まじかる☆プリンス
【まじかるぷりんす】
ジャンル
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魔法のプリンス花嫁探しドタバタまじかるコメディAVG
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対応機種
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Windows 98SE~Vista
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メディア
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CD-ROM
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発売・開発元
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ロール
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発売日
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2008年3月28日
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定価
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8,800円(税別)
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ディスクレス起動
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可能
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レーティング
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アダルトゲーム
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判定
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クソゲー
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ポイント
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説明書通りに起動できない
2chでライターとユーザーが協力 エロゲーツクール2008
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ロール作品 ないしょの放課後 - おしかけおさなづま^3 School Festa - シスターシスター - まじかる☆プリンス
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概要
エロゲーブランド「ロール」の遺作。
あろうことかデバッグ用のデータを焼き、そのまま出荷する大ポカをやらかす。とんでもない未完成品。
しかし2chにライターが登場しユーザーと交流。協力してプログラムを直し「エロゲーツクール2008」を誕生させた。
特徴
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ジャンルは恋愛アドベンチャー
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選択肢によりキャラクターの好感度を高めて、個別ルートに突入する。ありふれた内容。
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選択肢は解りやすく、狙ったヒロインを攻略しやすい。
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何故か一度だけ時間制限のある選択肢がある。
ゲーム内容以前の問題点
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説明書通りに起動できない
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自動でインストーラーが起動すると書いてあるが、インストーラーはない。
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ディスクに「まじかる」と書かれたファイルが入っているので、これをHDDに手動でコピーする必要がある。
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ファイルを開き直接起動する事も出来るが、セーブ機能が使えず、パソコンに負担がかかるので止めた方が良い。
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上記の手順を踏み、「まじかる☆スクール.exe」から起動できる。
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システムの問題
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起動するとデバッグウインドウが同時に立ち上がる。このウインドウのみを閉じる事は出来ない。
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CGモードをクリックすると一切の操作を受け付けなくなる。
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ボイスが異常に小さく、BGMとバランスが取れていない。ボイスを最大にしても聴き取りにくい。
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SKIPボタンを押すと1ページだけスキップする。それはスキップとは言わない。
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これらは後述する非公式なプログラム書き換えにより解決可能。
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オープニングもエンディングもない。
問題点
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テキスト
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誤字脱字があまりにも多い。600箇所以上も修正箇所が見つかっている(参考)。
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以下のように根本的に文章がおかしい、メモの消し忘れ、スクリプトのミスで同じ文章を繰り返すなど、ミスの種類は多岐にわたる。
少しの間治癒の光をあてた足。よかった。すこし後は残ったが血は止まっていた。足になっていた。
(少年の台詞? 表記ミス?)「いくぞ、カウントダウンだ」
に僕を見て、櫻さんは祝福してくれた。 「勇輝くん、おめでとうござます」 濡れた瞳で、まっすぐに僕を見て、櫻さんは祝福してくれた。 「……わたし、嬉しいです」
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シナリオ
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本作は5人のライターが参加している。
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尾崎貞夫が世界設定を担当。それを基準にディレクターなし(参考)で5人が個別ルートを担当している。
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また自分の担当していないルートのセリフの修正なども行っている(参考)。
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そのため、シナリオ間の整合性がまるで取れておらず、個別ルートごとに設定が変わっている。
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また下手に修正を加えたため、同じ物を表す単語が表記揺れしていたり、ボイスの読み上げとテキストがあっていなかったりする。
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グラフィック
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原画家は現役で人気もあるオダワラハコネ氏。
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……なのだが、立ち絵が薄幸そうに見える。主人公の母親がヒロインにそっくり。骨格がおかしいCGがあるなどいまひとつの出来。
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明らかに後から主人公を書き足したようなCGや、左右反転で使いまわされるCGもある。
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システム(未解決)
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クリックした後ワンテンポ置いてからボイスが再生される。何度もクリックするADVとして致命的。
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ボイスがない箇所がある。
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ほとんどの場面で立ち絵が中央に集まり、重なって表示される。
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CGをフルコンプできない。そもそも前述するようにプログラムを書き換えないと、CGモード自体が開かないのだが……
評価点
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数枚ではあるが、可愛らしい一枚絵もある。
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エロシーンにおいてはそれなりに良い物が使われている。
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BGMとボイスは元々は悪くない。音量バランスが悪いので後述の修正は必須。
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エンディングがないので、ほとんどの声優は不明。一人は成瀬未亜と判明している。
総評
まともに起動しない上、起動してもテキストやシステムが穴だらけで、読み物としての評価も低い。
公式の対応も悪質でエロゲー業界の闇が垣間見える一作。
エロゲーツクール2008
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発売日にライターの一人「尾崎貞夫」が2chに登場し、何故こんな状況になったかの解説をした。
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その後ユーザーがCGモードを直したのを皮切りに、デバッグウインドウを閉じるパッチなどが配布された。
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また暗号化されていないため、CGやテキストを安易に書き換えることが可能だと判明。自由にエロゲーを作れる「エロゲーツクール2008」誕生の瞬間である。
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尾崎貞夫はこれを認め、ブログでパッチを保管している。
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修正点のまとめはこちら。
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スレではハーレムルートを作ろうと盛り上がっていた。
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しかしロールスレのURLがあちこちに貼られ、購入していないお客さんが乱入してスレの雰囲気が悪化。
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結局、ハーレムルート制作は断念。プログラムの修正以上のことは行われなかった。
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エンディングは尾崎貞夫が知り合いに頼み作成。ニコニコ動画に投稿された。
余談
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最悪な公式の対応
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3日後に公式に未完成品であることが認められた。
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7日後に回収対応する事が明らかにされた。
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告知日に郵送したユーザーにディスクが帰ってきたのは2ヶ月近く経ってから。内容はデバッグウインドウと回想モードの修正だけだと報告されている。他に修正すべき点が山積みなうえ、その2つは既にユーザーが解決した問題である。
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それでもまだ良いほうで、
2年経ってもディスクが帰ってこなかったユーザーもいるという
(参考)。
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本作の発売年にクソゲーオブザイヤーinエロゲー板が始動している。
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本作の名前も挙げられたが本当にプレイしたのか分からないレベルの短文しか投稿されていない。
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そのため次点に入る事もなく、エントリー作品にとどまった。
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ちなみに同年の『Garden』『暁の護衛』といった未完成品もエントリー止まりだった。
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これらは基本的なクオリティは高いため、尻切れトンボな点が問題視されている。同じ未完成品といっても起動すら困難な本作とは雲泥の差である。
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尾崎貞夫氏はギャラの半分を現物で受け取っている。(参考)。
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櫻ルート担当の箕崎准氏は
ギャラを踏み倒された
とのこと。(参考)
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スレでは他にも未払いを訴える匿名の書き込みがいくつかあった。
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Windows Vista以降のOSでも起動可能。
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「d3drm.dll」をダウンロードして、「まじかる☆スクール」と同じフォルダに入れることで起動できる。
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回収対応が発表された際、悪質な会社に住所を知られたくないと考え修正版をこばむユーザーもいた。
参考
最終更新:2024年11月28日 21:40