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Routes -ルーツ-

【るーつ】

ジャンル ビジュアルノベル
対応機種 Windows98~XP
メディア 【CD】CD-ROM 2枚組
【DVD】DVD-ROM
開発・発売元 Leaf
発売日 【CD】2003年2月28日
【DVD】2003年11月28日
定価 8,800円
レーティング アダルトゲーム
判定 なし
ポイント 2人のシナリオライターで、個別ルートの雰囲気が別物
幅が広いとも、一貫性がないとも言える
Leaf/AQUAPLUS作品リンク

Routes PE / Routes PORTABLE

【るーつ ぴーいー / るーつ ぽーたぶる】

ジャンル ビジュアルノベル
PS2

PSP
対応機種 プレイステーション2
プレイステーション・ポータブル
開発・発売元 AQUAPLUS
発売日 2007年1月25日
定価 【PS2】通常版:5,800円 / 初回限定版:7,800円
【PSP】4,800円 (全て税抜)
レーティング CERO:C(15歳以上対象)
廉価版 【PSP】2009年7月16日/2,800円(税抜)
判定 なし
ポイント ボイスとシナリオの追加


概要

Leaf制作のWindows向けアダルトゲームと、そのCS移植版。
普通の高校生と、世界トップクラスの諜報員の二つの顔を使い分ける少年を主人公とした、スパイ・アクション物である。
企画・原案はアクアプラス社長の下川直哉。

オリジナルのWin版は当初CD-ROMで販売され、その後DVD版が発売。
Win版発売から約4年とかなり経ってからPS2とPSPに移植したCS版が発売された。
CS版は18禁シーンの削除や追加シナリオ等の違いはあるものの、基本的な内容に違いはない。よって、この記事では併記する。

画面全体に文章が表示されるビジュアルノベル形式。
選択肢を選ぶ場面は多くなく、バッドエンドに至る選択肢はたった1つだけである。

Win版とCS版の違い

  • Win版では画面右にセーブ・ロードなどのオプションとメッセージ消去をまとめたサイドバーがあったが、CS版ではボタン操作とシステムメニューにまとめられているため存在しない。
  • PS2版の初回限定盤にはPSP版の機能限定版*1が付属する。
    • それを活かすためか、PS2版とPSP版のセーブデータを双方に読み込ませることが可能。
    • PS2版とPSP版の差は画面の縦横比であるが、PSP版は方向キーで背景CGをスクロールできる。
  • Win版にボイスは無く、CS版でフルボイス化されている。
  • CS版には追加シナリオがある
    • 「湯浅文月編」が追加されている*2
    • ファンディスク『アルルゥとあそぼ!!』に収録された後日譚の「福原庄蔵氏と楽しい仲間達」と「魂の絵にサクラサク」がエクストラ ミッションとしてビジュアルノベル化されて収録されている。
  • ただし、逆にWin版に存在したおまけシナリオ「る~ちゅ編」が削除されている。
    • 内容は主人公たちがLeaf本社へ赴いて騒動を解決するメタ要素の強い裏話シナリオ。削除されたのは会社名が出ている事に関係しているのもかもしれない。

ストーリー

かつて国家に縛られた"スパイ"という職業があったが、情報が金を生む今日ではフリーの「エージェント」が暗躍する。
そんなエージェントの世界トップランカーである高校生の那須宗一、通称「Nasty Boy」は熊野灘沖のタンカー連続失踪事件に着手する。

シナリオ構成

  • 1周目
    • シナリオは熊野灘の現場から始まる。このイベントは1周目しか見れない。
    • 那須宗一の学校生活が導入部となり、「リサ=ヴィクセン編」、「湯浅皐月編」もしくは「伏見ゆかり編」のいずれかしか攻略できない。
    • 内容は熊野灘沖のタンカー連続失踪事件を軸とした戦いに巻き込まれていくもの。学園物とバトルアクションが主体の少年漫画的展開となっている。シナリオ担当は永田和久。
  • 2周目
    • 2周目以降は宗一の夢から始まる。
    • 2周目は宗一が学校を休む形になり、「梶原夕菜編」もしくは「立田七海編」のどちらかしか攻略できない。
    • こちらは宗一の過去や内面に迫る内容であり、アクションシーンは皆無で登場人物も少ない。シナリオ担当はまるいたけし。
  • 3周目以降
    • 学校に行く(1周目のルート)か学校を休む(2周目のルート)か選択可能になり、5人のヒロイン全てが攻略可能。
  • 上記5つのエンディングを見た後
    • (PC版)夢からではなく学校から始まり、グランドルート「Routes編」のみが攻略可能*3
    • (CS版)「湯浅文月編」が解放される。
      • 「湯浅文月編」終了後、PC版と同様「Routes編」に移行する。
  • Routes編
    • グランドルート。タイトル通り、本当の『Routes』のストーリーと言うべき内容で、事件に決着を付ける。シナリオ担当は永田和久。
    • ストーリー自体は独立しているのだが、全ヒロインのルートの出来事を(各々と深過ぎる関係にならない程度に)体験した事になっており、正にRoutesの総決算と言えるルートである。
    • 終了後はタイトル画面に戻らず、引き続き「Roots編」が始まる。
  • Roots編
    • 本筋の事件が終わったと思いきや始まる、真の最終章。宗一自身のルーツ、敵の正体、世界の秘密が解き明かされ、物語は本当の結末を迎える。シナリオ担当はまるいたけし。
    • 中盤から後半に掛け、宗一の先祖である那須大八郎を主人公とした過去編が描かれる。
  • 全編クリア後
    • Win版ではとある場面で追加される選択肢を選ぶと「る~ちゅ編」が、CS版では「スペシャル」内の「エクストラ ミッション」が開放され、そこから「福原庄蔵氏と楽しい仲間達」と「魂の絵にサクラサク」がプレイ可能となる。
    • 「最初から始める」を選ぶとRoutes編(各ヒロインのルートにも分岐可能)とRoots編のどちらをプレイするか選択可能になる。

評価点

共通の評価点

  • 読み応えのある分量
    • 各ルートはパラレルワールド化しており、敵の作戦も違うなど展開が異なっていて、マンネリは避けられている。
    • しかも各編とも半日程度のプレイ時間がある。
    • キャラクター達も魅力的な人物が揃っており、主人公にヒロイン達、さらには脇役まで濃い人物が揃っている。
      • 主人公の宗一はチート級の完璧超人ながら残念な面や等身大の描写も多く、好感が持ち易いキャラになっている。
    • 特に皐月編の終盤やRoutes編でのバカップルぷりは好評。
  • ED曲「あなたを想いたい」は本作の〆にふさわしい名曲。
    • 要所で使われるアレンジされたBGMも良曲。
    • OP曲「Routes」とビギニングテーマ「君をのせて」も爽やかな曲調で、名曲として人気が高い。こちらを歌っているのはLeaf作品の主題歌を担当していた中山愛梨沙。

Win版の評価点

  • システムは全体的に洗練されており、ストレスは皆無。
    • サイドバーのスライダーをいじれば文章表示領域の透明度を調整できたり、かゆいところまで手が届く内容になっていると言える。
    • このサイドバーは後に発売された『ToHeart2 XRATED』でさらに多機能化されている。

CS版の評価点

  • ボイスの追加
    • 原作はボイスが存在しなかったため、コンシューマー版の大きな魅力と言える。
    • 釘宮理恵等の有名声優を起用しており、いずれもハマリ役。主人公の宗一もボイス付き(CV:間島淳司)である。
    • クリア後には各声優のコメントを聞くこともできる。
  • 高速スキップ機能は「次の選択肢の場面まで一気に飛ばせる機能」であり、その名に恥じない速さである
    • PSPのADVにおいてはこの速さは間違いなく上位に入るであろう。
  • Win版ではファンディスクに収録されていたエクストラ ミッション2編を収録した点。
    • 話は短いながら、ファンからの評価は高かっただけに追加収録したのは純粋に評価点と言える。
      • 本編最後のRoots編はしっかり全てに決着を付けるのだが、エピローグの類は無く終わってしまうのでやや寂しさの否めないラストでもある*4。これらの収録により、後日談を堪能して後腐れなくゲームを終える事ができるようになった。
      • また、2周目ルートのヒロイン2人は当人のルート以外には顔を見せず、Routes編にもRoots編にも全く関わってこなかったのだが、このエクストラミッションにはどちらにも登場する*5上に、本編では無かった他のキャラとの絡みも見られる。
    • CS版発売後には、このエクストラ ミッションの更に後日談にあたるドラマCDも発売されている。
  • CS版にはフルアニメーションのオープニングムービーが収録されている。
    • オープニングも一新されており、数々のアニメ主題歌を手掛けた奥井雅美が歌う「Remote Viewing」に乗せて躍動感のあるアニメが流れる。

賛否両論点

  • ストーリーの振れ幅が大きい
    • 世界トップランカーのエージェントが敵のアジトに忍び込んだりする一方で、高校の同級生の女子に好き放題に振り回されたりする。アクション要素が強く、バトル物の様相になっている。
    • 2周目から攻略可能なシナリオはそれまでの熱いバトルアクションと一転し、どちらかと言うと切ないものとなっている。
      • こちらは事件には関わらず宗一自身を掘り下げるシナリオだが、1周目との落差が大きく、「地味」「暗い」という感想も散見される。宗一の言動も1周目に比べるとかなり影を帯びている。学校に行かなかっただけでこんなに人が変わるのか。
      • ヒロイン達も当該ルートのキャラ以外は全く登場しない*6ので、猶更地味さに拍車が掛かる。登場する偏屈老人「福原庄蔵」のキャラはぶっ飛んでいるが、(主人公が暗くなっている点もあって)やはりそれだけでは限度がある。
    • CS版で追加された文月のシナリオはこのどちらとも言えないドタバタ系のシナリオである。また、CS版限定シナリオなのでムフフな雰囲気は全く無く恋愛要素すらも皆無に等しい、終始和気藹々とした展開となっている。
      • Routes編以降に文月が関わって来ない(=このシナリオが他方に影響しない)のはWin版と同じなので、おまけシナリオと捉えるべきか。
    • 「Roots編」では一転して伝奇物となり、別の話を無理矢理つなげたようなぎこちなさがある。気持ちを切り替えて楽しめれば良いのだが、全編スパイアクションだと思って購入するとモヤモヤすることとなる。
      • 一応、このRoots編で宗一自身のルーツが描かれ、彼が若くしてトップエージェントになれるほどの能力を持っている理由づけがされている。主人公のルーツが物語のキーになっているという点ではタイトルに偽りはないと言える。
      • また、Roots編中盤で描かれる大八郎シナリオも一つの物語として成立しており、これはこれで読み応えがある。
  • 作品の幅が広いと思うか、一貫性が無いと感じるかは受け手次第である。
    • レビューサイトでも「全ルート楽しめた」「特定のルートだけ楽しめた」等、かなり意見は割れている。
    • 上述した通り、永田氏とまるい氏の2名がシナリオを担当しているが、両氏の作風の違いがはっきりしているため「どちらかの担当したヒロインのみ好き」と言う意見もある。
      • ちなみにエクストラ ミッションの2シナリオも両氏が別々に担当している。
  • CS版OPアニメは出来そのものは良いものの、内容は作中との乖離が激しい。本編を知るプレイヤーからはOP詐欺とも称される。
    • また、「Remote Viewing」も単体では決して悪い訳ではないのだが、Win版の主題歌が人気が高かった事もあり、そちらの方が作品に合っていたという声も。

問題点

共通の問題点

  • CGの量が少ない
    • アクション要素の強い作品なのにそのアクションシーンのイベントCGがほぼ皆無なので、緊迫感や爽快感が薄い。せっかくの作風が活かしきれていない。
    • その他イベントでも専用CGが用意されていない場面が多い。
    • そんな中でも1周目冒頭のイベントは良く出来ているが、残念ながら1周目しか見ることが出来ない。

Win版の問題点

  • 前述の通り、2000年代のタイトルでありながらボイスがない点に関してはよく批判に挙げられる。

CS版の問題点

  • 18禁シーンのカットによる弊害
    • 基本的にエロシーン抜きでも成立する話なのだが、ゆかりルートでは一部のシーンが若干不自然になっている。

総評

ゲーム全体の分量については十分である。ストーリーの質は、良いものもあればやや冗長なものもある。
ジャンルの異なるストーリーが混ざっている点については、人それぞれの好みがあり、賛否両論となっている。
この作りをどう受け止めるか、そしてバラバラなジャンルをどこまで気に入られるかで評価が変わってくるだろう。

その後の展開

  • 格闘ゲーム『AQUAPAZZA』のパートナーキャラとして湯浅皐月が出演している。
最終更新:2021年11月04日 18:12

*1 CGギャラリー及びミュージックライブラリーの閲覧機能が無いだけ。

*2 文月の存在自体はWin版の時点で言及されていたが、ゲームに登場するのはこれが初。

*3 「最初から始める」を選んでも「Routes編」が始まる。

*4 Roots編に登場する本編ヒロインも皐月だけである。

*5 特に前編にあたる「福原庄蔵氏と楽しい仲間達」はこの2人に焦点を当てたシナリオである。

*6 こちらのルートのヒロイン2人はRoutes編で一応触れられるが、直接登場する訳ではなく宗一の回想に出て来る程度に留まる。