学部のゼミで下記の論文を読んだ。ほとんど参照されていないようだが、おもしろい。フリーター研究者には一読の価値があると思う。 上林千恵子, 2003, 「大都市フリーターの行動と価値観」『社会志林』50(1):1-23. 大都市フリーターと『ハマータウンの野郎ども』を重ねてみようとしているのだが、やや根拠が薄弱な点が議論の説得力を弱めている。 そして、この種の議論の危うさについて指摘しておきたい。「高貴な野蛮人」とは、文明化された西欧人が失ってしまった様々な美徳を未開社会の野蛮人たちが持っていることを称揚するための概念である。これに対しては様々な批判があるだろうが、ここで強調したいのは、異文化の中で暮らす人びとを、自分たちとはまったく異なる他者として措定した上で、理想化している点である。いわば、自分の持っている理想像を、「野蛮」に投影しているのであり、それは彼らの実像とは異なっている可能性が