JP4237343B2 - 車両の盗難防止方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車体側のコントローラに予め記録した識別コードを持たないキーに対してはエンジンの始動を禁止するようにした車両の盗難防止方法と、装置とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車体にキーシリンダとコントローラとを取付け、このキーシリンダに差込まれメインスイッチをオンにしたキーに対しては、車体側に取付けたアンテナとこのキーに取付けたトランスポンダ(送信素子)との間で通信することによりこのキーの識別コードを判定し、この識別コードがコントローラに予め登録(記憶)した識別コードに一致した時にエンジンの始動を許容するようにした車両の盗難防止装置が公知である。
【0003】
この装置は、通常キーシリンダにアンテナを組込んでおき、キーに組み込んだトランスポンダに対してこのアンテナから電波を送信してトランスポンダに所定電力を供給する。そしてトランスポンダの充電が一定量に達するとこのトランスポンダが固有の識別コードをアンテナに返送する。コントローラはこの識別コードが登録されたものであればエンジン始動を許容し、登録されたものと一致しなければエンジン始動を禁止して盗難を防ぐものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここにコントローラはマイクロコンピュータ(CPU)を備え、識別コードの判定や、識別コードの照合、識別コードの登録・消去などの種々の動作を行う。またこのコンピュータはエンジンの出力制御や点火時期制御などのエンジン制御も行う。しかしコンピュータは走行中に発生するノイズや周囲から受けるノイズがあった時や、電源電圧が何らかの原因で一時的に低下する時にリセットされて最初から動作を再開する。すなわち識別コードの判定や照合などを行う。また通常の走行中に何らかの理由で識別コードの判定を行う指令が出ることもあり得る。
【0005】
このような場合、エンジンの始動を許容する信号(点火許容信号)が一時的に消失することになるため、エンジンが一時点に失火したり、減速したりして運転が円滑でなくなり、乗り心地が悪くなるという問題が生じる。
【0006】
この発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、走行中に発生するノイズなどによりコンピュータがリセットされたり識別コードの判定を行う指令が発生した場合などにもエンジンの運転が一時的に止まったり、減速したりして運転が不安定になるのを防ぎ、乗り心地を向上させることができる車両の盗難防止方法を提供することを第1の目的とする。またこの方法の実施に直接使用する装置を提供することを第2の目的とする。
【0007】
【発明の構成】
この発明によれば第1の目的は、車体に取付けたキーシリンダおよびコントローラと、前記キーシリンダに差込まれメインスイッチをオンするためのキーと、前記キーに内蔵されこのキーを前記キーシリンダに差込んだ時に前記キーの識別コードを確認するためのトランスポンダと、を備え、前記トランスポンダから検出した識別コードが前記コントローラに予め登録した識別コードと一致する時にエンジンの始動を許容するようにした車両の盗難防止方法において、前記コントローラは、エンジン始動を許容する点火許可信号が一度出力されると、点火許可信号をメインスイッチがオフされるまでの間保持することにより、エンジンを一時的に失火させることなく運転を継続させることを特徴とする車両の盗難防止方法、により達成される。
【0008】
第2の目的は、車体に取付けたキーシリンダおよびコントローラと、前記キーシリンダに差込まれメインスイッチをオンするためのキーと、前記キーに内蔵されこのキーを前記キーシリンダに差込んだ時に前記キーの識別コードを確認するためのトランスポンダと、を備え、前記トランスポンダから検出した識別コードが前記コントローラに予め登録した識別コードと一致する時にエンジンの始動を許容するようにした車両の盗難防止装置において、前記キーの識別コードを登録するメモリと、前記キーシリンダに近接するキーの識別コードを読取るID読取り回路と、前記ID読取り回路で読取った識別コードが前記メモリに登録済みか否かを判定し登録済の時に点火許可信号を出力するID判定部と、前記点火許可信号を前記メインスイッチがオフされるまでの間保持するホールド回路と、このホールド回路が保持する点火許可信号に基づいてエンジンを一時的に失火させることなく運転を継続させるエンジン制御部と、を備えることを特徴とする車両の盗難防止装置、により達成される。
【0009】
【実施態様】
図1は本発明の一実施態様の基本システム構成をを示す図、図2は識別コードの登録・消去動作の概念を示す図、図3は通常使用時の動作流れ図、図4はマスターキー登録時の動作流れ図、図5はキーシリンダ交換時のマスターキー登録動作の流れ図、図6はコントローラの構成を示す図、図7は種々の機能の動作条件と動作内容を対比表にして示す図、図8はシステム動作状態と表示方法とを対比表にして示す図、図9は点火許可信号aのホールド動作を説明する動作流れ図である。
【0010】
まず図1,6に基づいて基本構成を説明する。これらの図で符号10はコントローラであり、ID読取り回路12,CPU(マイクロコンピュータ)14,電源回路16,点火回路18,EEPROM(Electrically Erasable Programable Read-Only Memory)などからなるメモリ20などを有する。このコントローラ10は後記するように、キーに内蔵するトランスポンダ36との間で交信し登録した識別コードを持たないキー34に対してはエンジンの始動を禁止する機能(イモビライザー機能という)を有する。
【0011】
22はバッテリーであり、後記するメインスイッチ(図ではメインSW、MAIN SWとも表示する)30を介して電源回路16に電力を供給する。電源回路16はコントローラ10の各部にそれぞれ対応する電圧を供給する。この電源回路16は、メインスイッチ30がオフになっても電源回路16を一定時間だけ作動し続けるようにする自己保持回路16Aを内蔵する(図6)。
【0012】
また前記点火回路18には後記する点火許可信号aを保持するホールド回路18Aからこの点火許可信号aが入力され、この信号aに基づいて点火回路18は作動する。このホールド回路18Aは一度点火許可信号aが入力されるとそれを後記メインスイッチ30がオフとなるまで保持する。
【0013】
24はエンジンであり、火花点火式エンジンの場合には点火回路18はCDI(コンデンサ放電式点火装置)などで構成される。この点火回路18は、CPU14が持つ点火時期制御部(図示せず)が運転条件に基づいて決定する点火信号に基づいてエンジン24の点火栓24Aに点火火花を発生させる。点火回路18の構成はエンジン24の種類により変えるべきであり、例えばエンジン24として電動モータを用いる場合にはこの点火回路18はモータの駆動力を変える電気回路、例えばPWM(パルス幅制御)制御回路などで構成される。この発明ではエンジン24は、電動モータなどを含む広い概念であり、また点火回路18はこの発明のエンジン制御部を構成する。
【0014】
メモリ20はIDコード(識別コード)や他の種々のデータを記憶するものであり、電源が切れた状態(メインスイッチ30がオフ)でもその記憶した内容は消去されることがない。しかし後記するように、全クリアキーを使った時、マスターキーやサブキーの再登録時などの一定の条件の下では、全クリアキーのIDコード以外の全部(すなわちマスターキーとサブキーのIDコード)あるいは一部(サブキーのIDコード)を電気的に消去することが可能である。また全クリアキーのIDコードは前記したように、固定データとして消去不可能に記憶されている。
【0015】
図1で26は液晶(LCD)や発光ダイオード(LED)を用いた表示メータであり、スピードメータなどの通常の走行に用いるメータ類、警告類を表示するだけでなく、後記するようにイモビライザーシステムの動作表示を行う動作表示部26Aを持つ。
【0016】
28はキーシリンダでありメインスイッチ30とアンテナ32を内蔵する(図6参照)。34はキーであり、その柄部の中にはトランスポンダ36が埋め込まれている。なおトランスポンダ付きのキー34には1つのマスターキーと、サブキー1と、サブキー2とがあるが、これらを総称する時は単にキー34ということにする。なお特殊なキー34として全クリアキーもあるが、これらの各キー34の機能については後記する。
【0017】
全クリアキー以外のキー34がキーシリンダ28に差込まれてメインスイッチ30がオンにされると、電源回路16が作動開始してコントローラ10が起動する。するとID読取り回路12がアンテナ32を介してキー34に無線により電波を送る。トランスポンダ36に所定電力がたまるとトランスポンダ34は固有の識別コード信号をアンテナ32に送り返す。ID読取り回路12はこの識別コード信号を解読しCPU14に送る。
【0018】
CPU14はID判定部14A、ID消去部14B、ID登録部14C、タイマ14D、その他の点火時期制御部などの機能を持つ。これらの機能は実際にはソフトウェアで構成される。ID判定部14AはID読取り回路12で読取った識別コード(IDコード)をメモリ20に登録したIDコードと比較し、登録済みであればエンジン24の始動を許容する信号(点火許可信号)aをホールド回路18Aに送る。このホールド回路18Aは、一度この信号aを受けると、その後メインスイッチ30がオフされるまでこの信号aを点火回路18に送り続ける。ID読取り回路12で読取った識別コードがメモリ20に登録したIDコードに一致しなければ、エンジンの始動を禁止する信号(点火禁止信号)bを点火回路18に送る。
【0019】
ID消去部14Bは後記するように、識別コードの変更や再登録の際にメモリ20から全クリアキーのIDコードを除く他の全部または一部の識別コードを消去する。ID登録部14Cは新しい識別コードをメモリ20に登録する。
【0020】
このコントローラ10は、メモリ20に全クリアキーのIDコードを固定データとして登録し、これは消去できないものとする。コントローラ10はメモリ20に他のIDコードすなわちマスターキー、サブキー1,サブキー2のIDコードが全てメモリされていない時には、最初に使用されたトランスポンダ付きキー34がマスターキーとして登録され、その後一定の手続で順次差込まれたトランスポンダ付きキー34がそれぞれサブキー1,サブキー2として登録される。
【0021】
通常使用時ではサブキー1,サブキー2を用いる。この場合図3に示すように動作する。まずサブキー1または2をキーシリンダ28に挿入して回すことによりメインスイッチ30をオンにする(図3,ステップS100)。すると電源回路16が強制的にオンとされ(ステップS102)、コントローラ10が起動する。次にコントローラ10のID読取り回路12が挿入したサブキーのIDコードを読取り(ステップS104)、CPU14のID判定部14AがこのサブキーのIDコードがメモリ20に登録されているか否か判定する(ステップS106)。
【0022】
挿入したサブキーのIDコードが登録済みであれば、このサブキーは正規なものと判定され、点火許可信号aをホールド回路18Aを介して点火回路18に送り(ステップS108)、エンジン24を始動可能にする(ステップS110)。この結果車両は走行可能になる。この間のステップS100〜S110の動作は正常なものであるから、メータ26の動作表示部26Aには警告表示がされない。すなわちイモビライザーシステムの動作を示すためのLCDやLEDからなる動作表示部26Aは点灯も点滅もしない。
【0023】
挿入したサブキーのIDコードがメモリ20に登録されていない時には(ステップS106)、メインスイッチ30がオンになってからの経過時間が5秒以内の間はメータ26の前記動作表示部26Aを一定時間(5秒)連続点灯し(ステップS112)、その後は高速周期(1秒周期)で点滅させ(ステップS114)、エンジン始動を禁止させる(ステップS116)。この時の動作表示部26Aの動作は図8の動作条件(2)に示す。この状態を解除するためには正規のキー34を用いてメインスイッチ30をオンにすればよい。
【0024】
次にマスターキーの登録あるいは変更手続を図4を用いて説明する。この手続は通常工場から車両を出荷する際に行われる。ここではマスターキーの変更に使う「特定のIDコードを有するキー」として、全クリアキーを用いる。まずメモリ20にはマスターキーおよびサブキーのIDコードは登録されていないものとする。なお全クリアキーのIDコードはメモリ20に固定データとして記憶されている。
【0025】
この状態でマスターキーをキーシリンダ28に挿入しメインスイッチ30をオンにする(図4,ステップS120)。ID読取り回路12がこのマスターキーのIDコードを読取り(ステップ122)、CPU14のID登録部14CはこのIDコードをマスターキーとしてメモリ20に記憶する(すなわち登録)する(ステップS124)。CPU14は点火許可信号aをホールド回路18Aを介して点火回路18に送り(ステップS126)、エンジン24は始動可能になる。これで車両にマスターキーの登録が終わり車両完成検査を経て出荷可能となる(ステップS128)。
【0026】
メインスイッチ30をオフにしてマスターキーを抜くと(ステップS130)、エンジン24は停止するが、電源回路16の自己保持回路16Aによりコントローラ10は作動を継続する。またこのメインスイッチ30がオフした後の経過時間が監視され、一定時間(10秒)経過すると(ステップS132)、自己保持回路10Aを不作動としてコントローラ10の電源をオフにし全ての動作を終わる(ステップS134)。
【0027】
自己保持回路16Aが作動している間に全クリアキーを挿入すると(ステップS136)、この全クリアキーのIDコードを読取り(ステップS138)、このIDコードがメモリ20に予め記憶された全クリアキーのIDコードに一致していれば、全クリアキーのIDコード以外の全ての登録IDコードをメモリ20から消去する(ステップS140)。そして全クリアキーを抜けばマスターキーの再登録が可能になる(ステップS142)。すなわちIDコードが異なる別のマスターキーを登録できる。
【0028】
なおステップ120〜126において、マスターキー挿入後点火許可信号aが出るまでに、IDコードを読取るための信号の送受信を何回か繰り返すことがあり得る。特にアンテナ32によりトランスポンダ36を充電するのに時間がかかったり、IDコードの読取りを複数回繰り返してIDコードの読取り間違いを防ぐことがある。このような場合には点火許可信号aが出るまでの間、動作表示部26Aを低速周期で点滅させる。この点滅は図8の動作条件(3)に示すように2秒周期で9秒間繰り返される。すなわち5回点滅する。
【0029】
次にキーシリンダ28が壊れた時などにキーシリンダ28を交換する場合の手順を図5に基づいて説明する。なおこの場合コントローラ10やメモリ20の内容は変更しないものとする。ここではマスターキーの登録に用いる「特定のIDコードを有するキー」として古いマスターキーを用いる。キーシリンダ28を交換すると、新しいキーシリンダ28に適合するトランスポンダ付きの新しいキー(未登録)を差込んでメインスイッチ30をオンにする(ステップS150)。
【0030】
するとコントローラ10の電源が入り、挿入した新しいキーのIDコードが読取られる(ステップS152)。このIDコードはメモリ20には登録されていないから、照合の結果(ステップS154)登録済みのIDコードとは不一致となる。メインスイッチ30がオンしてからの経過時間が5秒経過するまでの間は動作表示部26Aを連続点灯し(ステップS156)、5秒経過すると点火禁止信号bを出して高速周期での点滅に切替える(ステップS158)。この表示動作は図8の動作条件(2)となる。
【0031】
この状態でメインスイッチ30をオフにし新しいキー(未登録)を抜けば(ステップS160)、その後10秒間は自己保持回路16Aが作動してコントローラ10は作動を続ける(ステップS162)。その間に、すなわち動作表示部26Aが高速で点滅している間に、全クリアキーまたは古いマスターキーを挿入しなければ自己保持回路16Aが解除されて電源がオフとなる(ステップS164)。この動作表示部26Aが高速で点滅している間に全クリアキーか古いマスターキーが挿入されると(ステップS166)、挿入したキーのIDコードが読取られる(ステップS168)。このIDコードはコントローラ10のメモリ20に登録されているから、CPU14はメモリ20の全ての登録済みIDコード(全クリアキーのIDコードを除く)を消去する(ステップ170)。
【0032】
そしてこの全クリアキーまたは古いマスターキーを抜き取れば(ステップ172)、前記図4に示した新しいマスターキーの登録手順と同様に新しいキーをマスターキーとして登録することができる。すなわち新しいキーによりメインスイッチ30をオンとし(ステップS174)、そのIDコードを読取って(ステップS176)、このIDコードを新しいマスターキーのIDコードとして登録する(ステップ178)。CPU14は点火許可信号aをホールド回路18Aを介して点火回路18に送りエンジンの始動を許可する(ステップS180)。この新しく登録されたマスターキーでメインスイッチ30をオフにしてこのマスターキーを抜いた後(ステップS182)、次のようにしてサブキーの登録が行われる。
【0033】
サブキー1の登録は図7の機能(4)「サブキーID登録」の項に説明してあるように、マスターキーの抜き取り後一定時間(10秒)以内に別のトランスポンダ付きのキーを挿入しメインスイッチ30をオンすることにより行われる。またサブキー2の登録は、このサブキー1でメインスイッチ30をオフし抜き取った後、一定時間(10秒)以内に別のトランスポンダ付きのキーを挿入しメインスイッチ30をオンにすることにより行われる。
【0034】
なお通常は2つのサブキー1,2が使用されるが、いずれか一方を紛失した時には次のようにして新しいサブキーを登録する。すなわち残っているサブキーでメインスイッチ30をオンした後、オフし、一定時間(10秒)以内に新しいトランスポンダ付きのキーを挿入してメインスイッチ30をオンにすればよい。またサブキーの登録時には、その登録可能な時間内に動作表示部26Aが2秒周期で5回(9秒)点滅するから、その点滅中に登録が可能であることが容易に確認できる。なお2つ目のサブキーを登録した時には動作表示部26Aは点滅しないから、サブキーの登録が1番目か2番目かを動作表示部26Aの表示から判断できる。
【0035】
以上説明した種々の動作は図7に対比して示してある。図2はIDコードの登録/消去のイメージを示すものであり、工場出荷時には全クリアキーによってメモリ20の内容を全クリアキーのIDコードのみ残して他を全て消去することが示されている。ここに全クリアキーは工場内に複数個備えておき、それぞれを責任者が管理するようにするのがよい。ライン登録はマスターキーを登録する手順であり、図4で説明したものである。ユーザー登録およびユーザー再登録は、図7の機能(4)で説明したものである。
【0036】
図8はメータ26に表示する動作内容を示すものであり、動作条件1は、登録済みサブキーでメインスイッチ30をオンする時や2件目のサブキーを登録する時などの正常な使用時には動作表示部26Aは点灯しないことを示す。この場合に1回の通信で照合が済まない時や、3回連続の通信で登録OKとならなかった時には点灯する。この点灯の動作は動作条件1〜4によって図8に示すように変えておく。この結果点灯の様子から逆にどのような動作状態であるかを判定することも可能になる。
【0037】
次に図9を用いてホールド回路18Aの機能を説明する。登録すみの正規のキーを用いてメインスイッチ30をオンにし電源をオンにすれば、コントローラ10は作動する(ステップS220)。ID判定部14AがこのキーのIDコードが登録された正しいIDコードである判定すれば(ステップS222)、点火許可信号aをホールド回路18Aに出力する(ステップS226)。ホールド回路18Aはこの信号aをメインスイッチ30がオフされるまで保持し、点火回路18に送る。
【0038】
従って点火回路18は通常のエンジン制御を行ってエンジンを運転可能にする(ステップS228)。走行を終ってメインスイッチ30がオフされると(ステップS230)、ホールド回路18Aは信号aのホールドを終了し、点火回路18はエンジンの運転を停止させる(ステップS232)。メインスイッチ30のオフ後の一定時間は電源回路16の自己保持回路16Aが作動しこの自己保持回路16Aの設定時間内であれば(ステップS234)、前記したようにIDコードの登録や再登録などが可能であり(ステップS236)、この自己保持時間が過ぎれば電源がオフして終了する。
【0039】
【発明の効果】
請求項1の発明は以上のように、点火許可信号が一度出るとこれをメインスイッチがオフされるまでホールドしてエンジンを運転し続けることを可能にしたものであるから、走行中にノイズなどによりコンピュータがリセットされたりしてもエンジンが一時的に失火(停止)したり出力が低下したりせず、円滑な運転を続けることができる。また請求項2の発明によれば、この方法の実施に直接使用する車両の盗難防止装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様の基本システム構成を示す図
【図2】識別コードの登録・消去動作の概念を示す図
【図3】通常使用時の動作流れ図
【図4】マスターキー登録時の動作流れ図
【図5】キーシリンダ交換時のマスターキー登録動作の流れ図
【図6】コントローラの構成を示す図
【図7】動作条件と動作内容の対比表を示す図
【図8】システム動作状態とメータ表示方法を対比表にして示す図
【図9】ホールド回路の動作を説明する動作流れ図
【符号の説明】
10 コントローラ
12 ID読取り回路
14 CPU
14A ID判定部
14B ID消去部
14C ID登録部
16 電源回路
16A 自己保持回路
18 エンジン制御部としての点火回路
18A ホールド回路
20 メモリ
24 エンジン
26 メータ
26A 動作表示部
28 キーシリンダ
30 メインスイッチ
32 アンテナ
34 キー
36 トランスポンダ
Claims (2)
- 車体に取付けたキーシリンダおよびコントローラと、前記キーシリンダに差込まれメインスイッチをオンするためのキーと、前記キーに内蔵されこのキーを前記キーシリンダに差込んだ時に前記キーの識別コードを確認するためのトランスポンダと、を備え、前記トランスポンダから検出した識別コードが前記コントローラに予め登録した識別コードと一致する時にエンジンの始動を許容するようにした車両の盗難防止方法において、
前記コントローラは、エンジン始動を許容する点火許可信号が一度出力されると、点火許可信号をメインスイッチがオフされるまでの間保持することにより、エンジンを一時的に失火させることなく運転を継続させることを特徴とする車両の盗難防止方法。 - 車体に取付けたキーシリンダおよびコントローラと、前記キーシリンダに差込まれメインスイッチをオンするためのキーと、前記キーに内蔵されこのキーを前記キーシリンダに差込んだ時に前記キーの識別コードを確認するためのトランスポンダと、を備え、前記トランスポンダから検出した識別コードが前記コントローラに予め登録した識別コードと一致する時にエンジンの始動を許容するようにした車両の盗難防止装置において、
前記キーの識別コードを登録するメモリと、
前記キーシリンダに近接するキーの識別コードを読取るID読取り回路と、
前記ID読取り回路で読取った識別コードが前記メモリに登録済みか否かを判定し登録済の時に点火許可信号を出力するID判定部と、
前記点火許可信号を前記メインスイッチがオフされるまでの間保持するホールド回路と、
このホールド回路が保持する点火許可信号に基づいてエンジンを一時的に失火させることなく運転を継続させるエンジン制御部と、
を備えることを特徴とする車両の盗難防止装置。
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