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JP3880424B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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JP3880424B2 JP2002076471A JP2002076471A JP3880424B2 JP 3880424 B2 JP3880424 B2 JP 3880424B2 JP 2002076471 A JP2002076471 A JP 2002076471A JP 2002076471 A JP2002076471 A JP 2002076471A JP 3880424 B2 JP3880424 B2 JP 3880424B2
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    • G03G15/2014Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat
    • G03G15/2039Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for fixing, e.g. by using heat using heat using contact heat with means for controlling the fixing temperature

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は定着装置及びこれを用いる画像形成装置に関し、更に詳しくは、記録媒体上に担持された未定着画像をベルトを用いて定着するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機等の画像形成装置には、紙などの記録媒体上に転写されて担持されている未定着画像を定着して複写物や印刷出力とすることがある。定着に用いられる装置には一対のローラを対峙させて配置し、一方のローラを加熱ローラとして用い、他方のローラを記録媒体の加圧ローラとして用いる構成がある。この構成では加熱ローラと加圧ローラとの間のニップ部に記録媒体を挾持させて搬送しながら加熱ローラからの熱により、未定着画像を融着させて定着するものがある。また加熱源を具えた加熱部材に対してフィルム状の無端状ベルトを介して加圧ローラを圧接させることにより、ニップを形成した定着を行ういわゆるサーフ定着装置がある。
【0003】
さらに定着に用いられる装置として前記した構成とは別に、無端状ベルト内部に加熱源を具えた加熱部材と、無端状ベルトに接触する接触部材とを配置し、無端状ベルトを介して加圧回転体と前記接触部材とを圧接させてニップを形成し、定着を行ういわゆるベルト定着装置が存在する。
【0004】
このベルト定着装置の一例としては、複数のローラに掛け回されたベルトを用い、上記ローラの一つには加圧ローラが対峙させてある。一対のローラのうちで、加圧ローラと対峙する側のローラ(定着ローラ)と協働してベルトを駆動するローラ(加熱ローラ)にはベルトの裏面側から加熱するための熱源が設けられ、加圧ローラにもベルトの表面を加熱するための熱源が設けられている。ベルトはローラに比ベて体積が小さく、熱容量が小さいので短時間の温度上昇が可能であり、前記の加熱ローラ及び加圧ローラのみを用いた構成のものに比ベて始動時での温度立ち上がりが速いという利点がある。しかも、加圧ローラで熱源を加えることによりベルトの表裏両面で温度立ち上がりが速められる。ベルトの構成として各ローラが熱伝導率の高いアルミニウムが用いられる場合、ステンレスをローラ表面に接触する基体とし、その表面にシリコンゴム又はフッ素系樹脂からなる離型層からなるベルト体を配置した2層構造がある。
【0005】
本発明は、前記した定着装置の内ベルト定着装置に関するものである。前記の定着装置のうちサーフ定着装置はニップ部で加熱源の制御を行っており、ニップ部内での温度制御が非常に細かく行われている。従ってこの場合の無端状フィルムや加熱部材としては、なるべくニップ部内の温度影響を小さくする。即ち熱の応答性を向上させるべく、熱容量が低い材料が選択されている。しかしながらこのような特徴が具えているために、ニップ部(加熱部材や、無端状フィルム)に熱容量の大きい弾性体を配置することが困難であり、このため定着ローラに弾性体層を設けたとしても、未定着トナー像を弾性体を具える部材と、弾性体を具える部材とで挟んで加圧するということが困難である。即ちニップの長さを十分にとることができず、定着性が劣ってしまう。なお弾性体層を具えた加圧ローラを強く押し当てれば、その分その弾性体層が押しつぶされて、ニップは長くとれるが、対向する材料(加熱部材)の強度が要求されるので、剛性を高めると自然にその熱容量が大きくなり、本来熱容量が小さくなければいけないことに反してしまうために、現実的ではない。それに対してローラ定着装置の場合は、加熱ローラに弾性体を具えた定着装置が存在する。ただしこの場合弾性体層を具えることにより、熱容量が増大し、その結果定着時の立上りがきわめて遅くなってしまうという欠点をもつこととなる。
【0006】
またベルト定着装置においても、加熱源を具える加熱部材がニップ部以外の場所に配置されていることから、接触部材に弾性体層を配置させることが可能であり、この場合接触部材自体を定着することが可能な温度にする必要がなく、ベルト自体を立ち上がらせればよいため、立ち上がり時の遅延化もさほど問題ではない。なお立ち上がりの早さと蓄熱性との関係のどちらを優先させるかという観点になるが、蓄熱性を上げるために、ベルト弾性層を付与してもよい(あまり厚過ぎると立ち上がりに影響するので薄い方(好ましくは50〜300μm程度)が良い。この場合はニップでの弾性体としても機能することになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記のようなベルト定着装置では、ベルトのもつ蓄熱性の低さや加熱位置の関係からベルト定着特有のオーバーシュート現象が発生している。従来から知られているローラ定着装置におけるオーバーシュート現象は、次のような現象である。例えばローラ定着装置おいては、一般的にローラ表面が170℃から230℃程度(50℃の差)に上昇するには、90秒程度の時間(0.6℃/sec)を要する。このように昇温時間が長いのは、ローラの熱容量が大きいためであり、このような温度上昇に時間がかかるローラ定着装置では、温度検知センサの反応性が遅ければ、オーバーシュートを発生させてしまう。(具体的には170℃でオフとなるような温度制御を行なっていても、実際に表面温度が230℃近辺まで上昇しなければオフという制御がされないことから発生する。)この場合は反応性が良い温度検知素子を用いれば、ある程度は改善することが可能である。即ち熱容量が大きいが故に、温度変化の遅さと、反応性が良い温度検知素子の効果がオーバーシュートを抑制することを可能にする。前記のベルト定着装置特有のオーバーシュートとは、このような反応性が良い温度検知素子を用いても発生するオーバーシュートのことをいう。
【0008】
最近の反応性が良い温度検知素子は、反応性が向上していて、例えばベルト定着装置のようにベルトの表面温度が2.5℃/sec程度の低熱量被加熱部材を用いている。短時間昇温が可能な定着装置においても、その誤差は非常に小さくなっている。(前記のローラ定着と同等の比較を行なうとすれば、ベルトを用いた定着装置は、170℃から230℃程度に温度上昇するには、20秒程度で達成する。)ベルトの表面が何℃の状態から温度上昇を開始するかによって異なるが、反応性が良い温度検知素子を用いていれば、実際の表面温度が180℃位になった時点でオフにするという温度制御が可能になる。
【0009】
前記した従来型の温度検知素子をベルト定着装置に用いた場合では、温度上昇速度が4倍ということから、机上の計算では370℃にならないと温度検知素子が反応されないことになる。ただし実際には、温度上昇率も鈍くなることから、ここまで温度は高くならないと考えられる。しかしながら、このような反応性が良い温度検知素子を用いても、ベルト定着装置は加熱位置が局所的であり、かつ熱を大きく奪う位置も異なるので、次のようなオーバーシュートが発生する。即ち熱を奪う箇所(ニップ)を抜けた直後と加熱位置の終わり近傍とでは、その蓄熱性の低さから約10〜20℃の温度差が生じている。そして最終紙の定着が終わった後、この最終紙の定着に関わったベルトの部位が再度加熱位置にくると、加熱体から熱の供給を受ける。これは加熱位置から見れば、温度が低下したような状態になる。
【0010】
この温度の低下した状態は、温度検知素子に検知され、ヒータを点灯させる制御をする。しかしながら例え反応性が良い温度検出素子を用いているとはいえ、多少の反応の鈍さがみられるので、ヒータが加熱するのは、最終紙の定着に関わった部分の後の部分を加熱してしまう。この部分は紙によって熱が奪われていないため、ただでさえ10℃〜20℃程度高い上にさらに加熱されて温度が上昇してしまう。したがってこの時点では、最も高い部分と低い部分とでは、15℃〜30℃程度の差になってしまう。このような差はオーバーシュートとなり、直後に定着部を通過する記録媒体に対して熱量が過多になったり(ホットオフセットの要因や光沢度への影響をもたらす)、定着ユニット内温度が上昇して、温度ヒューズや温度サーモスタットのような過昇防止装置にダメージを与えることがあった。なおこの状態でベルトを回転し続ければ、次第にベルト上の温度はこなれてきて、所定温度に維持されるようになるが、省エネのために回転し続ける動作を停止させた場合、こなれるまでの時間は大きくなる。これが最終紙に関わる部分がニップ部で停止したような場合は、ニップ部によって(加圧ローラに熱を奪われ)この部分はさらに温度低下し、一方最終紙に関わる部分以降の部分では、熱を奪う要素がないため、温度差は一層増加してしまう。なお温度検知素子が加熱位置におけるベルト表面温度を検知するのではなく、加熱源を具える加熱部材の表面温度を検知するような場合(このこと自体はベルトの表面を傷つけないという効果がある)は、ベルトの加熱位置での温度低下ではなく、加熱部材の温度低下が検知されるので、その分温度検知素子の反応がさらに遅くなり、ヒータの制御を鈍らせる結果になる。
【0011】
本発明はこのような問題点に鑑みて発明されたものであり、オーバーシュートが発生して、直後に定着部を通過する記録媒体に対して熱量が過多になったり、機内温度が上昇して、温度ヒューズや温度サーモスタットのような過昇防止装置にダメージを与えるというようなことのない画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記のような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、記録媒体に担持された未定着画像をニップ部を通過させることにより、定着するベルト定着装置を具えた画像形成装置であって、前記ベルト定着装置は、熱源で加熱される加熱ローラと、定着ローラと、前記加熱ローラと定着ローラに巻き掛けられた定着ベルトと、第2の熱源で加熱され、前記定着ベルトに接触してニップ部を形成する加圧ローラと、前記加熱ローラの温度を検知する温度検知手段と、前記加圧ローラの温度を検知する第2の温度検知手段とを具え、また、前記温度検知手段が検知した加熱ローラの温度と所定の制御温度に基づいて、加熱ローラの温度を制御するとともに、前記第2の温度検知手段が検知した加圧ローラの温度と所定の制御温度に基づいて、加圧ローラの温度を制御する制御手段を具え、前記加圧ローラの熱容量は前記加熱ローラの熱容量よりが大きくなっており、前記所定の制御温度は、加熱ローラ制御用の第1設定温度と第1設定温度より低い第2設定温度、および第1設定温度より低く設定された加圧ローラ制御用の第3設定温度と第3設定温度より低い第4設定温度を有し、前記制御手段は、一連のジョブ中の最終の記録媒体が前記ニップ部を通過すると、前記定着装置が回転し続けている状態で、前記加熱ローラの温度を第1設定温度から第2設定温度に下げるとともに、加圧ローラの制御温度を第3設定温度から第4設定温度に前記第1設定温度から第2設定温度への下げ幅よりも大きく下げることを特徴とするものである。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、第2設定温度および第4設定温度は、次作像時の記録媒体が通過するまでに所定の制御温度に復帰することができる範囲で設定されていることを特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態の概略構成が示されており、20は、画像形成装置を示し、フルカラー画像を形成可能な複写機又はプリンタに用いられる。この画像形成装置20には、この他に受信した画像信号に基づき前記した複写機及びプリンタと同様な画像形成処理が可能なファクシミリ装置がある。なお画像形成装置20には、前記したカラー形成画像を対象とするだけではなく、単一色の画像を対象とする装置ももちろん含まれる。
【0021】
この画像形成装置20は、画像信号に応じて各色毎の画像を形成する作像手段21Y、21M、21C、21BKと、作像手段21Y、21M、21C、21BKに対向して配置された転写手段22と、各作像手段21Y、21M、21C、21BKと転写手段22とが、対向する転写領域に各種シート状媒体を供給するシート状媒体供給手段としての給紙カセット23、24と、給紙カセット23、24から搬送されてきたシート状媒体を、作像手段21Y、21M、21C、21BKによる作像のタイミングに合わせて供給するレジストローラ30と、転写領域において転写後のシート状媒体の定着を行う定着手段1とを有している。
【0022】
画像形成装置20は、一般にコピー等に用いられる普通紙(以下、普通紙)と、OHPシートや、カード、はがきといった90K紙以上、坪量約100g/m相当以上の厚紙や、封筒等の、用紙よりも熱容量が大きいいわゆる特殊シート(以下、特殊シート)との何れをもシート状媒体として用いることが可能である。
【0023】
各作像手段21Y、21M、21C、21BKは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色の現像を行うものであり、用いるトナーの色は異なるが、その構成はほぼ同様であるから、作像手段21Yの構成を各作像手段21Y、21M、21C、21BKの代表として説明する。
作像手段21Yは、静電潜像担持体としての感光体ドラム25Y、感光体ドラム25Yの回転方向aにおいて順に配置されている図示しない帯電装置、現像装置、クリーニング装置等を有し、帯電装置と現像装置の間で、図示しない周知のポリゴンミラーを具えた走査手段による露光光29Yを受ける周知の構成である。静電潜像担持体はドラム状ではなく、ベルト状でも良い。ただし、作像手段21BKにおける露光光29BKは2ビームとすることができ、作像手段21BKは他の作像手段21Y、21M、21Cに比して速い作像を行うことが可能となっている。
【0024】
給紙カセット23には、A4サイズのシート状媒体が、給紙カセット24にはA3サイズのシート状媒体がそれぞれ図の左右方向が長手方向になるように載置されている。転写手段22は、画像形成装置20が図の左右方向において小型になるよう、斜め方向に配設され、矢印bで示すシート状媒体搬送方法が斜め方向になっている。これにより画像形成装置20は、図の左右方向における本体26の幅が、A3サイズのシート状媒体の長手方向の長さよりわずかに長い大きさとなっている。すなわち画像形成装置20は内部にシート状媒体を収容するために必要最小限の大きさとされることで大幅に小型化されている。本体26の上部は、定着装置1を通過し、トナー像が定着したシート状媒体を積載するための排紙トレイ27となっている。
【0025】
図1において、符号41、42はそれぞれ給紙カセット23、24からシート状媒体を送り出すピックアップローラを、符号43はシート状媒体の送りを受け継いで搬送する搬送ローラを、符号44は給紙カセット23、24から搬送されてきたシート状媒体をレジストローラ30に向けて搬送するローラ構造を、符号45は排紙トレイ27に向け符号46で示した開口から本体26外部へシート状媒体を排出する排出ローラを示している。
【0026】
図2に示すように、定着装置1はトナーを定着されるシート状媒体を搬送するためのシート搬送部材としての無端定着ベルト2が巻き掛けられた加熱ローラ及び定着ローラ4と、定着ベルト2を介して定着ローラ4に対向して配置された加圧ローラ5と加熱ローラ3と加圧ローラ5の内部に具えられたヒータ6、7と、加熱ローラ3に対向し当接するように配置され加熱ローラ3の温度を検知する温度検知手段としてのサーミスタ8と、定着ベルト2を介して定着ローラ4に対向して配置されたクリーニングローラ31、離型剤塗布部材としての塗布ローラ32と、塗布ローラ32に離型剤を供給する離型剤供給手段50と、ケーシング33と、ケーシング33に固設された入口ガイド12、出口ガイド36、取手37と、加熱ローラ3、定着ローラ4、定着ベルト2を一体的に支持する支持体38と、ケーシング33に対し支持体38、加圧ローラ5を支持する支持体39等を有している。なおサーミスタ8は、本来加熱ローラ3と定着ベルト2とが接触している箇所で検知するのがよいが、接触位置にサーミスタ8は配置できないため、ほぼ同等の温度といえる加熱ローラ3のベルトと接触していない位置で検知している。
【0027】
定着ベルト2に適当な所定の張力を与えるために、加熱ローラ3とばね等の図示しない弾性体により、互いに離間する向きに付勢されている。定着ローラ4は芯金9と、この芯金9を被覆して定着ローラ4の表面をなす耐熱性の弾性体層10とを有し、その軸11によって、定着ローラ4が矢印c方向に回転駆動され、加熱ローラ3の矢印d方向への従動回転によって、定着ベルト2が矢印e方向に駆動され、またこれに従動することで、加圧ローラを矢印f方向に、塗布ローラがg方向に回転駆動される。
【0028】
加圧ローラ5と定着ローラ4とは、支持体38と支持体39とがバネ等の図示しない弾性体により、互いに近接する向きに付勢されることにより、互いに圧接する向きに、10Kgf以上の圧接力で付勢される。加圧ローラ5は、定着ローラ4の軸心を頂点とし定着ローラ4の軸心と加熱ローラ3の軸心、定着ローラ4の軸心とをそれぞれ結ぶ2本の直線によって挾まれる角が鋭角をなすように定着ローラ4に当接されており、これにより、シート状媒体にトナーを定着する定着領域としての、加圧ローラ5が定着ローラ4に対向しない部位で定着ベルト2のみに当接する第一の定着部15と、加圧ローラ5が定着ベルト2を介して定着ローラ4に当接する第二の定着部16とが形成される。
【0029】
ケーシング33は転写装置22に対向する位置に設けられ、転写装置22によって搬送されてくるシート状媒体を受け入れるための開口34と、第一の定着部15および第二の定着部16を挾んで開口34の反対側に設けられた定着済みのシート状媒体を排出する開口35とを有している。入口ガイド12は、その基部が開口34の下方においてケーシング33の外面に固着され、先端が開口34からケーシング33の内部に入り込み第一の定着部15に向かって伸びてくる。
【0030】
定着ベルトは、ニッケル製の厚さ100μmの基体上に200μmのシリコンゴム製の離型層が形成されたものであり、熱容量が小さく、熱応答性を良好にされている。定着ベルト2の長さは、同ベルト2が円状をなすときに径が60mmとなる長さとされている。基体はSUS製、ポリイミド製でも良く、可撓性を考慮すると厚さは30〜150μm程度であれば良い。離型層はシリコンゴムを用いる場合は厚さ50〜300μm程度が望ましく、フッ素系樹脂を用いる場合は厚さ10〜50μm程度が望ましい。この厚さがあまり大きいと、熱容量が大きくなり立上りの遅延化や、定着時の画像に影響を与える。また離型層はシリコンゴムの上にフッ素系樹脂系を重ねた構成でも良い。これらの条件は定着ベルトが低蓄熱性を有するための条件となる。即ち定着ベルト2は瞬時に加熱され、かつ、ホットオフセットを生じない程度に、定着領域でベルト表面が自己冷却される特性が望まれるが、他方では、定着領域において、トナーを十分に溶かして定着されるのに必要な熱容量を有していなければならない。定着ベルト2の前記材質及びその厚さはこの条件を満たすものである。自己冷却とは、定着領域の、シート状媒体の未定着画像側に加熱源がないことにより、定着行程においてベルトが冷える現象を示す。
【0031】
定着ベルト2は、加熱ローラ3と定着ローラ4が互いに離間する向きに付勢されていることにより、3Kgf/片側の張力を与えられている。この張力は図示しない前記弾性体の付勢力を調整することにより設定でき、1Kgf(9.8N)〜3Kgf(29.4N)の範囲で設定することが良好な定着を行う上で好ましい。
【0032】
加熱ローラ3と加圧ローラ5は、それぞれ薄肉円筒状の芯金からなり、低熱容量化が図られている。加熱ローラ3の芯金径は20mm以上30mm以下、かつ同芯金の肉厚は0.3mm以上2.0mm以下であり、加圧ローラ5の芯金径は30mm以上50mm以下、かつ同芯金の肉厚は0.3mm以上1.5mm以下である。これにより加熱ローラ3の熱容量は26cal/℃以下、加圧ローラ5の熱容量は36cal/℃以下とされている。
【0033】
本実施形態において、加熱ローラ3の芯金はアルミニウム製であり、径を30mm、肉厚を0.7mmとしている。材質は比熱が小さく、熱伝導率が大きいものが好ましく、他にも鉄、銅、ステンレス等の金属を使用することができる。他にもアルミニウム製でローラ径が30mmの時は肉厚を0.6〜1.4mmの範囲、鉄製でローラ径が20mmの時は肉厚を0.3〜0.9mmの範囲で設定することができる。径が大きいほど肉厚を薄くするのはローラの軸方向の曲がりを考慮したものである。
【0034】
これらの肉厚の下限の値は、前記した定着ベルト2の張力による加熱ローラ3の変形を考慮したときの許容値、上限値は所望の立ち上がり時間を得るための許容値を示している。ローラ径を20mm以上としているのはベルトの張力を確保してローラの軸方向の曲がりが発生しない範囲とするためである。またローラ径を20〜30mmとするのはシート状媒体搬送速度を200mm/sec以下とした場合に、連続通紙中も定着ベルト2の温度が定着に必要な一定温度を保つための、26cal/℃程度の熱容量を得るためである。なお30mm以上のローラ径のものを用いても良いが、径が大きくなるとその分熱容量も大きくなるため、立上りの遅延化の恐れがあるため、あまり好ましくない。
【0035】
このように加熱ローラ3を低熱容量とすることにより、定着ベルト2が回転してもその熱を奪うことが少なく、定着に悪影響を与えることや立ち上がり時間を長引かせることが防止されている。さらに連続定着等により温度が低下してもその回復までの時間が短縮される。ヒータ6は、加熱ローラ3及び加熱ローラ3を介して定着ベルト2を加熱するものであり、ヒータ6の温度はサーミスタ8による検知信号として図示しない制御手段に入力され、目標の定着温度と比較され、検知温度が定着温度より低い場合にはヒータ6に通電が行われ、検知温度が定着温度より高い場合にはヒータ6に通電が停止される。このようにサーミスタ8の検知信号がフィードバックされることで設定温度が制御され、定着ベルト2の表面温度は110℃以上に保たれる。なおサーミスタ8は加熱ローラ3の回転による互いの摩耗を減じるように、加熱ローラ3の回転方向に対して鈍角をなすように加熱ローラ3に接している。
【0036】
加熱ローラ3、加圧ローラ5共に低熱容量化が図られ定るため、温度の変化の速度が速いので、この変化の速度に即時応答できるように、サーミスタ8、39には、応答性の良いものを採用している(従来技術の欄に記載したようなきわめて反応の遅いサーミスタではなく、近年一般的に採用されているサーミスタで良いという意味)。また加熱ローラ3の熱をベルトに速く伝えるために、加熱ローラ3やベルトの加熱ローラに巻きかかっている部分(加熱位置)には、熱を奪うような他の部材(例えば離型剤塗布手段やクリーニング手段)を配置しない方が良い。
【0037】
定着ローラ4の弾性層はゴム製のゴム層である。その材質は、具体的にはシリコーンスポンジゴム製である。即ち発泡体であり、気泡の径は500μmとされ、特に表面近傍即ち定着ローラ4周面近傍における径は300μm以下である。弾性体層10が発泡体であることにより、定着時におけるその温度低下が抑制される一方、発泡体であるが故に、定着圧が得られず光沢が出ない、表面が粗く光沢ムラが出る、といった不具合が起こり得るが、発泡径を前記のようにしたため、光沢不良や光沢ムラといった不具合は防止されている。また、弾性体層10の表面に無発泡の1mm程度の層(スキン層)を有しても良い。
【0038】
弾性体層10の表面硬度はアスカCで20HS以上としているが、これはスキン層の有無に関わらず、弾性体層が発泡体であることによる表面粗が画質に影響を与えず、光沢ムラを防止して良好な定着品質を得ることができるからである。定着ローラ4の径は30mmで、弾性体層10の材質は熱伝導率が小さく断熱作用のある耐熱多孔質の弾性体であるから、ベルトの熱を奪うことを低減し、立ち上がり後の温度落ち込みを小さくすると共に温度回復のためのプレ回転時間を短縮している。また、弾性体層10が比較的低硬度であるため、加圧ローラ5との圧接力が小さくても十分なニップ幅を得ることができ、比較的低温かつ低圧の条件下でも良好な定着性能を得ることができる。
【0039】
加圧ローラ5の芯金は鉄製であり、径を40mm、肉厚を1.0mmとしている。材質は比熱が小さく、熱伝導率が大きいものが好ましく、他にもアルミニウム、銅、ステンレス等の金属を使用することができる。他にも鉄製でローラ径が30mmの時は肉厚を0.4〜1.0mmの範囲、鉄製でローラ径が50mmの時は肉厚を0.3.〜0.8mmの範囲、アルミニウム製でローラ径が30mmの時は、肉厚を1.3〜1.5mmの範囲、アルミニウム製でローラ径が50mmの時は、肉厚を0.6〜1.2mmの範囲で設定することができる。径が大きいほど肉厚を薄くするのは、ローラの軸方向の曲がりを考慮したものである。
【0040】
これらの肉厚の下限値は、定着圧の下限値の相当する0.6Kg/cmの画圧による加圧ローラ5の変形を考慮したときの許容値、上限値は所望の立上り時間を得るための許容値を示している。ローラ径を30mm以上としているのは、定着圧を確保してローラの軸方向の曲がりが発生しない範囲とするためである。またローラ径を30〜50mmとするのは、シート状媒体搬送速度を200mm/sec以下とした場合に、連続通紙中も定着ベルト2の温度が、定着に必要な一定温度圧を保つための、36cal/℃程度の熱容量を得るためである。
【0041】
このように加圧ローラ5を低熱容量とすることにより、定着ベルト2が回転してもその熱を奪うことが少なく、特に本実施例においては加圧ローラ5は、ヒータ7を有するので、定着ベルトルト2の温度を低下させて定着に悪影響を与えることや立上り時間を長引かせることが防止される。さらに連続定着等により、温度が低下してもその回復までの時間が短縮される。ヒータ7は加圧ローラ5の温度を上げ、立上り時間を短縮すると共に、定着の際はシート状媒体の背面からも熱を供給して安定した定着性能を得るものである。また加圧ローラ5は、芯金上に10〜300μmの離型層を形成することができる。ヒータ7は加圧ローラ5を加熱するものであり、温度はサーミスタ39による検知信号として、制御手段に入力されて、目標の定着温度と比較され、検知温度が定着温度より高い場合には、ヒータ7への通電が停止される。検知温度が定着温度より低い場合には、ヒータ7への通電が行われる。このようにサーミスタ39の検知信号がフィードバックされることで定着温度が制御され、加圧ローラ5の表面温度は110℃以上に保たれる。なおサーミスタ39は、加圧ローラ5の回転による互いの摩耗を減じるように、加圧ローラ5の回転方向に対して、鈍角を形成するように加圧ローラ5に接している。
【0042】
このように加熱ローラ3及び加圧ローラ5を薄肉として、低熱容量化できるのは、定着装置1が定着ベルト2を用いるいわゆるベルト定着装置だからである。即ち定着は、定着部15、16という距離的に比較的長い部位によって行われるため、定着圧を減じることができ、加圧ローラ5の強度を下げることができ、また加熱ローラ3は加圧ローラ5と圧接されないため、薄肉化することができる。定着を距離的に比較的長い部位によって行なうことは、比較的低温での定着を可能にし、これは立上り時間を短縮することにも寄与している。また定着ベルト2を用いると、ヒータによって加熱された定着ベルト2が搬送される過程で定着に適当な温度に冷却され、オフセットし難いという利点もある。ヒータ6、7の出力は、電源スイッチ投入時の突入電流、ヒータのオン、オフ時の蛍光灯のちらつき現象を考慮して700W以下とされている。
【0043】
クリーニングローラ31と塗布ローラ32とは互いに隣り合う位置に配設されており、クリーニングローラ31は塗布ローラ32に対して、定着ベルト2の移動方向における上流側に位置している。またクリーニングローラ31は、矢印h方向、塗布ローラ32は矢印g方向に、図示しない駆動手段によって定着ベルト2との対向部で、定着ベルト2と同じ駆動方向に、定着ベルト2と等速で移動するように駆動されている。クリーニングローラ31は定着ベルト2と当接することにより、シート状媒体から定着ベルト2に移転したトナーを拭きとり、定着ベルト2表面をリフレッシュする。塗布ローラ32は、離型剤供給手段50からシリコンオイルを主成分とした離型剤を定着ベルト2に適当な所定量を塗布する。離型剤供給手段50は接離機構で接離制御することにより、定着ベルト2に適当な所定量を塗布するように制御を行なっている。
【0044】
前記したように、加熱ローラ3にはベルトの裏面側から加熱するためのヒータ6と、それを制御するためのサーミスタ8が、加圧ローラ5にもベルトの表面を加熱するためのヒータ7とそれを制御するためのサーミスタ39が設けられているが、この加熱ローラ3及び加圧ローラ5はそれぞれ薄肉円筒状の芯金からなり、低熱容量化が図られているため、ヒータ6、7のオン/オフによる応答性が速く、サーミスタ8、39が制御温度以上になっていることを検知してヒータ6、7をオフしても、所定の制御温度以上となってしまういわゆる温度のオーバーシュートが発生することがある。加熱ローラ3にオーバーシュートが発生すると、紙等のシート状媒体が定着部を通過することにより、定着ベルト2及び加圧ローラ5から熱量がシート状媒体に移転し、定着ベルト2及び加圧ローラ5の表面温度が所定の制御温度よりも低くなっているときには、この傾向が顕著となる。(即ち設定温度が170℃で、加熱ローラ3の表面温度が165℃のときに、170℃を目標に昇温する場合と、加熱ローラ3の表面温度が150℃のときに、170℃を目標に昇温する場合とでは、サーミスタが170℃と検知したときに実際の加熱ローラ3の表面温度は、150℃の場合の方が高い温度になっているということである。)
【0045】
請求項1に記載の発明について、図を用いて説明する。図3は従来の制御による加熱ローラ3と加圧ローラ5の表面温度の推移である。本実施例において、加熱ローラ3の表面温度と定着ベルト2の表面温度差は約20℃であるため、加熱ローラの制御温度は170℃、加圧ローラの制御温度は150℃と20℃の温度差が設けてある。横軸の範囲:Aは定着部にシート状媒体が進入する前のプレ回転の状態、範囲:Bはシート状媒体が定着部を通過している状態(3枚の記録媒体を一連のジョブとし、1枚目〜3枚目までが順に定着部を通過している状態である)、範囲:Cは3枚目のシート状媒体(最終のシート状媒体)が定着部を通過したが、シート状媒体を本体26上部の排紙トレイ27に排出するために本体駆動は回転し、これに伴い定着装置は回転し続けている状態、範囲:Dはシート状媒体が排紙トレイ27に排紙されて、定着装置の駆動が停止した状態を、それぞれ示している。
【0046】
なおシート状媒体が定着部(ニップ)を通過したかどうかは定着装置より上流に具えている図示しないレジストセンサ等で記録媒体の後端を検知し、記録媒体の搬送速度や記録媒体の長さのデータから算出することにより求めることができる。その他の方法としては、ニップ部付近にセンサを設け、記録媒体の後端を直接検知する方法や、出口ガイド36の下流に図示しないセンサを設け、センサが記録媒体の先端を検知した情報と、記録媒体の搬送速度と記録媒体の長さのデータからニップを通過したことを算出する方法もある。また極端に搬送速度が遅い装置でなく、出口ガイド36の下流のセンサとニップの位置が近い場合は、このセンサが記録媒体の後端を検知した時を定着部を通過した時と見なしても差し支えない。
【0047】
加熱ローラ3は範囲:Aにおいては狙いの制御値170℃で推移しているが、範囲:Bでシート状媒体に熱量が奪われ、一時的に5℃程度、温度が下がり、ヒータ6がオンされる。範囲:Cではシート状媒体が定着部にいなくなるため温度を奪われる媒体がなくなり、温度が上昇を始める。サーミスタ8が制御温度より高い温度を検知し、ヒータ6はオフされるが、ヒータ6の応答性が遅いため、温度がオーバーシュートを起こす。範囲:Dになると定着装置の駆動が停止するため、ベルトにも熱が転移しなくなるため、加熱ローラ3の表面温度は制御温度よりも10℃以上高い状態が続く。
【0048】
同様に加圧ローラ5は範囲:Aにおいては狙いの制御値150℃で推移しているが、範囲:Bでシート状媒体に熱量が奪われ、一時的に5℃程度温度が下がり、ヒータ7がオンされる。加圧ローラ5はローラ表面にサーミスタ39が具備されているので、加熱ローラ3に比べるとヒータ7が速くオンするため、一旦温度が下がった後の立ち上がりは速い。範囲:Cではシート状媒体が定着部にいなくなるため温度を奪われる媒体がなくなり、温度が上昇を始める。サーミスタ39が制御温度より高い温度を検知し、ヒータ7はオフされるが、ヒータ7の応答性が遅いため、温度がオーバーシュートを起こす。範囲:Dになると定着装置の駆動が停止するため、ベルトにも熱が転移しなくなるため、加圧ローラ5の表面温度は制御温度よりも10℃以上高い状態が続く。これは課題の欄で詳細に記載したが、熱応答性の高い(熱容量が低く温度が直ぐに上昇する)加熱システム及び加熱位置と最も熱を奪う位置の関係からくる。例え応答性が高いサーミスタを利用しても発生してしまうオーバーシュートである。
【0049】
図4は請求項1に記載の画像形成装置での制御による加熱ローラ3と加圧ローラ5の表面温度の推移である。図3と同様に、加熱ローラ3の表面温度と定着ベルト2の表面温度は約20℃であるため、加熱ローラの制御温度は170℃、加圧ローラの制御温度は150℃と20℃の温度差が設けてある。横軸の範囲:Aは定着部にシート状媒体が進入する前のプレ回転の状態、範囲:Bはシート状媒体が定着部を通過している状態(3枚の記録媒体を一連のジョブとし、1枚目〜3枚目までが順に定着部を通過している状態である)、範囲:Cは3枚目のシート状媒体(最終のシート状媒体)が定着部を通過したが、シート状媒体を本体26上部の排紙トレイ27に排出するために本体駆動は回転し、これに伴い定着装置は回転し続けている状態、範囲:Dはシート状媒体が排紙トレイ27に排紙されて、定着装置の駆動が停止した状態を、それぞれ示しているのも図3と同じである。
なおシート状媒体が定着部(ニップ)を通過したかどうかは前述の方法と同様の方法で検知することができる。
【0050】
加熱ローラ3は範囲Aにおいては狙いの制御値170℃で推移しているが、範囲Bでシート状媒体に熱量が奪われ、一時的に5℃程度、温度が下がり、ヒータ6がオンされる。図4に示す本実施形態では範囲Cに移行するのと同期して、制御温度を10℃低く下げるように制御する。シート状媒体が定着部になくなるため、温度を奪われる媒体がなくなるが、制御温度を10℃下げることによりオーバーシュートは最低限に押えられ、加熱ローラ3の表面温度はほぼ狙いの定着温度(170℃)で推移する。範囲Dになり、定着装置の駆動が停止しても加熱ローラ3の表面温度は定着温度のまま推移する。なお範囲Cになった時点で設定温度が表面温度を下回るため、ヒータはオフになるが、温度は上昇している。これは範囲Cではヒータをオフしても転写紙に熱を奪われない為、かつヒータをオフしてもヒータの応答性が鈍い(電気的には瞬断されても、熱的には瞬断されない)ので、表面温度が制御温度近くまで上昇する(復帰する)ためである。
【0051】
同様に加圧ローラ5は範囲Aにおいては狙いの制御値150℃で推移しているが、範囲Bでシート状媒体に熱量が奪われ、一時的に5℃程度、温度が下がり、ヒータ7がオンされる。本実施形態では範囲Cに移行するのと同期して、制御温度を20℃低く下げるように制御する。これは加熱ローラ3に比べ加圧ローラ5は芯金上に200μmの離型層を形成してあり、加熱ローラ3の熱容量は26cal/℃以下に対して、加圧ローラ5の熱容量は36cal/℃以下と高く、温度の変化が少ない為である。シート状媒体が定着部にいなくなるため温度を奪われる媒体が無くなるが、制御温度を20℃下げることによりオーバーシュートは最低限に押さえられ、加圧ローラ5の表面温度はほぼ狙いの定着温度(170℃)で推移する。範囲Dになり、定着装置の駆動が停止しても加圧ローラ5の表面温度は定着温度のまま推移する。なお範囲C中にベルトの温度が全体として均一になっていれば良いが期間が短いと、ベルト上には温度の高い部分と低い部分とが存在していることになる。この状態で範囲Dに入ると,ベルトは停止することになるが、この時に高い部分(最終の記録紙がニップを通過した時点における加熱位置〜ニップ直前までの部分)がニップ部に、低い部分(最終の記録紙がニップを通過した時点におけるニップ〜加熱位置直前までの部分)が加熱位置に来るように停止すれば、温度差は縮まるように作用する。これは加圧ローラにヒータが存在しない場合や加圧ローラ内のヒータの設定温度が低い場合により有効に作用する。またこの制御の一例としては、予め決められているベルトの長さのデータ、ニップを抜けたことを検知するデータ等から制御することができる。なお加熱ローラとニップの位置関係から、レイアウト上高い部分をニップ部に低い部分を加熱位置にという条件を双方とも満たすことができない装置が考えられるが、その場合どちらか一方の条件を満たしてやれば良い。
【0052】
このように請求項1に記載の発明により、シート状媒体が通過後に発生する温度オーバーシュートを防止できるので、次作像時に温度過多によるホットオフセットが発生したり、温度過昇防止装置の誤動作を防止することが可能となった。
【0053】
また、前記のシート状媒体が通過後に下げる温度(加熱ローラに対し10℃、加圧ローラに対し20℃)は、次作像時にシート状媒体が給紙から最も定着装置寄りの作像装置21BKに搬送されるまでの、いわゆるプレ回転時間内に所定の定着制御温度に復帰可能な範囲で設定されているので、請求項1記載の制御動作が次の作像時に影響を及ぼすことはない。
【0054】
加熱ローラ3には温度過昇防止装置としてサーモスタット100が具備されている。サーモスタット100は所定の温度以上になると加熱ヒータ3の導通を遮断し、加熱ローラ3のヒータ6の暴走による発煙や発火を未然に防止するためのものである。図5に示すように加熱ローラ3に接触するように支持体38に取り付けられており、温度が200℃以上になると導通が遮断される仕様となっている。請求項1記載の発明では加熱ローラ3の定着制御温度は170℃であったが、厚手の紙種に対応するため、制御温度は180℃まで変更可能となっており、180℃を制御温度にした場合には従来の制御方法ではオーバーシュートにより200℃まで加熱ローラ3の表面温度が上昇することがあり、定着装置としては異常な制御をしていないにも関わらず、サーモスタット100が切れて、サービスマンによるサーモスタット100の交換が必要となる場合があった。これに対し、請求項1記載の温度制御を行うことにより、オーバーシュートが防止され、温度過昇防止装置を狙い通りに使用できるようになり、より安全な画像形成装置を提供できるようになった。
【0055】
また、上記温度過昇防止装置は温度ヒューズを用いると、より安価に請求項記載の発明と同じ効果を得ることができる。なお本実施例では、加圧ローラ内にヒータを設けているが、設けない加圧ローラを採用しても良い。また、設けていたとしても、多少制御の方法が変わっていても良い。要はベルトに対して極端に温度上昇させたり、下降させたり作用しないことが好ましい。従って、加圧ローラのヒータを本実施例のように加熱ローラのヒータと同じように制御させるのが最も好ましい実施例であると考える。
本実施例は、ベルト内部にベルトの回転と共に回転する加熱ローラを配置したが、ベルトに対して固定している(ベルトが摺動する)部材にしても良い。また、加熱ローラ3を定着ローラ4の真上に配置し、第2ニップ15を設けない構成にしても良い。更には加熱源としてはヒータに限らず電磁誘導方式でも良い。また温度検知手段としては加熱ローラ3に接触するように設けたが、加熱位置におけるベルトの表面に接触するように設けても良い(但し、ベルトを傷つけるため好ましくは加熱ローラの方が良い)。また、ベルト内部に配置する部材の数としては本実施例のように加熱ローラと定着ローラの2つのみに限らず、3つのローラを使用しても良い。
【0056】
【発明の効果】
この発明は、前記のような構成からなるので、記録媒体が通過後に発生する温度オーバーシュートを防止することができるので、次作像時に温度過多によるホットオフセットが発生したり、温度過昇防止装置の誤動作を防止することが可能であるという効果がある。また、第2設定温度および第4設定温度を、次作像時の記録媒体が通過するまでに所定の制御温度に復帰することができる範囲で設定した場合には、次作像時に影響を及ぼさないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置概略図である。
【図2】本発明の定着装置概略図である。
【図3】従来の定着温度制御に対する加熱ローラと加圧ローラ表面温度図である。
【図4】請求項1記載の定着温度制御に対する加熱ローラと加圧ローラ表面温度図である。
【図5】温度過昇防止装置の概略図である。
【符号の説明】
1 定着装置 2 定着ベルト
3 加熱ローラ 4 定着ローラ
5 加圧ローラ 6 ヒータ
7 ヒータ 8 サーミスタ
9 芯金 10 弾性体層
11 軸 12 入口ガイド
20 画像形成装置
21Y、21M、21C、21BK 作像手段
22 転写手段 23、24 給紙カセット
26 本体 27 排紙トレイ
29Y、29BK 露光光 30 レジストローラ
31 クリーニングローラ 32 塗布ローラ
33 ケーシング 36 出口ガイド
37 取手 38 支持体
39 サーミスタ 41、42 ピックアップローラ
43 搬送ローラ 44 搬送ローラ
45 排出ローラ 50 離型剤供給手段
100 サーモスタット

Claims (2)

  1. 記録媒体に担持された未定着画像をニップ部を通過させることにより、定着するベルト定着装置を具えた画像形成装置であって、前記ベルト定着装置は、熱源で加熱される加熱ローラと、定着ローラと、前記加熱ローラと定着ローラに巻き掛けられた定着ベルトと、第2の熱源で加熱され、前記定着ベルトに接触してニップ部を形成する加圧ローラと、前記加熱ローラの温度を検知する温度検知手段と、前記加圧ローラの温度を検知する第2の温度検知手段とを具え、前記加圧ローラの熱容量は前記加熱ローラの熱容量よりが大きくなっており、
    また、前記温度検知手段が検知した加熱ローラの温度と所定の制御温度に基づいて、加熱ローラの温度を制御するとともに、前記第2の温度検知手段が検知した加圧ローラの温度と所定の制御温度に基づいて、加圧ローラの温度を制御する制御手段を具え、
    前記所定の制御温度は、加熱ローラ制御用の第1設定温度と第1設定温度より低い第2設定温度、および第1設定温度より低く設定された加圧ローラ制御用の第3設定温度と第3設定温度より低い第4設定温度を有し、
    前記制御手段は、一連のジョブ中の最終の記録媒体が前記ニップ部を通過すると、前記定着装置が回転し続けている状態で、前記加熱ローラの温度を第1設定温度から第2設定温度に下げるとともに、加圧ローラの制御温度を第3設定温度から第4設定温度に前記第1設定温度から第2設定温度への下げ幅よりも大きく下げることを特徴とする画像形成装置。
  2. 第2設定温度および第4設定温度は、次作像時の記録媒体が通過するまでに所定の制御温度に復帰することができる範囲で設定されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
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