ハノーファー、ミヒャエル・エンデ広場にあるモモの像。Ulrike Enders作。 『モモ』(原題Momo oder Die seltsame Geschichte von den Zeit-Dieben und von dem Kind, das den Menschen die gestohlene Zeit zurückbrachte)は、ドイツの作家ミヒャエル・エンデによる児童文学作品。1973年刊。1974年にドイツ児童文学賞を受賞した。各国で翻訳されている。特に日本では根強い人気があり、日本での発行部数は本国ドイツに次ぐ。 1986年に西ドイツ・イタリア制作により映画化された。映画にはエンデ自身が本人役で出演した。 日本では、1987年に女優・歌手の小泉今日子が朝日新聞のインタビュー記事で本作の大ファンであることを公言し[1]、話題になった[2]。 日本テレビのドラマ『35歳の
「栄養学を拓いた巨人たち」は、栄養学の歴史を人物史を通じて紹介していく本。そう堅い内容の本でもなく、研究とは直接関係の無い愛憎も紹介されるが、著者の杉晴夫氏が科学者だけに、新発見をどうやって得たか研究手法の紹介にページが割かれており、中高の理科の補助教材としてもお勧めできそうな内容になっている。また色々な失敗談が詰まっており、科学研究にまつわる教訓談としても読めるはずだ。 興味深い逸話だらけで何を紹介すべきなのかも迷うが、第3章の最初に紹介される壊血病からして興味深い。中世には壊血病は良く知られた病気で、柑橘類をとることで予防できることは実は知られていた。しかし、必ずしも柑橘類をとれば予防できるとは限らないことから、その不足が原因だと認識されたのは、ずっと後であった。さらに柑橘類の中にあるビタミンCが洗い出されるまでは、もっと時間がかかった。実験動物のネズミはビタミンCを体内で合成できるこ
……しかし、ついに天使は飛び立った。エリセンダは自分のために、そして天使のために、ほっと安堵のため息をついた。老いぼれた禿鷹のようなはらはらする羽ばたきではあったが、なんとか体を支えながら、場末の家々を越えて飛んでいく天使の姿が見えた。タマネギを刻み終えるまで、エリセンダは天使を見つづけた。見ることがもはや不可能になるまで、見つづけた。なぜなら、そのときの天使はもはや彼女の日常生活の障害ではなくなり、水平線の彼方の想像の一点でしかなかったからである。 「大きな翼のある、ひどく年取った男」 http://www.asahi.com/articles/ASG4L20YSG4LUEHF001.html 『百年の孤独』は読んだことがあるが、『族長の秋』は読んだことがない。『愛その他の悪霊について』は読んだことがあるが、『コレラの時代の愛』は読んだことがない。『大佐に手紙は来ない』は読んだことがある
AP通信によると、世界的なラテンアメリカ文学ブームの中心となった小説「百年の孤独」の作者で、ノーベル文学賞を受賞したコロンビア人作家、ガブリエル・ガルシア・マルケス氏が、17日、メキシコ市の自宅で死去した。87歳だった。3月下旬に入院、4月上旬に退院したが自宅療養が続いていた。 1928年コロンビア北部アラカタカ生まれ。大学中退後、新聞記者としてローマやパリに駐在するかたわら創作を始める。独裁政府の弾圧で新聞が廃刊になるが、55年に初の作品集「落葉」を刊行した。 59年のキューバ革命後、カストロ議長と親交を結ぶが、政治とは一線を画す。メキシコで映画の脚本などを書きながら、67年に長編「百年の孤独」を刊行。奇想天外な事件や大洪水に錬金術など神秘的な事が起こる村マコンドを舞台に、ある一族の歴史を描いた神話的物語で、世界的ベストセラーとなった。
神にささげるお供へもののほとんどすべては、人間がもらつても嬉(うれ)しいものばかりである。上等の御神酒(おみき)は言ふに及ばず、海山の幸やお菓子の類……。或(あ)るとき神社の奉納のお祭りをごく真近(まぢか)で拝見する機会があつたとき、ちやうどお昼を食べそこねて空腹で、目の前を運ばれゆくお供物に思はず腹が鳴つて恥ずかしかつた記憶がある。あゝ、さぞや神さまも美味(おい)しく召上るだらうなあ、と思つたものである。 しかし神にささげることはできても、人間に供することは決してできないものがある。自らの命である。よく陳腐な口説き文句に「君のためには命をささげる」などといふセリフがあるが、言ふ者も聞く者も、そんなセリフを文字通りに信じはしない。もしも本当にさう言つて、女の前で割腹自殺する男がゐたら、(よほどの毒婦でないかぎり)喜ぶ女はゐないであらう。下手をしたら、精神的打撃をかうむつたと言つて遺族に賠償
どんぐりまなこに太いまゆげとりっぱなひげ、赤い衣のずんぐりボディからはかわいい手足がにょっきり出ている「だるまちゃん」。だるまちゃんも、だるまちゃんの友だちも、全国各地の伝統玩具がモチーフになっています。作者の加古里子さんが、日本ならではのおもちゃでおもしろいものができないか……と、生みだしただるまちゃんは、50年もの間、子どもたちに愛されています。 だるまちゃんの絵本には、子どもたちが大好きなものがたくさんつまっています。ものづくし、おいしい食べ物、そして数々の遊び! 外遊びも、うち遊びも大好きなだるまちゃんたちは、プール、手あそび、お絵かき、おはじき、釣り、植物遊び、相撲など、自分たちで色々な工夫をこらして、遊びの世界に没頭するだるまちゃんたちは、小さな子どもたちそのものの姿だともいえます。
冗談みたいなんですが、ええと、本を書きました。『考える生き方』(参照)。アマゾンを見ると、明後日、2月21日に発売となっています。 自分のところには数日前に見本が来て、「ああ、本になったんだ」と感慨深かったのだけど、いま発売日を確認したら、もう明後日なんだと驚いた次第です。 内容は、あれです、ネットで嫌われる「自分語り」というやつです。 なので、ネットでするのもなにかなと本にした……というほどではないのですが、いろいろ考えたのですが、ネットで書くより、本で書いたほうが読んでもらえるような気がしたというのはあります。 有料プラットフォームcakesで書いている「新しい古典を読む」の書評を続けていても思ったのだけど、cakesもネットではあるけど、有料なので読みたいという人が読むことになります。すると、読む人の数は減ってしまうし、簡単な一言コメントみたいなものも少なくなりますが、その分、深く読
「ああ、そういや、おれ、あんたの親父さんには悪いかもしれんけど、最近、水俣病の本、まあ小説なんだけども、読んどるんですよ」 と、おれ。 「ま」 と、声に出したか出さないか、キッとくちびるを結んで眉を吊り上げる母。息子だからこそわかる程度の変化ではある。それゆえ、母が怒りに似たなにかを溜め込んだな、というのが一目でわかる。彼女は怒りや鬱憤、憎悪、不愉快をいったんは溜め込むタイプの人間だ。そして、溜め込んだそれが膨れ上がって大爆発させるかというとそうでもなく、小規模のベントを続けたり、せいぜい小規模の爆発を起こすくらいだ。 おれは母と子の雑談のにやけ顔のまま、内心も少しほくそ笑んで、「お、やっぱりそこはタブーか」などと思う。目の前にいるのが母ではなく興味深い昭和史を語ってくれる、生きた本みたいに見える。おれにはあまり人間味がない。 が、しかしだ。それがおれの想像以上にセンシティブな問題であると
自民党総裁に安倍晋三氏が返り咲いた当初、奇異な目で見られていたその経済政策、通称アベノミクスだが、比較的短期間に多くの人から支持されてきたようだ。理由は単純。安倍首相がアベノミクスを掲げただけで円高が止まり、株価が上がり、実感としてもこれから日本経済が前向きになってくる期待が醸成されたからだ。 それはいいとしよう。では、実際に、アベノミクスの内実がどれほど理解されているというと、どうだろうか。なかなか難しそうだ。メディアで活躍された経済専門家もしばしばとんちんかんな説明をしたり、どうでもいい賛否両論でお茶を濁したりする。その点、本書「日本人はなぜ貧乏になったか?」(参照)は、アベノミクスの要点を、いわば想定問答集のようにして、通説の誤りを逐次指摘する形式で明確にまとめている。解答集の虎の巻といった趣向である。 重要な論点の一つは、長期に渡り日本経済を蝕んできた「『デフレ』の正体」である。第
小説「海辺の光景」や「悪い仲間」で、戦後の文壇に新風を吹き込んだ作家の安岡章太郎さんが、今月26日、老衰のため、東京都内の自宅で亡くなりました。 92歳でした。 安岡章太郎さんは大正9年に高知市で生まれ、終戦後の昭和28年、戦中・戦後の青年の日常を描いた短編小説、「悪い仲間」と「陰気な愉しみ」で芥川賞を受賞し、文壇にデビューしました。 遠藤周作さんや吉行淳之介さんらと共に、「第三の新人」と呼ばれ、「海辺の光景」や「幕が下りてから」などの純文学の作品を次々と発表しました。 日常生活を題材にした作品が多く病気や家庭の崩壊に直面した人の苦しみを描いた小説や、社会的な弱者の視点に立ったエッセイは、読者に勇気と慰めを与えてきました。 また、「アメリカ感情旅行」や「志賀直哉私論」といった紀行文や評論でも人気を集め、平成7年には中里介山の未刊の小説、「大菩薩峠」をテーマにした評論「果てもなき道中」を発表
ほとんどサルだった時代から人類が互いにいがみあわなかったことはほんのひと時でさえもなかったとは言うものの、こと図鑑が楽しいという一点に関しては北軍も南軍も愛国主義者も無政府主義者もぼったくりバーの経営者も明朗会計の寿司屋の大将もベジタリアンもコメディアンも赤毛のアンもつぶあんもこしあんもわたしもあなたも意見を異にすることはない。創元社の『親子で学ぶ数学図鑑 基礎からわかるビジュアルガイド』もまた楽しい一冊だった。 親子で学ぶ数学図鑑:基礎からわかるビジュアルガイドposted with AZlink at 2012.9.30キャロル・ヴォーダマン,渡辺 滋人 創元社 売り上げランキング: 6754 Amazon.co.jp で詳細を見る この本の原題は『Help your kids with maths』で、算数を学ぶ子供を親が手助けするための参考書というのがコンセプトらしい。 中身を眺め
1975年4月、ソ連南西部マイコープ。柔道によく似たソ連の格闘技、サンボの日ソ対抗国際試合の会場にビクトル古賀はいた。古賀は、1年以上前に引退し、今回の遠征には監督として参加していたが、68kg級の選手が腰を痛め、急遽、選手として出場することになったのだ。 すでに40歳となっていた古賀は体重を絞るため3日間絶食し、マットに上がる。会場からは地響きのようなどよめき。もちろん観客たちは、古賀が、日本人とロシア人のハーフであり、世界大会で3度優勝、40連勝無敗で引退した元世界チャンピオンだと知っている。 相手は、世界選手権での優勝経験もあるタジキスタン出身の強豪。年老いた元世界チャンピオンを相手にいかにもやりにくそうな表情を浮かべる。試合開始直後、相手が仕掛けてきた瞬間、古賀は右足を跳ね上げ、腰の上で相手を反転させ、背中からマットに叩きつけた。「跳腰」による1本。開始後わずか30秒である。会場は
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