JP5387884B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
図1〜図6にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1に示すように、本実施の形態1における画像形成装置1は、タンデム型カラープリンタである。画像形成装置本体1の上方にあるボトル収容部101には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナーボトル102Y、102M、102C、102Kが着脱自在(交換自在)に設置されている。
ボトル収容部101の下方には中間転写ユニット85が配設されている。その中間転写ユニット85の中間転写ベルト78に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部4Y、4M、4C、4Kが並設されている。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、露光部3から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって各色に対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、中間転写ベルト78及び第1転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上のトナー像が中間転写ベルト78上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
最後に、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
ここで、中間転写ユニット85は、中間転写ベルト78、4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79K、2次転写バックアップローラ82、クリーニングバックアップローラ83、テンションローラ84、中間転写クリーニング部80、等で構成される。中間転写ベルト78は、3つのローラ82〜84によって張架・支持されるとともに、1つのローラ82の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動される。
そして、中間転写ベルト78は、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト78上に重ねて1次転写される。
その後、中間転写ベルト78は、中間転写クリーニング部80の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト78上の未転写トナーが回収される。
こうして、中間転写ベルト78上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
詳しくは、給紙部12には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ97が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対98のローラ間に向けて給送される。
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対99のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対99によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部100上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
図2は、定着装置20を示す構成図である。図3は、定着装置20を幅方向にみた図である。図4は、定着装置20のニップ部の近傍を示す拡大図である。図5は、加熱部材22を示す側面図である。
図2及び図4に示すように、定着装置20は、ベルト部材としての定着ベルト21、固定部材26、加熱部材22、補強部材23(支持部材)、加熱手段としてのヒータ25(熱源)、第1ステー29A、第2ステー29B、シート状部材28(シール部材)、加圧回転体としての加圧ローラ31、温度センサ40、接離機構51〜53、等で構成される。
定着ベルト21の基材層は、層厚が30〜50μmであって、ニッケル、ステンレス等の金属材料やポリイミド等の樹脂材料で形成されている。
定着ベルト21の弾性層は、層厚が100〜300μmであって、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、フッ素ゴム、等のゴム材料で形成されている。弾性層を設けることで、ニップ部における定着ベルト21表面の微小な凹凸が形成されなくなり、記録媒体P上のトナー像Tに均一に熱が伝わりユズ肌画像の発生が抑止される。
定着ベルト21の離型層は、層厚が10〜50μmであって、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PES(ポリエーテルサルファイド)、等の材料で形成されている。離型層を設けることで、トナーT(トナー像)に対する離型性(剥離性)が担保される。
図2及び図4を参照して、定着ベルト21の内部(内周面側)には、固定部材26、加熱手段としてのヒータ25、加熱部材22、補強部材23、第1ステー29A、第2ステー29B、シート状部材28、等が固設されている。
ここで、固定部材26は、定着ベルト21の内周面に摺接するように固設(固定)されている。そして、固定部材26が定着ベルト21を介して加圧ローラ31に圧接することで、記録媒体Pが搬送されるニップ部が形成される。図3を参照して、固定部材26は、その幅方向両端部が定着装置20の側板43に固定支持されている。
そして、加熱部材22は、ヒータ25の輻射熱(輻射光)により加熱されて定着ベルト21を加熱する。すなわち、定着ベルト21は、加熱部材22を介してヒータ25によって間接的に加熱されることになる。加熱部材22の材料としては、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属熱伝導体(熱伝導性を有する金属である。)を用いることができる。加熱部材22の肉厚を0.2mm以下に設定することで、定着ベルト21(加熱部材22)の加熱効率を向上することができる。
なお、加熱部材22の構成・動作については、後でさらに詳しく説明する。
また、加熱部材22と定着ベルト21(ベルト部材)とが摺接しても定着ベルト21の磨耗が軽減されるように、双方の部材21、22の間にはフッ素グリス、シリコーンオイル等の潤滑剤が塗布されている。
なお、本実施の形態1では、加熱部材22の断面形状が略円形になるように形成したが、加熱部材22の断面形状が多角形になるように形成することもできる。
また、補強部材23における、ヒータ25に対向する面の一部又は全部に、断熱部材を設けたり、BA処理や鏡面研磨処理を施したりすることもできる。これにより、ヒータ25から補強部材23に向かう熱(補強部材23を加熱する熱)が加熱部材22の加熱に用いられることになるために、定着ベルト21(加熱部材22)の加熱効率がさらに向上することになる。
このような構成により、加熱部材22には加圧ローラ31による加圧力が作用しないことになり、加熱部材22を薄肉化したり加圧ローラ31による加圧力を大きく設定したり定着ベルト21に対して加圧ローラ31の接離動作をおこなっても加熱部材22に変形が生じることがない。
なお、加圧時に補強部材23に撓みが生じて固定部材26が図4の左方向に変位しても、固定部材26と加熱部材22の凹部とが接触しないように、固定部材26と加熱部材22の凹部との間にはクリアランスが設けられている。
第1ステー29Aは、厚さが1.5mmのステンレス板をコの字状に形成したものであって、加熱部材22の内周面側から凹部を覆うように係合される。第1ステー29Aを設置することで、加熱部材22の凹部を高精度に形成することができる。なお、加熱部材22の加熱効率を向上させるために、第1ステー29Aのヒータ25に対向する面にBA処理や鏡面研磨処理を施すことが好ましい。
また、本実施の形態1では、定着ベルト21の直径が加圧ローラ31の直径と同等になるように形成したが、定着ベルト21の直径が加圧ローラ31の直径よりも小さくなるように形成することもできる。その場合、ニップ部における定着ベルト21の曲率が加圧ローラ31の曲率よりも小さくなるために、ニップ部から送出される記録媒体Pが定着ベルト21から分離され易くなる。
また、定着ベルト21の直径が加圧ローラ31の直径よりも大きくなるように形成することもできるが、定着ベルト21の直径と加圧ローラ31の直径との関係によらず、加圧ローラ31の加圧力が加熱部材22に作用しないように構成されている。
詳しくは、接離機構は、加圧レバー51、偏心カム52、加圧スプリング53、等で構成されている。加圧レバー51は、一端側に設けられた支軸51aを中心として定着装置20の側板43に回転自在に支持されている。加圧レバー51の中央部は、加圧ローラ31の軸受43(側板43に形成された長穴に移動可能に保持されている。)に当接している。また、加圧レバー51の他端側には加圧スプリング53が接続され、さらに加圧スプリング53の保持板に偏心カム52(不図示の駆動モータによって回転可能に構成されている。)が係合している。このような構成により、偏心カム52の回転により、加圧レバー51が支軸51aを中心にして回転して、加圧ローラ31が図2の破線矢印方向に移動することになる。すなわち、通常の定着工程時には、偏心カム52の回転方向の姿勢が図2の状態になって、加圧ローラ31は定着ベルト21を加圧して所望のニップ部を形成する。これに対して、通常の定着工程時以外のとき(ジャム処理時や待機時等である。)には、偏心カム52の回転方向の姿勢が図2の状態から180度回転して、加圧ローラ31は定着ベルト21から離脱する(又は、定着ベルト21を減圧する。)。
装置本体1の電源スイッチが投入されると、ヒータ25に電力が供給されるとともに、加圧ローラ31の図2中の矢印方向の回転駆動が開始される。これにより、加圧ローラ31との摩擦力によって、定着ベルト21も図2中の矢印方向に従動(回転)する。
その後、給紙部12から記録媒体Pが給送されて、2次転写ローラ89の位置で、記録媒体P上に未定着のカラー画像が担持(転写)される。未定着画像T(トナー像)が担持された記録媒体Pは、不図示のガイド板に案内されながら図2の矢印Y10方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト21及び加圧ローラ31のニップ部に送入される。
そして、加熱部材22(ヒータ25)によって加熱された定着ベルト21による加熱と、補強部材23によって補強された固定部材26と加圧ローラ31との押圧力とによって、記録媒体Pの表面にトナー像Tが定着される。その後、ニップ部から送出された記録媒体Pは、矢印Y11方向に搬送される。
図2及び図5を参照して、加熱部材22には、主にヒータ25(加熱手段)によって直接的に加熱される加熱主部22aと、主に加熱主部22aからの熱伝導によって加熱される加熱従部22bと、が周方向に形成されている。具体的に、加熱部材22の下半分が加熱主部22aであって、加熱部材22の上半分が加熱従部22bとなっている。
これは、補強部材23に対するヒータ25(加熱手段)の位置にも起因している。ヒータ25は、補強部材23に対して加熱主部22aの側に配設されている(ヒータ25は、補強部材23と加熱主部22aとの間に配設されている。)。加熱主部22aは、ヒータ25に直接的に対向して、ヒータ25の輻射光が直接的に達する領域M1であるために、ヒータ25の輻射熱によって直接的に加熱される。これに対して、加熱従部22bは、ヒータ25との間に補強部材23が介在していて、ヒータ25の輻射光が直接的に達しない領域M2であるために、ヒータ25の輻射熱によって加熱されることはほとんどなく、加熱主部22aから伝導される熱によって加熱される。したがって、加熱部材22を厚さが均一の単一材料で形成した場合には、加熱従部22bは加熱主部22aに比べて加熱効率が低くなってしまうことになる。
詳しくは、本実施の形態1における加熱部材22は、加熱従部22bを形成する材料の熱伝導率が、加熱主部22aを形成する材料の熱伝導率に比べて、高くなるように形成されている。具体的に、図5を参照して、加熱主部22aは低熱伝導のステンレスにて形成されて、加熱従部22bは高熱伝導のアルミニウム(又は、銅、黄銅)にて形成されて、双方22a、22bが一体化されるように接合部22dはカシメにて接合されている。
本実施の形態1のように、定着ベルト21の内周面に対向する加熱部材22を固設した定着装置20は、加熱部材22の薄肉化が可能であるためウォームアップ時間が短縮化される。しかし、加熱部材22の厚さが所定値以下になると、加熱時の昇温により加熱部材22の熱変形が生じてしまう。特に、加熱部材22を急速に加熱した場合には、加熱部材22内に径方向(厚さ方向)の温度勾配が発生して熱膨張差で大きな熱変形が生じる。加熱部材22を形成する材料の弾性変形の範囲内の僅かな変形であれば、加熱部材22の温度勾配が解消されるとともに熱変形も無くなるが、弾性変形の範囲を超えた大きな変形は塑性変形となり、加熱部材22が凹んで元に戻らなくなってしまう。加熱部材22が変形してしまうと、定着ベルト21とのクリアランスが変化するために、定着ベルト21の加熱量にムラが生じてしまう。特に、加熱部材22に上述したような凹状の変形が生じると、その部分で定着ベルト21とのクリアランスが大きくなって定着ベルト21が加熱されにくくなるので、局所的な定着不良が発生する。このような不具合を解消するために、加熱部材22の材料として、変形が生じにくい材料を使用する方策が考えられるが、そのような特殊な材料を使用することにより装置20が高コスト化してしまう。
加熱部材22の熱変形は、局所加熱による熱膨張が生じたり、加熱部材22の加工時に残留応力の開放が生じることにより発生する。したがって、加熱部材22の熱変形を防止するためには、変形する力に耐えうる強度(厚さ)を持った加熱部材22である必要がある。しかし、加熱部材22においてヒータ25によって直接的に加熱されない加熱従部22b(熱伝導によって加熱される部分である。)は、加熱主部22aに比べて急速な昇温がないので、強度(厚さや面積)が小さくてよい。つまり、加熱部材22の加熱従部22bの熱容量は加熱主部22aの熱容量よりも低くてよい。
本実施の形態1における定着装置20は、加熱従部22bの熱容量が加熱主部22aの熱容量に比べて低くなるように形成されているために、加熱部材22の変形が定着性に影響を与えない程度の大きさ(弾性変形の範囲内)に抑えられ、加熱部材22全体の低熱容量化が実現されてウォームアップ時間を短縮することが可能となる。すなわち、加熱部材22の熱膨張による塑性変形を防止しつつ、加熱部材22全体の低熱容量化を達成することができる。
ヒータ25から輻射熱を受ける被加熱体は受光面に黒塗装を施すことで、熱の吸収性を向上させることができる。しかし、黒塗装を施すことで、輻射熱の吸収を向上させる反面、輻射熱を発散させやすくなるというデメリットがある。輻射熱を発散させやすいということは、それだけ余分に加熱する必要が生じるために、省エネルギー化の妨げになってしまう。そこで、本実施の形態1では、加熱部材22においてヒータ25によって直接的に加熱されない加熱従部22bに黒塗装を施さないことで、熱の発散を抑制している。また、黒塗装をしないことにより、加熱従部22bにおいて塗装膜分の熱容量を低減することができる。
具体的に、加熱従部22bの内周面は光沢のある金属面となっている。加熱部材22の内周面から放熱される熱量を減少させるためには、加熱部材22の内周面の放射熱を抑制する必要がある。加熱従部22bの内周面が金属光沢面であれば0.04〜0.1程度の放射率になり、加熱従部22bの内周面を黒塗装面(カーボンブラック)としたときの放射率が0.95〜1.0であることから、大幅に輻射熱を抑制できることがわかる。なお、加熱主部22aに施す黒塗装の材料としては、高分子材料にカーボンブラックを分散させた塗膜剤を用いることができる。
加熱部材22と定着ベルト21との摺接による摩擦抵抗を防止するために、加熱部材22の外周面にフッ素コート等の摺動層を設けることが好ましい。特に、加熱主部22aは熱膨張が大きくなって定着ベルト22との摺動抵抗が大きくなる可能性があるために、摺動層22a2を設けることが好ましい。このとき、ニップ部の入口側(上流側)のみに摺動層22a2を設けることにより、その他の部分では摺動層分の低熱容量化を実現することができる。また、定着ベルト21は対向する加圧ローラ31から回転駆動力を受けるので、定着ベルト21が加熱部材22と摩擦する部分は主としてニップ部の入口側であり、その他の部分では双方の部材21、22の接触は低くなっている。したがって、ニップ部の出口側(下流側)においては、摺動層を設けなくても定着ベルト21の回転性能に影響を与えない。
また、フッ素樹脂を含んだ摺動層は径方向に対して熱抵抗が大きくなる(定着ベルト21への熱の伝わりが遅くなる。)。したがって、ヒータ25の輻射熱によって直接的に加熱されない加熱従部22bだけでも摺動層を形成しないことにより、装置のウォームアップ時間を短縮することができる。すなわち、加熱従部22bに摺動層を設けないことにより熱容量が低減して、加熱部材22から定着ベルト21への熱伝導性向上により昇温時間が短縮化される。
具体的に、加熱主部22aの外周面の摺動層22a2としては、フッ素樹脂を分散させた塗装膜や、フッ素分子を共析させたメッキ面とすることができる。
繰り返しになるが、定着ベルト21は加圧ローラ31との摩擦抵抗によって連れ周りで回転するため、ニップ部で回転トルクが与えられる。定着ベルト21は、主にニップ部の入口側で加熱部材22に摺接しながら回転して、ニップ部の出口側では加熱部材22に対して離れている(又は、軽接触している。)。また、ニップ部の入口側の加熱部材22は直接的に加熱されており、熱膨張により定着ベルト21の内周面と接触しやすい。したがって、定着ベルト21に接触しやすいニップ部入口側に潤滑性が要求されることになる。つまり、ニップ部出口側では、摺動層を設けなくても、定着ベルト21の回転性には影響を及ぼさない。ニップ部出口側の加熱部材22の外周面に摺動層を設けないようにすることで、加熱部材22全体の熱容量が減少して熱抵抗も少なくなるので、ウォームアップ時間が短縮化させる。
具体的に、図6を参照して、加熱従部22bの肉厚t2を加熱主部22bの肉厚t1の1/2に設定した場合には、加熱従部22bの肉厚t2が加熱主部22bの肉厚t1と同じ場合に比べて、ウォームアップ時間が10〜15%短縮化された。なお、加熱主部22aと加熱従部22bとは同じ材料を用いることができるために、双方の部材22a、22bの接合部22dを安価な溶接にて接合することができる。また、厚さの異なる2つの部材22a、22bを接合するのではなく、1つの板材にプレス加工を施して薄肉部(加熱従部22b)を形成することもできる。その際、プレス加工によって薄肉部に残留応力が生じて熱変形が発生しないように、焼鈍処理を施すことが好ましい。
また、本実施の形態1では、補強部材23が加熱部材23に内設された定着装置20に対して、本発明を適用した。これに対して、加熱部材22の内部に補強部材23が内設されていない定着装置であって、加熱主部22aと加熱従部22bとが形成されてしまう定着装置(例えば、ヒータ25の周方向の一部に反射板が設置されたり、ヒータ25が加熱部材22の中心からズレた位置に配設された定着装置である。)に対しても、本発明を適用することができる。その場合にも、加熱主部22aや加熱従部22bに対して、それぞれ、熱容量を最適化することで、本実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
図7及び図8にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図7は、実施の形態2における定着装置を示す構成図であって、前記実施の形態1における図2に相当する図である。図8は、加熱部材22を示す斜視図である。
本実施の形態2における定着装置は、加熱部材22や補強部材23の構成や、固定部材26の周囲の構成が、前記実施の形態1のものとは相違する。
このような構成により、潤滑剤保持部材30から定着ベルト21の内周面に潤滑剤が供給されて、固定部材26と定着ベルト21との摺動抵抗や、加熱部材22と定着ベルト21との摺動抵抗が低減されて、それらの部材の磨耗が軽減されることになる。
また、固定部材26の周りには断熱部材27が設置されていて、潤滑剤保持部材30は加熱部材22によって直接的に加熱されにくいために、潤滑剤保持部材30に保持された潤滑剤が熱によって揮発・劣化する不具合が抑止される。すなわち、経時においても、潤滑剤保持部材30から定着ベルト21の内周面に潤滑剤が安定的に供給されることになる。なお、断熱部材27の材料としては、耐熱・高断熱性材料であって、ゴム、樹脂、フェルト、セラミックシート等を用いることができる。
具体的に、ヒータ25(ハロゲンヒータ)の出力が1200Wで、加熱部材22の材質がアルミ(肉厚が0.4mmである。)で、加熱主部22aに対する加熱従部22bの面積率が50%になるように貫通穴22b1を設けた場合、加熱従部22bに貫通穴22b1を設けない場合に比べて、ウォームアップ時間が10%〜15%短縮化された。
このように加熱従部22bに複数の貫通穴22b1を形成する構成は、加熱部材22と定着ベルト21との間に潤滑剤を介在させない場合(例えば、ニップ部以外の位置で双方の部材21、22のギャップがある程度確保されていて、ニップ部の位置で潤滑剤保持部材30による摩擦低減がおこなわれている場合である。)に有用となる。
20 定着装置、
21 定着ベルト(ベルト部材)、
22 加熱部材、
22a 加熱主部、
22a1 黒塗装面、 22a2 摺動層、
22b 加熱従部、
22b1 貫通穴、
22c 開口部、 22d 接合部、
23 補強部材、
25 ヒータ(加熱手段)、
26 固定部材、
31 加圧ローラ(加圧回転体)、 P 記録媒体。
Claims (9)
- 所定方向に走行してトナー像を加熱・溶融するとともに、可撓性を有する無端状のベルト部材と、
前記ベルト部材に圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成する加圧回転体と、
前記ベルト部材の内周面に対向するように固設されるとともに、加熱手段に加熱されて前記ベルト部材を加熱する加熱部材と、
を備え、
前記加熱部材は、前記加熱手段に対向して前記加熱手段によって直接的に加熱される加熱主部と、前記加熱手段による直接的な加熱を遮る遮蔽部材を介して前記加熱手段に対向して前記加熱主部からの熱伝導によって加熱される加熱従部と、を周方向に具備し、
前記加熱従部の熱容量が前記加熱主部の熱容量に比べて低くなるように形成されたことを特徴とする定着装置。 - 前記加熱部材は、前記加熱従部の肉厚が前記加熱主部の肉厚に比べて薄くなるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記加熱部材は、前記加熱従部を形成する材料の熱伝導率が前記加熱主部を形成する材料の熱伝導率に比べて高くなるように形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
- 前記ベルト部材と前記加熱部材との間に潤滑剤を介在させたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の定着装置。
- 前記加熱部材は、前記加熱従部に複数の貫通穴が形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
- 前記加熱部材は、前記加熱従部の内周面に黒塗装を施さずに前記加熱主部の内周面に黒塗装を施したことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置。
- 前記ベルト部材の走行方向に対して前記加熱従部が前記ニップ部の下流側に配設されて前記加熱主部が前記ニップ部の上流側に配設されるように構成され、
前記加熱部材は、前記加熱主部の外周面に低摩擦材料で形成された摺動層を具備したことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置。 - 前記ベルト部材の内周面側に固設されて、当該ベルト部材を介して前記加圧回転体に圧接して前記ニップ部を形成する固定部材と、
前記加熱部材の内周面側に固設されて、前記固定部材に直接的又は間接的に当接して当該固定部材を補強する補強部材と、
を備え、
前記遮蔽部材は、前記補強部材であって、
前記加熱手段は、前記補強部材と前記加熱主部との間に配設されたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の定着装置。 - 請求項1〜請求項8のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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