JP5524719B2 - トナーバインダーおよびトナー組成物 - Google Patents
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Description
近年、複写機・プリンターのカラー化・高速・高信頼性・コンパクト・低コスト・省エネがますます求められている。特に、環境負荷低減(省エネ)の要求から、トナーのさらなる低温定着性と耐ブロッキング性の両立に対する対応が急務である。
トナーの低温定着性能を向上させる目的で、バインダーとしてポリエステル樹脂を用いることが従来より知られている。また、定着性改良の目的で、高酸価なポリエステル樹脂を含有させる方法が提案されている(特許文献1、2等)。
本発明の目的は、低温定着性の向上に伴う定着温度幅の増大と耐ブロッキング性、帯電安定性に優れたトナー組成物を提供することにある。
すなわち本発明は、線形ポリエステル樹脂(A)と非線形ポリエステル樹脂(B)から構成されるトナーバインダーにおいて、(A)のピークトップ分子量が2500以下、ガラス転移温度〔Tg〕が50〜80℃、〔Tg〕とフロー軟化点〔Tm〕との関係がTm−Tg≦35(℃)であり、かつ酸価が0〜20(mgKOH/g)であり、(A)が芳香族モノカルボン酸(x1)および/またはポリカルボン酸(x2)から構成されるカルボン酸成分(x)と、ポリオール成分(y)とが重縮合されてなるポリエステル樹脂であって、ポリオール成分(y)中にビスフェノールA、ビスフェノールAのアセチル化物、ビスフェノールS、ビスフェノールSのアセチル化物、ビスフェノールSのポリオキシアルキレンエーテル(オキシアルキレン単位の数2〜4)、および水素化ビスフェノールAからなる群から選ばれる1種類以上(y1)を30モル%以上含有することを特徴とするトナーバインダー;並びに、このトナーバインダー、着色剤、並びに、必要により離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる1種以上の添加剤を含有するトナー組成物;である。
本発明における線形ポリエステル樹脂(A)は、芳香族モノカルボン酸(x1)および/またはポリカルボン酸(x2)から構成されるカルボン酸成分(x)と、ポリオール成分(y)とが重縮合されて得られるポリエステル樹脂であることが好ましい。
上記ポリオール成分(y)としては、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアセチル化物、ビスフェノールS、ビスフェノールSのアセチル化物、ビスフェノールSのポリオキシアルキレンエーテル(オキシアルキレン単位の数2〜4)、および水素化ビスフェノールAからなる群から選ばれる1種類以上(y1)、(y1)以外のジオール(y2)、および3〜8価またはそれ以上のポリオール(y3)が挙げられる。
ジカルボン酸(x21)としては、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(例えばコハク、アジピン、およびセバシン酸)およびアルケニルコハク酸(例えばドデセニルコハク酸);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔例えばダイマー酸(2量化リノール酸)〕;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(例えばマレイン、フマル、シトラコン、およびメサコン酸);炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル、イソフタル、テレフタル、およびナフタレンジカルボン酸等);およびこれらのエステル形成性誘導体〔例えば、無水物、低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)等〕;等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルカンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸、並びにこれらのエステル形成性誘導体である。
これらのうち好ましいものは、トリメリット酸およびピロメリット酸、並びにこれらのエステル形成性誘導体である。
ポリオール成分(y)とカルボン酸成分(x)との反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
チタン含有触媒としては、チタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、特開2006−243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、およびそれらの分子内重縮合物等〕、および特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、およびチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)等が挙げられる。
アンチモン含有触媒としては、三酸化アンチモン等が挙げられる。
ジルコニウム含有触媒としては、酢酸ジルコニル等が挙げられる。
ニッケル含有触媒としては、ニッケルアセチルアセトナート等が挙げられる。
アルミニウム含有触媒としては、水酸化アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド等が挙げられる。
上記および以下において、%は、特に断りの無い場合は重量%を意味する。
本発明における酸価および水酸基価は、JIS K0070に規定の方法で測定される。
上記および以下において、ガラス転移温度〔Tg〕はセイコー電子工業(株)製DSC20、SSC/580を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
装置 : 島津(株)製 フローテスター CFT−500D
荷重 : 20kg
ダイ : 1mmΦ−1mm
昇温速度 : 6℃/min.
(Tm−Tg)を35℃以下とする方法としては、分子量を小さくして〔Tm〕を低くし、酸価を高くするなどにより共有結合以外の結合(水素結合、分子間力等)で〔Tm〕を上げずに〔Tg〕を上げる方法、結晶性可塑剤(ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム等)を添加し、〔Tg〕を下げずに〔Tm〕を下げる方法等が挙げられる。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
得られたクロマトグラム上最大のピーク高さを示す分子量をピークトップ分子量(Mp)と称する。
(B)は、通常、前記の芳香族モノカルボン酸(x1)および/またはジカルボン酸(x21)、および前記のジオール(y2)と共に、前記の3〜6価またはそれ以上のポリカルボン酸(x22)および/または3価〜8価またはそれ以上のポリオール(y3)を反応させて得られる。
特に、(y)中のエチレングリコールの含有量は、機械的強度の観点から、好ましくは90〜100モル%、さらに好ましくは95〜100モル%、とくに好ましくは100モル%である。
反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
前記第一段階の、ポリオール成分(y)とポリカルボン酸(x2)の少なくとも一部との反応における反応比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/1、さらに好ましくは1.5/1〜1.01/1、とくに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
また、(B)の製造に用いる全てのポリオール成分(y)と全てのカルボン酸成分(x)の比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、さらに好ましくは1.5/1〜1/1.3、とくに好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
本発明におけるTHF不溶解分は、以下の方法で求めたものである。
試料0.5gに50mlのTHFを加え、3時間撹拌還流させる。冷却後、グラスフィルターにて不溶解分をろ別し、グラスフィルター上の樹脂分を80℃で3時間減圧乾燥する。グラスフィルター上の乾燥した樹脂分の重量と試料の重量比から、不溶解分を算出する。なお、このろ液をTHF可溶分としてGPC測定に使用する。
また、非線形ポリエステル樹脂(B)の酸価は、好ましくは3〜40、さらに好ましくは10〜38であり、水酸基価は、好ましくは0〜30、さらに好ましくは0〜10である。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセンおよびこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるものおよび熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素および/またはオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸およびその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルおよびマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸および無水マレイン酸等]および/または不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステルおよびマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、およびサゾールワックス等が挙げられる。
天然ワックスとしては、例えばカルナウバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックスおよびライスワックスが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノールが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解または分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、無水フタル酸110部(51.7モル%)、ビスフェノールS・エチレンオキサイド2モル付加物400部(100.0モル%)、安息香酸85部(48.3モル%)、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら3時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A1)とする。
(A1)のTgは58℃、Tmは91℃(Tm−Tg:33℃)、Mpは2400、酸価は1、水酸基価は30であった。
なお、( )内のモル%は、カルボン酸成分またはポリオール成分中のモル%を意味する(以下同様)。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、コハク酸110部(56.1モル%)、水素化ビスフェノールA430部(100.0モル%)、安息香酸100部(39.3モル%)重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら3時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。さらに、無水トリメリット酸15部(4.6モル%)を加え、常圧下で1時間反応させた。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A2)とする。
(A2)のTgは58℃、Tmは90℃(Tm−Tg:32℃)、Mpは1800、酸価は14、水酸基価は18であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、コハク酸110部(52.4モル%)、ビスフェノールA・アセチル化物(ビスフェノールAと無水酢酸をモル比1:3で80℃、還流下で合成)430部(100.0モル%)を入れ、140℃で2時間反応させた。次いでtert−ブチル安息香酸180部(47.6モル%)を入れ、140℃で2時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下で反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A3)とする。
(A3)のTgは45℃、Tmは78℃(Tm−Tg:33℃)、Mpは1900、酸価は1、水酸基価は0であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、コハク酸110部(52.2モル%)、ビスフェノールS・アセチル化物(ビスフェノールSと無水酢酸をモル比1:3で80℃、還流下で合成)430部(100.0モル%)を入れ、140℃で2時間反応させた。次いでtert−ブチル安息香酸180部(47.8モル%)を入れ、140℃で2時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下で反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A4)とする。
(A4)のTgは50℃、Tmは84℃(Tm−Tg:34℃)、Mpは2000、酸価は0、水酸基価は0であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、無水フタル酸110部(58.0モル%)、ビスフェノールS・エチレンオキサイド2モル付加物415部(100.0モル%)、tert−ブチル安息香酸81部(35.7モル%)、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら3時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。さらに、無水トリメリット酸15部(6.3モル%)を加え、常圧下で1時間反応させた。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A5)とする。
(A5)のTgは62℃、Tmは96℃(Tm−Tg:34℃)、Mpは2400、酸価は15、水酸基価は40であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、コハク酸120部(66.3モル%)、水素化ビスフェノールA420部(100.0モル%)、tert−ブチル安息香酸89部(27.2モル%)、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら3時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。さらに、無水トリメリット酸23部(6.4モル%)を加え、常圧下で1時間反応させた。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A6)とする。
(A6)のTgは58℃、Tmは89℃(Tm−Tg:31℃)、Mpは1900、酸価は17、水酸基価は37であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、コハク酸82部(68.1モル%)、ビスフェノールA・アセチル化物(ビスフェノールAと無水酢酸をモル比1:3で80℃、還流下で合成)385部(100.0モル%)を入れ、140℃で2時間反応させた。次いでtert−ブチル安息香酸60部(28.2モル%)を入れ、140℃で2時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下で反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。さらに、無水トリメリット酸9部(3.7モル%)を加え、常圧下で1時間反応させた。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A7)とする。
(A7)のTgは50℃、Tmは84℃(Tm−Tg:34℃)、Mpは2100、酸価は8、水酸基価は45であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、コハク酸78部(68.0モル%)、ビスフェノールS・アセチル化物(ビスフェノールSと無水酢酸をモル比1:3で80℃、還流下で合成)390部(100.0モル%)を入れ、140℃で2時間反応させた。次いでtert−ブチル安息香酸57部(28.1モル%)を入れ、140℃で2時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下で反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。さらに、無水トリメリット酸9部(3.9モル%)を加え、常圧下で1時間反応させた。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A8)とする。
(A8)のTgは55℃、Tmは89℃(Tm−Tg:34℃)、Mpは2200、酸価は6、水酸基価は40であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、無水マレイン酸140部(67.1モル%)、ビスフェノールA470部(100.0モル%)を入れ、140℃で2時間反応させた。次いで安息香酸72部(27.3モル%)を入れ、140℃で2時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下で反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。さらに、無水トリメリット酸23部(5.5モル%)を加え、常圧下で1時間反応させた。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A9)とする。
(A9)のTgは58℃、Tmは93℃(Tm−Tg:35℃)、Mpは2300、酸価は18、水酸基価は40であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、無水マレイン酸115部(66.7モル%)、ビスフェノールS435部(100.0モル%)を入れ、140℃で2時間反応させた。次いで安息香酸62.0部(28.5モル%)を入れ、140℃で2時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下で反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。さらに、無水トリメリット酸16部(4.8モル%)を加え、常圧下で1時間反応させた。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A10)とする。
(A10)のTgは57℃、Tmは91℃(Tm−Tg:34℃)、Mpは2400、酸価は14、水酸基価は45であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、無水フタル酸220部(64.4モル%)、水素化ビスフェノールA180部(55.0モル%)、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物:ニューポールBP−2P(三洋化成工業製:プロピレンオキサイド2モル付加物)215部(45.0モル%)を入れ、140℃で2時間反応させた。次いで安息香酸68部(28.0モル%)を入れ、140℃で2時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。さらに、無水トリメリット酸(7.6モル%)20部を加え、常圧下で1時間反応させた。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(A11)とする。
(A11)のTgは56℃、Tmは91℃(Tm−Tg:35℃)、Mpは2400、酸価は18、水酸基価は38であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸388部(44.5モル%)、イソフタル酸388部(44.5モル%)、アジピン酸21部(2.8モル%)、エチレングリコール600部(100.0モル%)、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、安息香酸17部(2.6モル%)を加え、常圧下で3時間反応させた。さらに、無水トリメリット酸57部(5.7モル%)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。回収されたエチレングリコールは280部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B1)とする。
(B1)のMpは8000、Tgは60℃、Tmは145℃、酸価は26、水酸基価は1であった。
[非線形ポリエステル樹脂(B2)の合成]
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、テレフタル酸298.9部(58.5モル%)、イソフタル酸128部(25.1モル%)、アジピン酸4部(0.8モル%)、エチレングリコール320部(100.0モル%)、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート0.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に1時間反応させた。次いで、安息香酸31部(8.3モル%)を加え、常圧下で3時間反応させた。さらに、無水トリメリット酸43部(7.3モル%)を加え、常圧下で1時間反応させた後、20〜40mmHgの減圧下で反応させ所定の軟化点で取り出した。回収されたエチレングリコールは225部であった。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(B2)とする。
(B2)のMpは5000、Tgは65℃、Tmは155℃、酸価は18、水酸基価は1であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、無水フタル酸125部(100.0モル%)、水素化ビスフェノールA390部(100.0モル%)、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら3時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA1)とする。
(RA1)のTgは65℃、Tmは110℃(Tm−Tg:45℃)、Mpは2800、酸価は1、水酸基価は110であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、コハク酸155部(88.4モル%)、水素化ビスフェノールA600部(100.0モル%)、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3.5部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら3時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。さらに、無水トリメリット酸40部(11.6モル%)を加え、常圧下で1時間反応させた。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA2)とする。
(RA2)のTgは62℃、Tmは100℃(Tm−Tg:38℃)、Mpは2000、酸価は30、水酸基価は90であった。
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、無水フタル酸115部(100.0モル%)、水素化ビスフェノールA115部(30.9モル%)、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物:ニューポールBP−2P(三洋化成工業製:プロピレンオキサイド2モル付加物)380部(69.1モル%)、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3.0部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら3時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下に反応させ、酸価が2以下になるまで反応させた。得られた樹脂を室温まで冷却後、粉砕し粒子化した。これをポリエステル樹脂(RA3)とする。
(RA3)のTgは36℃、Tmは74℃(Tm−Tg:38℃)、Mpは1400、酸価は1、水酸基価は150であった。
まず、ヘンシェルミキサー[三井三池化工機(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、体積平均粒径(D50)が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル製)0.5部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(T1)〜(T14)、および比較のトナー組成物(RT1)〜(RT3)を得た。
下記評価方法で評価した評価結果を表1に示す。
〔1〕最低定着温度(MFT)
市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって最低定着温度とした。
〔2〕ホットオフセット発生温度(HOT)
上記MFTと同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
〔3〕耐ブロッキング性
試料10.0gを200mlポリカップに入れ、40℃の循風乾燥機中で静置した。5日後、乾燥機から取り出し、試料の流動性を確認した。
(判定)
◎:カップを傾けると流れる。
○:カップを傾け、スパチュラでつつくと流れる。
△:カップを傾け、スパチュラで強くつつくと流れる。
×:カップを傾け、スパチュラで強くつついても流れない。
判定が○以上のものが耐ブロッキング性良好と判断される。
〔4〕帯電安定性
トナー組成物0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mlのガラス瓶に入れ、これを23℃、50%R.H.で8時間以上調湿した後、ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×10及び60分間摩擦撹拌し、それぞれの時間毎に帯電量を測定した。測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量を計算し、帯電安定性とした。
帯電安定性の評価基準
◎:0.8以上
○:0.7以上、0.8未満
△:0.6以上、0.7未満
×:0.6未満
Claims (6)
- 線形ポリエステル樹脂(A)と非線形ポリエステル樹脂(B)から構成されるトナーバインダーにおいて、(A)のピークトップ分子量が2500以下、ガラス転移温度〔Tg〕が45〜80℃、〔Tg〕とフロー軟化点〔Tm〕との関係がTm−Tg≦35(℃)であり、かつ酸価が0〜20(mgKOH/g)であり、(A)が芳香族モノカルボン酸(x1)および/またはポリカルボン酸(x2)から構成されるカルボン酸成分(x)と、ポリオール成分(y)とが重縮合されてなるポリエステル樹脂であって、ポリオール成分(y)中にビスフェノールA、ビスフェノールAのアセチル化物、ビスフェノールS、ビスフェノールSのアセチル化物、ビスフェノールSのポリオキシアルキレンエーテル(オキシアルキレン単位の数2〜4)、および水素化ビスフェノールAからなる群から選ばれる1種類以上(y1)を30モル%以上含有することを特徴とするトナーバインダー。
- カルボン酸成分(x)が芳香族モノカルボン酸(x1)を含み、芳香族モノカルボン酸(x1)が、炭素数7〜14の安息香酸およびその誘導体のうち少なくとも1種類を含有する、請求項1記載のトナーバインダー。
- 非線形ポリエステル樹脂(B)が、芳香族モノカルボン酸(x1)および/またはポリカルボン酸(x2)から構成されるカルボン酸成分(x)と、ポリオール成分(y)とが重縮合されてなるポリエステル樹脂であって、ポリオール成分(y)の85〜100モル%が炭素数2〜12のアルキレングリコールである、請求項1又は2記載のトナーバインダー。
- 非線形ポリエステル樹脂(B)のフロー軟化点〔Tm〕が90〜170℃であり、ピークトップ分子量が2000〜12000ある、請求項1〜3のいずれか記載のトナーバインダー。
- 線形ポリエステル樹脂(A)と非線形ポリエステル樹脂(B)の重量比〔(A)/(B)〕が、90/10〜20/80である、請求項1〜4のいずれか記載のトナーバインダー。
- 請求項1〜5のいずれか記載のトナーバインダー、着色剤、並びに、必要により離型剤、荷電制御剤、および流動化剤から選ばれる一種以上の添加剤を含有するトナー組成物。
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