JP2003076189A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】記録媒体が通過した後に記録媒体と接触するこ
とにより奪われた熱を補充するために熱源からの熱量が
増加される構成を対象として、記録媒体通過後に発生す
る異常昇温を防止することができる構成を備えた定着装
置を提供する。 【解決手段】所定の熱容量を有する回転可能な定着部材
２と、上記定着部材２を加熱する第１熱源６と、上記定
着部材２と当接して定着位置を形成する回転可能な加圧
部材５とを備え、搬送されてくる記録媒体が上記定着部
材２と上記加圧部材５との間の上記定着位置を通過する
ことによって当該記録媒体上に担持された未定着画像を
加熱加圧させて定着する定着装置において、一連のジョ
ブにおける最終記録媒体の後端が上記定着位置を通過す
る時点よりも第１所定時間前に上記第１熱源６をＯＦＦ
にすることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、定着装置およびこ
れを用いる画像形成装置に関し、さらに詳しくは、記録
媒体上に担持された未定着画像をベルトを用いて定着す
るため装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷
機等の画像形成装置には、紙などの記録媒体上に転写さ
れて担持されている未定着画像を定着して複写物や印刷
出力とすることがある。定着に用いられる装置には、一
対のローラを対峙させて配置し、一方のローラを加熱ロ
ーラとして用い、他方のローラを記録媒体の加圧ローラ
として用いる構成がある。この構成では、加熱ローラと
加圧ローラとの間のニップ部に記録媒体を挟持させて搬
送しながら加熱ローラからの熱により未定着画像を融着
させて定着する。

【０００３】定着に用いられる装置には、上述した構成
とは別に、ローラとベルトとを組み合わせた構成があ
る。この構成では、加熱ローラに代えて、一対のローラ
に掛け回されたベルトを用い、上記ローラの一つには加
圧ローラを対峙させてある。

【０００４】一対のローラのうちで、加圧ローラと対峙
する側のローラと協働してベルトを駆動するローラには
ベルトの裏面側から加熱するための熱源が設けられ、加
圧ローラにもベルトの表面を加熱するための熱源が設け
られている。ベルトは、ローラに比べて体積が小さく、
熱容量が小さいので短時間での温度上昇が可能であり、
上述した加熱ローラおよび加圧ローラのみを用いた構成
に比べて始動時での温度立ち上がりが早いという利点が
ある。しかも、加圧ローラでの熱源を加えることにより
ベルトの表裏両面での温度立ち上がりが早められる。

【０００５】ベルトの構成として各ローラが熱伝導率の
高いアルミニウムが用いられる場合、ステンレスをロー
ラ表面に接触する基体とし、その表面にシリコンゴムあ
るいはフッ素系樹脂からなる離型層からなるベルト体を
配置した２層構造がある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ベルトを加熱するため
の構成としては、加圧ローラと対峙する側のローラと協
働してベルトを駆動するローラである加熱ローラに内蔵
された熱源によりベルトの裏面側から加熱する構成に加
えて、加圧ローラに内蔵された熱源によりベルトの表面
側から加熱する構成が用いられている。このため、加熱
ローラおよび加圧ローラはそれぞれ薄肉円筒状の芯金か
らなり、低熱容量化が図られている。加熱ローラの芯金
径は２０ｍｍ以上３０ｍｍ以下、かつ同芯金の肉厚は
０．３ｍｍ以上２．０ｍｍ以下程度であり、加圧ローラ
の芯金径は３０ｍｍ以上５０ｍｍ以下、かつ同芯金の肉
厚は０．３ｍｍ以上１．５ｍｍ以下程度である。これに
より加熱ローラ３の熱容量は２６ｃａｌ／℃以下、加圧
ローラ５の熱容量は３６ｃａｌ／℃以下とされている。

【０００７】しかし、定着ベルトと加圧ローラとの間の
定着位置から紙などの記録媒体が抜けた直後には、記録
媒体に熱量が奪われて制御温度以下になった加熱ローラ
および加圧ローラの表面温度を所定の定着制御温度に戻
そうとして熱源から与えられる熱量が多すぎ、いわゆる
オーバーシュートが発生し、直後に定着部を通過する記
録媒体に対して熱量が過多になったり、機内温度が上昇
して、温度ヒューズや温度サーモスタットのような過昇
防止装置にダメージを与えることがあった。

【０００８】本発明の目的は、上記従来の定着装置、特
に、記録媒体が通過した後に記録媒体と接触することに
より奪われた熱を補充するために熱源からの熱量が増加
される構成を対象として、記録媒体通過後に発生する異
常昇温を防止することができる構成を備えた定着装置お
よび画像形成装置を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
所定の熱容量を有する回転可能な定着部材と、上記定着
部材を加熱する第１熱源と、上記定着部材と当接して記
録媒体を挟持搬送しながら該記録媒体への加熱加圧が可
能な定着位置を形成する回転可能な加圧部材とを備え、
搬送されてくる記録媒体が上記定着部材と上記加圧部材
との間の上記定着位置を通過することによって当該記録
媒体上に担持された未定着画像を加熱加圧させて定着す
る定着装置において、一連のジョブにおける最終記録媒
体の後端が上記定着位置を通過する時点よりも第１所定
時間前に上記第１熱源をＯＦＦにすることを特徴として
いる。

【００１０】請求項２記載の発明は、請求項１記載の発
明に加えて、上記第１所定時間が、上記最終記録媒体の
後端が上記定着位置を通過するまで、上記定着位置にお
ける上記定着部材の表面温度が所定の定着温度以上に維
持可能である時間に設定されていることを特徴としてい
る。

【００１１】請求項３記載の発明は、請求項１または２
記載の発明に加えて、上記第１所定時間は、上記最終記
録媒体の後端が上記定着位置を通過する時期に一致させ
ないことを条件として決定されることを特徴としてい
る。

【００１２】請求項４記載の発明は、請求項１または２
記載の記載の発明に加えて、上記最終の記録媒体が所定
長さより短い場合には、上記最終の記録媒体の先端が上
記定着位置に到着する前に上記第１熱源をＯＦＦにする
ことを特徴としている。

【００１３】請求項５記載の発明は、請求項１乃至３の
うちの一つに記載の記載の発明に加えて、上記一連のジ
ョブにおける記録媒体の総枚数に応じて上記第１所定時
間が変更可能であることを特徴としている。

【００１４】請求項６記載の発明は、請求項１乃至５の
うちの一つに記載の記載の発明に加えて、上記定着部材
は、複数のローラに掛け回され、上記複数のローラのう
ちの少なくとも一つのローラの内部に第１熱源を有する
ベルトからなることを特徴としている。

【００１５】請求項７記載の発明は、請求項６記載の記
載の発明に加えて、上記第１熱源は、上記複数のローラ
のうちで上記定着位置以外に位置するローラに設けら
れ、オフされるタイミングとして、上記最終の記録媒体
の後端が上記定着位置を通過する時期と該第１熱源がオ
フされた時にそれまで加熱されていたベルトが上記定着
位置に到達する時期とがほぼ同じになるタイミングを設
定されていることを特徴としている。

【００１６】請求項８記載の発明は、所定の熱容量を有
する回転可能な定着部材と、上記定着部材を加熱する第
１熱源と、上記定着部材と当接して定着位置を形成する
回転可能な加圧部材と、上記加圧部材を加熱する第２熱
源とを備え、搬送されてくる記録媒体が上記定着部材と
上記加圧部材との間の上記定着位置を通過することによ
って当該記録媒体上に担持された未定着画像を加熱加圧
させて定着する定着装置において、一連のジョブにおけ
る最終の記録媒体の後端が上記定着位置を通過する時点
より第１所定時間前に上記第１熱源をＯＦＦにすると共
に、上記最終の記録媒体の後端が上記定着位置を通過す
る時点より第２所定時間前に上記第２熱源をＯＦＦにす
ることを特徴としている。

【００１７】請求項９記載の発明は、請求項８記載の記
載の発明に加えて、上記第１所定時間および第２所定時
間は、上記最終の記録媒体の後端が上記定着位置を通過
するまで、上記定着部材と加圧部材との間の定着位置で
の表面温度が所定の定着温度に維持可能である時間に設
定されていることを特徴としている。

【００１８】請求項１０記載の発明は、請求項８または
９記載の記載の発明に加えて、上記最終の記録媒体が所
定長さよりも短い場合には、上記最終の記録媒体の先端
が上記定着位置に到着する前に上記第１熱源のおよび第
２熱源のうちの少なくとも一方をＯＦＦにすることを特
徴としている。

【００１９】請求項１１記載の発明は、請求項８乃至１
０のうちの一つに記載の記載の発明に加えて、上記一連
のジョブにおける記録媒体の総枚数に応じて上記第１所
定時間および第２所定時間のうちの少なくとも一方が変
更可能であることを特徴としている。

【００２０】請求項１２記載の発明は、請求項８乃至１
１のうちの一つに記載の記載の発明に加えて、上記定着
部材は、複数のローラに掛け回され、上記複数のローラ
のうちの少なくとも一つのローラの内部に第１熱源を有
するベルトからなり、上記加圧部材は、内部に上記第２
熱源を有する加圧ローラからなることを特徴としてい
る。

【００２１】請求項１３記載の発明は、請求項１乃至１
２のうちの一つに記載の記載の発明に加えて、上記最終
の記録媒体が上記定着位置を通過した後に、上記定着部
材または上記加圧部材の表面温度が定着可能温度よりも
低くなるように制御されることを特徴としている。

【００２２】請求項１４記載の発明は、請求項１３記載
の記載の発明に加えて、上記最終の記録媒体が上記定着
位置を通過した後に制御される上記定着部材および加圧
部材の表面温度は、次の一連のジョブにおける最初の記
録媒体が上記定着位置へ到着するまでに上記定着可能温
度に復帰できる範囲であることを特徴としている。

【００２３】請求項１５記載の発明は、請求項１乃至１
４のうちの一つに記載の定着装置を画像形成装置に用い
ることを特徴としている。

【００２４】

【発明の実施の形態】以下、図示実施例により、本発明
の実施の形態を説明する。図１は、本発明の実施例によ
る定着装置を適用した画像形成装置のひとつを示す図で
あり、同図に示す画像形成装置はフルカラー画像を形成
可能な複写機あるいはプリンタが用いられる。画像形成
装置には、この他に、受信した画像信号に基づき上述し
た複写機およびプリンタと同様な画像形成処理が可能な
ファクシミリ装置がある。なお、画像形成装置には、上
述したカラー形成画像を対象とするだけではなく、単一
色の画像を対象とする装置ももちろん含まれる。

【００２５】図１に示す画像形成装置２０は、画像信号
に応じて各色毎の画像を形成する作像装置２１Ｙ、２１
Ｍ、２１Ｃ、２１ＢＫと、作像装置２１Ｙ、２１Ｍ、２
１Ｃ、２１ＢＫに対向して配置された転写装置２２と、
各作像装置２１Ｙ、２１Ｍ、２１Ｃ、２１ＢＫと転写装
置２２とが対向する転写領域に各種シート状媒体を供給
するシート状媒体供給装置としての給紙カセット２３、
２４と、給紙カセット２３、２４から搬送されてきたシ
ート状媒体を作像装置２１Ｙ、２１Ｍ、２１Ｃ、２１Ｂ
Ｋによる作像のタイミングに合わせて供給するレジスト
ローラ３０と、転写領域において転写後のシート状媒体
の定着を行う定着装置１とを有している。

【００２６】画像形成装置２０は、一般にコピー等に用
いられる普通紙（以下、普通紙）と、ＯＨＰシートある
いはカード、はがきといった９０Ｋ紙以上、坪量約１０
０ｇ／ｍ^２相当以上の厚紙や、封筒等の用紙よりも熱容
量が大きい、いわゆる特殊シート（以下、特殊シート）
との何れをも記録媒体をなすシート状媒体として用いる
ことが可能である。

【００２７】各作像装置２１Ｙ、２１Ｍ、２１Ｃ、２１
ＢＫはそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色
の現像を行うものであり、用いるトナーの色は異なる
が、その構成はほぼ同様であるから、代表して作像装置
２１Ｙに関して構成を説明すると、作像装置２１Ｙは、
静電潜像担持体としての感光体ドラム２５Ｙ、感光体ド
ラム２５Ｙの回転方向Ａにおいて順に配置されている図
示しない帯電装置、現像装置、クリーニング装置等を有
し、帯電装置と現像装置の間で図示しない周知のポリゴ
ンミラーを備えた走査手段による露光光２９Ｙを受ける
周知の構成を備えている。静電潜像担持体はドラム状で
はなく、ベルト状でも良い。ただし、作像装置２１ＢＫ
における露光光２９ＢＫは２ビームとすることができ、
作像装置２１ＢＫは他の作像装置２１Ｙ、２１Ｍ、２１
Ｃに比して速い作像を行うことが可能となっている。

【００２８】給紙カセット２３には、Ａ４サイズのシー
ト状媒体が、給紙カセット２４にはＡ３サイズのシート
状媒体がそれぞれ図の左右方向が長手方向になるように
載置されている。転写装置２２は、画像形成装置２０が
図の左右方向において小型になるよう、斜め方向に配設
され、矢印Ｂで示すシート状媒体搬送方向が斜め方向に
なっている。これにより画像形成装置２０は、図の左右
方向における本体２６の幅が、Ａ３サイズのシート状媒
体の長手方向の長さよりわずかに長い大きさとなってい
る。すなわち画像形成装置２０は内部にシート状媒体を
収容するために必要最小限の大きさとされることで大幅
に小型化されている。本体２６の上部は、定着装置１を
通過し、トナー像が定着されたシート状媒体を積載する
ための排紙トレイ２７となっている。

【００２９】図１において、符号４１、４２はそれぞれ
給紙カセット２３、２４からシート状媒体を送り出すピ
ックアップローラを、符号４３はシート状媒体の送りを
受け継いで搬送する搬送ローラを、符号４４は給紙カセ
ット２３、２４から搬送されてきたシート状媒体をレジ
ストローラ３０に向けて搬送するローラ構造を、符号４
５は排紙トレイ２７に向け符号４６で示した開口から本
体２６外部へシート状媒体を排出する排出ローラを示し
ている。

【００３０】図２に示すように、定着装置１はトナーを
定着されるシート状媒体を搬送するためのシート搬送部
材としての無端の定着ベルト２と定着ベルト２を巻き掛
けられた加熱ローラ３および定着ローラ４と、定着ベル
ト２を介して定着ローラ４に対向して配置された加圧ロ
ーラ５と、加熱ローラ３および加圧ローラ５の内部にそ
れぞれ備えられた第１熱源および第２熱源に相当するヒ
ータ６、７と、加熱ローラ３に対向し当接するように配
置され加熱ローラ３の温度を検知する温度検知手段とし
てのサーミスタ８と、定着ベルト２を介して定着ローラ
４に対向して配置されたクリーニングローラ３１、離型
剤塗布部材としての塗布ローラ３２と、塗布ローラ３２
に離型剤を供給する離型剤供給手段５０と、ケーシング
３３と、ケーシング３３に固設された入り口ガイド１
２、出口ガイド３６、取っ手３７と、加熱ローラ３、定
着ローラ４、定着ベルト２を一体的に支持する支持体３
８と、ケーシング３３に対し支持体３８、加圧ローラ５
を支持する支持体３９等を有している。

【００３１】本発明では、シート状媒体の加熱定着に用
いられる構成として、上述した定着ベルト２と加圧ロー
ラ５とでシート状媒体を挟持搬送しながら加熱加圧が可
能な定着位置にニップ部を形成できる構成だけでなく、
定着ベルト２に代えて芯金の表層に離型層を備えた定着
ローラを用い、この定着ローラと加圧ローラとを組み合
わせた構成や、加圧ローラに代えて加圧ベルトを用い、
この加圧ベルトと定着ローラとを組み合わせた構成、さ
らには、定着ベルトと加圧ベルトとを組み合わせた構成
などをニップ部を形成する対象とすることも可能であ
る。

【００３２】定着ベルト２に適当な所定の張力を与える
ため、加熱ローラ３と定着ローラ４とは、バネなどの図
示しない弾性体により、互いに離間する向きに付勢され
ている。定着ローラ４は芯金９と、この芯金９を被覆し
定着ローラ表面をなす耐熱性の弾性体層１０とを有し、
芯金９が、その軸１１により、図示しない駆動手段によ
り回転駆動されることで、定着ローラ４が矢印Ｃ方向に
回転駆動され、加熱ローラ３の矢印Ｄ方向への従動回転
により定着ベルト２が矢印Ｅ方向に駆動され、またこれ
に従動することで、加圧ローラ５が矢印Ｆ方向に、塗布
ローラ３２がＧ方向に回転駆動される。

【００３３】加圧ローラ５と定着ローラ４とは、支持体
３８と支持体３９とがバネなどの図示しない弾性体によ
り、互いに近接する向きに付勢されることにより、互い
に圧接する向きに、１０Ｋｇｆ以上の圧接力で付勢され
る。加圧ローラ５は、定着ローラ４の軸心を頂点とし定
着ローラ４の軸心と加熱ローラ３の軸心、定着ローラ４
の軸心と加圧ローラ５の軸心をそれぞれ結ぶ２本の直線
によって挟まれる角が鋭角をなすように定着ローラ４に
当接されており、これにより、シート状媒体にトナーを
定着する定着領域としての、加圧ローラ５が定着ローラ
４に対向しない部位で定着ベルト２のみに当接する第一
の定着部１５と、加圧ローラ５が定着ベルト２を介して
定着ローラ４に当接する第二の定着部１６とが形成され
る。本実施例では、第一の定着部１５が予熱位置とさ
れ、第二の定着部１６が定着位置とされている。

【００３４】ケーシング３３は転写装置２２に対向する
位置に設けられ転写装置２２によって搬送されてくるシ
ート状媒体を受け入れるための開口３４と、第一の定着
部１５および第二の定着部１６を挟んで開口３４の反対
側に設けられた定着済みのシート状媒体を排出する開口
３５とを有している。入り口ガイド１２は、その基部が
開口３４の下方においてケーシング３３の外面に固着さ
れ、先端が開口３４からケーシング３３の内部に入り込
み第一の定着部１５に向かって伸びている。

【００３５】定着ベルト２は、ニッケル製の厚さ１００
μｍの基体上に２００μｍのシリコンゴム製の離型層が
形成されたものであり、熱容量が小さく、熱応答性を良
好にされている。定着ベルト２の長さは、同ベルト２が
周回されるときに径が６０ｍｍとなる長さとされてい
る。基体はＳＵＳ製、ポリイミド製でも良く、可撓性を
考慮すると厚さは３０〜１５０μｍ程度であればよい。
離型層はシリコンゴムを用いる場合は厚さ５０〜３００
μｍ程度が望ましく、フッ素系樹脂を用いる場合は厚さ
１０〜５０μｍ程度が望ましい。また離型層はシリコン
ゴムの上にフッ素系樹脂系を重ねた構成でも良い。

【００３６】定着ベルト２は瞬時に加熱され、かつ、ホ
ットオフセットを生じない程度に、第二の定着部１６で
ベルト表面が自己冷却される特性が望まれるが、他方で
は、第二の定着部１６において、トナーを十分に溶かし
て定着されるのに必要な熱容量を有していなければなら
ない。定着ベルト２の上記材質およびその厚さはこの条
件を満たすものである。自己冷却とは、定着領域の、シ
ート状媒体の未定着画像側に加熱源がないことにより、
定着行程に置いてベルトが冷える現象を意味する。

【００３７】定着ベルト２は、加熱ローラ３と定着ロー
ラ４が互いに離間する向きに付勢されていることによ
り、３Ｋｇｆ／片側の張力を与えられている。この張力
は図示しない上記弾性体の付勢力を調整することにより
設定でき、１Ｋｇｆ（９．８Ｎ）〜３Ｋｇｆ（２９．４
Ｎ）の範囲で設定することが良好な定着を行う上で好ま
しい。

【００３８】加熱ローラ３と加圧ローラ５はそれぞれ薄
肉円筒状の芯金からなり低熱容量化が図られている。加
熱ローラ３の芯金径は２０ｍｍ以上３０ｍｍ以下、かつ
同芯金の肉厚は０．３ｍｍ以上２．０ｍｍ以下であり、
加圧ローラ５の芯金径は３０ｍｍ以上５０ｍｍ以下、か
つ同芯金の肉厚は０．３ｍｍ以上１．５ｍｍ以下であ
る。これにより加熱ローラ３の熱容量は２６ｃａｌ／℃
以下、加圧ローラ５の熱容量は３６ｃａｌ／℃以下とさ
れている。

【００３９】本実施例において、加熱ローラ３の芯金は
アルミニウム製であり、径を３０ｍｍ、肉厚を０．７ｍ
ｍとしている。材質は比熱が小さく、熱伝導率が大きい
ものが好ましく、他にも鉄、銅、ステンレス等の金属を
使用することができる。他にもアルミニウム製でローラ
径が３０ｍｍの時は肉厚を０．６〜１．４mmの範囲、鉄
製でローラ径が２０ｍｍの時は肉厚を０．３〜０．９ｍ
ｍの範囲で設定することができる。径が大きいほど肉厚
を薄くするのはローラの軸方向の曲がりを考慮したもの
である。

【００４０】これらの肉厚の下限の値は、上述した定着
ベルト２の張力による加熱ローラ３の変形を考慮したと
きの許容値、上限値は所望の立ち上がり時間を得るため
の許容値を示している。ローラ径を２０ｍｍ以上として
いるのはベルトの張力を確保してローラの軸方向の曲が
りが発生しない範囲とするためである。また、ローラ径
を２０〜３０ｍｍとするのはシート状媒体搬送速度を２
００ｍｍ／ｓｅｃ以下とした場合に、連続通紙中も定着
ベルト２の温度が定着に必要な一定温度を保つための、
２６ｃａｌ／℃程度の熱容量を得るためである。

【００４１】加熱ローラ３を低熱容量とすることによ
り、定着ベルト２が回転してもその熱を奪うことが少な
く、定着に悪影響を与えることや立ち上がり時間を長引
かせることが防止されている。さらに連続定着等により
温度が低下してもその回復までの時間が短縮される。ヒ
ータ６は、加熱ローラ３および加熱ローラ３を介して定
着ベルト２を加熱するために用いられる。ヒータ６の温
度はサーミスタ８による検知信号として図３に示す制御
部に入力され、目標の定着温度と比較される。検知温度
が定着温度より低い場合にはヒータ６に通電が行われ、
検知温度が定着温度より高い場合にはヒータ６に通電が
停止される。このようにサーミスタ８の検知信号がフィ
ードバックされることで定着温度が制御され、定着ベル
ト２の表面温度は１１０℃以上に保たれる。なお、サー
ミスタ８は加熱ローラ３の回転による互いの摩耗を減じ
るように、加熱ローラ３の回転方向に対して鈍角をなす
ように加熱ローラ３に接している。

【００４２】定着ローラ４には弾性体層１０が設けられ
ており、弾性体層１０はゴムにより製作されている。弾
性体層１０に用いられる材質は、シリコーンスポンジゴ
ムである。シリコーンスポンジゴムは発泡体であり、気
泡の径は５００μｍとされ、特に表面近傍すなわち定着
ローラ４周面近傍における径は３００μｍ以下である。
弾性体層１０が発泡体であることにより、定着性に影響
する温度低下が抑制される一方、発泡体であるが故に、
定着圧が得られず光沢が得られないとか、表面が粗く光
沢ムラが出るといった不具合が起こり得るが、発泡径を
上述した値とすることにより、光沢不良や光沢ムラとい
った不具合は解消されるようになっている。また、弾性
体層１０の表面に無発泡の1mm程度の層（スキン層）を
有しても良い。弾性体層１０の表面硬度はアスカＣで２
０ＨＳ以上としているが、これはスキン層の有無に関わ
らず、弾性体層が発泡体であることによる表面粗さが画
質に影響を与えず、光沢ムラを防止して良好な定着品質
を得ることができるようにするためである。

【００４３】本実施例において定着ローラ４の径は３０
ｍｍとされ、弾性体層１０の材質が小さい熱伝導率で断
熱作用のある耐熱多孔質の弾性体であることから、定着
ベルト２の熱を奪う現象の発生を低減し、立ち上がり後
の温度落ち込みを小さくすると共に温度回復のためのプ
レ回転時間を短縮している。また、弾性体層１０が比較
的低硬度であるため、加圧ローラ５との圧接力が小さく
ても十分なニップ幅を得ることができ、比較的低温かつ
低圧の条件下でも良好な定着性能を得ることができる。

【００４４】加圧ローラ５の芯金は鉄製であり、径を４
０ｍｍ、肉厚を１．０ｍｍとしている。材質は比熱が小
さく、熱伝導率が大きいものが好ましく、他にもアルミ
ニウム、銅、ステンレス等の金属を使用することができ
る。さらにこの他にも鉄製でローラ径が３０ｍｍの時は
肉厚を０．４〜１．０mmの範囲、鉄製でローラ径が５０
ｍｍの時は肉厚を０．３〜０．８ｍｍの範囲、アルミニ
ウム製でローラ径が３０ｍｍの時は肉厚を１．３〜１．
５mmの範囲、アルミニウム製でローラ径が５０ｍｍの時
は肉厚を０．６〜１．２ｍｍの範囲で設定することがで
きる。径が大きいほど肉厚を薄くするのはローラの軸方
向の曲がりを考慮したものである。これらの肉厚の下限
の値は、定着圧の下限値の相当する０．６Ｋｇ／ｃｍ^２
の面圧による加圧ローラ５の変形を考慮したときの許容
値、上限値は所望の立ち上がり時間を得るための許容値
を示している。ローラ径を３０ｍｍ以上としているのは
定着圧を確保してローラの軸方向の曲がりが発生しない
範囲とするためである。またローラ径を３０〜５０ｍｍ
とするのは、シート状媒体搬送速度を２００ｍｍ／ｓｅ
ｃ以下とした場合に、連続通紙中も定着ベルト２の温度
が定着に必要な一定温度を保つために必要とされる３６
ｃａｌ／℃程度の熱容量を得るためである。

【００４５】加圧ローラ５を低熱容量とすることによ
り、定着ベルト２が回転してもその熱を奪うことが少な
く、特に本実施例においては加圧ローラ５はヒータ７を
有するので定着ベルト２の温度を低下させて定着に悪影
響を与えることや立ち上がり時間を長引かせることが防
止されている。さらに連続定着等により温度が低下して
もその回復までの時間が短縮される。ヒータ７は、加圧
ローラ５の温度を上げ、立ち上げ時間を短縮すると共
に、定着の際にはシート状媒体の背面からも熱を供給し
て安定した定着性能を得るものである。また、加圧ロー
ラ５には芯金上に１０〜３００μｍの離型層が形成され
ることもある。ヒータ７は加圧ローラ５を加熱するため
に用いられる。温度はサーミスタ８１による検知信号と
して図示しない制御手段に入力され、目標の定着温度と
比較される。検知温度が定着温度より低い場合にはヒー
タ７に通電が行われ、検知温度が定着温度より高い場合
にはヒータ７に通電が停止される。このようにサーミス
タ８１の検知信号がフィードバックされることで定着温
度が制御され、加圧ローラ５の表面温度は１１０℃以上
に保たれる。なお、サーミスタ８１は加圧ローラ５の回
転による互いの摩耗を減じるように、加圧ローラ５の回
転方向に対して鈍角をなすように加圧ローラ５に接して
いる。

【００４６】加熱ローラ３および加圧ローラ５を薄肉と
して低熱容量化できるのは、定着装置１が定着ベルト２
を用いるいわゆるベルト定着装置の構成による。すなわ
ち定着は、定着部１５、１６という距離的に比較的長い
部位によって行われるため、定着圧を減じることがで
き、加圧ローラ５の強度を下げることができ、また加熱
ローラ３は加圧ローラと圧接されないために薄肉化でき
る。定着を距離的に比較的長い部位によって行うこと
は、比較的低温での定着を可能とし、これは立ち上がり
時間を短縮することにも寄与している。また定着ベルト
２を用いると、ヒータにより加熱された定着ベルト２が
搬送される過程で定着に適当な温度に冷却され、オフセ
ットしにくいという利点もある。ヒータ６、７の出力は
電源スイッチ投入時の突入電流、ヒータのオン、オフ時
の蛍光灯のちらつき現象を考慮して７００Ｗ以下とされ
ている。

【００４７】クリーニングローラ３１と塗布ローラ３２
とは互いに隣り合う位置に配設されており、クリーニン
グローラ３１は塗布ローラ３２に対し、定着ベルト２の
移動方向における上流側に位置している。クリーニング
ローラ３１と塗布ローラ３２はともに定着ベルト２に当
接している。またクリーニングローラ３１は矢印Ｈ方
向、塗布ローラ３２は矢印Ｇ方向に、図示しない駆動手
段によりそれぞれ定着ベルト２との対向部で定着ベルト
２と同じ移動方向に、かつ定着ベルト２と等速で移動す
るように駆動されている。クリーニングローラ３１は定
着ベルト２と当接する事によりシート状媒体から定着ベ
ルト２に転移したトナーを拭い取り、転写ベルト２表面
をリフレッシュする。

【００４８】塗布ローラ３２は離型剤供給手段５０から
シリコンオイルを主成分とした離型剤を定着ベルト２に
適当な所定量を塗布する。離型剤供給手段５０は図示し
ない接離機構で接離制御することにより、定着ベルト２
に所定量の離型剤を塗布するように制御を行っている。
離型剤供給手段５０は、本出願人の先願に係る特開２０
００−３８２６５号公報に詳細が開示されているよう
に、離型剤を含浸させたパッド状の繊維材５１に一部を
接触させて塗布ローラ３２に接触可能な位置まで延長さ
れ、離型剤との接触角（ぬれ角）が９０度以下に設定さ
れて毛管作用による吸い上げが可能な材質を用いた離型
剤供給部および塗布ローラ３２と接触する位置で離型剤
供給部と接触して消費されなかった離型剤をパッド状の
繊維剤に帰還させる離型剤回収部とを備えた離型剤の循
環が可能な塗布手段５２を備えた装置５３で構成されて
いる。

【００４９】前述したように加熱ローラ３にはベルトの
裏面側から加熱するためのヒータ６とそれを制御するた
めのサーミスタ８が、さらに加圧ローラ５にもベルトの
表面を加熱するためのヒータ７とそれを制御するための
サーミスタ８１が設けられている。この加熱ローラ３お
よび加圧ローラ５はそれぞれ薄肉円筒状の芯金からな
り、低熱容量化が図られているため、ヒータ６、７のオ
ン／オフによる応答性が速く、サーミスタ８、８１が制
御温度以上になっていることを検知してヒータ６、７を
オフしても、所定の制御温度以上となってしまい、いわ
ゆる温度のオーバーシュート、つまり、過昇温状態を発
生することがある。加熱ローラ３にオーバーシュートが
発生することに伴い、定着ベルト２表面も温度のオーバ
ーシュートが発生する。紙などのシート状媒体が定着部
を通過することにより定着ベルト２および加圧ローラ５
から熱がシート状媒体に転移し、定着ベルト２および加
圧ローラ５の表面温度が所定の制御温度よりも低くなっ
ているときにはこの傾向がより顕著となる。なお、本実
施例では、ヒータ、特に加熱ローラ３に設けられている
ヒータ６の熱的な暴走による発煙や出火を防止するため
に、上述した温度制御とは別に、サーモスタットや温度
ヒューズを用いた温度過昇防止装置１０１が設けられて
いる。この構成に関しては、図７を用いて後で説明す
る。

【００５０】上記構成を備えた定着装置１を対象とし
て、本発明に係る実施の形態について説明すると次の通
りである。本発明の実施の形態は、図３に示す制御部１
００において、熱源を内蔵している定着部材の一つであ
る定着ベルト２を加熱するための加熱ローラ３および加
圧部材の一つである加圧ローラ５の表面温度設定に特徴
を有する。図３において制御部１００は、マイクロコン
ピュータにより主要部が構成され、図示しないＩ／Ｏイ
ンターフェースを介して入力側には、サーミスタ８，８
１が接続され、出力側にはヒータ６，７が接続されてい
る。制御部１００では、次の条件による各ローラ表面で
の温度設定が行われる。 （１）一連のジョブにおける最終の記録媒体であるシー
ト状媒体の後端が定着部材である定着ベルトあるいは定
着ローラと加圧部材である加圧ローラあるいは加圧ベル
トとが直接対峙する第二の定着部１６が相当する定着位
置を通過する時点より第１所定時間前に第１熱源に相当
している加熱ローラ３側のヒータ６をＯＦＦにする。こ
の場合にいうジョブとは、設定された枚数のシート状媒
体を対象として実行される作業単位を意味している。 （２）第１所定時間は、最終のシート状媒体の後端が上
記定着位置を通過するまで、定着部材および上記加圧部
材との間の定着位置での表面温度が所定の定着温度以上
に維持可能である時間に設定する。 （３）上記最終記録媒体の後端が上記定着位置を通過す
る時期に一致させないことを条件として第１所定時間を
決定する。 （４）最終のシート状媒体が所定長さより短い場合に
は、最終のシート状媒体の先端が上記定着位置に到着す
る前に加熱ローラ３側のヒータ６をＯＦＦにする。 （５）第１所定時間を、一連のジョブにおけるシート状
媒体の総枚数に応じて変更できるようにする。 （６）定着部材として複数のローラに掛け回されるベル
トが用いられる場合には、第１熱源を複数のローラのう
ちで、定着位置以外のローラに設け、上記第１熱源は、
上記複数のローラのうちで上記定着位置以外に位置する
ローラに設けられ、オフされるタイミングとして、上記
最終の記録媒体の後端が上記定着位置を通過する時期と
該第１熱源がオフされた時にそれまで加熱されていた定
着ベルトが上記定着位置に到達する時期とがほぼ同じに
なるタイミングを設定する。 （７）一連のジョブにおける最終のシート状媒体の後端
が上記定着位置を通過する時点より第１所定時間前に第
１熱源であるヒータ６をＯＦＦにすると共に、最終のシ
ート状媒体の後端が上記定着位置を通過する時点より第
２所定時間前に第２熱源に相当している加圧ローラ５側
のヒータ７をＯＦＦにする。 （８）この場合にいう、第１所定時間および第２所定時
間は、最終のシート状媒体の後端が上記定着位置を通過
するまで、上記定着部材と加圧部材との間の定着位置で
の表面温度が所定の定着温度に維持可能である時間に設
定する。 （９）最終のシート状媒体が所定長さよりも短い場合に
は、上記最終のシート状媒体の先端が上記定着位置に到
着する前に第１熱源であるヒータ６および第２熱源であ
るヒータ７のうちの少なくとも一方をＯＦＦにする。 （１０）一連のジョブにおけるシート状媒体の総枚数に
応じて上記第１所定時間および第２所定時間のうちの少
なくとも一方を変更できるようにする。 （１１）最終のシート状媒体が上記定着位置を通過した
後に、上記定着部材または上記加圧部材の表面温を定着
可能温度よりも低くする。 （１２）最終のシート状媒体が上記定着位置を通過した
後に設定される際の定着部材および加圧部材での表面温
度を、次の一連のジョブにおける最初の記録媒体が上記
定着位置へ到着するまでに定着可能温度に復帰できる範
囲に設定する。

【００５１】以下、上記条件に基づく温度設定について
説明する。まず、図４において従来の定着装置における
加熱ローラ３および加圧ローラ５における表面温度の推
移を説明した上で、図５以降の図により本実施形態での
表面温度の推移を説明する。本実施例においては、加熱
ローラ３の表面温度と定着ベルト２の表面温度差は約２
０℃であるため、加熱ローラの制御温度が１７０℃、加
圧ローラの制御温度は１５０℃とされ、両者間で２０℃
の温度差が設けてある。図４において、横軸の範囲
（Ａ）は、定着部にシート状媒体が進入する前のプレ回
転の状態を示し、範囲（Ｂ）は、シート状媒体が定着部
を通過している状態を示し、範囲（Ｃ）は、シート状媒
体が定着部を通過したが、シート状媒体を本体２６上部
の排紙トレイ２７に排出するために本体の駆動が維持さ
れ、これに伴い定着装置２も継続して稼働している状態
を示し、範囲（Ｄ）は、シート状媒体が排紙トレイ２７
に排紙されて、定着装置の駆動が停止した状態を示して
いる。

【００５２】加熱ローラ３は、範囲（Ａ）において狙い
の制御値１７０℃で推移しているが、範囲（Ｂ）でシー
ト状媒体に熱が奪われ、一時的に５℃程度、温度が下が
り、ヒータ６がオンされる。範囲（Ｃ）では、シート状
媒体が定着部に存在しなくなるので温度を奪われる媒体
が無くなり、温度が上昇を始める。サーミスタ８が制御
温度より高い温度を検知し、ヒータ６はオフされるが、
ヒータ６の応答性が遅いため、温度がオーバーシュート
を起こす。範囲（Ｄ）になると、定着装置１の駆動が停
止するため、定着ベルト２にも熱が転移しなくなり、結
果として、加熱ローラ３の表面温度は制御温度よりも１
０℃以上高い状態が続く。

【００５３】同様に加圧ローラ５は範囲（Ａ）において
狙いの制御値１５０℃で推移しているが、範囲（Ｂ）で
シート状媒体に熱量が奪われ、一時的に５℃程度、温度
が下がり、ヒータ７がオンされる。加圧ローラ５はロー
ラ表面にサーミスタ８１が具備されているので、加熱ロ
ーラ３に比べるとヒータ７が早くオンするため、一旦温
度が下がった後の立ち上がりは速い。範囲（Ｃ）では、
シート状媒体が定着部に存在しなくなるので温度を奪わ
れる媒体が無くなり、温度が上昇を始める。サーミスタ
８１が制御温度より高い温度を検知し、ヒータ７はオフ
されるが、ヒータ７の応答性が遅いため、温度がオーバ
ーシュートを起こす。範囲（Ｄ）になると定着装置の駆
動が停止するため、定着ベルト２にも熱が転移しなくな
るため、加圧ローラ５の表面温度は制御温度よりも１０
℃以上高い状態が続く。

【００５４】このような従来の構成における表面温度の
推移に対して、図５は、請求項１および２記載の発明の
実施の形態に係る（１）、（２）に挙げた条件による表
面温度の推移を示しており、図５（Ａ）は、加熱ローラ
３での表面温度の推移であり、図５（Ｂ）は加圧ローラ
５での表面温度の推移を示している。図４と同様に、加
熱ローラ３の表面温度と定着ベルト２の表面温度差は約
２０℃であるため、加熱ローラの制御温度は１７０℃、
加圧ローラの制御温度は１５０℃と２０℃の温度差が設
けてある。

【００５５】図５における横軸の範囲（Ａ）は、定着部
にシート状媒体が進入する前のプレ回転の状態、範囲
（Ｂ）は、シート状媒体が定着部を通過している状態、
範囲：Ｃはシート状媒体が定着部を通過したが、シート
状媒体を本体２６上部の排紙トレイ２７に排出するため
に本体駆動は回転し、これに伴い定着装置は回転し続け
ている状態、範囲（Ｃ）は、シート状媒体が排紙トレイ
２７に排紙されて、定着装置の駆動が停止した状態を、
それぞれ示しているのも図４と同じである。

【００５６】加熱ローラ３は、範囲（Ａ）において狙い
の制御値１７０℃で推移しているが、範囲（Ｂ）でシー
ト状媒体に熱量が奪われ、一時的に５℃程度、温度が下
がり、ヒータ６がオンされる。その後、範囲（Ｂ）が範
囲（Ｃ）に移行する直前の所定の時間、ヒータ６はオフ
される。

【００５７】オフされるタイミングは、上記（１）およ
び（２）に挙げた条件に基づき、最終のシート状媒体が
定着位置を通過し終わる前にヒータ６による加熱が停止
される。ヒータ６のオフタイミングの設定に際しては、
一例として、レジストローラ３０（図１参照）から最終
のシート状媒体後端が抜けるタイミングとそのときの作
像線速とによりシート状媒体の後端が定着位置を通過す
る時期が割り出され、その時期を基準として（２）に挙
げた条件を満足する第１所定時間に基づきオフタイミン
グが設定される。この場合のレジストローラ３０からシ
ート状媒体が抜けるタイミングは図示されない通紙搬送
を管理するセンサが用いられる。

【００５８】請求項１および２記載の発明の実施の形態
による表面温度の設定モードにおいては、シート状媒体
が通過後に発生する温度オーバーシュートを低減できる
ので、次作像時に温度過多によるホットオフセットが発
生したり、温度過昇防止装置の誤動作を防止することが
可能となった。

【００５９】一方、第１所定時間の設定基準として、請
求項３記載の発明の実施の形態に係る（３）に挙げた条
件が用いられる。（３）に挙げた条件は、（２）に挙げ
た条件において、最終のシート状媒体の後端が上記定着
位置を通過するまで、定着部材および上記加圧部材との
間の定着位置での表面温度が所定の定着温度以上に維持
可能である時間とした場合にヒータ６をオフした場合で
もシート状媒体の後端が定着位置を通過し終わった時点
で温度オーバーシュートが発生するのをより確実に防止
することを目的としている。この理由は次の通りであ
る。つまり、第１所定時間をゼロとした場合には、シー
ト状媒体の後端が定着位置を通過した時点とほぼ同じ時
期にヒータ６がオフされることになる。このため、シー
ト状記録媒体の移動方向で後端の直後に位置する定着ベ
ルト２（ベルトに代えてローラが用いられた場合も含
む）は、それまで加熱されていたことにより高温状態に
維持されており、定着位置に熱を奪うシート状媒体が存
在していないことが原因して温度低下が行われない。従
って、温度オーバーシュートが発生しやすくなる。そこ
で、本実施例では、温度オーバーシュートが発生しやす
くなる状態を（３）に挙げた第１所定時間の設定条件に
より回避するようになっている。

【００６０】次に請求項４記載の発明の実施形態につい
て説明する。最終のシート媒体の後端が定着位置を通過
し終わるよりも前の時点で第１所定時間によりヒータ６
がＯＦＦされるが、ＯＦＦされたことによるシート状媒
体の定着には悪影響を及ぼさない。つまり、ヒータ６が
所定の時間だけオフされても、ヒータ６の応答性が遅
く、且つユニット近傍が暖まっているため、実際にはシ
ート状媒体が定着ユニットを通過している間に、急激に
定着ニップ部の温度が下がることはなく、定着性が低下
することはない。逆に定着性に影響するほど早くヒータ
をオフすることは本発明の意図するところではない。

【００６１】オフタイミングの設定に関しては、シート
状媒体の長さに対して上述した第１所定時間が適用され
るので、シートサイズによっては、第１所定時間の設定
によりシート状媒体が定着位置を通過している場合およ
び定着位置に達していない場合がある。たとえば、Ａ３
サイズとこれよりも小サイズのＡ４サイズの場合である
と、Ａ３サイズでは定着位置を通過し、Ａ４サイズでは
定着位置に達していない場合があるが、これら両方のサ
イズの場合でも上述したオフタイミングに基づき、ヒー
タ６がＯＦＦにされるようになっている。これが上記
（４）に挙げた条件である。

【００６２】次に請求項５記載の発明の実施形態につい
て説明する。本実施例では、ヒータ６のオフタイミング
が一連のジョブにおけるシート状媒体の総枚数に応じて
変更することもできる。つまり、連続して定着される枚
数が多い場合にはユニットの近傍がより暖められ、定着
性に対する余裕度が高くなるのと同時に、オーバーシュ
ートが発生しやすくなる。このため、（５）に挙げた条
件に基づきオフタイミングを変更するようにし、一例と
して、枚数が多くなるに従い第１所定時間を長くするこ
とにより定着性に対する余裕度が高められた状態でオー
バーシュートが発生しやすくなるのを防止することがで
きる。この場合の可変となるオフタイミングも装置固有
の値である。装置の構成と設定温度条件等により、最終
のシート媒体ではなく、最終よりも複数枚前のシート媒
体が定着ユニット内にいるタイミングでヒータ６がオフ
されても何ら問題はない。

【００６３】次に請求項６および７記載の発明の実施形
態について説明する。請求項６および７記載の発明の実
施形態は、定着部材として上述した定着ベルト２を用い
た場合に、定着ベルト２が掛け回されているローラのう
ちで、定着位置以外のローラ、つまり、加熱ローラ３に
第１熱源であるヒータ６が設けられている場合を対象と
してヒータ６のオフタイミング制御を行うことを特徴と
しており、この条件が（６）に挙げた条件である。
（６）に挙げた条件を用いる理由は次の通りである。ヒ
ータ６により加熱されている定着ベルト２は、加熱ロー
ラ３の位置から定着位置まで移動する際にシート状媒体
が接触しているとこれに熱を奪われて温度低下を来す。
しかし、シート状媒体が存在していない状態で加熱を継
続されるとオーバーシュートが発生する。そこで、最終
のシート状媒体の後端が定着位置を通過し終わった時点
に、定着位置を通過する定着ベルト２を温度低下させて
あることが定着ベルト２のオーバーシュートを防止する
上で望ましいといえる。このため、定着ベルト２の移動
時間を参考にヒータ６のオフタイミングを（６）に挙げ
た条件に基づき設定する。図２に示す構成において定着
ベルト２は、第１熱源であるヒータ６により加熱される
位置が加熱ローラ３の周面を周回している範囲である。
本実施形態においては、ヒータ６がオフされたときにそ
れまで加熱されていた定着ベルト２が加熱位置（加熱ロ
ーラ３に周回されている範囲）から定着位置（定着ニッ
プ部）まで移動する時期と、最終のシート状媒体後端が
定着位置（定着ニップ部）を通過するまでの時期とがほ
ぼ同じになるようにヒータ６のオフタイミングを設定す
ることにより、最終のシート状媒体後端が定着位置を通
過した時点での定着ベルト２の温度をオーバーシュート
が起こらない温度に設定する。この場合、定着ベルト２
が加熱位置から定着位置まで移動する距離は、周回長さ
と定着位置から定着ベルト２が加熱ローラ３に対向する
までの長さを合わせた距離に相当するので、この距離を
移動する時間と定着位置から最終のシート状媒体の後端
までの距離を移動する時間とを参考にすればよいことに
なる。（６）に挙げた条件によれば、オフされるタイミ
ングとして、ヒータ６がオフされたときにそれまで加熱
されていた定着ベルト２が加熱位置に達する時期と上記
最終の記録媒体の後端が上記定着位置を通過する時期と
がほぼ同じになるタイミングを設定されていることによ
り、最終シート状媒体の後端が定着位置を通過した時点
にヒータ６がオフされる場合と違って定着位置に至るま
での間、徐々に温度低下が行える時期にヒータ６がオフ
されることになり、最終シート状媒体の後端が定着位置
を通過した後に定着位置に達する定着ベルト２は温度オ
ーバーシュートが抑えられていることになる。

【００６４】次に請求項８乃至１２記載の発明の実施形
態について説明する。本実施例では、加熱ローラ３側の
ヒータ６を対象とするだけでなく、加圧ローラ５側のヒ
ータ７を組み合わせてそれら少なくとも一方を制御対象
とすることができる。加圧ローラ５は、範囲（Ａ）にお
いて狙いの制御値１５０℃で推移しているが、範囲
（Ｂ）でシート状媒体に熱量が奪われ、一時的に５℃程
度、温度が下がり、第２熱源であるヒータ７がオンされ
る。その後、範囲（Ｂ）が範囲（Ｃ）に移行する直前の
所定の時間、つまり第２所定時間の間、ヒータ７はオフ
される。

【００６５】オフされるタイミングは、上記（７）およ
び（８）に挙げた条件に基づき、最終のシート状媒体が
定着位置を通過し終わる前にヒータ７による加熱が停止
される。ヒータ７のオフタイミングの設定に際しては、
第１熱源であるヒータ６を対象とした場合と同様に、レ
ジストローラ３０（図１参照）から最終のシート状媒体
後端が抜けるタイミングとそのときの作像線速とにより
シート状媒体の後端が定着位置を通過する時期が割り出
され、その時期を基準として（８）に挙げた条件を満足
できる第２所定時間に基づきオフタイミングが設定され
る。この場合のレジストローラ３０からシート状媒体が
抜けるタイミングは図示されない通紙搬送を管理するセ
ンサが用いられる。

【００６６】最終のシート媒体の後端が定着位置を通過
し終わるよりも前の時点で第１所定時間によりヒータ７
がＯＦＦされるが、ＯＦＦされたことによるシート状媒
体の定着には上述したヒータ６のみを対象とした場合と
同じ理由により悪影響を及ぼさない。加熱ローラ３に比
べ加圧ローラ５は芯金上に２００μｍの離型層を形成し
てあり、加熱ローラ３の熱容量は２６ｃａｌ／℃以下に
対して、加圧ローラ５の熱容量は３６ｃａｌ／℃以下と
高く、温度の変化が少ない為、必ずしも加熱ローラ３と
加圧ローラ５のオフタイミングは同じでなくても良い
が、本画像形成装置では図２に示されるように加熱ロー
ラ３と定着ニップの間には距離があり、ヒータ６がオフ
される瞬間に加熱ローラ３に接触していたベルトの範囲
が定着ニップに到達するまでには時間的な遅延が発生す
るため、結果的に同じオフタイミングとなっている。

【００６７】第２熱源であるヒータ７を対象とした場合
においても、オフタイミングの設定に関しては、シート
状媒体の長さに対して上述した第２所定時間が適用され
るので、シートサイズによっては、第２所定時間の設定
によりシート状媒体が定着位置を通過している場合およ
び定着位置に達していない場合がある。たとえば、Ａ３
サイズとこれよりも小サイズのＡ４サイズの場合である
と、Ａ３サイズでは定着位置を通過し、Ａ４サイズでは
定着位置に達していない場合があるが、これら両方のサ
イズの場合でも上述したオフタイミングに基づき、ヒー
タ７がＯＦＦにされるようになっている。これが上記
（９）に挙げた条件である。

【００６８】本実施例においても、ヒータ７のオフタイ
ミングが一連のジョブにおけるシート状媒体の総枚数に
応じて変更することもできる。つまり、連続して定着さ
れる枚数が多い場合にはユニットの近傍がより暖めら
れ、定着性に対する余裕度が高くなるのと同時に、オー
バーシュートが発生しやすくなる。このため、（１０）
に挙げた条件に基づきオフタイミングを変更するように
し、一例として、枚数が多くなるに従い第１所定時間を
長くすることにより定着性に対する余裕度が高められた
状態でオーバーシュートが発生しやすくなるのを防止す
ることができる。この場合の可変となるオフタイミング
も装置固有の値である。

【００６９】以上のような実施形態によれば、オフタイ
ミングを決める際に、シート状媒体の後端を基準にする
ことを特徴としており、これにより、ヒータ６および７
のオフ後に奪われる熱量のばらつきが小さくなり、最終
シート媒体が通過後の定着ローラ３表面の温度および加
圧ローラ５表面の温度のばらつきも最小限に押さえられ
るので、通紙終了後のオーバーシュートがコントロール
しやすくなる。

【００７０】次に請求項１３および１４記載の発明の実
施形態について説明する。図６は、（１１）、（１２）
に挙げた条件に基づく、表面温度の推移を示す図であ
る。加熱ローラ３は範囲（Ａ）においては狙いの制御値
１７０℃で推移しているが、範囲（Ｂ）でシート状媒体
に熱量が奪われ、一時的に５℃程度、温度が下がり、ヒ
ータ６がオンされる。所定期間のヒータ６がオフされた
後、図６（Ａ）に示すように、範囲（Ｃ）に移行するの
と同期して、制御温度を１０℃低く下げるように制御す
る。シート状媒体が定着部に存在しなくなるため温度を
奪われる媒体が無くなるが、ヒータ６のオフで加熱ロー
ラ３の表面温度は制御温度より約１０℃下がっているた
め、ヒータ６もオンされず、オーバーシュートも発生し
ない。加熱ローラ３の表面温度は定着制御温度（１７０
℃）と作像が許可される温度（１６０℃）の間で推移す
る。図６（Ａ）中、範囲（Ｄ）において、定着装置１の
駆動が停止しても加熱ローラ３の表面温度は同一の範囲
で推移する。

【００７１】同様に加圧ローラ５は範囲（Ｂ）において
狙いの制御値１５０℃で推移しているが、範囲：Ｂでシ
ート状媒体に熱量が奪われ、一時的に５℃程度、温度が
下がり、ヒータ７がオンされる。所定期間のヒータ７が
オフされた後、図６（Ｂ）中、範囲（Ｃ）に移行するの
と同期して、制御温度を２０℃低く下げるように制御す
る。これは加熱ローラ３に比べ加圧ローラ５は芯金上に
２００μｍの離型層を形成してあり、加熱ローラ３の熱
容量は２６ｃａｌ／℃以下に対して、加圧ローラ５の熱
容量は３６ｃａｌ／℃以下と高く、温度の変化が少ない
ためである。

【００７２】シート状媒体が定着部に存在しなくなるた
め温度を奪われる媒体が無くなるが、ヒータ７のオフで
加圧ローラ５の表面温度は制御温度より約１０℃下がっ
ているため、ヒータ６もオンされず、オーバーシュート
も発生しない。加圧ローラ５の表面温度は定着制御温度
（１５０℃）と作像が許可される温度（１３０℃）の間
で推移する。図６（Ｂ）中の範囲（Ｄ）において、定着
装置の駆動が停止しても加圧ローラ５の表面温度は同一
の範囲で推移する。

【００７３】以上のような実施の形態によれば、先に挙
げた設定モードでの表面温度管理を更に効果的に実行で
きることにより、シート状媒体が通過後に発生する温度
オーバーシュートを低減できるので、次作像時に温度過
多によるホットオフセットが発生したり、温度過昇防止
装置の誤動作を防止することが可能となる。

【００７４】本実施の形態では、（１２）に挙げた条件
により、上記記載のシート状媒体が通過後に下げる温度
（加熱ローラ３に対して１０℃、加圧ローラに対して２
０℃）は、次作像時にシート状媒体が給紙から最も定着
装置寄りの作像装置２１ＢＫに搬送されるまでの、いわ
ゆるプレ回転時間内に所定の定着制御温度に復帰可能な
範囲で設定される。これにより、（９）の条件を実行す
る際の制御動作が次の作像時に影響を及ぼさないように
することができる。

【００７５】次に本発明の実施の形態に係る実施例にお
ける一部変形例について説明する。加熱ローラ３には、
サーモスタットを用いた温度過昇防止装置が設けられて
おり、温度過昇防止装置は、所定の温度以上になると加
熱ヒータ３の導通を遮断し、加熱ローラ３のヒータ６の
暴走による発煙や発火を未然に防止する。図７は、上述
した温度過昇防止装置（便宜上、図７において符号１０
１で示す）の設置構造を示す図であり、同図において、
温度過昇防止装置１０１は、加熱ローラ３に接触させて
配置されており、温度が２００℃以上になるとヒータへ
の通電が遮断される仕様となっている。

【００７６】上記各項に挙げた条件では、加熱ローラ３
の定着制御温度は１７０℃であったが、厚手の紙種に対
応するため、制御温度を１８０℃までというように高温
に変更することができる構成では、１８０℃を制御温度
にした場合には従来の制御方法ではオーバーシュートに
より２００℃まで加熱ローラ３の表面温度が上昇するこ
とがあり、定着装置としては異常な制御をしていないに
も関わらず、温度過昇防止装置１０１（図７参照）が切
れて、サービスマンによる温度過昇防止装置１０１とし
て用いられるサーモスタット等の交換が必要となる場合
があった。これに対し、上記各項に挙げた条件による表
面温度管理制御を行うことにより、オーバーシュートが
防止され、温度過昇防止装置１０１を狙い通りに使用で
きるようになり、より安全な画像形成装置を得ることが
できる。

【００７７】また、上記温度過昇防止装置１０１（図７
参照）として、温度ヒューズを用いると、サーモスタッ
トに比較してより安価な構成でサーモスタットを用いた
場合と同様な効果を得ることができる。

【００７８】

【発明の効果】請求項１、２および８，９さらには請求
項６，１２記載の発明によれば、記録媒体が通過後に発
生する温度オーバーシュート、いわゆる、異常昇温を防
止できるので、次作像時に温度過多によるホットオフセ
ットが発生したり、温度過昇防止装置の誤動作を防止す
ることが可能となる。特に、熱容量が小さく温度の立ち
上がりが顕著となるベルトを定着部材として用いた場合
に、そのベルトでの表面温度がオーバーシュートを発生
しやすくなるのを未然に防止することが可能となる。

【００７９】請求項３および７記載の発明によれば、第
１熱源のオフタイミングに相当する第１所定時間を、最
終記録媒体の後端が定着位置を通過する時期に一致させ
ないようにして、記録媒体の後端が定着位置を通過した
後に定着位置に至る定着部材の温度低下を可能にして記
録媒体が存在しなくなった時点での定着部材の温度オー
バーシュートの発生を確実に防止することが可能とな
る。

【００８０】請求項４および１０記載の発明によれば、
定着に供される記録媒体にサイズに関わりなく通紙終了
後での温度のオーバーシュート、つまり異常昇温を防止
できるので、ホットオフセットの防止および温度過昇防
止装置の誤動作を記録媒体のサイズに左右されることな
く防止することが可能となる。

【００８１】請求項５および１１記載の発明によれば、
一連のジョブにおける記録媒体の総枚数に応じて熱源の
オフタイミングを設定することができるので、定着性の
余裕度を高めながら、この時点に発生しやすい温度のオ
ーバーシュート、つまり、異常昇温を抑制することが可
能となる。

【００８２】請求項１３記載の発明によれば、シート状
媒体が通過後に発生する温度のオーバーシュートを防止
できるので、次作像時に温度過多によるホットオフセッ
トが発生したり、温度過昇防止装置の誤動作を防止する
ことが可能となる。

【００８３】請求項１４記載の発明によれば、次作像時
でのプレヒート期間での温度に影響を及ぼさないように
できるので、次作像時での画像形成時での定着不良を招
くことなく異常昇温の抑制が可能となる。

【００８４】請求項１５記載の発明によれば、定着装置
での記録媒体通過後に発生する異常昇温を確実に防止し
てホットオフセットの防止および安全を確保できる画像
形成装置を得ることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態による定着装置を適用した画
像形成装置の一例を説明するための模式図である。

【図２】図１に示した定着装置の全体構成を説明するた
めの模式図である。

【図３】図２に示した定着装置での温度管理制御を行う
制御部の構成を説明するためのブロック図である。

【図４】従来の定着装置における加熱ローラおよび加圧
ローラでの表面温度の推移を説明するためのタイミング
チャートである。

【図５】請求項１および２記載の発明に係る実施形態に
よる定着装置での加熱ローラおよび加圧ローラでの表面
温度の推移を説明するためのタイミングチャートであ
る。

【図６】請求項４記載の発明に係る実施形態による定着
装置での加熱ローラおよび加圧ローラでの表面温度の推
移を説明するためのタイミングチャートである。

【図７】図２に示した定着装置に用いられる温度過昇防
止装置の設置状態を示す図である。

【符号の説明】

１ 定着装置 ２ 定着ベルト ２Ａ 継ぎ目に相等する接合部 ３ 加熱ローラ ４ 定着ローラ ５ 加圧ローラ ６，７ 熱源となるヒータ １００ 制御部 １０１ 温度過昇防止装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江原 正尚 東京都大田区中馬込１丁目３番６号・株式 会社リコー内 (72)発明者 古川 英男 東京都大田区中馬込１丁目３番６号・株式 会社リコー内 (72)発明者 岩▲崎▼ 有貴子 東京都大田区中馬込１丁目３番６号・株式 会社リコー内 Ｆターム(参考） 2H027 DA12 DA46 DC05 DC10 DE07 DE09 EA12 EB06 ED16 ED25 EE07 EF10 2H033 AA09 AA24 BA11 BA31 BB00 CA04 CA07 CA17 CA19 CA22 CA30 CA48 3K058 AA04 AA12 AA65 BA18 CA28 CB02 CB12 DA02 GA06

Claims (15)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】所定の熱容量を有する回転可能な定着部材
   と、上記定着部材を加熱する第１熱源と、上記定着部材
   と当接して記録媒体を挟持搬送しながら該記録媒体への
   加熱加圧が可能な定着位置を形成する回転可能な加圧部
   材とを備え、搬送されてくる記録媒体が上記定着部材と
   上記加圧部材との間の上記定着位置を通過することによ
   って当該記録媒体上に担持された未定着画像を加熱加圧
   させて定着する定着装置において、 一連のジョブにおける最終記録媒体の後端が上記定着位
   置を通過する時点よりも第１所定時間前に上記第１熱源
   をＯＦＦにすることを特徴とする定着装置。
2. 【請求項２】請求項１記載の定着装置において、 上記第１所定時間は、上記最終記録媒体の後端が上記定
   着位置を通過するまで、上記定着位置における上記定着
   部材の表面温度が所定の定着温度以上に維持可能である
   時間に設定されていることを特徴とする定着装置。
3. 【請求項３】請求項１または２記載の定着装置におい
   て、 上記第１所定時間は、上記最終記録媒体の後端が上記定
   着位置を通過する時期に一致させないことを条件として
   決定されることを特徴とする定着装置。
4. 【請求項４】請求項１または２記載の定着装置におい
   て、 上記最終の記録媒体が所定長さより短い場合には、上記
   最終の記録媒体の先端が上記定着位置に到着する前に上
   記第１熱源をＯＦＦにすることを特徴とする定着装置。
5. 【請求項５】請求項１乃至３のうちの一つに記載の定着
   装置において、 上記一連のジョブにおける記録媒体の総枚数に応じて上
   記第１所定時間が変更可能であることを特徴とする定着
   装置。
6. 【請求項６】請求項１乃至５のうちの一つに記載の定着
   装置において、 上記定着部材は、複数のローラに掛け回され、上記複数
   のローラのうちの少なくとも一つのローラの内部に第１
   熱源を有するベルトからなることを特徴とする定着装
   置。
7. 【請求項７】請求項６記載の定着装置において、 上記第１熱源は、上記複数のローラのうちで上記定着位
   置以外に位置するローラに設けられ、オフされるタイミ
   ングとして、上記最終の記録媒体の後端が上記定着位置
   を通過する時期と該第１熱源がオフされた時にそれまで
   加熱されていたベルトが上記定着位置に到達する時期と
   がほぼ同じになるタイミングを設定されていることを特
   徴とする定着装置。
8. 【請求項８】所定の熱容量を有する回転可能な定着部材
   と、上記定着部材を加熱する第１熱源と、上記定着部材
   と当接して定着位置を形成する回転可能な加圧部材と、
   上記加圧部材を加熱する第２熱源とを備え、搬送されて
   くる記録媒体が上記定着部材と上記加圧部材との間の上
   記定着位置を通過することによって当該記録媒体上に担
   持された未定着画像を加熱加圧させて定着する定着装置
   において、 一連のジョブにおける最終の記録媒体の後端が上記定着
   位置を通過する時点より第１所定時間前に上記第１熱源
   をＯＦＦにすると共に、上記最終の記録媒体の後端が上
   記定着位置を通過する時点より第２所定時間前に上記第
   ２熱源をＯＦＦにすることを特徴とする定着装置。
9. 【請求項９】請求項８記載の定着装置において、 上記第１所定時間および第２所定時間は、上記最終の記
   録媒体の後端が上記定着位置を通過するまで、上記定着
   部材と加圧部材との間の定着位置での表面温度が所定の
   定着温度に維持可能である時間に設定されていることを
   特徴とする定着装置。
10. 【請求項１０】請求項８または９記載の定着装置におい
    て、 上記最終の記録媒体が所定長さよりも短い場合には、上
    記最終の記録媒体の先端が上記定着位置に到着する前に
    上記第１熱源のおよび第２熱源のうちの少なくとも一方
    をＯＦＦにすることを特徴とする定着装置。
11. 【請求項１１】請求項８乃至１０のうちの一つに記載の
    定着装置において、 上記一連のジョブにおける記録媒体の総枚数に応じて上
    記第１所定時間および第２所定時間のうちの少なくとも
    一方が変更可能であることを特徴とする定着装置。
12. 【請求項１２】請求項８乃至１１のうちの一つに記載の
    定着装置において、 上記定着部材は、複数のローラに掛け回され、上記複数
    のローラのうちの少なくとも一つのローラの内部に第１
    熱源を有するベルトからなり、 上記加圧部材は、内部に上記第２熱源を有する加圧ロー
    ラからなることを特徴とする定着装置。
13. 【請求項１３】請求項１乃至１２のうちの一つに記載の
    定着装置において、 上記最終の記録媒体が上記定着位置を通過した後に、上
    記定着部材または上記加圧部材の表面温度が定着可能温
    度よりも低くなるように制御されることを特徴とする定
    着装置。
14. 【請求項１４】請求項１３記載の定着装置において、 上記最終の記録媒体が上記定着位置を通過した後に制御
    される上記定着部材および加圧部材の表面温度は、次の
    一連のジョブにおける最初の記録媒体が上記定着位置へ
    到着するまでに上記定着可能温度に復帰できる範囲であ
    ることを特徴とする定着装置。
15. 【請求項１５】請求項１乃至１４のうちの一つに記載の
    定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。