フランスの政治学者アレクシス・ド・トクヴィル(1805-1859)は短い一生のうちにも後世に残るいくつかの重要な研究を遺しました。『アメリカにおけるデモクラシー』や『アンシャン・レジームと革命』などが有名ですが、特に前者は日本でも明治時代からこんにちまで幾度か翻訳されています。 肥塚龍訳『自由原論』(有隣堂、1881-1882年)、井伊玄太郎訳『米国の民主政治』 (研進社、1948年)、杉木謙三訳『アメリカの民主主義』(朋文社、1957年)、岩永健吉郎訳『アメリカにおけるデモクラシーについて』(『世界の名著(33)』中央公論社、1970年刊、所収)、岩永健吉郎・松本礼二訳『アメリカにおけるデモクラシー』(研究社出版、1972年) など、英訳版からの重訳もあれば、抄訳もあり、題名の表記も様々でした。 現在も入手できるのは、戦後長く本書の翻訳と改訂に携わられた井伊玄太郎さんによる『アメリカの民