東京大学分子細胞生物学研究所の論文不正問題で、東大は27日、不正に関与した当時の大学院生ら3人の博士号を学内の規定に基づき取り消したと発表した。 東大は2010年と11年に論文不正で計2人の博士号を取り消したが、一度に3人の取り消しは初めて。 東大の科学研究行動規範委員会は昨年12月、同研究所の加藤茂明元教授(12年辞職)の研究室が1999~2010年に発表した論文33本で、画像の捏造(ねつぞう)などが見つかったと公表。加藤元教授ら計11人が不正に関与したと結論づけた。 11人の中で、6人は不正な論文などに基づいて博士号を取得していた。東大は6人のうち、05~07年に博士号を得た元大学院生ら3人は自ら画像の捏造・改ざんを行ったとして、博士号の取り消しに該当すると判断した。このうちの1人は一時、東大の助教(13年辞職)を務めていた。 東大は、加藤元教授らについて、懲戒規定に基づく処分と研究費
STAP(スタップ)細胞の論文不正問題で、山梨大は6日、論文の共著者で同大教授の若山照彦氏(47)に対し、厳重注意とするとともに、現在務めている同大の発生工学研究センター長としての職務を3か月間停止する処分を発表した。 理化学研究所は今年2月、小保方晴子・元研究員を「懲戒解雇相当」、理研在籍時に小保方氏を指導した若山氏を「出勤停止相当」と判断した。これを受け、若山氏が大学側にセンター長の辞任を申し出たため、大学側が対応を検討。若山氏の研究の不正行為は認定されていないものの、社会に重大な影響を及ぼしたなどとして処分を決めた。 若山氏は、「今回の事態を招いた責任を痛感し、おわび申し上げる。今後は細心の注意を払いつつ、教育と研究に全力で取り組むことで責任を全うし、信頼の回復に努めたい」とのコメントを発表した。
STAP細胞問題を追い続けた毎日新聞記者の著作が、2014年12月末に発売された。『捏造の科学者』と題された本書は発売前から増刷が決まるほどの注目度を示し、2カ月近くたってもヒットランキングに名を連ね続けている。発行部数は、8万部に達した。 昨年1月に発表されたSTAP細胞は、当初「世紀の大発明」とも報じられた研究だった。しかし2週間後には論文内容への疑問が呈され、論文撤回を巡って共同著者間で見解に相違が生じ、やがて第三者による研究内容の検証や発表者の研究者としての資質へと話題が広がっていった(残念ながら、日本有数の科学者の自殺というショッキングな話題まで付加されてしまった)。 本書は、1月の記者会見直前から11月までの約10カ月間の取材内容を時系列的に記したもの。STAP細胞とは何であったのか(何が画期的な発見とされたのか)など具体的な補足情報も丁寧に盛り込みつつ、取材を通して見えてきた
小保方晴子氏は懲戒解雇相当だがすでに辞職 理化学研究所は、2月10日午後3時から、不正認定された「STAP論文」の関係者処分について会見を開いた。出席者は、堤精史人事部長と加賀屋悟広報室長の2人。 筆頭筆者だった小保方晴子元研究ユニットリーダーは、2014年12月に自主退職し、それが認められているため、直接の処分はできないものの、懲戒解雇相当と判断。共著者で指導的立場にあった若山照彦山梨大学教授は出勤停止相当(規定上は最大で1年)とし、客員研究員の委嘱は解除した。 また、小保方氏が所属していたCDB(発生再生科学総合研究センター)の当時センター長だった竹市雅俊氏(現・多細胞システム形成研究センター特別顧問)は論文作成過程での管理責任により譴責処分。共著者で検証実験も行った丹羽仁史プロジェクトリーダー(当時)は、懲戒には当たらないものの、共著者としての一定の責任はあるとして、文書による厳重注
昨年12月21日付で理化学研究所を退職した小保方晴子元ユニットリーダー(31)が再び“渦中の人”になりそうだ。小保方氏をめぐっては、事実上存在しないとされたSTAP細胞の中身に関連して、理研OBの石川智久氏(60)が「ES細胞の窃盗容疑で刑事告発する」意向を示している。一方で小保方氏には“反撃”の可能性も取りざたされており、理研側は気をもんでいるという。 昨年1月28日、神戸にある理研の研究施設で小保方氏らが新型万能細胞と称して華々しく発表したSTAP細胞。ところが1か月もしないうちから疑義が指摘され始め、世界に知れ渡る騒ぎに発展した。 あれから約1年。状況は天と地ほどに一変し、理研の調査委員会が昨年末、STAP細胞の“正体”は「既存の万能細胞であるES細胞が混入した可能性が高い」と結論付けた。理研と小保方氏本人による再現実験も成功せず。STAP細胞は事実上存在しないことが確定したものの、
「青木薫のサイエンス通信」久々の番外編です。今回取り上げたのは、毎日新聞の科学記者・須田桃子さんによる『捏造の科学者 STAP細胞事件』。論文に欠陥が発覚した後、一部の科学者たちの反応に、青木さんは違和感を感じたという。科学史にも残るであろうこの事件、はたして問題の本質はどこにあったのか?(※本稿は、青木さんご自身のFacebookに書かれていた感想を、そのまま掲載させていただいております。) 私はこれまで、FB上とかで、STAP細胞事件について何か言ったことはありませんでした。バイオ系メディカル系の話題は、ニューヨーカーの記事なんかも好んで読んでいますし、わりと気楽に話題にもしているのですが、STAP細胞事件に関してはーーとくに論文に疑義が出されてからはーーわたしなんかが何か言えるような状況じゃなかったのですよ(まあ、家族に生物系の研究者が二人いるので、うちわでは議論しておりましたが)。
12月26日、理研は記者会見し、「STAP細胞はES細胞の混入」であったと発表した。また、小保方晴子元研究員らが、『ネーチャー』の論文で発表した図や表の多くで、オリジナルデータが存在せず、実験自体が本当に行われていない可能性に言及した。今回の理研の調査で、ES細胞を混入させた人物については同定できなかったようだが、STAP細胞の研究は振り出しに戻ったことになる。 2014年1月29日、小保方氏が割烹着お姿で記者会見してから、一年弱でSTAP細胞研究は、世界の科学史に残る不祥事となってしまった。我が国の科学界の信頼を大きく損ねたことになる。 今後、小保方氏や他の研究員の理研内部での処分、研究費不正使用に関する民事責任が検討される。さらに、今回の記者会見により、理研だけでは真相究明が出来なかったことが明らかとなったので、世論次第では「偽計業務妨害」などの理由で刑事告発される可能性もある。
記者会見「東京大学分子細胞生物学研究所・旧加藤研究室における論文不正に関する調査報告( 最終 )」の実施について記者発表 記者会見「東京大学分子細胞生物学研究所・旧加藤研究室における 論文不正に関する調査報告( 最終 )」の実施について 日 時: 平成26年12月26日(金)9:30~11:00 場 所: 東京大学総合図書館3階会議室 出席者: 濱田 純一 東京大学総長 相原 博昭 東京大学理事・副学長(科学研究行動規範担当) 原田 昇 東京大学副学長 科学研究行動規範委員会委員長 鈴木 真二 東京大学広報室長 平成24年1月10日、本学に対し、加藤茂明東京大学分子細胞生物学研究所教授(当時)の主宰する研究室の関係者が発表した論文について、不正行為が存在する旨の申立てがあった。これを受け、本学においては、分子細胞生物学研究所における予備調査を経て、科学研究行動規範委員会において調査・審議
STAP細胞論文について、報告書の内容を発表する理化学研究所の調査委員会。右から2番目は委員長の桂勲・国立遺伝学研究所長=東京都千代田区で2014年12月26日午前10時114分、竹内紀臣撮影 −−例えばES細胞FES1からキメラマウスを作って、その細胞からSTAP細胞を作ったとしてもここまで一致することはないのか? 桂 かなり似たものができると思う。 −−そうすれば、遺伝子の特徴が一致することはあり得なくはないのか? 米川 そういった可能性はあまりないと思うが、完全にないとは言えない。科学の世界では、何%という限られた事実でしか判定できませんので、一般の方がいわれる「99.9%、0.01%あるから、それは違うのではないか」と言われても、それは科学の常識ではありません。 −−FES1というES細胞とSTAP細胞がほぼ同一と思ってよいということは理解できるが、そういうものを直接投入しなくても
STAP細胞論文について、報告書の内容を発表する記者会見場に入る理化学研究所の調査委員会委員長のメンバー。右から2人目が委員長の桂勲・国立遺伝学研究所長=東京都千代田区で2014年12月26日午前10時、竹内紀臣撮影 −−ストックのES細胞株について、小保方さんはどう説明しているのか? 2005年に樹立した細胞株をどうやって入手し得たのか? 桂 細胞株は「これは何ですか?」と小保方さんと若山さんに聞いたら、2人とも「全然知らない」ということです。それで、もしかしたら、誰かが置いたかもしれないし。もう一つの細胞株は、若山研に2010年まで滞在した人が、「若山研で作製してほとんど実験に使わなかったが、作ったことは作った」と話した。その人の話では、「若山研を出る時に持って行ったという記憶しかない」。若山さんに聞いても「その人が出てから、若山研に残っていたという記憶はない」と言っている。 −−若山
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