少し前に、TBSの「はなまるマーケット」という番組から問い合わせがありました。「おざなり」と「なおざり」の意味の違いを教えてほしいというのです。視聴者が疑問に思う言葉の違いを説明するコーナーだそうです。たとえば、料理によく出てくる「適宜」と「適量」は、どう違うのか、はっきりしてよと視聴者が答えを迫るという趣向のコーナーです。 ふむふむ、「おざなり」と「なおざり」ですね。確かに似ています。『広辞苑』をひいてみても、「おざなり」=「その場のがれにいいかげんに物事をするさま」、「なおざり」=「いい加減にするさま」と説明されていて、区別がつきません。 さあて、違いは? まず、言葉の古さ・新しさの違いがあります。われわれ中年以上の人間は、どちらも使いますが、若者は「おざなり」の方なら時々使うけれど、「なおざり」はほとんど使わないと言います。それも道理です。「なおざり」の語は、平安時代から存在する古い