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JP2010066347A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

定着装置及び画像形成装置 Download PDF

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JP2010066347A JP2008230527A JP2008230527A JP2010066347A JP 2010066347 A JP2010066347 A JP 2010066347A JP 2008230527 A JP2008230527 A JP 2008230527A JP 2008230527 A JP2008230527 A JP 2008230527A JP 2010066347 A JP2010066347 A JP 2010066347A
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Takamasa Hase
岳誠 長谷
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

【課題】消磁コイルの通電量を制御するための温度検知手段の種類や設置位置の自由度が高く、消磁コイルによる消磁によって定着部材における非通紙領域の過昇温が効率よく確実に抑止される、定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着部材に圧接してニップ部を形成する加圧部材30の温度を幅方向の複数箇所で検知する複数の温度検知手段40A〜40Dと、磁束を発生させて定着部材を誘導加熱する励磁コイル26と、励磁コイル26によって発生される磁束を打ち消す方向の磁束を幅方向両端部に発生させる複数対の消磁コイル27A〜27Cと、を備える。複数対の消磁コイル27A〜27Cは、複数の温度検知手段40A〜40Dの検知結果に基いて通電量が制御される。
【選択図】図4

Description

この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置とそこに設置される定着装置とに関し、特に、消磁コイルが設置された電磁誘導加熱方式の定着装置及び画像形成装置に関するものである。
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、電磁誘導加熱方式の定着装置に消磁コイルを設置して、発熱部材の非通紙領域の過昇温を抑止する技術が知られている(例えば、特許文献1〜3等参照。)。
特許文献1等において、定着装置の誘導加熱部には、励磁コイルの他に、励磁コイルに対向する位置であって幅方向両端部に複数対の消磁コイルが設置されている。複数対の消磁コイルは、種々のサイズの記録媒体の非通紙領域に対応する位置に配設されていて、対向する位置に生じる励磁コイルの磁束を消磁することで、発熱部材の非通紙領域の過昇温を抑止している。
一方、特許文献2等には、消磁コイルの位置に対応する定着部材の幅方向端部の温度を検知する温度センサ(接触式サーミスタ)を設置して、その温度センサによって検知される幅方向端部の昇温の程度に応じて消磁コイルを駆動する技術が開示されている。
また、特許文献3等には、消磁コイルの位置に対応する加圧部材の幅方向端部の温度を検知する温度センサ(端部温度検出部)を設置して、その温度センサによって検知される非通紙領域の温度に応じて消磁コイルへの通電量を制御する技術が開示されている。
特開2008−40176号公報 特開2005−321642号公報 特開2007−226126号公報
上述した従来の定着装置は、消磁コイルの通電量を制御するための温度検知手段の種類や設置位置に大きな制約があった。
詳しくは、特許文献2等のように、定着部材の幅方向端部の温度を検知するために接触式サーミスタを設置する場合には、定着部材の表面に接触式サーミスタが接触した跡が形成されてしまい、その跡が出力画像(定着画像)上にも生じてしまう。したがって、定着部材の幅方向端部の温度を検知するための温度センサとしては、サーモパイル等のような高価な非接触式の温度センサを用いる必要が生じてしまう。
また、定着部材の周囲には励磁コイルや消磁コイルや分離板等の多くの部材が密集して配設されているために、特許文献2等のように定着部材の幅方向端部の温度を検知するために温度センサを設置するスペースを確保するのが難しかった。
これに対して、特許文献3等では、消磁コイルの位置に対応する加圧部材の幅方向端部の温度を検知する温度センサを設置して、その温度センサによって検知される非通紙領域の温度に応じて消磁コイルへの通電量を制御しているために、上述した問題を解決する効果がある程度期待できる。
しかし、定着部材の温度と加圧部材の温度との温度差は常に一定ではないために、特許文献3等のように加圧部材の幅方向端部に設置された1つの温度センサの検知結果に基いて非通紙領域の昇温を判断して消磁コイルの通電量を制御するのは難しかった。すなわち、上述した技術では、非通紙領域の昇温を誤検知してしまい、定着部材の非通紙領域に過昇温が生じてしまったり、定着部材の通紙領域の端部に温度低下が生じてしまったりする可能性があった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、消磁コイルの通電量を制御するための温度検知手段の種類や設置位置の自由度が高く、消磁コイルによる消磁によって定着部材における非通紙領域の過昇温が効率よく確実に抑止される、定着装置及び画像形成装置を提供することにある。
この発明の請求項1記載の発明にかかる定着装置は、トナー像を溶融して記録媒体に定着する定着部材と、前記定着部材に圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成する加圧部材と、前記加圧部材の温度を幅方向の複数箇所で検知する複数の温度検知手段と、前記定着部材を加熱するための発熱層を有する発熱部材と、前記発熱部材に対向するとともに、磁束を発生させて当該磁束によって前記発熱層を誘導加熱する励磁コイルと、前記励磁コイルに対向するように幅方向両端部に配設されるとともに、前記励磁コイルによって発生される前記磁束を打ち消す方向の磁束を幅方向両端部に発生させる一対又は複数対の消磁コイルと、を備え、前記一対又は複数対の消磁コイルは、前記複数の温度検知手段の検知結果に基いて通電量が制御されるものである。
また、請求項2記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記複数の温度検知手段を、前記加圧部材の幅方向中央部の温度を検知する第1温度検知手段と、前記一対又は複数対の消磁コイルの少なくとも一方の消磁コイルの幅方向位置に対応する前記加圧部材の幅方向端部の温度を検知する単数又は複数の第2温度検知手段と、したものである。
また、請求項3記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項2に記載の発明において、前記第1温度検知手段によって検知された温度と前記第2温度検知手段によって検知された温度との温度差が所定値以上になったときに、当該第2温度検知手段に対応する一対の消磁コイルへの通電を開始するものである。
また、請求項4記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項3に記載の発明において、前記第1温度検知手段によって検知された温度と前記第2温度検知手段によって検知された温度との温度差が所定値未満になったときに、当該第2温度検知手段に対応する一対の消磁コイルへの通電をおこなわないものである。
また、請求項5記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記一対又は複数対の消磁コイルは、比例制御、微分制御、積分制御、又は、それらのうち2以上を組み合わせた制御により通電量が算出されて制御されるものである。
また、請求項6記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項5のいずれかに記載の発明において、前記一対又は複数対の消磁コイルへの通電をオン・オフするスイッチング回路を備え、前記一対又は複数対の消磁コイルは、前記スイッチング回路によって所定時間周期において通電をオン・オフする時間の比率を可変することで通電量が制御されるものである。
また、請求項7記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記一対又は複数対の消磁コイルへの通電量の制御は、所定枚数以上の記録媒体の連続通紙がおこなわれる場合であって、記録媒体の連続通紙が開始されてから所定時間が経過した後に開始され、記録媒体の連続通紙が終了したときに停止されるものである。
また、請求項8記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項7のいずれかに記載の発明において、前記一対又は複数対の消磁コイルは、サイズの異なる複数種の記録媒体の通紙領域に対応して前記発熱層の幅方向の加熱範囲を可変できるように配設されたものである。
また、請求項9記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項8のいずれかに記載の発明において、前記発熱部材を、前記定着部材としたものである。
また、請求項10記載の発明にかかる定着装置は、前記請求項1〜請求項8のいずれかに記載の発明において、前記発熱部材を、前記定着部材を加熱する加熱部材としたものである。
また、この発明の請求項11記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項10のいずれかに記載の定着装置を備えたものである。
本発明は、加圧部材の温度を幅方向の複数箇所で検知する複数の温度検知手段の検知結果に基いて消磁コイルの通電量を制御しているために、温度検知手段の種類や設置位置の自由度が高く、消磁コイルによる消磁によって定着部材における非通紙領域の過昇温が効率よく確実に抑止される、定着装置及び画像形成装置を提供することができる。
実施の形態.
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機の装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、4は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部、7は転写紙等の記録媒体Pが収容される給紙部、11Y、11M、11C、11BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される感光体ドラム、12は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上を帯電する帯電部、13は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成される静電潜像を現像する現像部、15は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の未転写トナーを回収するクリーニング部、を示す。
また、16は中間転写ベルト17を清掃する中間転写ベルトクリーニング部、17は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、18は中間転写ベルト17上に形成されたカラー画像を記録媒体P上に転写する2次転写ローラ、19は記録媒体P上のトナー像(未定着画像)を定着する電磁誘導加熱方式の定着装置、を示す。
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿読込部4によって、コンタクトガラス5上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス5上の原稿Dの画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿Dにて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿Dのカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光(露光光)が、それぞれ、対応する感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に向けて発せられる。
一方、4つの感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKは、それぞれ、図1の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、帯電部12との対向部で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目の感光体ドラム11Y表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム11Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部12にて帯電された後の感光体ドラム11Y上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11M表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11C表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目の感光体ドラム11BK表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、現像部13との対向位置に達する。そして、各現像部13から感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、中間転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、中間転写ベルト17の内周面に当接するように転写バイアスローラ(不図示である。)が設置されている。そして、転写バイアスローラの位置で、中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
そして、1次転写工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、クリーニング部15との対向位置に達する。そして、クリーニング部15で、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト17は、2次転写ローラ18との対向位置に達する。この位置では、2次転写バックアップローラが、2次転写ローラ18との間に中間転写ベルト17を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト17上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体P上に転写される(2次転写工程である。)。このとき、中間転写ベルト17には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。
その後、中間転写ベルト17は、中間転写クリーニング部16の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト17上の未転写トナーが回収される。
こうして、中間転写ベルト17上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
ここで、2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体Pは、装置本体1の下方に配設された給紙部7から、給紙ローラ8やレジストローラ等が設置された搬送経路K1を経由して搬送されたものである。
詳しくは、給紙部7には、記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ8が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pが搬送経路K1に向けて給送される。
搬送経路K1に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ(不図示である。)のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト17上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラが回転駆動されて、記録媒体Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置19の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録媒体P上に定着される。
そして、定着工程後の記録媒体Pは、排紙ローラ9によって、装置本体1外に出力画像として排出されて(破線矢印方向の移動である。)、一連の画像形成プロセスが完了する。
次に、画像形成装置本体1に設置される定着装置19の構成・動作について詳述する。
図2に示すように、定着装置19は、誘導加熱部25(磁束発生手段)、誘導加熱部25に対向する発熱部材としての定着ローラ20(定着部材)、定着ローラ20に圧接する加圧部材としての加圧ローラ30、温度検知手段としてのサーミスタ40A〜40D(温度センサ)、入口ガイド板41、拍車42、分離板43、ガイド部材50、等で構成される。
ここで、発熱部材としての定着ローラ20は、鉄やステンレス鋼等からなる芯金23上に、発泡シリコーンゴム等からなる断熱弾性層22、スリーブ層21が順次積層されたものであって、その外径が40mm程度に形成されている。
定着ローラ20のスリーブ層21は、内周面側から基材層、第1酸化防止層、発熱層、第2酸化防止層、弾性層、離型層が順次積層された多層構造体である。詳しくは、基材層は層厚が40μm程度のステンレスで形成されたものであり、第1酸化防止層及び第2酸化防止層は層厚が1μm以下のニッケルをストライクめっき処理にて形成したものであり、発熱層は層厚が10μm程度の銅で形成されたものであり、弾性層は層厚が150μm程度のシリコーンゴムで形成されたものであり、離型層は層厚が30μm程度のPFA(テトラフルオロエチレン・バーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)で形成されたものである。
このように構成された定着ローラ20(発熱部材)は、誘導加熱部25の励磁コイル26から発せられる磁束によってスリーブ層21の発熱層が電磁誘導加熱されることになる。なお、定着ローラ20の構成は、本実施の形態のものに限定されることなく、例えば、スリーブ層21を断熱弾性層22(定着補助ローラ)に接着しないで別体化することもできる。ただし、スリーブ層21(定着スリーブ)を別体化した場合には、稼動中にスリーブ層21が幅方向(スラスト方向)に移動するのを抑止するための部材を設置することが好ましい。
ここで、定着部材としての定着ローラ20に対向する位置であって、ニップ部の上流側(搬送方向上流側)には、複数の拍車42が幅方向に並設されている。拍車42は、ニップ部に送入される記録媒体Pをニップ部に案内するものである。拍車42は、記録媒体P上の未定着画像に接触してもその画像に擦れ跡が生じないように、その周面がノコ歯状に形成されている。
また、定着ローラ20に対向する位置であって、ニップ部の下流側(搬送方向下流側)には、分離板43が設置されている。分離板43は、ニップ部から送出された定着工程後の記録媒体Pが、定着ローラ20に吸着して巻き付く不具合を防止するためのものである。すなわち、定着工程後の記録媒体Pが定着ローラ20に吸着してしまった場合に、記録媒体Pの先端に分離部材43が干渉して、記録媒体Pを定着ローラ20から強制的に分離させる。
また、図示は省略するが、定着ローラ20に対向する位置(幅方向中央である。)には、サーモパイルが配設されている。そして、サーモパイルによって、定着ローラ20上の温度(定着温度)を非接触で検知する。そして、サーモパイルによる検知結果に基いて、誘導加熱部25による加熱量を調整する。
図2を参照して、加圧部材としての加圧ローラ30は、アルミニウム、銅等からなる円筒部材32上に、シリコーンゴム等からなる弾性層31、PFA等からなる離型層(不図示である。)が形成されたものである。加圧ローラ30の弾性層31は、肉厚が1〜5mmとなるように形成されている。また、加圧ローラ30の離型層は、層厚が20〜50μmとなるように形成されている。加圧ローラ30は、定着ローラ20に圧接している。そして、定着ローラ20と加圧ローラ30との圧接部(ニップ部である。)に、記録媒体Pが搬送される。
なお、本実施の形態では、定着ローラ20の加熱効率を高めるために、加圧ローラ30にハロゲンヒータ等のヒータ33が内設されている。ヒータ33に電力が供給されることにより、ヒータ33の輻射熱によって加圧ローラ30が加熱されて、定着ローラ20の表面が加圧ローラ30を介して加熱されることになる。なお、ヒータ33は、加圧ローラ30の幅方向中央部に当接する第1サーミスタ40Aによる検知結果に基いて加熱量が調整される。
ここで、図2及び図4(C)を参照して、加圧ローラ30に当接する位置には、加圧ローラ30の温度を幅方向の複数箇所で検知する複数の温度検知手段としてのサーミスタ40A〜40D(接触式サーミスタ)が設けられている。具体的に、複数の温度検知手段は、加圧ローラ30の幅方向中央部の温度を検知する第1温度検知手段としての第1サーミスタ40Aと、複数対の消磁コイル27A〜27Cの一方(一対のうち片方)の消磁コイルの幅方向位置に対応する加圧ローラ30の幅方向端部の温度を検知する複数の第2温度検知手段としてのサーミスタ(第2サーミスタ40B、第3サーミスタ40C、第4サーミスタ40Dである。)と、で構成されている。
そして、複数対の消磁コイル27A〜27Cは、複数のサーミスタ40A〜40D(温度検知手段)の検知結果に基いて通電量が制御されることになる。この消磁コイルの制御については、後で詳しく説明する。
図2を参照して、加圧ローラ30に対向する位置であって、ニップ部の上流側には、入口ガイド板41が設置されている。入口ガイド板41は、ニップ部に送入される記録媒体Pをニップ部に案内するものである。
また、加圧ローラ30に対向する位置であってニップ部の下流側(ニップ部から送出される記録媒体Pの非定着面に対向する位置である。)には、ガイド部材50が設置されている。ガイド部材50は、ニップ部から送出された定着工程後の記録媒体Pを定着工程後の搬送経路に向けて案内するためのものである。
誘導加熱部25は、励磁コイル26、複数対の消磁コイル27A〜27C、複数のコア28、29、35、コイルガイド36(保持部材)、等で構成される。
なお、誘導加熱部25は、定着装置19の主部から分離できるように構成されている。そして、定着装置19の主部は、ドア100が開放された状態で、誘導加熱部25から分離されて画像形成装置本体1から取出されることになる(図1の右方向への移動である。)。
励磁コイル26は、発熱層を有する定着ローラ20(発熱部材)の外周面の一部を覆うように配設されたコイルガイド36上に細線を束ねたリッツ線を巻回して幅方向(図2の紙面垂直方向である。)に延設したものである(図4をも参照できる。)。定着ローラ20に対向する励磁コイル26が磁束を発生させて、その磁束によって定着ローラ20の発熱層が電磁誘導加熱されることになる。
複数対の消磁コイル27A〜27Cは、励磁コイル26に対向するように幅方向両端部に並設されている(図4をも参照できる。)。消磁コイル27A〜27Cは、励磁コイル26によって発生される磁束を打ち消す方向の磁束を幅方向両端部に発生させる。
詳しくは、図3(A)に示すように、スイッチング回路60の切替スイッチが開放された場合(消磁コイル27A〜27Cが動作しない場合)、励磁コイル26から発生する磁束(図中の太線矢印である。)は、定着ローラ20の発熱層21を通過する磁気回路を形成することになる。そのため、発熱層に誘導電流が流れて、発熱層はジュール熱により発熱する。
これに対して、図3(B)に示すように、スイッチング回路60の切替スイッチが閉鎖された場合(複数対の消磁コイル27A〜27Cの一部又は全部が動作する場合)には、励磁コイル26から発生する磁束(図中の太線矢印である。)は、消磁コイル27A〜27Cから発生する磁束(図中の太破線矢印である。)により打ち消されて、非常に弱い磁束となる。こうして、発熱層を加熱させる磁束は非常に弱くなり、消磁コイル27A〜27Cに対向する位置(幅方向両端部)において定着ローラ20の加熱量を低下させることができる。
なお、図示は省略するが、スイッチング回路60は、第1消磁コイル27A、第2消磁コイル27B、第3消磁コイル27Cに対して、それぞれ独立して設置されている。そして、3対の消磁コイル27A〜27Cは、それぞれ、スイッチング回路60によって所定時間周期において通電をオン・オフする時間の比率(デューティ〔%〕)が可変されて通電量が制御される。
なお、本実施の形態では、図4を参照して、B4サイズ、A4サイズ(又はB5サイズ)、葉書サイズの記録媒体Pに対応して、3対の消磁コイル27A〜27Cが幅方向(図4の左右方向である。)に並設されている。そして、3対の消磁コイル27A〜27Cによって、サイズの異なる複数種の記録媒体Pの通紙領域に対応して発熱層の幅方向の加熱範囲が可変される。詳しくは、A3サイズの記録媒体P(A3縦(以下、「縦」を単に「T」と表す。))が縦方向に通紙される場合には3対の消磁コイル27A〜27Cのすべての切替スイッチが開放され、B4サイズの記録媒体P(B4T)が縦方向に通紙される場合には第1消磁コイル27Aの切替スイッチのみが閉鎖され、A4サイズの記録媒体P(A4T)が縦方向に通紙される場合には第1消磁コイル27A及び第2消磁コイル27Bの切替スイッチが閉鎖され、葉書サイズの記録媒体P(H)が通紙される場合には3対の消磁コイル27A〜27Cのすべての切替スイッチが閉鎖される。
ここで、B5サイズとA4サイズとの寸法差は比較的小さいために、本実施の形態では、B5サイズの記録媒体P(B5T)が縦方向に通紙される場合には、A4サイズの記録媒体P(A4T)が縦方向に通紙される場合と同様に、第1消磁コイル27A及び第2消磁コイル27Bの切替スイッチが閉鎖される。なお、本実施の形態では、B5サイズの記録媒体P(B5T)が縦方向に通紙される場合に用いられる消磁コイルを、A4サイズの記録媒体P(A4T)が縦方向に通紙される場合に用いられる消磁コイルと共用しているが、B5サイズ用に別に消磁コイルを増設することもできる。
このように、3対の消磁コイル27A〜27Cへの通電は、通紙される記録媒体Pの紙サイズによって変更される。ここで、本実施の形態では、記録媒体Pの紙サイズを検知する方法として、加圧ローラ30の幅方向の温度分布を検知して紙サイズを間接的に判断する方法を用いている。
具体的に、種々の記録媒体Pの紙サイズの端部位置に合わせて、加圧ローラ30に対向(接触)するように幅方向に複数の温度検知手段としてのサーミスタ40A〜40Dを配置している。さらに詳しくは、中央部には第1サーミスタ40A(第1温度検知手段)を配置して、第1〜第3の消磁コイル27A〜27Cに対応する位置にはそれぞれ第2〜第4のサーミスタ40B〜40D(第2温度検知手段)を配置している。そして、これら4つのサーミスタ40A〜40Dによって、加圧ローラ30の幅方向の温度分布を検知している(定着ローラ20の幅方向の温度分布を間接的に検知していることになる。)。通紙領域では加圧ローラ30の熱が記録媒体Pや定着ローラ20に奪われて、非通紙領域では加圧ローラ30の温度が通紙領域に比べて高い状態に維持されるため、加圧ローラ30の幅方向の温度分布により通紙されている記録媒体Pの紙サイズを判断することができる。そして、検知された温度情報(温度分布)に応じて、通電する消磁コイルやその通電量が決定される。
このように、本実施の形態では、定着ローラ20に接触式サーミスタを設置するのではなく、加圧ローラ30に接触式サーミスタ40A〜40Dを設置して通電する消磁コイルやその通電量を制御しているため、定着ローラ20の表面に形成される接触式サーミスタの接触跡が出力画像(定着画像)上に生じてしまうような不具合が抑止される。
また、定着ローラ20の周囲には誘導加熱部25や拍車42や分離板43等の多くの部材が密集して配設されていて複数の温度センサを設置するスペースを確保するのが難しいのに対して、本実施の形態では、周囲に配設された部材が比較的少ない加圧ローラ30に対して設置スペースの制約なく複数のサーミスタ40A〜40Dを設置している。
また、複数のサーミスタ40A〜40Dを用いて非通紙領域の昇温を判断して消磁コイルの通電量を制御しているため、非通紙領域の昇温を誤検知してしまい、定着ローラ20(又は加圧ローラ30)の非通紙領域に過昇温が生じてしまったり、定着ローラ20(又は加圧ローラ30)の通紙領域の端部に温度低下が生じてしまったりする不具合を抑止することができる。
なお、本実施の形態では、温度分布を検知する温度検知センサとしてサーミスタ40A〜40D(接触型温度検知センサ)を用いたが、温度分布を検知する温度検知センサとしてサーモパイルのような非接触型温度検知センサを用いることもできる。
ここで、本実施の形態では、図4(B)に示すように、3対の消磁コイル27A〜27Cが、励磁コイル26との対向距離が異なる少なくとも2つの高さ位置に配設されている。詳しくは、3対の消磁コイル27A〜27Cは、隣接する消磁コイルの対向距離(励磁コイル26との対向距離である。)が異なるように2つの高さ位置に交互に配設されている。具体的に、第2消磁コイル27Bは励磁コイル26に近接する高さ位置に配設され、第1消磁コイル27A及び第3消磁コイル27C(第2消磁コイル27Bに隣接する消磁コイルである。)は励磁コイル26から離れた高さ位置に配設されている。
なお、本実施の形態では、第2消磁コイル27Bと励磁コイル26との対向距離が2mm程度に設定され、第1消磁コイル27A(又は第3消磁コイル27C)と励磁コイル26との対向距離が5mm程度に設定されている。
さらに、3対の消磁コイル27A〜27Cは、上方からみたときに隣接する消磁コイルの一部が重なるように配設されている。すなわち、図4(A)を参照して、第1消磁コイル27Aのループ内側(幅方向中央部側)の部分が、第2消磁コイル27Bのループ外側(幅方向端部側)の部分の上方(図4(A)の紙面垂直方向の上方である。)に重なるように配設されている。同様に、第3消磁コイル27Cのループ外側(幅方向端部側)の部分が、第2消磁コイル27Bのループ内側(幅方中央部側)の部分の上方に重なるように配設されている。
このような構成により、誘導加熱部25が高さ方向(図4(A)の紙面垂直方向である。)に大型化してしまう不具合や、隣接する消磁コイルの境界部分の消磁能力が不充分になってしまう不具合が抑止される。また、3対の消磁コイル27A〜27Cは、上方からみたときに隣接する消磁コイルの一部が重なるように配設されているため、隣接する消磁コイルのループ内に設置されるセンターコア28同士の間隔(センターコアがない領域)が短くなって、定着ローラ20の幅方向の温度分布が均一化される。
図2及び図4(A)を参照して、複数のコア28、29、35は、フェライト等の強磁性体(比透磁率が2500程度である。)からなり、励磁コイル26や消磁コイル27A〜27Cによる磁路(磁束が形成される経路である。)を制御して、定着ローラ20の発熱層に向けて効率のよい磁束を形成するためのものである。複数のコアは、複数のセンターコア28、複数のアーチコア29、2つのサイドコア35で構成されている。
コイルガイド36は、耐熱性の高い樹脂材料等からなり、定着ローラ20との対向面の側で励磁コイル26及び消磁コイル27A〜27Cを保持する。
ここで、本実施の形態では、図4(A)を参照して、複数のセンターコア28のうち3対の消磁コイル27A〜27Cのループ内に配設されたセンターコア28が、幅方向に直交する方向(図4(A)の短手方向である。)からみたときに隣接するセンターコア28の一部が重なるように、3対の消磁コイル27A〜27Cの隣接部が幅方向に対して傾斜するように形成されている。具体的に、図4(A)に示すように、上方からみて、第1消磁コイル27Aとそのループ内に設置されたセンターコア28とは略三角形に形成され、第2消磁コイル27B及び第3消磁コイル27Cとそれらのループ内に設置されたセンターコア28とは略平行四辺形に形成されている。
このように、隣接する消磁コイル内に配設されたセンターコア28同士に隙間があっても、幅方向に直交する方向からみたときに隣接するセンターコア28の一部が重なるように形成されているために、センターコア28によって磁路を効率的に制御する効果が幅方向にわたって均一に発揮されることになる。したがって、消磁コイル27A〜27Cによる消磁が幅方向にさらに均一におこなわれるとともに、定着ローラ20(発熱部材)の通紙領域における幅方向の温度分布がさらに均一化される。
このように構成された定着装置19は、通常の画像形成プロセス時に、次のように動作する。
不図示の駆動モータによって定着ローラ20が図2の反時計方向に回転駆動され、それにともない加圧ローラ30が時計方向に回転する。そして、定着ローラ20のスリーブ層21(発熱層)は、誘導加熱部25との対向位置で、誘導加熱部25(励磁コイル26)から発生される磁束によって加熱される。
詳しくは、発振回路が周波数可変の電源部(不図示である。)から励磁コイル26に10kHz〜1MHz(好ましくは、20kHz〜800kHzである。)の高周波交番電流を流すことで、励磁コイル26から定着ローラ20のスリーブ層21に向けて磁力線が双方向に交互に切り替わるように形成される。このように交番磁界が形成されることで、スリーブ層21の発熱層に渦電流が生じて、発熱層はその電気抵抗によってジュール熱が発生して誘導加熱される。こうして、スリーブ層21(定着ローラ20)は、自身の発熱層の誘導加熱によって加熱される。
その後、誘導加熱部25によって加熱された定着ローラ20表面は、加圧ローラ30との当接部(ニップ部)に達する。そして、搬送される記録媒体P上のトナー像T(トナー)を加熱して溶融する。
詳しくは、先に説明した作像プロセスを経てトナー像Tを担持した記録媒体Pが、入口ガイド板41(又は拍車42)に案内されながら定着ローラ20と加圧ローラ30との間に送入される(矢印Y1の搬送方向の移動である。)。そして、定着ローラ20から受ける熱と加圧ローラ30から受ける圧力とによってトナー像Tが記録媒体Pに定着されて、記録媒体Pは定着ローラ20と加圧ローラ30との間から送出される(矢印Y2の搬送方向の移動である。)。
ニップ部を通過した定着ローラ20表面は、その後に再び誘導加熱部25との対向位置に達する。
このような一連の動作が連続的に繰り返されて、画像形成プロセスにおける定着工程が完了する。
以下、本実施の形態において特徴的な、定着装置19の構成・動作についてさらに詳しく説明する。
先に説明したように、本実施の形態では、加圧ローラ30の表面温度を検知する複数のサーミスタ40A〜40D(温度検知手段)の検知結果に基いて、複数対の消磁コイル27A〜27Cの通電量を制御している。
図5は、サーミスタ40A〜40D(温度センサ)の検知結果に基く消磁コイル27A〜27Cの制御を示すフローチャートである。
図5に示すように、記録媒体Pの通紙が開始されると(ステップS1〜S2)、所定時間が経過した後に、第2サーミスタ40B(第3消磁コイル27Cの位置に対応する加圧ローラ30の幅方向位置の温度を検知する第2温度検知手段である。)の検知温度と、第1サーミスタ40A(加圧ローラ30の幅方向中央部の温度を検知する第1温度検知手段である。)の検知温度と、の温度差が所定値A(本実施の形態では、10degに設定されている。)以上であるかが判別される(ステップS3)。
その結果、第2サーミスタ40B(第2温度センサ)の検知温度が、第1サーミスタ40A(第1温度センサ)の検知温度よりも、所定値A以上大きいものと判別された場合には、加圧ローラ30の幅方向の温度分布が図6の実線グラフQ1のようになっているものとして、3対の消磁コイル27A〜27Cのすべての通電を開始する(ステップS4)。すなわち、小サイズ紙(本実施の形態では、葉書サイズの記録媒体Pである。)が連続通紙されているものとして、その非通紙領域に配設された3対の消磁コイル27A〜27Cのすべてについて消磁動作をおこない非通紙領域の過昇温を防止している。
その後、記録媒体Pの連続通紙が終了が確認されると(ステップS5)、消磁コイルの制御に関わる本フローを終了する(ステップS6)。
ここで、ステップS4における消磁コイル27A〜27Cの通電制御において、第2サーミスタ40Bの検知温度と第1サーミスタ40Aの検知温度との温度差を判別して、それらの温度差が所定値A未満となったときに、対象となる一対の消磁コイル(第3消磁コイル27Cである。)への通電をおこなわないように制御することが好ましい。すなわち、3対の消磁コイル27A〜27Cのうち、連続通紙される記録媒体Pの幅方向両端部に最も近い一対の第3消磁コイル27Cについては、幅方向中央部(通紙領域)との温度差が小さくなるようにオン・オフ制御される。さらに換言すると、第3消磁コイル27Cの位置に対応する加圧ローラ30の幅方向位置は、幅方向中央部(通紙領域)とともに、目標温度に近づくような制御がおこなわれる。これにより、第3消磁コイル27Cの位置に対応する加圧ローラ30の幅方向範囲の一部が通紙領域にかかってしまった場合であっても、その領域の定着温度は通紙領域の目標温度を大きく下回ることなく、幅方向中央部と同様に目標温度に近く制御されるため、出力画像(定着画像)の両端に定着不良が生じる不具合が抑止される。
なお、同様の課題を解決するために、第2サーミスタ40Bの検知温度が予め設定された目標温度(例えば、180℃である。)に近づくように、第3消磁コイル27Cのオン・オフ制御をおこなうこともできる。具体的に、第2サーミスタ40Bの検知温度が目標温度B以上のときは第3消磁コイル27Cのデューティを100%として、第2サーミスタ40Bの検知温度が目標温度B未満のときは第3消磁コイル27Cのデューティを0%とするような制御をおこなうことができる。
一方、ステップS3にて、第2サーミスタ40B(第2温度センサ)の検知温度が、第1サーミスタ40A(第1温度センサ)の検知温度よりも、所定値A以上大きくないものと判別された場合には、第3サーミスタ40C(第2消磁コイル27Bの位置に対応する加圧ローラ30の幅方向位置の温度を検知する第2温度検知手段である。)の検知温度と、第1サーミスタ40A(加圧ローラ30の幅方向中央部の温度を検知する第1温度検知手段である。)の検知温度と、の温度差が所定値A(本実施の形態では、10degに設定されている。)以上であるかが判別される(ステップS7)。
その結果、第3サーミスタ40C(第3温度センサ)の検知温度が、第1サーミスタ40A(第1温度センサ)の検知温度よりも、所定値A以上大きいものと判別された場合には、加圧ローラ30の幅方向の温度分布が図6の破線グラフQ2のようになっているものとして、3対の消磁コイル27A〜27Cのうち第1消磁コイル27Aと第2消磁コイル27Bとの通電を開始する(ステップS8)。すなわち、中サイズ紙(本実施の形態では、A4Tサイズ、又は、B5Tサイズの記録媒体Pである。)が連続通紙されているものとして、その非通紙領域に配設された2対の消磁コイル27A、27Bについて消磁動作をおこない非通紙領域の過昇温を防止している。
その後、記録媒体Pの連続通紙が終了が確認されると(ステップS5)、消磁コイルの制御に関わる本フローを終了する(ステップS6)。
ここで、ステップS8における消磁コイル27A、27Bの通電制御においても、第3サーミスタ40Cの検知温度と第1サーミスタ40Aの検知温度との温度差を判別して、それらの温度差が所定値A未満となったときに、対象となる一対の消磁コイル(第2消磁コイル27Bである。)への通電をおこなわないように制御することが好ましい。すなわち、3対の消磁コイル27A〜27Cのうち、連続通紙される記録媒体Pの幅方向両端部に最も近い一対の第2消磁コイル27Bについては、幅方向中央部(通紙領域)との温度差が小さくなるようにオン・オフ制御される。これにより、第2消磁コイル27Bの位置に対応する加圧ローラ30の幅方向範囲の一部が通紙領域にかかってしまった場合であっても、その領域の定着温度は通紙領域の目標温度を大きく下回ることなく、幅方向中央部と同様に目標温度に近く制御されるため、出力画像(定着画像)の両端に定着不良が生じる不具合が抑止される。
一方、ステップS7にて、第3サーミスタ40C(第3温度センサ)の検知温度が、第1サーミスタ40A(第1温度センサ)の検知温度よりも、所定値A以上大きくないものと判別された場合には、第4サーミスタ40D(第1消磁コイル27Aの位置に対応する加圧ローラ30の幅方向位置の温度を検知する第2温度検知手段である。)の検知温度と、第1サーミスタ40A(加圧ローラ30の幅方向中央部の温度を検知する第1温度検知手段である。)の検知温度と、の温度差が所定値A(本実施の形態では、10degに設定されている。)以上であるかが判別される(ステップS9)。
その結果、第4サーミスタ40D(第4温度センサ)の検知温度が、第1サーミスタ40A(第1温度センサ)の検知温度よりも、所定値A以上大きいものと判別された場合には、加圧ローラ30の幅方向の温度分布が図6の一点鎖線グラフQ3のようになっているものとして、3対の消磁コイル27A〜27Cのうち第1消磁コイル27Aのみの通電を開始する(ステップS10)。すなわち、大サイズ紙(本実施の形態では、B4Tサイズの記録媒体Pである。)が連続通紙されているものとして、その非通紙領域に配設された1対の消磁コイル27Aについて消磁動作をおこない非通紙領域の過昇温を防止している。
その後、記録媒体Pの連続通紙が終了が確認されると(ステップS5)、消磁コイルの制御に関わる本フローを終了する(ステップS6)。
ここで、ステップS10における消磁コイル27Aの通電制御においても、第4サーミスタ40Dの検知温度と第1サーミスタ40Aの検知温度との温度差を判別して、それらの温度差が所定値A未満となったときに、対象となる一対の消磁コイル(第1消磁コイル27Aである。)への通電をおこなわないように制御することが好ましい。すなわち、3対の消磁コイル27A〜27Cのうち、連続通紙される記録媒体Pの幅方向両端部に最も近い一対の第1消磁コイル27Aについて、幅方向中央部(通紙領域)との温度差が小さくなるようにオン・オフ制御される。これにより、第1消磁コイル27Aの位置に対応する加圧ローラ30の幅方向範囲の一部が通紙領域にかかってしまった場合であっても、その領域の定着温度は通紙領域の目標温度を大きく下回ることなく、幅方向中央部と同様に目標温度に近く制御されるため、出力画像(定着画像)の両端に定着不良が生じる不具合が抑止される。
一方、ステップS9にて、第4サーミスタ40D(第4温度センサ)の検知温度が、第1サーミスタ40A(第1温度センサ)の検知温度よりも、所定値A以上大きくないものと判別された場合には、加圧ローラ30の幅方向の温度分布がほぼ均一になっているものとして、3対の消磁コイル27A〜27Cのすべての通電をオフする(ステップS11)。すなわち、最大サイズ紙(本実施の形態では、A3Tサイズの記録媒体Pである。)が連続通紙されていて、加圧ローラ30の幅方向のほぼ全域が通紙領域であって両端部の過昇温が生じていないものとして、消磁コイル27A〜27Cによる消磁動作はおこなわない。
その後、記録媒体Pの連続通紙が終了が確認されると(ステップS5)、消磁コイルの制御に関わる本フローを終了する(ステップS6)。
ここで、上述した消磁コイル27A〜27Cの制御において、比例制御、微分制御、積分制御、又は、それらのうち2以上を組み合わせた制御により消磁コイルの通電量を算出して制御することが好ましい。これにより、加圧ローラ30における非通紙領域の温度を目標温度に近づけるためにオン・オフ制御をおこなう場合に比べて、温度リップルが小さくなって、非通紙領域の温度を目標温度に高い応答性にて近づけることができる。
具体的に、図5のステップS3にて第3消磁コイル27Cを比例制御、微分制御、積分制御のすべてを組み合わせて制御する場合、現在の第2サーミスタ40Bの検知温度をM0として、1制御周期前の第2サーミスタ40Bの検知温度をM1として、加圧ローラ30の目標温度をNとすると、第3消磁コイル27Cの通電のデューティDは次の制御式で求められる。
D=Kp(M0−N)+Kd(M0−M1)+Ki・∫(M0−N)dt
なお、上式において、Kp、Kd、Kiはパラメータ値であって、本実施の形態ではKpが100、Kdが10、Kiが10に設定されている。また、目標温度Nは180℃に設定されている。
また、上述した消磁コイル27A〜27Cへの通電量の制御は、所定枚数以上の記録媒体Pの連続通紙がおこなわれる場合であって、記録媒体Pの連続通紙が開始されてから所定時間が経過した後に開始され、記録媒体Pの連続通紙が終了したときに停止されることが好ましい。
具体的に、装置本体1の制御部に所定枚数以上の記録媒体Pの連続通紙の指令が入力されると、記録媒体Pの連続通紙が開始されてから所定時間が経過した後に消磁コイル27A〜27Cへの通電量の制御を開始する。そして、記録媒体Pの連続通紙が終了した信号が入力されると、消磁コイル27A〜27Cへの通電量の制御を停止する。
このような制御をおこなうことにより、ウォームアップ時や待機時のように通紙時以外に消磁コイル27A〜27Cへの通電量の制御がおこなわれて定着ローラ20や加圧ローラ30の立ち上がりが遅くなる不具合や、非通紙領域の過昇温が生じない状態で消磁コイル27A〜27Cへの通電量の制御がおこなわれる不具合等を抑止することができる。
以上説明したように、本実施の形態では、加圧ローラ30(加圧部材)の温度を幅方向の複数箇所で検知する複数のサーミスタ40A〜40D(温度検知手段)の検知結果に基いて消磁コイル27A〜27Cの通電量を制御しているために、サーミスタ40A〜40の種類や設置位置の自由度が高く、消磁コイル27A〜27Cによる消磁によって定着ローラ20(定着部材)における非通紙領域の過昇温を効率よく確実に抑止することができる。
なお、本実施の形態では、定着部材として定着ローラ20を用いて加圧部材として加圧ローラ30を用いた定着装置に対して本発明を適用したが、定着部材として定着ベルトや定着フィルムを用いた電磁誘導加熱方式の定着装置や、加圧部材として加圧ベルトや加圧パッドを用いた電磁誘導加熱方式の定着装置に対しても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、誘導加熱部25によって誘導加熱される発熱部材として定着部材(定着ローラ20)を用いた定着装置に対して本発明を適用したが、発熱部材として定着部材を加熱する加熱部材を用いた定着装置に対しても、本発明を適用することができる。例えば、定着部材としての定着ベルトを張架する加熱ローラ(発熱部材)に発熱層が設けられていて、誘導加熱部25によって加熱ローラを誘導加熱することで、定着ベルトを間接的に加熱する定着装置であっても、本発明を適用することができる。
そして、これらの場合にも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、3対の消磁コイル27A〜27Cが設置された定着装置19に対して本発明を適用したが、消磁コイルが1対のみ設置された定着装置に対しても当然に本発明を適用することができる。さらに、消磁コイルが2対、又は、4対以上設置された定着装置に対しても当然に本発明を適用することができる。
そして、これらの場合にも、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。 定着装置を示す構成図である。 誘導加熱部によって発生される磁束の状態を示す図である。 誘導加熱部と温度センサとの位置関係を示す概略図である。 温度センサの検知結果に基く消磁コイルの制御を示すフローチャートである。 加圧ローラの幅方向の温度分布を示すグラフである。
符号の説明
1 画像形成装置本体(装置本体)、
19 定着装置、
20 定着ローラ(定着部材、発熱部材)、
25 誘導加熱部、
26 励磁コイル、
27A〜27C 消磁コイル、
30 加圧ローラ(加圧部材)、
40A〜40D サーミスタ(温度検知手段、温度センサ)、
60 スイッチング回路。

Claims (11)

  1. トナー像を溶融して記録媒体に定着する定着部材と、
    前記定着部材に圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成する加圧部材と、
    前記加圧部材の温度を幅方向の複数箇所で検知する複数の温度検知手段と、
    前記定着部材を加熱するための発熱層を有する発熱部材と、
    前記発熱部材に対向するとともに、磁束を発生させて当該磁束によって前記発熱層を誘導加熱する励磁コイルと、
    前記励磁コイルに対向するように幅方向両端部に配設されるとともに、前記励磁コイルによって発生される前記磁束を打ち消す方向の磁束を幅方向両端部に発生させる一対又は複数対の消磁コイルと、
    を備え、
    前記一対又は複数対の消磁コイルは、前記複数の温度検知手段の検知結果に基いて通電量が制御されることを特徴とする定着装置。
  2. 前記複数の温度検知手段は、前記加圧部材の幅方向中央部の温度を検知する第1温度検知手段と、前記一対又は複数対の消磁コイルの少なくとも一方の消磁コイルの幅方向位置に対応する前記加圧部材の幅方向端部の温度を検知する単数又は複数の第2温度検知手段と、であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記第1温度検知手段によって検知された温度と前記第2温度検知手段によって検知された温度との温度差が所定値以上になったときに、当該第2温度検知手段に対応する一対の消磁コイルへの通電を開始することを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記第1温度検知手段によって検知された温度と前記第2温度検知手段によって検知された温度との温度差が所定値未満になったときに、当該第2温度検知手段に対応する一対の消磁コイルへの通電をおこなわないことを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記一対又は複数対の消磁コイルは、比例制御、微分制御、積分制御、又は、それらのうち2以上を組み合わせた制御により通電量が算出されて制御されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の定着装置。
  6. 前記一対又は複数対の消磁コイルへの通電をオン・オフするスイッチング回路を備え、
    前記一対又は複数対の消磁コイルは、前記スイッチング回路によって所定時間周期において通電をオン・オフする時間の比率を可変することで通電量が制御されることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置。
  7. 前記一対又は複数対の消磁コイルへの通電量の制御は、所定枚数以上の記録媒体の連続通紙がおこなわれる場合であって、記録媒体の連続通紙が開始されてから所定時間が経過した後に開始され、記録媒体の連続通紙が終了したときに停止されることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置。
  8. 前記一対又は複数対の消磁コイルは、サイズの異なる複数種の記録媒体の通紙領域に対応して前記発熱層の幅方向の加熱範囲を可変できるように配設されたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の定着装置。
  9. 前記発熱部材は、前記定着部材であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の定着装置。
  10. 前記発熱部材は、前記定着部材を加熱する加熱部材であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の定着装置。
  11. 請求項1〜請求項10のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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