JP5115020B2 - 静電荷像現像用トナーの製造方法、及び静電荷像現像用トナーの洗浄方法 - Google Patents
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Description
さらに、樹脂にスチレン・アクリル系樹脂を用い、分散液中のイオン存在率をESCA測定により評価することが提案されている(例えば、特許文献4および特許文献5)。
<1> 少なくとも酸価が5mgKOH/g以上25mgKOH/g以下のポリエステル樹脂と着色剤と離型剤とを含むトナーを、湿式法により得る工程と、得られた前記トナーを水系媒体中に分散させたとき、トナー分散液中の初期Naイオン量(a)が50ppm以下であり、かつ、前記初期Naイオン量(a)と24時間分散後の前記トナー分散液中のNaイオン量(b)との差(b−a)が20ppm以下となるまで、前記トナーを洗浄する洗浄工程を有し、前記洗浄工程が、前記トナーをpH9以上pH10以下の処理液で洗浄する工程と、前記トナーをpH4以下にした後、超音波で処理しながら、イオン交換樹脂で洗浄する工程と、前記トナーをイオン交換水で洗浄する工程とを含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法である。
<2> 少なくとも酸価が5mgKOH/g以上25mgKOH/g以下のポリエステル樹脂と着色剤と離型剤とを含み、湿式法により製造されるトナーを水系媒体中に分散させたとき、
トナー分散液中の初期Naイオン量(a)が50ppm以下であり、かつ、前記初期Naイオン量(a)と24時間分散後の前記トナー分散液中のNaイオン量(b)との差(b−a)が20ppm以下となるまで、前記トナーを洗浄する洗浄工程を有し、前記洗浄工程が、前記トナーをpH9以上pH10以下の処理液で洗浄する工程と、前記トナーをpH4以下にした後、超音波で処理しながら、イオン交換樹脂で洗浄する工程と、前記トナーをイオン交換水で洗浄する工程とを含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの洗浄方法である。
<静電荷像現像用トナー>
実施の形態に係る静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称することがある)は、少なくとも酸価が5mgKOH/g以上25mgKOH/g以下のポリエステル樹脂と着色剤と離型剤とを含み、湿式法により製造されるトナーを水系媒体中に分散させたとき、トナー分散液中の初期Naイオン量(a)が50ppm以下であり、かつ、前記初期Naイオン量(a)と24時間分散後の前記トナー分散液中のNaイオン量(b)との差(b−a)が20ppm以下であることを特徴とする。
実施の形態に係るトナーは、上記構成とすることで、小粒径で粒度分布に優れ、また低温定着性や画像保存性に優れ、現像かぶりが抑制された高光沢な画像を実現し、さらに良好な帯電性と熱保管性を両立することができる。この理由は定かではないが、以下の理由によるものと考えられる。
しかし、所定の酸価をもつポリエステル樹脂は、例えば、Naイオンと結合し易いカルボン酸を有していることから、当該ポリエステル樹脂を含むトナーを湿式法で製造すると、その製造過程で添加されるNaイオン(Naを含む化合物)が、ポリエステル樹脂のカルボン酸と結合してしまう。このカルボン酸に結合したNaイオンは、トナーの内部にまで侵入すると考えられる。このNaイオンがトナーに残存すると、高湿下で水分の影響を受けてトナー、またはトナー表面近傍の抵抗が低下するため、帯電性が悪化し、現像かぶりの原因となる傾向にあった。
以上から実施の形態に係るトナーは、小粒径で粒度分布に優れ、現像かぶりが抑制された高光沢な画像を実現し、また、優れた低温定着性、画像保存性および熱保管性を有しながら良好な帯電性を発現することができると考えられる。
実施の形態に係るトナーは、上述のように、ポリエステル樹脂および着色剤を含んで構成される。また、実施の形態に係るトナーは、必要に応じて、その他の添加剤を含んでもよい。
実施の形態に係るポリエステル樹脂とは、例えば、主として多価カルボン酸類と多価アルコール類との縮重合により得られるものである。
前記多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられ、これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いることができる。
これら多価カルボン酸の中でも、芳香族カルボン酸を用いることが好ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
これら多価アルコールの中でも、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。また、より良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
ポリエステル樹脂の酸価は、6mgKOH/g以上23mgKOH/g以下であることが好ましい。
したがって、実施の形態に係るトナー中における結晶性ポリエステル樹脂の含有量としては、2質量%以上30質量%以下が好ましく、4質量%以上25質量%以下がより好ましい。2質量%以上あれば、溶融時に非結晶性ポリエステル樹脂を十分に低粘度化することができ、低温定着性の向上が得られ易い。また30質量%以下であれば、結晶性ポリエステル樹脂の存在に起因するトナーの帯電性の悪化防止することができるので、記録媒体への定着後の画像強度が得られ易い。
前記酸由来構成成分となるための酸としては、種々のジカルボン酸が挙げられるが実施の形態に係る結晶性ポリエステル樹脂における酸由来構成成分としては、直鎖型の脂肪族ジカルボン酸が望ましい。
例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、或いはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、この限りではない。これらの中では、入手容易性を考慮するとアジピン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸が好ましい。
アルコール構成成分となるためのアルコールとしては、脂肪族ジオールが望ましく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9―ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ドデカンジオール、1,12−ウンデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、などが挙げられるが、この限りではない。これらの中では、入手容易性やコストを考慮すると1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができる。例えば、直接重縮合、エステル交換法等を、モノマーの種類によって使い分けて製造する。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、高分子量化するためには通常1/1程度が好ましい。
実施の形態に係るトナーは、着色剤を含む。着色剤は、染料であっても顔料であっても構わないが、耐光性や耐水性の観点から顔料であることが好ましい。
例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアンブルー、マラカイトグリーンオキサート、ランプブラック、ローズベンガル、キナクリドン、ベンジシンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド185、C.I.ピグメント・レッド238、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の公知の顔料が使用できる。
必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用することも有効である。前記着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等を得ることができる。
実施の形態に係るトナーには、必要に応じて離型剤を含有してもよい。離型剤としては、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のパラフィンワックス;シリコーン樹脂;ロジン類;ライスワックス;カルナバワックス;等が挙げられる。これらの離型剤の融点は、50℃以上100℃以下が望ましく、60℃以上95℃以下がより望ましい。
トナー中の離型剤の含有量は、0.5質量%以上15質量%以下が望ましく、1.0質量%以上12質量%以下がより望ましい。離型剤の含有量が0.5質量%以上あれば、特にオイルレス定着の場合における剥離不良を防ぐことができる。離型剤の含有量が15質量%以下であれば、トナーの流動性の悪化を防止することができるので、画質および画像形成の信頼性を保つことができる。
本実施形態におけるトナーには、上記したような成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機微粒子)、有機微粒子等の種々の成分を添加することができる。
さらに、実施の形態に係るトナーは、形状係数SF1が115以上140以下の範囲の球状形状であることが好ましい。
トナーの形状は、球形トナーが現像性、転写性の点では有利であるが、クリーニング性の面では不定形に比べ劣ることがある。トナーが上記範囲の形状であることにより、転写効率、画像の緻密性が向上し、高画質な画像形成を行うことができ、また、感光体表面のクリーニング性を高めることができる。
上記形状係数SF1は、120以上138以下の範囲であることがより好ましい。
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(1)
上記式(1)中、MLはトナー粒子の絶対最大長、Aはトナー粒子の投影面積を各々示す。
実施の形態に係る静電潜像現像用トナーは、少なくとも酸価が5mgKOH/g以上25mgKOH/g以下のポリエステル樹脂と着色剤とを含むトナーを、湿式法により得、得られた前記トナーを水系媒体中に分散させたとき、トナー分散液中の初期Naイオン量(a)が50ppm以下であり、かつ、前記初期Naイオン量(a)と24時間分散後の前記トナー分散液中のNaイオン量(b)との差(b−a)が20ppm以下となるまで、前記トナーを洗浄することにより製造される。
前記湿式法としては、溶融懸濁法、乳化凝集法、溶解懸濁法等が挙げられるが、中でも、乳化凝集法で製造することが好ましい。
乳化凝集法は、乾式法である混錬粉砕法や、他の湿式法である溶融懸濁法、溶解懸濁法等に比べ、小粒径のトナーを作製しやすく、また粒度分布の狭い均一なトナーを得やすい。また、溶融懸濁法、溶解懸濁法等に比べ形状制御が容易であり、均一な不定形トナーを作製することができる。さらに、被膜形成など、トナーの構造制御が可能であり、離型剤や結晶性ポリエステル樹脂を含有する場合は、これらの表面露出を抑制することができるため、帯電性や保存性の悪化を防止することができる。
乳化凝集法は、少なくとも、トナーを構成する原料を乳化して樹脂粒子(乳化粒子)を形成する乳化工程と、該樹脂粒子の凝集体を形成する凝集工程と、該凝集体を融合させる融合工程とを有する。以下、乳化凝集法によるトナーの製造工程の一例について、工程別に説明する。
前記乳化液の作製法としては転相乳化法、溶融乳化法などが挙げられる。
転相乳化法では、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性の有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(Oil相;O)に塩基を加えて、中和する。その後、水系媒体(Water相;W)を投入することによって、Water in Oil(W/O)の系を、Oil in Water(O/W)の系にすることで、有機連続相に存在した樹脂を不連続相に転相する。これによって、樹脂を、水系媒体中に粒子状に分散安定化し、乳化液を作製することができる。
溶融乳化法では、水系媒体と樹脂とを混合した溶液に、分散機により剪断力を与えることにより乳化液を作製することができる。その際、加熱して樹脂成分の粘性を下げることにより、粒子を形成することができる。また分散した樹脂粒子を安定化するため、分散剤を使用することもできる。さらに、樹脂が油性であり、水への溶解度の比較的低いものである場合には、樹脂の溶解する溶剤に解かして水中に分散剤や高分子電解質と共に粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子を分散した乳化液を作製することができる。
また、結着樹脂、着色剤等の各成分に対応して分散液を調製する方法だけでなく、例えば、ある成分の乳化液を調製する際、溶媒に他の成分を添加して2以上の成分を同時に乳化し、分散粒子中に複数の成分が含まれるようにしてもよい。
凝集工程においては、前記乳化工程で得た結晶性樹脂粒子の分散液、及び非結晶性樹脂粒子の分散液、ならびに、着色剤分散液等を混合して混合液とし、ポリエステル樹脂のガラス転移温度以下の温度で加熱して凝集させ、凝集粒子を形成する。凝集粒子の形成は、攪拌下、混合液のpHを酸性にすることによって行う。pHとしては、2以上7以下の範囲が望ましく、2.2以上6以下の範囲がより望ましく、2.4以上5以下の範囲がさらに望ましい。
融合工程においては、前記凝集工程に準じた攪拌条件下で、凝集粒子の懸濁液のpHを4以上8以下の範囲に上昇させることにより凝集の進行を止め、結着樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。pHを上昇させるために使用するアルカリ溶液としてはNaOH水溶液が好ましい。他のアルカリ溶液である例えばアンモニア溶液は揮発性や安全性の観点で好ましくない。またCa(OH)2などの2価のアルカリ溶液は水に溶解しにくいため、添加量が増加してしまったり、凝集の停止能力が十分でない場合があり好ましくない。
上記のように湿式法で得たトナー(前記融合粒子)を水系媒体中に分散させたとき、トナー分散液中の初期Naイオン量(a)が50ppm以下であり、かつ、前記初期Naイオン量(a)と24時間分散後の前記トナー分散液中のNaイオン量(b)との差(b−a)が20ppm以下となることが必要である。
前記初期Naイオン量を測定する際に用いられる水系媒体は、Mw500以上1000以下のポリビニールアルコールを1.0%含有した30℃のイオン交換水である。
以下、トナーの洗浄工程を、上記の工程に分けて説明する。
まず、融合工程で得たトナーをpH9以上pH10以下の処理液で洗浄する。具体的には、イオン交換水中に分散し、20℃以上40℃以下の温度でpHを9以上10以下に調整し、攪拌しながらトナーを洗浄する。
温度が、20℃以上あれば、洗浄性が低下することもなく、40℃以下であれば、トナー表面の荒れを抑制することができる。またpHが9以上あれば、カルボン酸が十分に解離し、吸着した界面活性剤を除去することができる。またアルミ系凝集剤を用いた場合はアルミイオンの変化により、結合した界面活性剤を除去しやすくなるため、なお好ましい。pHが10以下であれば、加水分解を生じにくく、好ましい。
その後、トナーをpH4以下の処理液で洗浄するべく、トナー分散液をpH4以下に調整し、メカニカルスターラーで攪拌する。
トナー分散液をpH4以下に調整することでカルボン酸の解離を抑制し、カルボン酸と結合した金属イオン、特にNaイオンや、凝集剤由来のイオンを介して結合している界面活性剤を除去することができる。その後分散液に超音波をかけ、分散しながらイオン交換樹脂を添加する。
カルボン酸の解離を抑制した場合、粒子の水中での分散安定性が低下して粒子が凝集するため、これを超音波を用いて、凝集した粒子を解砕することが好ましい。凝集した粒子が解砕しない場合は、凝集した粒子の内部が十分洗浄できない場合が生じ、帯電性の不均一化が生じる場合がある。この操作を必要に応じて繰り返してもよい。また超音波によってトナー表面近傍のイオンも水中に析出するために、より洗浄効果が向上する。さらにこのような状態でイオン交換樹脂を添加することで、効率よくNaイオンの除去が可能となる。
イオン交換樹脂としてはNaを置換できる陽イオン交換樹脂が好ましい。イオン交換樹脂としては公知の樹脂が使用できる。イオン交換樹脂の添加量としてはトナー100質量部に対して3〜20質量部が好ましい。
次に、上記の〔pH4以下にした後、超音波で処理しながら、イオン交換樹脂で洗浄する工程〕を経たトナーを固液分離する。当該トナーを、30℃のイオン交換水中に分散し、メカニカルスターラーで攪拌して、また固液分離する操作を繰り返す。
実施の形態においては、トナー粒子表面に流動化剤や助剤等の外添剤を添加処理してもよい。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、公知の微粒子が使用できるが、これらのうち少なくとも2種以上の外添剤を使用し、該外添剤の少なくとも1種は、30nm以上200nm以下の範囲、さらには30nm以上180nm以下の範囲の平均1次粒子径を有することが好ましい。
本実施形態における静電荷像現像用トナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
次に、実施の形態に係る静電荷像現像用トナーを用いた実施の形態に係る画像形成装置について説明する。
実施の形態に係る画像形成装置は、像保持体と、該像保持体上に形成された静電荷像を現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、像保持体上に形成されたトナー像を被転写体上に転写する転写手段と、被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記現像剤として実施の形態に係る静電荷像現像剤を用いるものである。
以下、実施の形態に係る画像形成装置の一例を実施形態として示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給可能である。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電潜像が感光体1Yの表面に形成される。
このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って所定の現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2〜第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、前記被転写体の表面も可能な限り平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
図2は、実施の形態に係る静電荷像現像剤を収めるプロセスカートリッジの好適な一例の実施形態を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、感光体107とともに、帯電ローラ108、現像装置111、感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
<体積平均粒子径の測定方法(測定する粒子直径が2μm以上の場合)>
測定する粒子の直径が2μm以上の場合は、コールターマルチサイザー−II型(ベックマンーコールター社製)測定装置を用いて、粒子の体積平均粒子径を測定した。電解液としては、ISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用した。
測定する粒子直径が2μm未満の場合は、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて、粒子の体積平均粒子径を測定した。
トナーの粒度分布指標の測定は、前述のコールターマルチサイザー−II型を用いて測定された粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積、個数をそれぞれ小径側から累積分布を描き、累積16%となる体積平均粒径D16V、個数平均粒径D16P、累積50%となる体積平均粒径D50V、個数平均粒径D50p、累積84%となる体積平均粒径D84V、個数平均粒径D84pと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84V/D16V)0.5より求められ、個数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)0.5より、下個数平均粒度分布指標(GSDp下)は(D16P/D50P)より算出した。
トナーの形状係数SF1は、走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイデクノロジーズ社製S−4800)を用い、SEM画像を、ルーゼックス画像解析装置((株)ニレコ製FT)を用いて解析することによって数値化し、以下のようにして算出した。すなわち、スライドガラス表面に散布した高級アルコール(C18H37OH)粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個のトナー粒子の最大長(ML)と投影面積(A)を求め、下記式に当てはめて計算し、その平均値をトナーの形状係数SF1とした。
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100
ガラス転移点(Tg)及び融点は、示差走査熱量計(マックサイエンス社製:DSC3110、熱分析システム001)を用い、0℃から150℃まで、昇温速度10℃/分の条件下で測定することによりDSCスペクトルを得た。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)(ポリスチレン換算)は、GPC(東ソー(株):製HLC−8120)を用いて測定した。カラムは東ソー製TSKgel SuperHMーM(15cm)を使用し、THF溶媒によりGPCスペクトルを測定した。単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用してポリエステル樹脂の分子量を算出した。
酸価は、JIS K0070に従って行い、中和滴定法を用いた測定で行った。即ち、適当量の試料を分取し、溶剤(ジエチルエーテル/エタノール混合液)100ml、及び、指示薬(フェノールフタレイン溶液)数滴を加え、水浴上で試料が完全に溶けるまで充分に振り混ぜる。これに、0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、指示薬の薄い紅色が30秒間続いた時を終点とした。酸価をA、試料量をS(g)、滴定に用いた0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液をB(ml)、fを0.1mol/l水酸化カリウムエタノール溶液のファクターとした時、A=(B×f×5.611)/Sとして算出した。
トナー分散液のろ液のNaイオン量は、イオンクロマトグラフィー(東ソー(株)製、IC−2001)により、以下の条件で測定した。
・カラム:TSKgel IC−Cation、TSK guard column IC−C(東ソー(株)製)
・溶離液:2mmol/l NaCl水溶液
・流速:1.2ml/min
・温度:25℃
・検出法:電気伝導度
・サンプル濃度:5mg/5ml
トナー分散液のろ液の伝導度は、東亜電波工業(株)製伝導度計CM−30S使用し、25℃にて測定した。
トナー分散液のろ液のpH測定には、25℃において、東亜電波工業社製pHメーター(HM−26S)を使用した。
加熱乾燥した二口フラスコに、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン80モル部と、エチレングリコール10モル部と、シクロヘキサンジオール10モル部と、テレフタル酸80モル部と、イソフタル酸10モル部と、n−ドデセニルコハク酸10モル部を原料に、触媒としてジブチル錫オキサイドを入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、150〜230℃で約12時間共縮重合反応させ、その後、210〜250℃で徐々に減圧して、非結晶性ポリエステル樹脂(1)を合成した。
その結果、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度(Tg)は59℃であった。
加熱乾燥した二口フラスコに、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン90モル部と、エチレングリコール10モル部と、テレフタル酸80モル部と、イソフタル酸20モル部を原料にしたほかは、非結晶性ポリエステル樹脂(1)と同様にして、非結晶性ポリエステル樹脂(2)を合成した。
また、非結晶性ポリエステル樹脂(2)の酸価は18.2mgKOH/gであった。
非結晶性ポリエステル樹脂(1)の反応終了時にテレフタル酸ジメチル2.6モル部を添加し、樹脂末端修飾を行い、非結晶性ポリエステル樹脂(3)を合成した。
また、非結晶性ポリエステル樹脂(3)の酸価は2.2mgKOH/gであった。
非結晶性ポリエステル樹脂(1)の反応終了時に1,2,4トリメリット酸2.6モル部を添加し、樹脂末端修飾を行い、非結晶性ポリエステル樹脂(4)を合成した。
また、非結晶性ポリエステル樹脂(4)の酸価は32.4mgKOH/gであった。
加熱乾燥した3口フラスコに、セバシン酸ジメチル43.4質量部と、1,10−デカンジオール32.8質量部と、ジメチルスルホキシド27質量部と、触媒としてジブチル錫オキサイド0.03質量部と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で4時間攪拌を行った。減圧下、ジメチルスルホキシドを留去し、その後、減圧下にて220℃まで徐々に昇温を行い1.5時間攪拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、脂肪族結晶性ポリエステル樹脂(1)65質量部を合成した。
また、非結晶性ポリエステル樹脂(1)と同様にして融点測定を行い、DSCスペクトルを得たところ、脂肪族結晶性ポリエステル樹脂(1)は明確なピークを有し、融点(Tm1)は76℃であった。
非結晶性ポリエステル樹脂(1)160部と、酢酸エチルを233部と、水酸化ナトリウム水溶液(0.3N)0.1部とを用意し、これらを500mlのセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株))により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することにより非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を得た。
非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)中の樹脂粒子の体積平均粒径は200nmであり、固形分量は30%であった。
非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)と同様にして非結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)を得た。非結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)中の樹脂粒子の体積平均粒径は180nmであり、固形分量は30%であった。
非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)と同様にして非結晶性ポリエステル樹脂分散液(3)を得た。非結晶性ポリエステル樹脂分散液(3)中の樹脂粒子の体積平均粒径は480nmであり、粒度分布もブロードで粗大粉も存在した。固形分量は30%であった。
非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)と同様にして非結晶性ポリエステル樹脂分散液(4)を得た。非結晶性ポリエステル樹脂分散液(4)中の樹脂粒子の体積平均粒径は100nmであり、固形分量は30%であった。
結晶性ポリエステル樹脂(1)160部と、酢酸エチル233部と、水酸化ナトリウム水溶液(0.3N)0.1部とを用意し、これらを500mlのセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株)製)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することにより結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を得た。
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製、HNP−9、融点:75℃):50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):0.5部
・イオン交換水:200部
以上を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した。その後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で分散処理し、離型剤を分散させてなる離型剤分散液(固形分濃度:20%)を調製した。離型剤の体積平均粒径は0.23μmであった。
・シアン顔料(大日精化(株)製、Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン))
1000部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) 15部
・イオン交換水 9000部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて1時間ほど分散して、着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤(シアン顔料)の体積平均粒径は0.16μm、固形分濃度は20%であった。
(トナー(1)の製造)
・結晶性ポリエステル樹脂分散液(1) 26.7部
・非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1) 267部
・着色剤分散液 25部
・離型剤分散液 40部
・アニオン性界面活性剤(TeycaPower) 2.0部
−乳化工程−
上記原料を2Lの円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラララックスT50)を用い、ホモジナイザーの回転数を4000rpmにして、せん断力を加えながら10分間分散して混合した。次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液1.75部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5000rpmにして15分間分散して混合し、原料分散液とした。
その後、攪拌装置、温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、マントルヒーターにて加熱し始め、42℃にて凝集粒子の成長を促進させた。この際、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いて原料分散液のpHを3.2以上3.8以下の範囲に調整した。原料分散液を上記pH範囲に保持して2時間ほど放置し、凝集粒子を形成した。この凝集粒子の体積平均粒子径は5.4μmであった。
次に、原料分散液に非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)100部を追添加し、前記凝集粒子の表面に非結晶性ポリエステル樹脂(1)の樹脂粒子を付着させた。さらに、原料分散液を44℃に昇温し、光学顕微鏡及びマルチサイザーIIを用いて、粒子の大きさ及び形態を確認しながら凝集粒子を整えた。その後、凝集粒子を融合させるために、原料分散液にNaOH水溶液を滴下してpHを7.5に調整した後、原料分散液を95℃まで昇温させた。その後、3時間原料分散液を放置して凝集粒子を融合させ、光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、原料分散液を1.0℃/分の降温速度で冷却した。
〔pH9以上pH10以下の処理液で洗浄する工程〕
その後、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液を用い、原料分散液を25℃でpHを9.5に調整し、20分間攪拌後に孔径20μmのメッシュで篩分した。次に、原料分散液をろ過した。固液分離後のトナーを、トナー固形分量に対して20倍量の30℃のイオン交換水中に分散し、20分間攪拌してろ過を行った。
この工程を3回繰り返し、ろ液の伝導度が34μSであることを確認した。
その後、トナー固形分量に対して20倍量の30℃のイオン交換水中にトナーを再分散し、イオン交換樹脂をトナー100質量部に対して5質量部添加して、超音波洗浄機(本多電子社製:W−115T)を用いて45kHzの周波数をかけながら、10分間洗浄を行った。この際、系のpHが4以下にならない場合は0.3Nの硝酸を加えて調整を行った。その後ろ過を行った。
以上の本実施例1における〔pH9以上pH10以下の処理液で洗浄する工程〕と〔pH4以下にした後、超音波で処理しながら、イオン交換樹脂で洗浄する工程〕を3回繰り返した後、トナー固形分量に対して20倍量の30℃のイオン交換水に再分散して水洗を3回繰り返した。
洗浄(1)を終えた後、凍結真空乾燥機で乾燥を行いトナー粒子(1)を得た。
得られたトナー粒子(1)の体積平均粒度分布指標GSDvは1.21、個数平均粒度分布指標GSDpは1.25であり、体積平均粒子径は6.2μmであった。また画像解析による形状係数SF1は128であった。
得られたトナー粒子(1)を、ポリビニルアルコールを1.0%含有した30℃のイオン交換水であってトナー固形分量に対して20倍量の水中に再分散させてから3分後のトナー分散液の一部をろ過した、ろ液の伝道度(以下、「初期伝導度」という)を測定したところ、8μSであった。また、このろ液のNaイオン量(初期Naイオン量)を、イオンクロマトグラフを用いて定量したところ、12ppmであった。
次に分散液を24時間攪拌しながら放置した。24時間後の分散液をろ過し、そのろ液の伝道度(以下、「分散24時間後伝導度」という)を測定したところ、10μSであった。また、同様に、そのろ液のNaイオン量(分散24時間後Naイオン量)を測定したところ、16ppmであった。
・フェライト粒子(平均粒径;35μm) 100部
・トルエン 14部
・パーフルオロアクリレート共重合体(臨界表面張力24mN/m) 1.6部
・カーボンブラック(キャボット社製「VXC−72」、抵抗100Ωcm以下)
0.12部
・架橋メラミン樹脂粒子(平均粒径;0.3μm、トルエン不溶) 0.3部
カーボンブラックをトルエンに希釈し、サンドミルを用いてパーフルオロアクリレート共重合体に分散させたものを、さらに10分間スターラーで撹拌し、被膜層形成液を調合した。次に、この被膜層形成液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーにいれ、温度60℃において30分間攪拌した後、減圧してトルエンを留去して、樹脂被膜層を形成してキャリアを得た。
(熱保管性)
試料として、トナー(1)を55℃/50%RHの環境下に24時間放置した後、熱保管性の評価を行った。
パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)を用い、53μmのふるい上に正確に秤量した20gの前記試料を投入し、振幅1mmで90秒間振動を与え、振動後の各ふるい上のトナー質量を測定し、もとの試料の質量(20g)に対する百分率として熱保管性の指標を算出した。なお、測定は25℃/50%RHの環境下で行った。この評価においては、前記振動後の熱保管性の指標が40以下であれば、通常実用上問題なく使用でき、より好適には30以下である。
トナー(1)36gと上記キャリア414gを2LのVブレンダーに入れ、20分間撹拌し、その後、孔径212μmのメッシュで篩分して現像剤(1)を作製した。
さらに、そのまま現像器を実機に装着し、絵だしを実施してかぶりの評価を行った。かぶりの評価については、再度複写した画像を目視で観察し、非画像部のかぶり(初期かぶり)を以下の観点でグレード付けして評価した。G2までを使用できるものとする。
G1:非画像部にまったくかぶりが観察されない。
G2:非画像部にごく僅かにかぶりが見られるものの、問題ないレベルである。
G3:非画像部にかぶりが散見され、繰り返し使用に支障をきたす恐れがある。
G4:非画像部全体にかぶりが広がっている。
G5:画像部、非画像部に限らず全体的にかぶりが広がり、問題外のレベルである。
低温低湿下の「帯電量」ならびに、高温高湿下の「初期帯電量」、「初期かぶり」、「1週間放置後帯電量」および「放置後かぶり」の結果を表2に示す。なお、帯電量の単位はμc/gである。
上記高温高質下でのかぶり評価の後、画像面積率5%の画像で3000枚の絵だしを行い、クリーニング不良による画像欠陥の確認を行った。
現像剤(1)を、定着装置を取り外したDocuPrint C2220(富士ゼロックス(株)製)の現像器に充填して、未定着画像を採取した。画像条件は40mm×50mmのソリッド画像で、トナー量は1.5mg/cm2、記録紙はミラーコートプラチナ紙(坪量:127gsm)を使用した。ついで、DocuPrint C2220の定着機を定着温度が可変となるように改造して、定着温度を100℃から200℃の間で段階的に上昇させながら画像の低温定着性を評価した。なお低温定着性は、離型不良による画像欠損のない、良好な定着画像を一定荷重の重りを用いて折り曲げ、その部分の画像欠損度合いグレード付けし、ある一定のグレード以上になる定着温度を最低定着温度として、低温定着性の指標とした。最低定着温度は120℃以下であることが好ましい。結果を表2に示す。
画像光沢性の数値は、50以上であることが好ましく、より好ましくは60以上である。結果を表2に示す。
実施例1におけるトナー(1)の製造過程において、結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を除き、非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を290.7(293.7)部に換えた以外は実施例1と同様にしてトナー粒子(2)およびトナー(2)を得た。
実施例1と同様にして分散液のろ液について伝導度とNaイオン量を測定したところ、初期伝導度は7μSであり、初期Naイオン量は10ppmであった。また分散24時間後伝導度は9μSであり、分散24時間後Naイオン量は14ppmであった。
トナー粒子(2)の体積平均粒度分布指標GSDvは1.22、個数平均粒度分布指標GSDpは1.24であり、体積平均粒径は6.0μmで、形状係数SF1は130であった。
また、実施例1における現像剤(1)の製造過程において、トナー(1)をトナー(2)に換えたほかは、実施例1と同様にして現像剤(2)を作製した。トナー(2)および現像剤(2)について、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
実施例1におけるトナー(1)の製造過程において、結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を90部、非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を177.3部に換えた以外は実施例1と同様にしてトナー粒子(3)およびトナー(3)を得た。
実施例1と同様にして分散液のろ液について伝導度とNaイオン量を測定したところ、初期伝導度は8μSであり、初期Naイオン量は12ppmであった。また分散24時間後伝導度は10μSであり、分散24時間後Naイオン量は15ppmであった。
トナー粒子(3)の体積平均粒度分布指標GSDvは1.25、個数平均粒度分布指標GSDpは1.26であり、体積平均粒径は6.4μmで、形状係数SF1は134であった。
また、実施例1における現像剤(1)の製造過程において、トナー(1)をトナー(3)に換えたほかは、実施例1と同様にして現像剤(3)を作製した。トナー(3)および現像剤(3)について、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
実施例1におけるトナー(1)の製造過程において、非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を非結晶性ポリエステル樹脂分散液(2)に換えた以外は実施例1と同様にしてトナー粒子(4)およびトナー(4)を得た。
実施例2と同様にして分散液のろ液について伝導度とNaイオン量を測定したところ、初期伝導度は9μSであり、初期Naイオン量は17ppmであった。また分散24時間後伝導度は12μSであり、分散24時間後Naイオン量は23ppmであった。
トナー粒子(3)の体積平均粒度分布指標GSDvは1.23、個数平均粒度分布指標GSDpは1.24であり、体積平均粒径は5.8μmで、形状係数SF1は132であった。
また、実施例1における現像剤(1)の製造過程において、トナー(1)をトナー(4)に換えたほかは、実施例1と同様にして現像剤(4)を作製した。トナー(4)および現像剤(4)について、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
実施例1におけるトナー(1)の製造過程において、〔pH9以上pH10以下の処理液で洗浄する工程〕と〔pH4以下にした後、超音波で処理しながら、イオン交換樹脂で洗浄する工程〕の繰り返し回数を2回に、またその後の水洗の回数を2回に換えた(以上洗浄(2))以外は実施例1と同様にしてトナー粒子(5)およびトナー(5)を得た。
実施例1と同様にして分散液のろ液について伝導度とNaイオン量を測定したところ、初期伝導度は11μSであり、初期Naイオン量は18ppmであった。また分散24時間後伝導度は16μSであり、分散24時間後Naイオン量は26ppmであった。
トナー粒子(4)の体積平均粒度分布指標GSDvは1.19、個数平均粒度分布指標GSDpは1.23であり、体積平均粒径は6.0μmで、形状係数SF1は130であった。
また、実施例1における現像剤(1)の製造過程において、トナー(1)をトナー(5)に換えたほかは、実施例1と同様にして現像剤(5)を作製した。トナー(5)および現像剤(5)について、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
トナー作製における融合工程において、95℃に昇温した後にpHを7.0に低下させて融合を行い、3時間融合させたほかは、実施例1と同様にしてトナー粒子(6)およびトナー(6)を得た。光学顕微鏡で融合粒子を観察したところ球形で融合していることを確認した。
実施例1と同様にして分散液のろ液について伝導度とNaイオン量を測定したところ、初期伝導度は8μSであり、初期Naイオン量は9ppmであった。また、分散24時間後伝導度は10μSであり、分散24時間後伝導度Naイオン量は13ppmであった。
トナー粒子(6)の体積平均粒度分布指標GSDvは1.23、個数平均粒度分布指標GSDpは1.23であり、体積平均粒径は6.0μmで、形状係数SF1は106であった。
また、実施例1における現像剤(1)の製造過程において、トナー(1)をトナー(6)に換えたほかは、実施例1と同様にして現像剤(6)を作製した。トナー(6)および現像剤(6)について、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
実施例2におけるトナー(2)の製造過程において、洗浄工程の〔pH4以下にした後、超音波で処理しながら、イオン交換樹脂で洗浄する工程〕において、超音波処理とイオン交換樹脂の添加を除いた(以上洗浄(3))以外は実施例2と同様にしてトナー粒子(7)およびトナー(7)を得た。
実施例2と同様にして分散液のろ液について伝導度とNaイオン量を測定したところ、初期伝導度は37μSであり、初期Naイオン量は36ppmであった。また、分散24時間後伝導度は54μSであり、分散24時間後伝導度Naイオン量は60ppmであった。
トナー粒子(7)の体積平均粒度分布指標GSDvは1.22、個数平均粒度分布指標GSDpは1.24であり、体積平均粒径は6.0μmで、形状係数SF1は130であった。
また、実施例1における現像剤(1)の製造過程において、トナー(1)をトナー(7)に換えたほかは、実施例1と同様にして現像剤(7)を作製した。トナー(7)および現像剤(7)について、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
比較例1におけるトナー(7)の製造過程において、洗浄工程における〔pH4以下にした後、超音波で処理しながら、イオン交換樹脂で洗浄する工程〕でpH調整を行わず、〔イオン交換水で洗浄する工程〕の回数を2回に換えた(以上洗浄(4))以外は比較例1と同様にしてトナー粒子(8)およびトナー(8)を得た。
実施例2と同様にして分散液のろ液について伝導度とNaイオン量を測定したところ、初期伝導度は40μSであり、初期Naイオン量は62ppmであった。また分散24時間後伝導度は62μSであり、分散24時間後Naイオン量は88ppmであった。
トナー粒子(8)の体積平均粒度分布指標GSDvは1.22、個数平均粒度分布指標GSDpは1.24であり、体積平均粒径は6.0μmで、形状係数SF1は130であった。
また、実施例1における現像剤(1)の製造過程において、トナー(1)をトナー(
8)に換えたほかは、実施例1と同様にして現像剤(8)を作製した。トナー(8)および現像剤(8)について、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
実施例2におけるトナー(2)の製造過程において、非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を非結晶性ポリエステル樹脂分散液(3)に換えた以外は実施例2と同様にしてトナー粒子(9)およびトナー(9)を得た。
実施例2と同様にして分散液のろ液について伝導度とNaイオン量を測定したところ、初期伝導度は5μSであり、初期Naイオン量は10ppmであった。また分散24時間後伝導度は6μSであり、分散24時間後Naイオン量は14ppmであった。
トナー(9)は樹脂酸価が低すぎるため、乳化粒子径が大きく、凝集の速度が速かったために粒径が大きくなり、体積平均粒径は7.6μmであった。また樹脂酸価が低いため、帯電性が十分でなく、帯電量が低かった。また形状進行の速度が著しく速く、95℃に昇温した時点ですでに球形化しており、すぐに融合を停止したものの得られたトナー(9)の形状係数SF1は108であった。
また、体積平均粒度分布指標GSDvは1.32、個数平均粒度分布指標GSDpは1.34であり、トナー粒度分布も広く、篩分上に残留するトナー量も多かった。
実施例1における現像剤(1)の製造過程において、トナー(1)をトナー(9)に換えたほかは、実施例1と同様にして現像剤(9)を作製した。トナー(9)および現像剤(9)について、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
実施例2におけるトナー(2)の製造過程において、非結晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を非結晶性ポリエステル樹脂分散液(4)に換え、融合工程において、95℃に昇温した後にpHを7.0に低下させて融合を行った。5時間融合させたところで光学顕微鏡で観察したところ十分融合しておらず、また形状変化も進行していなかった。さらにpH6.0まで低下させたところ、徐々に形状の変化は進行したが、粒径が粗大化するとともに粗大粉が増加したため、最終的に評価に値するトナー粒子を得ることができなかった。
・非結晶性ポリエステル樹脂(1) 790部
・結晶性ポリエステル樹脂(1) 80部
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製、HNP−9、融点:75℃) 80部
・シアン顔料(大日精化(株)製、Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン))
50部
上記原料をヘンシェルミキサーで混合後、バンバリーミキサーで溶融混練後に圧延してハンマーミルで粗破砕した。次にジェットミル粉砕機で6.4μmになるまで粉砕し、エルボージェット分級機で分級を行い、トナー粒子(10)およびトナー(10)を得た。
実施例1と同様にして分散液のろ液について伝導度とNaイオン量を測定したところ、初期伝導度は3μSであり、初期Naイオン量は2ppmであった。また分散24時間後伝導度は5μSであり、分散24時間後Naイオン量は3ppmであった。
トナー粒子(10)の分級後の体積平均粒度分布指標GSDvは1.30、個数平均粒度分布指標GSDpは1.31であり、体積平均粒径は6.2μmで形状係数SF1は142であった。
実施例1における現像剤(1)の製造過程において、トナー(1)をトナー(10)に換えたほかは、実施例1と同様にして現像剤(10)を作製した。トナー(10)および現像剤(10)について、実施例1と同様に評価した。結果を表2に示す。
表2からわかるように、実施例ではトナー分散液の初期Naイオン量(a)および初期Naイオン量(a)と分散24時間後Naイオン量(b)との差が小さく、いずれもクリーニング性に優れ、かぶりもほとんど散見されない状態であることがわかった。また、トナーが結晶性樹脂を25質量%含んでいても、実施の形態おける洗浄工程を経たものは、低温低湿条件下・高温高湿条件下双方における帯電量が大きいことがわかった。
2Y、2M、2C、2K、108 帯電ローラ
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3、110 露光装置
4Y、4M、4C、4K、111 現像装置(現像手段)
5Y、5M、5C、5K 1次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K、113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ(転写手段)
28、115 定着装置(定着手段)
30 中間転写体クリーニング装置
112 転写装置
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ、
P、300 記録紙(被転写体)
Claims (2)
- 少なくとも酸価が5mgKOH/g以上25mgKOH/g以下のポリエステル樹脂と着色剤とを含むトナーを、湿式法により得る工程と、得られた前記トナーを水系媒体中に分散させたとき、トナー分散液中の初期Naイオン量(a)が50ppm以下であり、かつ、前記初期Naイオン量(a)と24時間分散後の前記トナー分散液中のNaイオン量(b)との差(b−a)が20ppm以下となるまで、前記トナーを洗浄する洗浄工程を有し、前記洗浄工程が、前記トナーをpH9以上pH10以下の処理液で洗浄する工程と、前記トナーをpH4以下にした後、超音波で処理しながら、イオン交換樹脂で洗浄する工程と、前記トナーをイオン交換水で洗浄する工程とを含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 少なくとも酸価が5mgKOH/g以上25mgKOH/g以下のポリエステル樹脂と着色剤と離型剤とを含み、湿式法により製造されるトナーを水系媒体中に分散させたとき、
トナー分散液中の初期Naイオン量(a)が50ppm以下であり、かつ、前記初期Naイオン量(a)と24時間分散後の前記トナー分散液中のNaイオン量(b)との差(b−a)が20ppm以下となるまで、前記トナーを洗浄する洗浄工程を有し、前記洗浄工程が、前記トナーをpH9以上pH10以下の処理液で洗浄する工程と、前記トナーをpH4以下にした後、超音波で処理しながら、イオン交換樹脂で洗浄する工程と、前記トナーをイオン交換水で洗浄する工程とを含むことを特徴とする静電荷像現像用トナーの洗浄方法。
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