布製かばんで知られる「一澤帆布(いちざわはんぷ)工業」(京都市)の先代会長(故人)が残したとされる遺言書の真偽が争われた訴訟で、最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は23日、三男の前社長側の「遺言書は偽物」との訴えを認めた昨年11月の二審・大阪高裁判決を支持し、長男の現社長側の上告を棄却する決定をした。三男側の勝訴が確定した。 問題の遺言書は、01年に死去した先代会長の一澤信夫氏が、長男で現社長の信太郎氏(63)に同社株の5分の4を相続させるという内容。三男で前社長の信三郎氏(60)の妻が「偽造だ」と遺言書の無効確認などを求めていた。 二審判決は「重要な文書なのに認め印が使われるなど不自然な点があり、真正とは認められない」と判断。遺言書が無効となることで現社長らの議決権は失われるとし、前社長の信三郎氏が取締役を解任された05年の臨時株主総会の決議も取り消していた。