弾劾訴追案の可決による尹錫悦大統領の職務停止により、3日深夜の非常戒厳から続いた極度の政治混乱は一旦の区切りを迎えた。 しかし今回の一連の事態は、尹大統領の暴挙にとどまらない韓国政治の「宿痾(しゅくあ、持病)」とも言える権力問題を浮き彫りにした側面があり、これに対する省察なくして一段落とはいかないだろう。本稿ではその議論の一端を示すことで日本社会の韓国理解を深めてみたい。 ●弾劾訴追案可決の裏に与党の「参加」 14日午後、韓国国会で7日以来2度目となる尹錫悦大統領の弾劾訴追案の採決があり可決された。これにより尹大統領は午後7時24分をもって職務停止となった。 採決に参加した議員は300人、うち賛成204票、反対85票、棄権3票、無効8票で可決に必要な200票を超えた。 与党からは最低でも8人の造反が必要であったが前日までその数を満たしていた上に、採決ボイコットで党議拘束をかけた前回とは異な