総面積100平方キロメートル弱、人口約2万人、そのうち性産業に従事する女性が2,000人……。アジア最大規模の“売春島”として名をはせた島が、かつて中国に存在した。中国は計画生育政策(いわゆる「一人っ子政策」)のもとで生殖をはじめとした人民のプライベートな部分まで規制することを望み、また言論統制のなかでポルノコンテンツの発表も限られる。そんな国で、なぜこのような島が誕生し、発展したのだろうか。 中国をメインテーマに硬軟とりまぜた執筆活動を行うルポライターの安田峰俊氏の著書『性と欲望の中国』を引用し、アジア最大規模の“売春島”の様子、そして実際に行われていた衝撃のやり取りを紹介する。(全2回の1回目/後編を読む) ◇◇◇ 荒淫島 ──監獄島に流人島、海賊島。 人類の歴史上、海や湖に浮かぶ島は、収容所がわりに使われたり、閉鎖的な環境を利用してイリーガルな活動や反乱の拠点にされたり、半独立国のよ