[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

OCTOPATH TRAVELER II

【おくとぱすとらべらーつー】

ジャンル RPG


対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション5
プレイステーション4
Windows(Steam)
Xbox One
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 スクウェア・エニックス
アクワイア
発売日 【Switch/PS5/PS4】2023年2月24日
【Steam】2023年2月25日
【MS Store】2024年6月6日
定価 通常版: 7,800円(税込)
e-STORE限定豪華版: 19,800円(税込)
プレイ人数 1人
セーブデータ 【Switch】9個+オートセーブ1個
レーティング CERO:D(17才以上対象)
判定 良作
ポイント 「HD-2D」の先駆けとなったRPGの続編
前作同様8人の主人公による群像劇
シリーズらしさを保ちつつ順当に進化
前作での不満を解消してより遊び易く
バトルや探索面も丁寧に調整
一部改善されなかった問題点も
HD-2D作品
OCTOPATH TRAVELER / トライアングルストラテジー
ライブアライブ / OCTOPATH TRAVELER II / ドラゴンクエストIII


概要

2018年に発売され、全世界出荷+ダウンロードが300万本を突破した
『オクトパストラベラー』のシリーズ完全新作RPG。
ドット絵と3DCGを融合した 「HD-2D」のグラフィックが、
さらなる進化を遂げて登場。
“ソリスティア”と呼ばれる新たな大地で、
新たな時代に、新たな8人の旅が始まる。
何処に行くのか、何をするのか、そしてどの物語の主人公となるのか、
全ては君に託される。
旅立とう、君だけの物語へ――

(公式サイトより引用)


特徴

基本的な仕様は前作の頁を参照。 本項では主に、前作からの変更点について記述する。

ストーリー関連

  • 基本は前作同様、目的の異なる8人の旅路を追っていく流れ。
  • 「クロスストーリー」が新登場。パーティ内の2人をメインとして展開するやや本筋から逸れたシナリオで、4通りの組み合わせ×前後編があり、全部で8つのストーリーが存在。
  • 物語を締め括る8人全員参加の「エクストラストーリー」が登場。出現条件は8主人公のシナリオと全てのクロスストーリーをクリアすることであり、実質的な最終目的となっている。

戦闘/ジョブ/アビリティ関連

  • 戦闘は前作と同じく「ブースト」「ブレイク」システム。
    • 1ターンに1ずつ増えるBP(ブーストポイント)と、6つの武器属性/6つの魔法属性を駆使し、敵の弱点を突いてシールドを削っていく。シールドをゼロにするとスタンさせられる。
    • 引き続き2ターン程度分先の敵味方の行動順が常に表示されており、単純なダメージの応酬だけでなく、スタンや特殊スキルによる行動順操作で戦闘の有利不利が左右される。
  • 倍速戦闘が実装。戦闘のテンポが大きく改善された。
  • 8人の初期ジョブは前作と同一。4つの隠しジョブは一新された。
    • 装備可能武器や方向性は変更なしだが、多くのアビリティが変更されていたり、既存アビリティでも性能調整がされているものがある。
  • 「バトルジョブ」*1は今作でも続投しているが、今回は複数のパーティキャラが同じバトルジョブに就ける。
    • 最初こそ1人しか就けないものの、条件を満たす度に最大3人まで枠が拡張されていく。ただし前述の隠しジョブは該当せず1人しか就くことができない。
  • 「EXアビリティ」が各キャラ2つずつ実装。
    • 8人それぞれ専用のコマンドアビリティであり、他のキャラが同種のバトルジョブに就いても使用できない。主にイベントで習得する。
    • 前作はベースジョブがある種の制限に近かったが、これにより固有性が出るようになった。
  • 新要素「底力」が登場。
    • ダメージを受けるか敵をブレイクすると底力ゲージが溜まっていき、ゲージがMAXになると使用可能。
    • 「高威力攻撃」「BPを最大まで増やす」「弱点を無視してシールドを削る」など、キャラによって効果は様々。
    • 溜めたゲージは次の戦闘に持ち越せる。宿屋に泊まることでも全回復できる。

フィールドコマンド/固有アクション関連

  • 昼夜でフィールドコマンドが変化するようになり、各人が2種類のコマンドを持つようになった。
    • 効果は「金を支払って情報を聞き出す」「薬でNPCを気絶させる」など、既存コマンドに類似している。
    • 固有アクションも基本は前作を踏襲しつつ、新たな付加価値が足されているものが多い。

グラフィック関連

  • 前作が草分け的存在となった「HD-2D」を引き続き採用。
    • キャラの頭身が若干引き上げられ、より臨場感のあるアクションが見られるようになった。

8人の旅人(主人公)

8人の名前の頭文字を取ると、前作同様「OCTOPATH」となる。

+ 「+」を押して展開
  • オーシュット(Ochette) CV.平野綾
    • 豊かな自然が残る島「トト・ハハ島」の片隅にある、獣人だけが住む「ケノモの村」で暮らすマイペースで自由奔放で食欲に忠実な20歳。
      • 近くに住む人間達との小競り合いは絶えないものの基本的にはのどかで平和な村だったが、伝承にある厄災「緋月の夜」が迫っていることで暗雲が立ち込め始める。島の危機を救うため、オーシュットは3体の伝説の魔物を探す旅に出る。
    • ベースジョブは「狩人」。固有特性は、弱った魔物を捕らえる「捕獲」とそれを呼び出す戦闘アビリティ「けしかける」。
      • またストーリー冒頭で物理型の狼か魔法型のフクロウ、どちらかを相棒として選ぶ。相棒は「けしかける」で呼び出せる他、人語を解しシナリオにも台詞付きで登場する。
    • 「底力」は強力な攻撃アビリティを3種の中から選んで繰り出す「獣の力」。
    • 昼のフィールドコマンドも同様に「けしかける」で、魔物を使ってNPCにバトルを挑み、勝つと相手を気絶させられる。
    • 夜は「てなづける」に変わる。干し肉などのアイテムを渡すことでNPCを連れ歩ける。
      • 連れているNPCは戦闘アビリティ「加勢」で参戦させることが可能で、この性質は後述の「誘惑」「雇う」「導く」も同様である。
  • キャスティ・フローレンツ(Castti) CV.根谷美智子
    • 薬の入った鞄だけを手に、カナルブラインに流れついた29歳の薬師。記憶喪失だが薬に関する知識だけは覚えている。包容力があり、困っている人を見過ごせない性格。
      • キャスティの服装を見た町人達に悪名高き「エイル薬師団」だと伝えられ、僅かな記憶の断片を手掛かりに自分の過去を探し求める旅が始まる。
    • ベースジョブは「薬師」。固有特性は素材アイテムを使い様々な効果を引き出す戦闘アビリティ「調合」。
    • 「底力」は「調合」の際に使用する素材を消費せずに行使できる「節約」。
    • 昼のフィールドコマンドは「聞き出す」。NPCから情報を聞き出すことで隠されたアイテムの場所がわかったり、サブクエスト攻略の鍵になったりする。
    • 夜は「眠らせる」に変化。薬アイテムを消費することで、NPCを気絶させる。
  • ソローネ・アングイス(Throné) CV.田中理恵
    • 大都会ニューデルスタにアジトを構える犯罪組織「黒蛇盗賊団」の一員である23歳。クールな性格だが面倒見は良く、冗談も良く飛ばすなど暗いわけではない。実は結構な猫好き。
      • 血の匂いがまとわりつく盗賊団での日々に疲れたソローネは、自由を手にするため組織を抜けることを決意する。
    • ベースジョブは「盗賊」。固有特性は夜時間帯であれば戦闘開始時に味方全員を強化する「闇夜の加護」。
    • 「底力」は即座に2回行動できる「残影」。
    • 昼のフィールドコマンドは「盗む」。NPCの持つアイテムを確率で奪い取る。
    • 夜は「闇討ち」に変化。NPCごとに設定された規定LVよりソローネのLVが高ければ、NPCを気絶させる。
  • オズバルド・V・ヴァンシュタイン(Osvald) CV.中田譲治
    • 38歳。妻子殺しの冤罪を着せられ、極北のフリジット監獄島に5年間投獄され続けている囚人。口数が少なく、学者肌の論理的な人物。
      • 妻と娘を殺した真犯人である元学者仲間のハーヴェイに復讐を果たすため、オズバルドは脱獄を実行に移す。
    • ベースジョブは「学者」。固有特性は戦闘開始時に敵の弱点を暴く「予習」。
    • 昼のフィールドコマンドは「探る」。薬師の「聞き出す」とほぼ同じだがあちらが規定LVを満たしている必要がある一方、「探る」は確率で成否判定を行う。
    • 「底力」は攻撃魔法を単体対象にする代わりに威力を倍増させる「魔法収束化」。
    • 夜のコマンドは「強奪」。1対1でバトルを行い、勝てばアイテムを全て入手できる。しっかり戦闘に勝つ手段を必要とするが見返りが大きい。
  • パルテティオ・イエローウィル(Partitio) CV.中井和哉
    • 荒野から銀を採掘し、父とともにオアーズラッシュの街を一から興した24歳の商人。 まだ若いが確かな目利きの腕と商才を持つ。また人情に厚く義理堅い。
      • 契約書を使った罠にかかり銀の利益を吸われた結果極貧生活に陥るも、同じく貧困に苦しむ労働者達を救うため、パルテティオは立ち上がる。
    • ベースジョブは「商人」。固有特性は後述の「雇う」で同行したNPCによって戦闘や買物時に特殊効果が出る「一緒に商売」。
    • 「底力」はBPを最大値まで回復する「気合」。
    • 昼のフィールドコマンドは「買取る」。金さえあれば、強力な装備品などをNPCから入手できる。
    • 夜は「雇う」になる。金を支払い、NPCを戦闘員として同行させる。
    • 「商売の匂い」というパルテティオ専用の寄り道イベントがある。こなすことでフレーバーテキストやサウンドテストなどが開放される。
  • アグネア・ブリスターニ(Agnea) CV.水瀬いのり
    • 田舎の村・クロップデールで父と妹と三人暮らしをする、18歳の少女。明るく人から好かれ易いタイプ。実の妹に「胸にでっかい桃が付いている」と言われるほどスタイルも抜群。
      • 踊りが得意で、いつか都会に出て大スターになることを夢見ている。
    • ベースジョブは「踊子」。固有特性は後述の「誘惑」で連れているNPCがいると、「~の舞」を使った時にそれぞれが持つ効果でサポートしてくれる「セッション」。
    • 「底力」は自身が行使できる単体対象のアビリティを全体対象化する「みんな一緒に」。
    • 昼のフィールドコマンドは「誘惑」。NPC戦闘員をPTに加える。
    • 夜は「おねだり」に変化。アグネアのLV次第で、NPCからアイテムを頂戴できる。
  • テメノス・ミストラル(Temenos) CV.石田彰
    • 田舎の小さな教会・フレイムチャーチで、子ども達に紙芝居を読み聞かせる毎日を送る30歳の異端審問官。腹に一物ある人物で、駆け引きが得意。
      • 今の教会の体制に不信感を抱いている。そこに現れた新人聖堂騎士・クリックと出会ったことから、彼の運命は動き出す。
      • 天才的な頭脳に加えて、慇懃無礼ながら熱い一面を持っていたり、普段はそっけないものの仲間を大切に思っているなど、某ドラマの主役と共通する点が多いと言われている。
    • ベースジョブは「神官」。固有特性は夜の戦闘開始時に敵全体を弱化させる「月光の断罪」。
      • EXアビリティには「全SPを消費し、消費した量に応じて大ダメージ(いわゆるマダンテ)」もある。
    • 「底力」はその回の攻撃が無条件シールド削りとなる「断罪」。
    • 昼のフィールドコマンドは「導く」。てなづける/雇う/誘惑と同じくNPCをPTに加入させる。4人のNPCを加入させれば、8人の大所帯でぞろぞろ歩くこともできる。
    • 夜は「暴く」になる。1対1でバトルを行い、相手をブレイクさせれば情報を得られる。なお、戦闘に勝つ必要はない。
  • ヒカリ・ク(Hikari) CV.松田洋治
    • 南方の大国・ク国の第二王子。21歳。人との繋がりを何より重んじる。真面目で実直な性格。
      • 度重なる戦争で疲弊した民の姿を見て、血の流れない世を作ることを理想としており、考え方が真逆の兄・ムゲンとは相容れない。
    • ベースジョブは「剣士」。固有特性は後述の「試合」で勝利したNPCから技を習得して使用できる戦闘アビリティ「覚えた技」。
    • 「底力」は強力な攻撃アビリティを3つの中から選択して使用できる「陰の力」。
    • 昼のフィールドコマンドは「試合」。NPCと1対1のバトルを行い、勝つと相手を気絶させるとともにそのNPCが所持しているアビリティを一つ習得できる。
    • 夜は「買収」に変化。金と引き換えに情報を引き出す。

評価点

前作からの多種多様な改善点

  • 前作でのユーザーからの声をフィードバックさせた、改良点が非常に多い。
  • 特筆すべきはシナリオ面。前作では8人の主人公の独立したストーリーが終わった後はサブストーリーでその補完がされるのみだった*2が、今作では最終シナリオ「エクストラストーリー」が実装。
    • 明確に世界の危機が描かれ、8人が一致団結して黒幕に立ち向かい、世界を救うための最後の戦いに赴く、と同時に前作同様に8つの物語が繋がり、全ての謎が明かされる。前作と異なり、ボイスや主人公同士の掛け合いも豊富にある。
    • 主人公達の活躍の裏で着々と陰謀が進められていたことが判明したり、意外な人物が黒幕だったことが明かされたりといった衝撃の事実が次々と舞い込んでプレイヤーを引き込む。
      • これまでの8編で伏線/キーワードが散りばめられているので唐突さもなく、「あの描写はそういうことだったのか」という納得感がある。
    • 前作では最初に選んだ主人公のシナリオを終わらせた時点で流れていたスタッフロールが、今作ではこのエクストラストーリーをクリアして初めて流れるようになった。
    • 前作での「8シナリオのブツ切り感が強い」「物語終了後の主人公の立ち位置が不明瞭」といった批判を受け、明確なクライマックスと大団円、そして旅の終わりまでも描いたことで達成感を大幅に高め、EDに大きな余韻を持たせることに成功している。
+ エクストラストーリーのネタバレ
  • スタッフロールの後には今までの旅路で出会ったサブキャラ達が一堂に会し、さらにその後には前作ファンの涙腺を刺激するあっと驚く仕掛けが待ち受ける。
    • 2作目でありながらまるでシリーズ集大成のような壮大な演出となっており、前作をやり込んだ人であればあるほどグッと来るものがあるだろう。
  • ラスボス戦もかなり凝っている。パーティを分割して第1PT→第2PTの順に戦うのは前作の裏ボスを彷彿させるが、その後には何と全員が集結して8人参加のラストバトルが始まる。最後に相応しい総力戦の雰囲気があり、パーティの一体感が否が応にも高まる。
    • 一人が行動する毎に、ワンボタンで第1PT/第2PTを切り替えることが出来る。「前に出ているPTのキャラだけが行動できる*3」「攻撃を受けるのは前衛PTのみ」「回復や全体バフは、8人全員にかかる」といった、このラストバトル専用の仕様があり、今までとは一味違った戦術を求められ、最後の最後まで楽しませてくれる。
    • なお、こちらの戦力が増えていることを見越してかラスボスはかなりの強敵。そこそこ理不尽に感じる点もあるが、本作の主人公達や各種ジョブの性能が非常に高いこともあり、これまでの経験と知識を総動員してしっかり考えれば初見撃破も充分可能。絶妙なバランス調整がされている。
  • ラスボス戦での専用台詞も、全員にボイス付きで存在。そのキャラらしい熱い台詞で、最終決戦を盛り上げてくれる。
  • 新たに実装された「クロスストーリー」も好評。
    • 8人の中の2人がペアとなり出会った人物や事件と関わりを見ていく。こちらもフルボイスでの掛け合いが楽しめ、仲間感を強調するのに一役買っている。
    • 一見寄り道的なサブイベント要素に見えるが、どれも物語の根幹に関わるかなり重要な内容となっており、台詞回しや演出も8シナリオ同様にしっかり練られている。
  • 主人公間の会話が見られる「パーティチャット」も大きく改善。
    • メニューの「旅の記録」で後からいつでも見返せるようになり、さらに回収し損ねたパーティチャットも自動で旅の記録に追加される。
      • 「面白いチャットがあっても一度しか見られない」「チャット回収のために、一々パーティを組み直すのが面倒」といった不満が一気に解消された。
    • チャットの数自体も前作より増加。全く性格の異なる8人の個性が炸裂する掛け合いは時に笑いを、時に涙を誘う。主人公達により一層愛着が湧くこと請け合い。
      • しかし残念ながら前作同様、ボイスはついていない。
  • バトル面でも改善点は多い。
    • バトル中に特定の行動を行ったメンバーに対して、次の行動順のメンバーが名前を呼びつつ称賛するなどの掛け合いが行われるようになった。
      • 単純な要素ながら一緒に旅をし共に戦っている仲間である事を一層感じ取れる良い演出である。
  • 今作では同じバトルジョブに複数のメンバーが就ける。
    • 「全員剣士の脳筋編成」「全員盗賊でデバフかけまくり」のような偏った編成も可能になり、戦術の幅が大きく広がった。
    • 一方で4つの隠しバトルジョブは前作同様、1人しか就くことが出来ない。
      • 隠しジョブは全て前作から一新。「武芸家」「魔術師」のような既存職の上位互換かつ単純強ジョブはなくなり、癖の強い性能になった。
      • 「発明家」だけはかなり序盤から入手できるが、12のジョブ全てが強みを失いにくいデザインになっている。
    • 全員が同じジョブに就けるようになったことで懸念されるキャラの没個性化も、その主人公だけが習得できる「EXアビリティ」の実装により解決。
      • 捕獲した魔物を3体連続でけしかける狩人の「みんなでけしかける」、仲間一人の性能をコピーする盗賊の「変装」、ボスの行動1回を自分の行動に置き換える商人の「スケジュール交渉」など、ユニークな効果のものが目白押し。編成の自由度と、キャラの差別化をしっかりと両立させている。
    • 新要素の「底力」もキャラの個性を際立たせている。強力な専用攻撃技を発動できるヒカリやオーシュット、素材を消費せず調合ができるキャスティ、2回行動が可能なソローネなどこちらもバラエティに富んでいる。
      • ヒカリやオーシュットの底力は序盤から他では到達しえないダメージを出すことも可能で、爽快感は抜群。
  • 各キャラの固有性能は前作と同様の物は多いが、使い易くなった部分が多い。
    + 主な変更点
    • 「けしかける」は回数制限が撤廃。また、魔物を捕獲した際、手持ちに加えず「かこう」*4して回復/補助アイテムに変えることもできる。
      • さらに捕獲できずに勢い余って倒してしまっても一定確率で自動捕獲をしてくれる、と前作で使いにくかった点をほぼほぼ改善。
    • 「誘惑」でキャラを連れている時に「~の舞」アビリティを使用すると、連れているキャラが「セッション」でSPやBPの回復等様々な支援をしてくれる。
      • 本作は同要素のコマンドを4人が持っている中、「誘惑」にきちんと納得感のある特性を付け差別化されており評価できる点である。そして結構強力。
    • 結果が事前知識がないとわからなかった「調合」は素材を選択した時点で、どのような効果が発動するかわかるようになった。
    • 「予習」は同じ敵と2回目以降に遭遇した場合、一度に2つの弱点を見抜ける。
    • 探索時のメンバー固定化につながっていた、盗賊しか開けられない紫色の宝箱は廃止。
    • 前作で猛威を振るった戦術や、イマイチだったスキルにはしっかり調整を入れつつ続投。
      • 兎に角便利だった盗賊の「マジックスティールダガー」は「マジックスティールロッド」となり神官のスキルへと変更。
      • イマイチ強味に欠けていた狩人の奥義「狩王女ドレファンドの閃弓」が全体3回攻撃へ変更され、剣士や盗賊の奥義との差別化が行われた。
      • 前作の学者の奥義「碩学王アレファンの叡智」の効果はオズバルドの底力効果へ移行されているため、「魔術師」*5に該当するジョブがない本作では魔法を特大化するバフ効果に変更されている。
      • 確定で物理攻撃を回避する商人の「緊急回避」は自分にしかかけられなくなった。
      • 「調合」がBP消費対応コマンドになり、特に便利だった「属性3ヒット攻撃」「全体HP大回復」「全体BP大回復」などはそもそも出来なくなっていたり、回復量が抑えられたり、自身のBP消費数次第で可能であったりするようになった。
      • 神官の奥義「聖火神エルフリックの祝福」は、「アビリティが2連続発動」から「ターンの最後に再行動」に効果が変更。
      • 最大HPを越えて回復できる「回復限界突破」は、サポートアビリティ(=パッシブ)からテメノスの専用アビリティに移った。
      • 確率で再行動できるサポートアビリティ「ラストアクト」は、敵をブレイクした時のみ50%で再行動する「ブレイクアクト」に置き換え。
      • 踊子の立場をなくしていた、永続バフを付与するサポートアビリティは削除。
        • 前作で評価が低かった踊子だが、他にも「弱点無視でシールドを1つ割る単体攻撃」「味方単体の行動順を1つ早める補助技」など有用なアビリティを習得し使い易くなった。
      • ただし、前作でバランスブレイカー気味だった商人のスキル「傭兵呼び」は、救済措置なのか据え置きどころか強化されているため賛否がある(後述)。
  • レベリングがかなり楽になった。
    • 経験値を多く持つレア敵と遭遇し易くなるサポートアビリティ/アクセサリを実装。
    • EXPを増加させるサポートアビリティも複数ある他、連れ歩いていると経験値を飛躍的に増やす技を使ってくれるNPCが登場。
      • これらを併用することで、それなりに手間はかかるものの前作よりは遥かに短時間でレベルカンストできるようになった。

マンネリにならないための工夫

  • 基本的なシステム/絵作りは前作を踏襲しているが、単なる焼き直しにならないための工夫が随所に見られる。
  • 舞台となるソリスティア地方は、前作のオルステラ大陸より海の割合が多い。中央に広がる大海がマップを2分しているため、大陸間を行き来するための定期船がある。
  • さらに中盤以降、プレイヤーが自由に操作できる船も手に入り、未開の孤島や難破船、海上の宝箱を探索できる。
    • 全体マップだけでなく、街やダンジョンといった個別マップ内でもカヌーに乗って水上を移動する場面が多くある。
      • 地形の陰などに入れるケースも増え、より立体的な探索ができるようになり、前作以上に隅々まで探索できるワクワク感がある。勿論探索した先では、レアアイテムや新規バトルジョブなどのご褒美が得られる。
  • ソリスティアには蒸気機関が存在しており、オルステラに比べ技術が発展している様がうかがえる。
    • ただその蒸気機関は近年発明されたばかりであり、それを巡って主人公達が立ち回るシナリオも存在する。この新しい技術を巡る物語は、産業革命前後のような時代感を漂わせている。
    • 一方でオーシュットの種族である「獣人」など、オルステラにはいなかった亜人種も登場し、ファンタジー感も失われていない。
  • 8主人公のシナリオ構成も「起承転結の全4章」というフォーマットがなくなり、主人公によってはそれ以上の尺を費やしたり、順不同で攻略順を選べたりするようになった。
    • 各章の流れも「ダンジョン攻略→ボス戦」が大半だった前作から様変わりし、いきなりボス戦から始まる章や逆に戦闘が全くない章なども登場している。
  • 8主人公のジョブは前作と同じだが、境遇・性格・性別などが意図的に前作とズラしてあると見受けられる箇所が多数ある。
    • 例を挙げると「暗い過去を持ち、復讐を胸に誓う踊子→ 大スターになる夢を持つ、元気一杯の踊子」「戦う意味を見失った西洋風の剣士→ 奪われた祖国を取り戻すという一貫した目的をもつ、ブレない和風剣士」「優しさと純粋さの塊な女性神官が、人々の心を溶かしていく→ 決して本音を見せない食わせ者の男性神官が、教会の暗部を暴く」といった具合。
  • 各ジョブのアビリティも過半数が新規のものになっており、前作プレイヤーを飽きさせない。

拡張されたフィールドコマンド

  • 前作では同効果のフィールドコマンドを持つキャラは2人ずつだったが、今作では昼と夜でフィールドコマンドがガラッと変わるようになったため類似効果のコマンドが4つに増加。
    • 「情報を聞き出したいのに薬師も学者もいないから、メンバーを入れ替えなければならない」といった無駄な手間が発生することが減っている。
    • 「夜しか出現していないNPC」「昼にコマンドを実行しないとクリア出来ないサブクエ」など、昼夜システムを活かした展開も登場。サブイベントのバリエーションが増えた。
    • 戦闘を挟まず瞬時にNPCを撃退できるソローネの「闇討ち」、レベルさえ足りていれば確率に左右されず金銭も払わずアイテムを入手できるアグネアの「おねだり」など、既存のコマンドより輪をかけて便利になったコマンドもある。
    • 「試合で勝った相手の技を入手できる」「連れているNPCが店で値切ってくれる」のように、一部の既存フィールドコマンドには付加価値がついていて新鮮味がある。
    • 昼夜の入れ替えもワンボタンでいつでもお手軽に可能。

心揺さぶるストーリー/グラフィック/BGM

  • 前作で培われた魅力が失われていない。
    • 映画的な演出が光る、ドラマティックなストーリーは健在。 「友を助けるために命を投げ出す仲間」「袂を分かった友との苦渋の殺し合い」「明かされた衝撃の過去に絶望する主人公」など、王道で心に響く展開がいくつもある。
    • もちろん「いがみあっていた人たちとの共闘」「理不尽に屈するNPCの前にPCが颯爽と現れる展開」のような明るい面での王道も多く、そのコテコテさがしっかりと筋道立てて提示されるため、「そうこなくっちゃ!」と燃える場面が多い。
    • 声優陣もサブキャラを含め前作に輪をかけて豪華であり、熱演で物語を盛り上げてくれる。
      • 今作ではサブキャラを操作できる機会が増えたこともあり、メインキャラ並に感情移入できるであろうキャラもいる。
      • 主人公で何名か例を挙げると『もののけ姫』のアシタカ役が有名すぎるほど有名だが、ゲームへの出演は殆どなかったヒカリ役の松田洋二氏や、芸歴30年以上のベテランだが、所謂バイプレイヤーでメインキャラのイメージはあまりなかったキャスティ役の根谷美智子氏、かつてはカリスマアイドル声優と呼んでも差し支えなかったが、現在では舞台などの女優業がメインのオーシュット役の平野綾氏などは良い意味でファンを驚かせた。
  • フィールドコマンドを活かした、ゲーム進行の自由度の高さも変わらず。
    • リセマラを繰り返して1ランク上の装備を盗んだり、高レベルのNPCを誘惑したりできればかなり楽になる。勿論、これらを縛って程よい難易度で進めるのも自由。
    • 「聞き出す」などで見られるモブキャラのバックグラウンドは今回も一人一人細かく作り込んであり、ただの賑やかしとは到底言えない存在感を持っている。RPG一本分のストーリーに膨らませられそうな過去を持つモブも。
  • 別ゲーにまで波及したHD-2D表現はさらに進化。
    • ドット絵のモーションパターンが増えたことに加え、前作よりキャラの頭身が上がったことで、より表情豊かにイベントシーンを彩ってくれるようになった。
      • 攻撃時にアクションをするボスも増え、動きもさらに滑らかになっている。
    • 「虹がかかる程の雄大な滝」「多数の兵士が入り乱れる合戦」「殺人事件を主軸にした推理サスペンス」「大観衆のダンスステージの上で行われる歌姫同士の決闘」といった、前作では見られなかったシチュエーションも多数追加されている。
    • フルブースト時にはカメラが大きく横回転し、前作にはなかったダイナミックなアングルでバトルを盛り上げてくれるようになった。
    • 前作では種別ごとに統一されていた武器のグラフィックだが、今作では武器一つ一つに個別のドット絵が打たれている。新たな武器を手にする喜びが一層増した。
  • BGMは引き続き西木康智氏が担当。今作もメロディラインの主張が強い、耳に残る良曲が多い。
    • 前作で好評を博した、ボス戦直前のBGMからシームレスにバトル曲に繋がる演出も続投。
    • また聞ける曲こそ限られるものの、酒場でサウンドテストも聴ける。

賛否両論点

戦闘バランスの変化

  • プレイスタイルにもよるが「前作より簡単になった」という意見が散見される。
    • 単純にLvUPしやすい要素が多い事に加え、絶大な火力を出せる底力、バトルジョブの重複可、剣士やけしかける関連の仕様変更など、味方側に有利な要素が増えたにもかかわらず、ボスのスペックはさほど上がっていないのが主な要因と見られる。
    • 加えて前作同様、ボスのHPが一定以下になると行動パターンが変化し、凶悪な攻撃を仕掛けてくる。そのため「高火力で畳み掛け、短期決戦で倒す」という戦闘スタイルが半ば正攻法と化しており、ボスが瞬殺されることが多いのも「敵が弱い」という印象に拍車をかけている。
      • 一応バフ/デバフ/状態異常を駆使することで、その気になれば短期決戦以外の戦法も充分可能。あくまで「短期決戦の方が楽」というだけである。
    • 流れ上、8人全員のキャラクターストーリーをこなすことになるが、それぞれのストーリーボスは同じLv帯を想定してのバランスで調整されている(全キャラで横並びに調整されている)ため、「誰かのストーリーを攻略すれば残りのキャラがめちゃくちゃヌルくなる」という現象も起こりやすい。
    • 主人公一人で挑まければならない寄り道ダンジョンなど、本編に限らなければ難所が全くないわけではない。
      • また上記は概ね前作経験者や、多くのRPGを経験してきた人の感想が主であり、それ以外のプレイヤーからは苦戦したとの声も挙がっていることを付記しておく。
+ クリア後のネタバレ注意
  • そして本編ボスのこういった印象とは対照的に、裏ボスだけは場違いの強さを持つ。
    • 桁外れの火力を持つ上、厄介な搦め手も多数所持しており行動回数も多い。 本編クリア時点程度の戦力では手も足も出ない。極限まで鍛えあげてやっと勝負になるかどうかというレベル。
    • 耐久力も抜きん出て高く、さらに第1/第2PTに分割しての連戦となるので、まともに戦うと非常に長丁場になる。長時間の集中力が求められるにもかかわらず、一つのミスが致命傷になる。
    • 正攻法では理不尽の域にまで達しているが、ソローネやヒカリに一部のレア装備を持たせることで、ロクに行動させず瞬殺する方法も確立されている(むしろこちらの方法で倒した人の方が多いかもしれない)。当然だがそれなりに時間をかけた下準備は必須。
    • 明らかに完全なエンドコンテンツとしてデザインされていることと、前述した本編のややヌルめな難易度から、このくらいの強敵がいて丁度良いという声も。
    • 裏ボスはシナリオに関わっておらず、討伐報酬も強力な装備品などではないので、無視しても実害がないのも良心的。

使いやすいキャラとそうでないキャラが明確

+ 仕方ないがキャラの強弱は存在している
  • 強キャラ筆頭とされるのはヒカリ。 「試合」でNPCのアビリティを得られるようになったため、膨大な候補の中から好きな技を選び放題。あらゆる弱点を突け、回復や補助も可能で八面六臂の活躍をする。一人で何でも出来てしまう。
    • BP無消費で高火力を出せる底力や、EXアビリティ「真・十文字斬り」も高性能で優遇されている。
    • 「事前にNPCの技の性能を把握しておく必要がある」「習得できる技は5つまで」といった手間のかかる部分はあるが、逆に手間さえ惜しまなければPTの隙間を自在に埋められる器用万能キャラと化す。
    • 今作は前作とは逆に魔法より物理攻撃のほうが優勢であるため、その点もヒカリの強さを後押ししている。
  • ソローネもかなり強い。
    • 盗賊自体が変わらず有用なスキルを多数持つジョブであることに加え底力の性能も非常に高く、固有スキルである「闇のとばり」*6も非常に強い。
    • ソローネ自体が断トツの行動速度を誇るため、盗賊の奥義「盗公子エベルの鉤爪」や新技「不意討ち」など「行動速度が性能に密接に関わり、他キャラでも使用できるがソローネが最も性能を引き出せる」というものも多い。
    • また、夜に戦闘へ入ると味方全体へ強化バフを3ターン付与するという強烈な固有特性を持ち、雑魚戦・ボス戦問わず活躍できる。
    • 一人だけワーストのようなステータスもなく、ヒカリよりも強みを引き出すことが楽なためソローネのほうを評価するユーザーも多いと思われる。
      • ついでに「クールで妖艶な美女」というキャラクターで、シナリオも悲劇的な内容で印象に残るためキャラ人気も高い。
  • 一方、やや使いづらいのはオズバルド。主に「学者」の性能調整が影響している。
  • 前作の学者が素で持っていた「大魔法(全体に属性攻撃2連射)」を撃つためにアビリティ「大魔法化」の経由が必要になり、無駄な一手間がかかるようになってしまい、そもそも「学者」が使いにくくなっているのが原因。 代わりに追加されたアビリティ「ひらめく」、EXアビリティ「教える」もほとんど用途がない 。「属性の乱れ」というスキルは強力で「強奪」時のタイマン戦では使えるのだが、PT戦闘では底力の関係でテメノスのほうが上手く扱えるのでベースジョブである価値がイマイチ薄い。
    • EXアビリティ「究極魔法」も性能自体は高いが燃費が悪く、ヒカリやソローネなら遥かに少ないコストでそれ以上の攻撃ができてしまう。強制シールド削り効果も本作は他に優秀な同要素攻撃がいくつもあるのであまり魅力にならない。
    • 極めつけに魔法キャラの宿命か耐久力は最低クラスで、後半になってくると他キャラと1,000以上のHP差が付く。
    • 上記関係でタイマン戦となるフィールドコマンド「強奪」の戦闘難易度が同様に戦闘となる他キャラよりもやや高くなっており、別途手段のある本作ではやや使う気に欠ける。
      • 終盤で常時大魔法化のアクセサリが手に入るものの、アクセサリ枠を一つ潰す上にヒカリらの火力を追い越せるわけでもなく、救済になっているとは言い難い。
      • 前作で魔法が強過ぎた反動なのかもしれないが、今作では逆に魔法攻撃がほとんど必要ないバランスになってしまっており、少々弱くし過ぎた感も否めない。
      • ただし上記はあくまで習熟したプレイヤー視点の話であり、初プレイ者にはわかりやすい属性全体攻撃や「予習」は助かる機能ではあるし、制限を課したプレイなどではオズバルドが大活躍している環境などもあり、その辺りは偶然かもしれないがよく出来ていると言える。
  • アグネアも誘惑のシステムやベースの踊り子自体は前作より強化されており、EXアビリティも有用など活躍の場は十分あるのだが、他キャラと比べると底力の効果がやや地味なので力押し戦術メインになっているとPTに選びにくい印象を与えやすい。
  • もちろん「弱過ぎて戦力にならない」「PTに選ぶ価値を見出せる特性を持ち合わせていない」というレベルのキャラはおらず*7、工夫次第で全員に見せ場を作ることは可能であることを念押ししておく。
    • 弱いキャラがいるというよりは「全員強みはあるが、中でも特別強いキャラがいる」という方が正しいだろう。

あまりにも有用すぎる一部スキル

+ 強力スキル一例
  • 「発明家」を入手し、条件を満たすと全員がセット可能になる「先駆け」が強すぎる。
    • セットしているキャラは「0ターン目に行動できる」ような効果で、ボス戦であろうと先制攻撃ができるようなスキルである。それだけなら良いのだが、ターンとしてしっかり扱われているので実質開始BPが+1されるようなものであり、その影響は計り知れない。
    • 発明家自体が一応隠しジョブ的立ち位置なのだが、入手が簡単*8かつJPの消費も必要なく、サポートスキルなのでジョブに就く必要がなくセットすればいいだけなのでテクニックなども必要がない。他のスキルも有用なものが揃う。
  • また、効率を突き詰めると「商人ゲー」にもなりやすい。
    • 商人の「傭兵呼び」コマンドはお金を消費してダメージを与えるスキルで、これ自体は前作にも同様のスキルがあり、パルテティオの専用技でなく誰でも使える商人のジョブスキルとなっている。
    • このコマンドでは金額の大小で分かれた何段階かの傭兵を選択するが、前作同様の「古兵」の火力が非常に高い他、新登場の傭兵の汎用性が余りにも高く、さらにはメインストーリー進行中少し寄り道すれば獲得できる隠し傭兵の性能が非常に高い、しかも複数回攻撃扱いなのでシールド削りも優秀。
      • 裏ボスはもちろん、低レベルクリアやRTAなどの縛りプレイでも大半のバトルをこなせるややバランスブレイカーな性能であり、固定枠となって攻略の幅を狭めがち。
    • ある種の救済措置ではあると思われるが、前作でも十分バランスブレイカーな性能をしており、本作は商人へ就ける人数が増えたのに変更なくただ強いままであることには前作プレイ後ではやや疑問に感じても仕方のない部分だろう。
    • サポートスキルの「いきなり底力MAX」もかなり極端な性能であり、BPMAXにできる底力を持つパルテティオや、底力に全体攻撃を持つオーシュットに前述の「先駆け」や商人のスキル「BP+」をセットし、ブーストMAX全体攻撃で通常エンカウントなら装備次第で戦闘毎に0ターン勝利していけてしまう。*9
    • 奥義であるため問題視はされにくいが、前作でもバランスブレイカー気味だった「盗公子エベルの鉤爪」「霊薬公ドーターの恩恵」も性能が特に変わらず続投しているため相変わらず強力。
  • そもそも「底力」がシステムとして強すぎる。
    • 宿屋で止まれば全回復する上にそもそも溜まる速度も遅くない、アイテムを惜しまなければ戦闘中に即何度も使える等の割には各キャラの効果が高すぎる。
      • 特に2回行動が可能になるソローネ、属性無視してシールドを削れるテメノス*10、BPを最大にするパルテティオの汎用性は高く、ボス戦が楽になってしまう要因にもなっている。
      • 前述のキャラとしては評価の低めなオズバルドでさえ底力を組み合わせれば超火力を出すことも可能になる。
      • これも救済措置の面はあるのかもしれないが1戦闘に1回制限など、もう少し「切り札」的な要素でも良かったのではないだろうか。

昼夜で変わるフィールドコマンドの弊害

  • フィールドコマンドで遊びの幅が広がった一方、「面倒になった」と感じる人もいる。
    • 例えば昼/夜にしか出現しないNPCがいるので、全てのNPCにフィールドコマンドを試すプレイスタイルの場合、時間帯を切り替えて街を回らなければならないので手間が倍増する(そして実益があるので、このようなプレイスタイルの人は多い)。
    • また「特定の時間帯にコマンドを実行しなければならないサブクエ」などは悪く言えば引っ掛け問題であり、クエストの達成条件がわかりづらくなったという面もある。

8人を仲間にしないとEDが見られない

  • 前作では8主人公を揃えずに進めてもEDまではたどり着けた。
    • 今作でも一応途中までは可能だが、エクストラストーリーの出現条件が「8つのメインシナリオクリア」「全クロスストーリークリア」なので、物語の結末を知りたいなら全員仲間にせざるを得ない。
    • 8人で旅をすることを、半ば強制されてしまっている。
      • ただこれは十分にフォロー可能であり、そもそも前作/今作ともに、8人揃えなかったプレイヤーは少数派であろうと予想される。進行ルートの中で全員に会うことになるので、意図的に話しかけないなどしない限りPTが7人以下ということは考えにくい。

ストーリーが全体的に暗い

+ ネタバレ注意
  • 実は各シナリオが繋がっていたことを隠しサブストーリーで示唆していた前作とは違い、エクストラストーリーが明確に存在している事に合わせて各々のストーリーから既に暗躍者が共通である事を匂わせてるためか、キャラ別のストーリー展開やエンディングも主人公は前向きだが内容は暗めであったり、謎がまるで解決していなかったりとスッキリしないものが多い。
    • アグネアやオーシュット、パルテティオは本人達が明るく結末がしっかりしているためシナリオも明るく見えがちだが、内容自体は鬱々とした話題である。
      • 前作は一旦の区切りをつけるため、一部の隠しシナリオと密接に絡んでいるキャラの細部こそ謎は残るが比較的しっかり締められていた。
      • 本作はエクストラストーリーをプレイすることが前提のような内容となったため、良くも悪くも各キャラのシナリオエンドが通過点になっている。
    • とはいえ無意味にネガティブな内容にしているわけではなく、「暗めの王道」といったシナリオで盛り上がり所もしっかり存在するため刺さる人には刺さる。
      • 大団円でないシナリオも決してバッドエンドというわけではなく、一定の救いや未来への希望も示されている。
    • またエクストラストーリーを見ると、8人の仲間達が彼らの居場所になっていることがうかがえる。この描写も救いとして機能している。
+ エクストラストーリーのネタバレ注意

やや消化不良感のあるエクストラストーリー

  • 黒幕の何人かのキャラについては存在こそシナリオの各所で匂わされているが、バックグラウンド描写が足りていない。
    • 何故世界を滅ぼすような思想を持つに至ったのか最後まで不明だったり、そもそも1回見ただけでは誰なのか気づけないシーンも。
    • ほぼ人外と化しているキャラもいるが、何故そのような存在になったのかも説明がない。
    • 全ての悪役がこうなっているわけではなく、事細かに過去が語られるキャラもいるので尚更説明不足な悪役が浮いている。
  • 最終決戦でラスボスと対峙する場面で、台詞を言うのは最初に選んだ主人公一人のみ。
    • 8人いないとたどり着けない箇所なのに、他の7人は無言のままラスボス戦に突入するのでいまひとつ盛り上がりに欠ける残念な点である。

問題点

改善点の多い今作だが、一部解消されなかった不満もある。

パーティ入れ替えが相変わらず不便

  • 前作同様、酒場でしかパーティ編成は不可。「どこでも入れ替えられるようにして欲しい」という要望が出ていたが、改善されなかった。
    • パーティチャットやフィールドコマンドの仕様変更により、頻繁に入れ替える必要性は薄れたとはいえ、一々酒場を探さないと編成できないのはやはり不便。システム上や世界観上、どこでも編成を禁じる必要性もあまり感じられない。
+ エクストラストーリーのネタバレ注意
  • エクストラストーリーが始まると、ダンジョンの最奥部で特定キャラが必要になる関係上、場所を問わず編成できるようになる。
    • 「これが出来るなら最初からやらせて欲しかった」という声が挙がるとともに、「8人でまとまって行動するのは可能」であることが明確になり、酒場に限定していた意味がますます不明になってしまった。

パーティ加入時の唐突感/メインシナリオ中の孤独感

  • 今作もほぼ全員が「あなた達強そうだね。一緒に行こう」「1人より複数の方が有利」といった、とってつけたような理由でパーティインする。
    • 一応今回はテリオンのような、明確に馴れ合いを拒む性格のキャラはいないため、前作より不自然さが減っていると言えなくもないが、誤差の範疇である。
  • 同様に8つのメインシナリオ内で、中心になっている主人公以外はいないものとして扱われる点も変わらず。
    • 「パーティチャットやクロスストーリーで補完されるようになったから別にいい」と割り切るか、「他の場面で同行していることが強調されているのに、この時だけ独りぼっちのように見えるのは余計違和感が強まる」と感じるかは人による。

サブストーリーを見返せない

  • サブストーリーは「旅の記録」にあらすじが短い文章で記録されるのみで、イベント自体を再生することは出来ない。
    • 意外に感動的なものや、サブキャラの背景に深く関わるサブクエも少なくない。せっかく作り込んであるのに、二度と見られないのは勿体ない。

ワールドマップに店の商品が記載されない

  • 後半になるにつれ、街によってガラッと売り物が変わるケースも増えてくるので、地味に厄介。
    • スクリーンショットを取っておく/ゲーム外でメモを取る などの手段を講じないと、毎回おぼろげな記憶を頼りに複数の街を回る羽目になる。

斜め移動があるのにキャラの斜めグラフィックが無い

  • Unreal Engineを使ってまでグラフィックに拘っておきながら斜めグラフィックが無いのはどうか。
    • 同じメーカーのDS版『ドラゴンクエスト』シリーズでさえプレイアブルキャラに斜めグラフィックがあったと言うのに⋯⋯。

隠しジョブの1つが物理的に隠れている

+ ネタバレ注意
  • 「魔導士」というジョブはとあるダンジョンの謎解き先にあり、一応ヒントもあるのだが内容がわかりにくく解けない人は本当に解けない。
    • ダンジョン内を歩き回っているだけでは目的箇所が画面外であり、そもそも事前知識無しではこのダンジョンが何のための箇所なのかの示唆もないため余計にわからない。
  • ヒントで謎が解けないプレイヤーへの救済としてか暗くなってくると実は入口付近にある目的の道が少し青く光っている事を見やすくなるのだが、迷路のようなダンジョンを歩き回るのにはエンカウントを下げたいので昼で歩くことがセオリーであることや、人間の心理として目的はダンジョンの奥の方にあると考えてしまうので一向に見つけられず、入手せずにクリアしてしまうプレイヤーもいる。
  • シナリオには関係ないにせよ、せめてサブストーリーの一つとし、ここに重要な何かがあることの示唆から目的を持って到着するようにするべきだったのではないだろうか。

総評

前作と大きく方向性を変えず、「変化」ではなく「進化」を目指した作品。*11
前作プレイヤーの声を汲み取り、細かく調整を加えたことで、シナリオ・戦闘・育成などあらゆる面でクオリティアップを果たした。
全ての不満が解消されたわけではないものの、前作より完成度は確実に上がっている。
SFC時代の古き良きRPGにハマっていた人、HD-2Dの雰囲気が気に入った人などには、是非とも手に取ってもらいたい隠れた名作である。


余談・その後の展開

  • 本作のCMは、リアルの人間が現実世界で「試合」「盗む」「けしかける」などを実行するという、大変シュールなものになっている。
    • ドット絵だからこそ許されているフィールドコマンドを、リアルに再現するといかに酷いことになるかというのを笑いと共に実感させてくれる迷CMである。
  • 2024年6月6日にOne/Win(MS Store)版が発売。
    • さらに同日より初代のPS4/PS5版も配信開始され、これらの機種で『I』&『II』がようやく揃ったことにより、両タイトルのセットをお得に購入できるバンドル版も配信開始された。
最終更新:2024年09月26日 09:35

*1 『世界樹の迷宮シリーズ』のサブクラスのようなシステム

*2 8つのシナリオを繋げるサブストーリーもあったがボイスや仲間内での会話はなく、文章でダイジェスト的に語られるのみ

*3 第1PTの行動順1のキャラを動かした場合、第2PTの行動順1は飛ばされる

*4 加工の事。ようするに調理している。

*5 6属性の3ヒット全体魔法攻撃を主軸とする、前作の強ジョブの一つ

*6 敵全体に闇属性ダメージと、次の物理攻撃を1回強制ミスにさせる効果を与える

*7 前作は剣士の価値が低かった挙句、剣士をベースに持つオルベリクの固有特性が殆ど使う事のない要素であったため本作よりもキャラ格差があった。

*8 特に、ソローネ主人公だとスタートの街から出てすぐに入手場所があるのでいきなり手に入れられる。

*9 発明家のスキルに強力な全体攻撃「変形カタパルト」がある事もこれを後押しする

*10 「学者」のスキル「属性の乱れ」を使用すると単体ならシールド8程度は楽に削れてしまう。

*11 実際、YouTubeのインタビューでも開発元のアクワイアスタッフがこのように発言している。