【秦忠弘】東京・下町の町工場などが共同開発した無人深海探査機「江戸っ子1号」が21日午前、8千メートルの深海に挑むため、独立行政法人・海洋研究開発機構の調査研究船「かいよう」に積まれて神奈川県横須賀市から出航した。海底生物を撮影し、泥を採取する。 探査機3台(1台50キロ)を沈めるのは房総沖200キロの日本海溝。1台は3次元カメラや照明装置などを収めたガラス球(直径33センチ、厚さ12ミリ)3個を縦につなげた構造。40キロの重りで海底まで沈み、餌で生物をおびき出して撮影する。浮上する際は重りを切り離す。23日までに3台を引き揚げ、24日に横須賀に帰港する予定だ。 開発のきっかけは4年前。東京都葛飾区のゴム製造会社の杉野行雄社長(64)が、大阪の中小企業が開発にかかわった人工衛星「まいど1号」に触発され、「大阪が宇宙なら東京は深海で」と、都内や千葉県の中小企業に呼びかけた。