置で温度を検知する温度センサのみが配置された構成では、図16に示すように、温度センサが回転する定着スリーブ21の温度変動(目標温度に対する温度落込みまたはオーバーシュート)を検知しても、その時点から所定の加熱制御が行われて面状発熱体22が発熱するようになるために、定着スリーブ21上の温度変動が発生している部分を適切に加熱することができず、ニップ部直前の温度(ニップ前温度)に落込みが発生し、定着不良などの問題が起こった。また、この温度変動が抑制できたとしても、定着スリーブ21のニップ前温度が目標温度前後で変動し、光沢の安定した定着画像が得られないことがあった。
本発明は、これらの問題を解決するものである。以下、本発明の定着装置20の根幹を成す構成について説明する。
図17,図18に、本発明の定着装置20に温度センサを配置した構成を示す。図17は、本発明に係る定着装置の構成例を示す断面概略図であり、図18は、図17に示す定着スリーブ21を展開し、該定着スリーブ21上における面状発熱体22と2つの温度センサの配置関係を示す概略図である。なお、ここでは図8に示す面状発熱体22の構成を前提としている。
定着装置20は、定着スリーブ21の外周上に該定着スリーブ21上の異なる複数の点の温度をそれぞれ測定する複数の温度センサを有する。ここでは、2つの温度センサ41,42を有する例を示しており(図17)、詳しくは面状発熱体22を構成する複数の加熱手段(抵抗発熱層22b)のうち、第1加熱手段(抵抗発熱層22b1)の加熱位置よりも定着部材(定着スリーブ21)の回転方向上流側の所定位置に対応する該定着部材の温度を検知する第1温度センサ(温度センサ41)と、第2加熱手段(抵抗発熱層22b2)の加熱位置に対応する前記定着部材の温度を検知する第2温度センサ(温度センサ42)と、を有する(図18)。
すなわち、温度センサ41は、定着スリーブ21上の軸方向において面状発熱体22の中央部の加熱手段である抵抗発熱層22b1の加熱位置(とくに抵抗発熱層22b1の加熱領域の中央部)であって、周方向において抵抗発熱層22b1の加熱位置と重ならず該加熱位置(とくに抵抗発熱層22b1の加熱領域の中央部)から定着スリーブ21の外周円上を中心角θだけ回転上流側にさかのぼった位置の温度を検知するものである。なお、角度θは、加熱機構部における通電制御系の加熱制御応答速度が確保できるだけ温度センサ41が定着スリーブ21の外周円上を回転上流側にさかのぼった位置となるように設定するとよい。
また、温度センサ42は、定着スリーブ21上の軸方向及び周方向において面状発熱体22のいずれかの端部の加熱手段である抵抗発熱層22b2の加熱位置(とくに抵抗発熱層22b2の加熱領域の中央部)の温度を検知するものである。
なお、本発明で用いる温度センサ41,42は、非接触、接触いずれの方式のものでもよく、本発明の効果を得るために必要な温度検知精度を示す温度検知方式であればどのような温度検知方式でもよい。例えば、接触式のサーミスタ、あるいは非接触式のサーミスタやサーモパイルなどを用いるとよい。
ここで、定着装置20では、温度センサ41及び温度センサ42の温度検知結果に基づいて、定着スリーブ21の回転時における複数の抵抗発熱層22bnからなる面状発熱体22の加熱制御を行うことを特徴とする。
なお、定着スリーブ21の回転時とは、定着スリーブ21を所定温度(目標温度)に加熱することを伴う該定着スリーブ21の回転時のことであり、印刷動作により定着装置20のニップ部に未定着トナーが転写された記録媒体Pを通過させ定着させるために定着スリーブ21が回転している時だけでなく、印刷動作前または印刷動作中において定着装置20のニップ部に記録媒体Pを通過させずに定着スリーブ21が回転している時も含む。また、抵抗発熱層22b1,22b2を有する面状発熱体22と、温度センサ41,42と、温度センサ41及び温度センサ42の温度検知結果に基づいて複数の抵抗発熱層22bnそれぞれの通電量を決定し、該複数の抵抗発熱層22bnへの通電を行う通電制御系と、からなるものを加熱機構部と称する。
以下、図19に基づいて、定着スリーブ21の回転時における複数の抵抗発熱層22bnからなる面状発熱体22の加熱制御に関して具体的に説明する。
図19は、本発明の定着装置の定着スリーブ21の回転時における加熱制御方法を示すブロック線図である。
図19に示すように、加熱機構部における通電制御系は、中央比例制御器と、中央微分制御器と、端部比例制御器と、中央遅延制御器と、端部遅延制御器と、を有し、定着スリーブ21の回転時における複数の抵抗発熱層22bnからなる面状発熱体22の加熱制御として、温度センサ41及び温度センサ42の温度検知結果に基づいて前記中央比例制御器、中央微分制御器、端部比例制御器で電力量を計算して、前記複数の抵抗発熱層22bnそれぞれの通電量を決定し、中央遅延制御器と端部遅延制御器で求めた通電タイミングで該複数の抵抗発熱層22bnへの通電を行う。
詳しくは、定着スリーブ21の回転時における複数の抵抗発熱層22bnからなる面状発熱体22の加熱制御は、温度センサ41の温度検知結果に基づいて定着スリーブ21の目標温度に対する温度変動分(温度落込み分またはオーバーシュート分)を補うために前記複数の抵抗発熱層22bnのうち対象の抵抗発熱層22bi(i=1,2・・・)で必要な電力量を算出し、温度センサ42の温度検知結果に基づいてニップ部における定着スリーブ21の温度が目標温度となるようにするために前記対象の抵抗発熱層22biで必要な電力量を算出し、それらの電力量を合算したものを前記対象の抵抗発熱層22biへの通電量として決定する。また、温度センサ41の温度検知結果から得られる定着スリーブ21の温度変化傾向を打ち消すために前記対象の抵抗発熱層22biで必要な電力量を前記対象の抵抗発熱層22biへの通電量にさらに加算することがより好ましい。
これらの具体的手順は次のとおりである。ここでは、定着スリーブ21において目標温度に対する温度落込みが発生する場合を説明する。
(S101) 通電制御系は、まず(a)定着スリーブ21の目標温度(Tref)を設定する。
(S102) 定着装置20のニップ部を記録媒体(用紙)Pが通過することにより、該ニップ部から熱が奪われ、定着スリーブ21の軸方向の中央部温度及び端部温度が低下する(温度落込み)。なお、ここでは定着スリーブ21の定着有効幅の全幅に相当する幅を有する記録媒体Pが通過するものとする。
(S103) (k)中央温度センサ(温度センサ41)で検知した定着スリーブ21の中央部のセンサ温度(Tc),(l)端部温度センサ(温度センサ42)で検知した定着スリーブ21の端部のセンサ温度(Ts)をフィードバックし、定着スリーブ21の目標温度とそれぞれのセンサ温度の差分値を計算する。
(S104) 定着スリーブ21の目標温度と中央部のセンサ温度の差分値を(b)中央比例制御器に入力し、定着スリーブ21の目標温度に対する温度落込み分を補うために前記複数の抵抗発熱層22bnのうち対象の抵抗発熱層22biで必要な電力量を算出する。ここでは、つぎの式(1)で表される中央ヒータ(抵抗発熱層22b1)への電力量P1を計算する。なお、Kp1は中央比例制御器における比例制御の係数である。
P1=Kp1*(Tref−Tc) ・・・(1)
また、中央比例制御器は、端部ヒータ(抵抗発熱層22b2)への比例制御器の役割もあり、つぎの式(2)で表される端部ヒータ(抵抗発熱層22b2)への電力量P2を計算する。なお、Kp2は中央比例制御器における比例制御の係数である。
P2=Kp2*(Tref−Tc) ・・・(2)
(S105) 定着スリーブ21の中央部のセンサ温度を(c)中央微分制御器に入力し、定着スリーブ21の温度変化傾向を打ち消すために前記対象の抵抗発熱層22biで必要な電力量を算出する。ここでは、つぎの式(3)で表される中央ヒータ(抵抗発熱層22b1)への電力量P3を計算する。なお、Kd3は中央微分制御器における微分制御の係数であり、tは時間、△tは制御周期である。
P3=Kd3*(Tc[t]−Tc[t−△t])/△t ・・・(3)
また、中央微分制御器は、端部ヒータ(抵抗発熱層22b2)への微分制御器の役割もあり、つぎの式(4)で表される端部ヒータ(抵抗発熱層22b2)への電力量P4を計算する。なお、Kd4は中央微分制御器における微分制御の係数である。
P4=Kd4*(Tc[t]−Tc[t−△t])/△t ・・・(4)
この入力により、端部ヒータにおいても事前に温度変化傾向を予測できる。
(S106) 定着スリーブ21の目標温度と端部のセンサ温度の差分値を(d)端部比例制御器に入力し、面状発熱体22の発熱が定着スリーブ21表面まで伝熱してニップ部における定着スリーブ21の実温度が精度良く目標温度となるようにするために前記対象の抵抗発熱層22biで必要な電力量を算出する。この入力により、ニップ部直前の定着スリーブ21の温度を目標温度に近づけることができる。ここで、端部比例制御器は、中央ヒータ(抵抗発熱層22b1)への比例制御器の役割もあり、つぎの式(5)で表される中央ヒータ(抵抗発熱層22b1)への電力量P5を計算する。なお、Kp5は端部比例制御器における比例制御の係数である。
P5=Kp5*(Tref−Ts) ・・・(5)
また、つぎの式(6)で表される端部ヒータ(抵抗発熱層22b2)への電力量P6を計算する。なお、Kp6は端部比例制御器における比例制御の係数である。
P6=Kp6*(Tref−Ts) ・・・(6)
以上の算出方法は、定着スリーブ21の中央部と端部では、その温度及び温度変化がほぼ同一であることを前提としている。すなわち、定着スリーブ21の温度変化に対応するための中央ヒータ(抵抗発熱層22b1)及び端部ヒータ(抵抗発熱層22b2)への電力量は温度センサ41の温度検知結果に基づいて算出し、目標温度に対する定着スリーブ21の温度差(絶対値)に対応するための中央ヒータ(抵抗発熱層22b1)及び端部ヒータ(抵抗発熱層22b2)への電力量は温度センサ42の温度検知結果に基づいて算出している。
(S107) 以上の算出結果から、中央ヒータ(抵抗発熱層22b1)への通電量Pcがつぎの式(7)で求められる。
Pc=P1+P3+P5 ・・・(7)
また、端部ヒータ(抵抗発熱層22b2)への通電量Psがつぎの式(8)で求められる。
Ps=P2+P4+P6 ・・・(8)
(S108) (e)中央遅延制御器、(f)端部遅延制御器により、中央ヒータ(抵抗発熱層22b1)、端部ヒータ(抵抗発熱層22b2)への通電のタイミングを遅らせるように、つぎの式(9),(10)で表される通電タイミングを算出する。なお、tは時間、dは遅れ時間である。
Pc’[t]=Pc[t−d] ・・・(9)
Ps’[t]=Ps[t−d] ・・・(10)
(S109) 式(9),(10)で求められた通電タイミングで、中央ヒータ(抵抗発熱層22b1)に通電量Pcで通電し、端部ヒータ(抵抗発熱層22b2)に通電量Psで通電する。
これにより、定着スリーブ21上の温度センサ41,42の温度検知した部分と面状発熱体22(中央ヒータ(抵抗発熱層22b1)、端部ヒータ(抵抗発熱層22b2))が加熱する部分とが一致するようになるとともに、定着スリーブ21上の通紙などにより温度落込みが発生した領域を精度良く目標温度まで加熱することができる。
以上の加熱制御を定着装置20に適用した例を図20〜図22で説明する。図20は定着スリーブ21円周上の位置を示す断面概略図、図21は定着スリーブ21の軸方向中央部における円周上の位置ごとの温度プロファイルと中央ヒータ(抵抗発熱層22b1)への通電に関する電力量を示す図であり、図22は定着スリーブ21の軸方向端部における円周上の位置ごとの温度プロファイルと端部ヒータ(抵抗発熱層22b2)への通電に関する電力量を示す図である。
ここでは、印刷動作により定着スリーブ21を回転させながら記録媒体(用紙)Pをニップ部に通過させるときの加熱制御例を示す。また、図20に示すように、定着スリーブ21の軸方向中央部(温度センサ41の軸方向の測温位置に該当する)、端部(温度センサ42の軸方向の測温位置に該当する)それぞれにおいて、印刷動作により記録媒体(用紙)がニップ部を通過するときの定着スリーブ21円周上の4つの定点における温度変動を測定した。なお、定着スリーブ21円周上の4つの定点とは、定着スリーブ21と加圧ローラ31のニップ部である測定位置R1、ニップ部から90°回転した回転下流部分である測定位置R2、ニップ部から180°回転した回転下流部分であって温度センサ41の測温位置である測定位置R3、ニップ部から270°回転した回転下流部分であって面状発熱体22の加熱位置であるとともに温度センサ42の測温位置である測定位置R4である。
図21,図22において、記録媒体(用紙)Pの通紙を開始すると、まずニップ部(測定位置R1)においてt=0.5secで1枚目の用紙先端が到達し、温度変動(温度落込み)が始まり、定着スリーブ21の温度が10deg低下する。ついで、t=3.0secで1枚目の用紙後端が抜けて温度落込みが終了する(図21(a),図22(a))。
定着スリーブ21における温度落込み部分は、定着スリーブ21の回転に伴い回転下流側に移動する。例えば、ニップ部において1枚目の用紙先端が到達して温度落込みが始まった部分(図21(a),図22(a)におけるt=0.5secの部分)は、測定位置R2ではt=1.0secで到達し(図21(b),図22(b))、測定位置R3ではt=1.5secで到達する(図21(c),図22(c))。
このt=1.5secの時点で、温度センサ41が温度落込み開始を検知する(図21(c))。温度センサ41が温度落込み開始を検知してから、その検知部分は0.5secで面状発熱体22の加熱位置まで回転移動するので、式(9),(10)において遅れ時間d=0.5secとし、温度落込み開始部分が面状発熱体22の加熱位置に到達するタイミングで面状発熱体22の中央ヒータ(抵抗発熱層22b1)、端部ヒータ(抵抗発熱層22b2)への通電量を増加する(図21(e)、図22(e))。それぞれの通電量は、式(7),(8)に示したとおりである。
以上の加熱制御を行うことにより、図21(d),図22(d)に示すように、面状発熱体22の加熱位置(測定位置R4)では温度落込みが発生した部分における定着スリーブ21の温度落込みは改善され、その部分がニップ部の位置(測定位置R1)まで回転移動するときには目標温度となる。その結果、定着不良などを発生させることなく一定の光沢の定着画像を得ることができる。
なお、ここでは温度センサ41,42の温度検知結果から得られる定着スリーブ21の温度変化傾向を打ち消すために対象の抵抗発熱層22biへの通電量を調整する加熱制御を行う例を示したが、本発明の加熱制御はこれに限定されるものではない。例えば、定着スリーブ21への面状発熱体22の加圧状態を変化させることによって伝熱状態を調整する加熱制御を行ってもよい。
また、定着装置20に面状発熱体22の中央ヒータ(抵抗発熱層22b1)よりも幅の狭い小サイズの記録媒体Pを通紙するときであって、中央ヒータ(抵抗発熱層22b1)、端部ヒータ(抵抗発熱層22b2)ともに発熱させるときには、端部ヒータ(抵抗発熱層22b2)への通電量は温度センサ42の温度検知結果のみに基づいて決定することが好ましい。これにより、定着スリーブ21の非通紙部領域となる端部ヒータ(抵抗発熱層22b2)による加熱部分が過昇温となることを防ぐことができる。
つぎに、本発明に係る画像形成装置について説明する。
図23は、本発明に係る画像形成装置の構成を示す全体構成図である。
図23に示すように、画像形成装置1は、タンデム型カラープリンタである。画像形成装置本体1の上方にあるボトル収容部101には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナーボトル102Y、102M、102C、102Kが着脱自在(交換自在)に設置されている。
ボトル収容部101の下方には中間転写ユニット85が配設されている。その中間転写ユニット85の中間転写ベルト78に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部4Y、4M、4C、4Kが並設されている。
各作像部4Y、4M、4C、4Kには、それぞれ、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kが配設されている。また、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの周囲には、それぞれ、帯電部75、現像部76、クリーニング部77、除電部(不図示である。)等が配設されている。そして、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)がおこなわれて、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に各色の画像が形成されることになる。
感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、不図示の駆動モータによって図23中の時計方向に回転駆動される。そして、帯電部75の位置で、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、露光部3から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって各色に対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、現像装置76との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、各色のトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、中間転写ベルト78及び1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上のトナー像が中間転写ベルト78上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、クリーニング部77との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に残存した未転写トナーがクリーニング部77のクリーニングブレードによって機械的に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト78上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト78上にカラー画像が形成される。
ここで、中間転写ユニット85は、中間転写ベルト78、4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79K、2次転写バックアップローラ82、クリーニングバックアップローラ83、テンションローラ84、中間転写クリーニング部80、等で構成される。中間転写ベルト78は、3つのローラ82〜84によって張架・支持されるとともに、1つのローラ82の回転駆動によって図23中の矢印方向に無端移動される。
4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kは、それぞれ、中間転写ベルト78を感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kに、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
そして、中間転写ベルト78は、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト78上に重ねて1次転写される。
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト78は、2次転写ローラ89との対向位置に達する。この位置では、2次転写バックアップローラ82が、2次転写ローラ89との間に中間転写ベルト78を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト78上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体P上に転写される。このとき、中間転写ベルト78には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
その後、中間転写ベルト78は、中間転写クリーニング部80の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト78上の未転写トナーが回収される。
こうして、中間転写ベルト78上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
ここで、2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体Pは、装置本体1の下方に配設された給紙部12から、給紙ローラ97やレジストローラ対98等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部12には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ97が図23中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対98のローラ間に向けて給送される。
レジストローラ対98に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対98のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト78上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対98が回転駆動されて、記録媒体Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着スリーブ21及び加圧ローラ31による熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録媒体P上に定着される。
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対99のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対99によって装置外に排出された被転写Pは、出力画像として、スタック部100上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
以上説明したように、本発明の画像形成装置において、前述した定着装置20を備えているので、ウォームアップ時間やファーストプリント時間が短く、装置を高速化した場合であっても定着不良等の不具合が生じるのを抑止することができ、光沢の安定した画像を得ることができる。また、記録媒体Pのサイズが変わっても消費エネルギーを抑えつつ適切な画像形成が可能である。
なお、これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
例えば、図1,図13の定着装置20では、面状発熱体22で定着スリーブ21を加熱する方式であったが、加熱手段を面状発熱体22における抵抗発熱層22bに替えて、ハロゲンヒータなどの棒状ヒータとしてもよい。
図24に、本発明に係る定着装置の別の構成例(1)を示す。
定着装置20’は、図13の定着装置20における面状発熱体22及びその付帯部材(発熱体支持部材23、端子台ステイ24、コア保持部材28、断熱支持部材29)に替えて2つのハロゲンヒータ22h1,22h2を有する加熱装置22hを備えており、それ以外は定着装置20と同じ構成である。
ここで、ハロゲンヒータ22h1は電力が投入されると軸方向中央部が発光し、定着スリーブ21の軸方向中央部を加熱するものであり、ハロゲンヒータ22h2は電力が投入されると軸方向両端部が発光し、定着スリーブ21の軸方向端部を加熱するものである。
また、温度センサ41は、定着スリーブ21上の軸方向においてハロゲンヒータ22h1の加熱位置(とくにハロゲンヒータ22h1の加熱領域の中央部)であって、周方向においてハロゲンヒータ22h1の加熱位置と重ならず該加熱位置(とくにハロゲンヒータ22h1の加熱領域の中央部)から定着スリーブ21の外周円上を所定中心角だけ回転上流側にさかのぼった位置の温度を検知するものである。
また、温度センサ42は、定着スリーブ21上の軸方向及び周方向においてハロゲンヒータ22h2のいずれかの端部の加熱位置(とくにハロゲンヒータ22h2の加熱領域の中央部)の温度を検知するものである。
このような定着装置20’では、温度センサ41及び温度センサ42の温度検知結果に基づいて、定着スリーブ21の回転時における複数のハロゲンヒータ22h1,22h2からなる加熱装置22hの加熱制御を行う。その詳細は定着装置20と同じである。これにより、定着スリーブ21上の温度センサ41,42の温度検知した部分と加熱装置22h(ハロゲンヒータ22h1,22h2)が加熱する部分とが一致するようになり、定着スリーブ21上の通紙などにより温度落込みが発生した領域を精度良く目標温度まで加熱するので良好な定着性を得ることができる。
つぎに、図25に、本発明に係る定着装置の別の構成例(2)を示す。
定着装置20''は、図24の定着装置20’における定着スリーブ21及びその付帯部材(当接部材26、回転体支持部材27A、コア保持部材28)に替えて、定着ローラ202及び加熱ローラ203に架け渡される定着ベルト201を備え、それ以外は定着装置20’と同じである。
ここで、定着ローラ202は、定着ベルト201を介して加圧ローラ31と当接してニップ部Nを形成している。また、加熱ローラ203は内部にハロゲンヒータ22h1,22h2からなる加熱装置22hを有しており、定着ベルト201は加熱装置22hの発熱により加熱ローラ203を介して加熱される。
また、温度センサ41は、定着ベルト201上の軸方向においてハロゲンヒータ22h1の加熱位置(とくにハロゲンヒータ22h1の加熱領域の中央部)であって、周方向においてハロゲンヒータ22h1の加熱位置と重ならず該加熱位置(とくにハロゲンヒータ22h1の加熱領域の中央部)から定着ベルト201の外周上を所定距離だけ回転上流側にさかのぼった位置の温度を検知するものである。
また、温度センサ42は、定着ベルト201の軸方向及び周方向においてハロゲンヒータ22h2のいずれかの端部の加熱位置(とくにハロゲンヒータ22h2の加熱領域の中央部)の温度を検知するものである。
このような定着装置20''では、温度センサ41及び温度センサ42の温度検知結果に基づいて、定着ベルト201の回転時における複数のハロゲンヒータ22h1,22h2からなる加熱装置22hの加熱制御を行う。その詳細は定着装置20と同じである。これにより、定着ベルト201上の温度センサ41,42の温度検知した部分と加熱装置22h(ハロゲンヒータ22h1,22h2)が加熱する部分とが一致するようになり、定着ベルト201上の通紙などにより温度落込みが発生した領域を精度良く目標温度まで加熱するので良好な定着性を得ることができる。
1 画像形成装置
3 露光部
4Y、4M、4C、4K 作像部
5Y、5M、5C、5K 感光体ドラム
12 給紙部
20,20’,20'' 定着装置
21 定着スリーブ
22 面状発熱体
22a 基層
22b,22b1,22b2 抵抗発熱層
22c 電極層
22d 絶縁層
22e,22e1,22e2 電極端子
22f 固定端子
22h 加熱装置
22h1,22h2 ハロゲンヒータ
22s 発熱シート
23 発熱体支持部材
24 端子台ステイ
25 給電線
26 当接部材
27A,27B,27C 回転体支持部材
27a 開口部
27D 樹脂部材
28 コア保持部材
29 断熱支持部材
31 加圧ローラ
41,42 温度センサ
75 帯電部
76 現像部
77 クリーニング部
78 中間転写ベルト
79Y、79M、79C、79K 1次転写バイアスローラ
80 中間転写クリーニング部
82 2次転写バックアップローラ
83 クリーニングバックアップローラ
84 テンションローラ
85 中間転写ユニット
89 2次転写ローラ
97 給紙ローラ
98 レジストローラ対
99 排紙ローラ対
100 スタック部
101 ボトル収容部
102Y、102M、102C、102K トナーボトル
201 定着ベルト
202 定着ローラ
203 加熱ローラ
L レーザ光
P 記録媒体
T トナー
特開平11−2982号公報 特開平4−44075号公報 特開2006−259683号公報 特開2004−191966号公報

Claims (8)

  1. 回転する無端状ベルトの定着部材と、
    前記定着部材の外周面と当接する加圧部材と、
    前記定着部材の内周側に配置され、該定着部材を介して前記加圧部材と当接してニップ部を形成する当接部材と、
    前記定着部材を直接または間接的に加熱する加熱機構部と、を備え、
    前記加熱機構部は、前記定着部材の幅方向の異なる部分をそれぞれ加熱する複数の加熱手段と、該複数の加熱手段のうち、第1加熱手段の加熱位置よりも前記定着部材の回転方向上流側の所定位置に対応する該定着部材の温度を検知する第1温度センサと、第2加熱手段の加熱位置に対応する前記定着部材の温度を検知する第2温度センサと、を有し、
    前記第1温度センサ及び第2温度センサの温度検知結果に基づいて、前記定着部材の回転時における前記複数の加熱手段の加熱制御を行うことを特徴とする定着装置。
  2. 前記定着部材の回転時における前記複数の加熱手段の加熱制御は、前記第1温度センサ及び第2温度センサの温度検知結果に基づいて前記複数の加熱手段それぞれの通電量を決定し、該複数の加熱手段への通電を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記定着部材の回転時における前記複数の加熱手段の加熱制御は、前記第1温度センサの温度検知結果に基づいて前記定着部材の目標温度に対する温度変動分を補うために前記複数の加熱手段のうち対象の加熱手段で必要な電力量を算出し、前記第2温度センサの温度検知結果に基づいて前記定着部材の実温度が目標温度となるようにするために前記対象の加熱手段で必要な電力量を算出し、それらの電力量を合算したものを前記対象の加熱手段への通電量として決定することを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記第1温度センサの温度検知結果から得られる前記定着部材の温度変化傾向を打ち消すために前記対象の加熱手段で必要な電力量を前記対象の加熱手段への通電量にさらに加算することを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記第1加熱手段は該定着部材の幅方向中央部を加熱するものであり、前記第2加熱手段は前記定着部材の幅方向端部を加熱するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の定着装置。
  6. 待機時には、前記第2温度センサの温度検知結果に基づいて前記複数の加熱手段の加熱制御を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の定着装置。
  7. 前記加熱手段は、面状発熱体における抵抗発熱層またはハロゲンヒータであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の定着装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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