各都道府県 教育長 殿 図書館業務の民間委託についての提言 平成24年9月18日 公益社団法人 日本文藝家協会 理事長 篠 弘 以下の内容につきまして、関係者各位に普及徹底され、適切な対応がとられ ますよう切望します。 最近、全国の公共図書館において、指定管理者制度の導入により、図書館業 務の民間業者への委託が実施されるようになりました。公共図書館は国民の、 知る権利、学ぶ権利、文化を享受する権利等に応えるために、多種多様の蔵書 を備え、レファレンス・サービス(利用者の求めに応じた読書指導や助言)を 提供するとともに、書籍の無償貸出をするというのが基本的な使命であるとわ たしたちは考えています。 わたしたち著作権者にとっては、より多くの読者と出会える機会であり、図 書館を通じて読書を楽しむ人々が増えれば、文芸文化、出版文化の発展や未来 への継承につながるものと期待されます。しかしなが
『楢山節考』などで知られる深沢七郎さんの自宅玄関には来訪者向けに注意事項の貼り紙があったという。〈出版は印税パーセントをまずはじめに知らせよ〉の一項もあったと、文芸評論家の山本容朗さんが随筆に書いている◆著作者にとって印税は生計の糧であるとともに、次の作品を準備する営業資金でもある。今川焼き屋を営んで経営の苦労も知る深沢さんには、おろそかにできない項目であったのだろう◆たとえば図書館が新刊ベストセラーを大量に購入して貸し出した場合には、著作者の印税収入が減り、次なる創作の芽を摘むことにもなりかねない◆作家の樋口毅宏さんはきのう発売『雑司ヶ谷R.I.P.』(新潮社)の巻末に、〈公立図書館のみなさまへ〉という異例の“お願い”を掲載した。半年間は貸し出しを猶予するよう求めている。図書館が活字離れにブレーキをかける役割を果たしているのも事実だが、著作者という泉が涸(か)れては元も子もない。猶予期間
気鋭の小説家、樋口毅宏(たけひろ)さん(39)が、25日発売の「雑司ヶ谷R.I.P.」の巻末に、公立図書館での貸し出しを、新刊の売れ行きに影響が大きい刊行から半年間、猶予するよう求める一文を掲載した。 図書館がベストセラーを大量購入して貸し出す現状については、複数の作家が「無料貸本屋」と異議を唱えてきたが、作家が自著に、このような一文を載せるのは「おそらく前例がない」(版元の新潮社)という。 樋口さんは「さらば雑司ヶ谷」で一昨年デビュー。続編となる新作は、昨年1年の大半を執筆にあてた力作だが、定価1600円で初版6000部のため、印税は96万円。一方で、昨年12月刊の自著「民宿雪国」が、ある図書館で44人もの貸し出し予約が入っていることを知り、それが今回の行動のきっかけとなった。 日本文芸家協会は、図書館の貸し出し実績に応じた補償金を著者へ払う制度の導入を国に求めているが、実現していない。
英国の公共貸与権に係る組織“Public Lending Right”が、2009年7月から2010年6月までの1年間に英国の公共図書館で最も貸出された書籍や著者を発表しています。最も貸出された書籍は“Swimsuit”、最も貸出された著者は“Swimsuit”の著者の一人でもあるJames Patterson氏だとのことです。 UK Children’s Writers Dominate PLR’s Most Borrowed Authors List(Public Lending Rightのニュースリリース) http://www.plr.uk.com/mediaCentre/mediaReleases/feb2011%281%29.pdf Most Borrowed Titles(Public Lending Right) http://www.plr.uk.com/mediaCe
「現代社会と図書館の課題」(日本図書館協会図書館政策委員会編 日本図書館協会 2004) この本、いつどこで読んだかすっかり忘れてしまったのだけれど、国会図書館のHPで検索してみたらあっさり発見。 内容は、こんな感じだった。 ・「図書館と構造改革 構造改革と図書館」 山口源治郎 ・「構造改革と労働市場の変容」 後藤道夫 ・「図書館と第三者評価 図書館評価の諸問題」 大串夏身 ・「図書館なんていらない!…?」 清水勉 ・「公共貸与権と図書館」 森智彦 ・「子どもの読書環境整備」 中多泰子 このうち、森智彦さんの「公共貸与権と図書館」についてだけ、手元のノートにメモがとってあった。 森さんの文章は、公貸権というものについて、わかりやすく書かれていると思うので、ここにメモのメモをとっておきたい。 (手元に現物をおいているわけではないので、記述は相当ちがっているはず。その点はご容赦のほどを。でも、
[第9回]ブッカー賞を競った2作 園部哲 Satoshi Sonobe ロンドン在住ライター・翻訳者 英国の図書館はみかけこそ地味だけれど、身近なところにあって市民の利用度も高い。国民1人当たりの貸出冊数は日本を上回る。図書館の普及とそこを根城にした読書会の存在もあり、新刊書は買わずに借りるという向きも多い。だからといって英国紳士淑女作家は、図書館で只貸しされると実入りが減る、などという野暮なことは言わない。 この国には公共貸与権(公貸権)、つまり図書館での貸し出し1回ごとに著者が対価を受けるという制度がある。具体的には1回当たり5.98ペンス(今だと10円くらい)で年間上限約100万円。 図書館依存型読者層が厚いこともあって、この国では新刊書がベストセラーになるのは稀である。自己購入型読者層は新刊のハードカバーがおよそ1年後、手頃なペーパーバックになってから買い始める。昨年の10月にブッ
この間、図書館が使用料を支払らっていないという愚痴(記事はコチラ)を書きました。世間では話題になることが少ないのですが、実は以前からくすぶっている、出版業界の未来を左右しかねない深刻な問題なのです。 ヨーロッパ諸国では、図書館(=地方自治体)が出版社に対してちゃんと使用料を支払っています。出版社は民間企業ですから、払うものは払わないといけないと考えているわけです。その根拠は、出版業界が不況に陥れば、出版文化、ひいては国の文化を守ることができないというものです。 これに対し、日本では出版業界と図書館協会が互いの利益を主張して譲りません。図書館側の主張は一言でいえば「公的機関だから支払う必要性がない」というものです。出版業界側の主張は「図書館のせいで出版社の利益が大きく損なわれている」「著者も大きな被害を受けている」「レンタル店やネットカフェは使用料を払っている」等々です。 「お前は出版
id:haTshさんからコメントいただきました。 図書館はかなり利用するほうです。 確かに作家の方からすれば、印税が主な収入ですので「本を買って」といいたくなる気持ちはわかります。 反面、図書館が購入しなければほとんど売れない本も多々あると思います。 著者が自著を図書館で貸すか、貸さないか選択できる仕組みがあればいいですね。 なるほど、、、しかし、図書館を拒否する作家ってイメージ悪くなりそうですよね、、、あるいは、カラオケのように1回借りるごとに印税が入る仕組み、、、そうなると図書館もただというわけにはいかないでしょうが、1冊10円にしてそのうち5円くらい作家に入るぐらいでどうでしょうか。 ● 龍馬さんからもコメントいただきました。 本は、公共の図書館で借りて読むことが基本だと思います。私の経験から言いますと、自分で買った本でも、2回目も読んは、殆んどありません。本棚に飾る為に本は存在して
以前に国会図書館でのコピーの著作権問題について書いた。 知人がそれを見て、欧米の図書館では「公共貸与権」が確立されていて、一定の著作権料を支払えば、教育や研究目的のためのコピーは自由に行えるのが一般的で、日本の立ち遅れた現状に対して、日本でも問題視する弁護士の方がいることを教えてもらった。 私が勤務する大学にも多くの外国人研究者がいるが、一様に「テキストが作りづらい」と漏らしている。ハーバード大学から来た方は、向こうの大学で文学作品をテキストにする場合は、教員が図書館を通して作品と受講者数を指定すれば、学生が各自でコピーできる(あるいはオンデマンド印刷する)システムになっていると聞いた。たとえ大学図書館にその作品がない場合でも、図書館がそれをダウンロードしてきて対応できるようにしているとも。 日本の場合、図書館の全集を教員かゼミ学生が1部コピーしてきて、それをさらに受講者数だけ増刷するとい
EU指令“92/100/EEC Directive”に基づき、図書館資料の貸し出しに対し何らかの金銭を著作者に提供する「公共貸与権」を導入している国が多い中、数少ない例外として導入してこなかったイタリアでも、公共貸与権を導入する法制化がなされました。これに対し、イタリア図書館協会(AIB)は、ユネスコ公共図書館宣言の「図書館利用の無料の原則」に反するものであり、また対価支払いにより公共図書館の蔵書構築・サービスに投じられる資金が減少するとして、欧州図書館・情報・ドキュメンテーション協会連合(European Bureau of Library, Information and Documentation Associations: EBLIDA)に対し、欧州委員会に働きかけてEU指令を修正して公共図書館での情報・知識へのアクセスを保障するよう求める声明を出しています。 L’Associaz
半月ほど前になりますが、おつきみさんが、図書館で利潤追求できるサービスが可能なことが民間委託においての条件であろうかといった意見を表明していました。コメント欄で意見を書きましたが、直接的な金銭の徴収によって利益を得ることは無理だと思います。 タイトルにもしましたが、公貸権という考え方についてです。図書館は無料貸本屋であるという誤った考え方があり、(上記ブログで赤尾先生も問題にしましたが)ベストセラーばかり図書館に並ぶと、本屋・出版社・著作者が儲からないです。それで〈使用料〉を徴収ですか!? TSUTAYAと同じですね。本来は、民主主義社会を支える生涯学習機関ですよね。商業主義が入る余地はありません。ただ、著作者の権利を侵害したことへの公共的責任を負う機関からの補償として公貸権があります。日本ではまだ法律になっていません。 イギリスの例で話を進めます。公貸権とは、”a legal right
2005年11月19日21:30 カテゴリ文字・活字文化振興法再販制度・特殊指定 iPod税去りて図書税?来たる #いろんな意味で語弊のありそうな表題ですが… 今日の標的はこいつらです。 文芸家協会など5団体、図書館の充実求める声明(11/8 読売)Googleキャッシュ 共同声明:図書館貸し出し補償求める 文芸家協会など(11/8 毎日) 図書館予算増額など国・自治体に求める 文芸団体が声明(11/15 朝日) それぞれの本文は追記へ。読売は消すのが早すぎです(怒) 活字文化振興法にも関連する動きなのに記事も一番短いし、何を考えているのでしょうか。 声明文はこちら。 図書館の今後についての共同声明(日本文藝家協会) 図書館の今後についての共同声明(日本ペンクラブ) 真の目的は「国家または公的機関による著作者等への補償制度の確立」なのでしょう。断固反対です。 すでに、出版や著作権に詳しいブ
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