地方紙の記者だった数年前、原稿に書くのをためらった言葉がありました。「シスジェンダー」と「ヘテロセクシュアル」です。広く知られた言葉ではないから――という理由でした。 「性的マイノリティ」「LGBT」という言葉を書く機会は年々増えていったのに、結局「シス」「ヘテロ」という言葉を私は当時、ほとんど原稿に書きませんでした。 なぜ、それで済ませることができたのか。その理由をあらためて考える機会がありました。 6月9日、大館市で県北部男女共同参画センターが主催するLGBTQ理解促進セミナーがあり、前川直哉さん(福島大学准教授、専門は教育学・ジェンダー/セクシュアリティの社会学)が講演。前川さんと真木柾鷹さん(性と人権ネットワークESTO代表)、今将人さん(損保ジャパンカルチャー変革推進部)によるトークもありました。詳報します。(※3人のトークの記事は後日アップします) 以下は前川さんの講演です。