日立製作所が使用済み核燃料を燃料に使う資源再利用型沸騰水型軽水炉(RBWR)の実用化に向けて動き出した。使用済み核燃料の有害度は天然ウラン鉱石と同程度まで減衰するのに約10万年かかるとされる。だがRBWRが実用化されれば300年程度まで短縮できるという。原子力発電にとっての課題は使用済み核燃料の処理だ。日立は処分場の面積を約4分の1まで減らすことができるとみており、開発の行方に注目が集まる。処分場を4分の1程度まで縮小
吉田昌郎・福島第1原発前所長のビデオでの発言全文は次の通り。 −−第1原発の現場の声を伝えてほしい。 ◆昨年の大震災、それから私たちの発電所の事故で福島県の地元の方々に本当にご迷惑をおかけしている。この場で深くおわび申し上げる。まだしばらくこういう状況が続くが、我々も全力を挙げて復旧しており、ご理解をお願いする。本来ならこの講演会に自分で出てきたいと思っていたが、昨年末から病気でずっと入院していてまだ体力が回復していない。そういう中でこういうビデオレターということで失礼する。政府などの事故調査委員会が開催されている中で、なかなか一般のマスコミの方に我々の生の声を届けるわけにはいかないと思っていた。事故調査委員会が一段落するまでは変な形でお話しをすることはルール違反になると私は思っていた。そういう中で(今回)話を聞いていただけるということは大変ありがたいと思っている。 −−発電所からの全面撤
経団連が、前提となる経済成長率の想定の不整合、再生可能エネルギーへの過度な期待、電気料金の上昇などを理由に0%、15%、20~25%の3案とも「問題が多い」とする意見書を発表した。 一方で、「脱原発」を求める市民行動は全国的な広がりをみせ、政府が市民の考え方を聞く意見聴取会では、0%支持が過半数を超え、「ただちに廃止を」という声も出る。脱原発と原発維持の双方から「No!」を突きつけられた政権は、決定を先送りせざるをえなくなったというわけだ。 しかし、現在は、図のように中長期的テーマと、緊急を要する課題が入り乱れるなかで、電力議論は進んでいる。戦略決定は、そうそう簡単ではない。私たちは問題点を絞りながら、考える必要がある。 そこで、今回は原子力発電の将来を考えるうえで、非常に大きなウエイトを占めている「核燃料サイクル」に焦点を当てよう。 日本は、長年、使用済み燃料も資源と見立てて再処理し、燃
東電が公開したテレビ会議の録画には、事故への対応で一喜一憂を繰り返しながら格闘する現場の様子が記録されている。 「炉圧(原子炉圧力)はちゃんと注水できるまで落ちるんだっけ。賭けだな、もう、賭け」。昨年3月13日午前の記録で、吉田所長がうめいた。3号機の冷却装置が停止し、炉心溶融の危機に直面していた。前日に爆発した1号機と同様、建屋に水素がたまっていく。本店の小森明生常務が漏らした。「すごいやばい状況」 同日夜、圧力はいったん下がったが、14日朝に再上昇。吉田所長が言った。「急激だな。これほんと、要注意なんだよ。6時から6時20分の間に50キロ上がってるでしょ。7時前に設計圧力を超えちゃうよ。水位がダウンスケール(燃料棒が露出)しちゃったじゃん。うえ!小森さん!」 午前11時1分、建屋が爆発。続いて2号機が危機に陥る。建屋の水素を外に出す手だてが見つからない中、建屋上部のパネルが1号機の爆発
◆「菅さんに冷却水必要」とメモ 頭抱える班目さん。 固まった専門家たち 全電源喪失と聞いた時に、菅さん(菅直人首相=当時)は官邸の誰よりも早く反応しました。よく分かってたんですね。「これは大変なことだよ」と。以後、この言葉を何度聞いたか。独り言のように言い続けていた。 当時のノートに「なぜ非常用ディーゼルエンジン(発電機)まで止まるんだ」って書いてある。これ、菅さんの発言です。「菅さんに冷却水が必要」。かなりテンションが上がってましたが、あの段階では仕方ないと思います。何も分からなかったから。 とにかく早く電源車をかき集めないといけない。首相執務室にホワイトボードを持ち込んで、秘書官たちが手分けして電話して「インター通過」とか、どんどん書き込んだ。菅さんも携帯電話でどこかに電話して「必要な発電機の重さと大きさはどれぐらいなんだ」と。何で総理にそんなこと聞かせてるんだ…と思った。でも、専門家
日本原子力研究開発機構は24日午前4時55分、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の原子炉容器から、約10カ月間落下したままになっていた重量3.3トンの装置の引き抜き作業を終えた。 引き抜き作業は当初、23日午後2時ごろから始まる予定だったが、準備作業がはかどらず、実際に始まったのは7時間近く遅れた午後8時50分だった。 落下していた「炉内中継装置」(直径46センチ、長さ12メートル)は衝撃で変形していたため、引っかかっていた炉開口部のさやの部分と一緒に、天井にある大型クレーンでつり上げた。装置等は約8時間かけ、炉開口部の上方に据え付けた専用の容器「簡易キャスク」(直径1.4メートル、最大長16メートル)に直接、収納された。
川崎重工業会長である大橋忠晴・神戸商工会議所会頭は9日、会議所の定例記者会見で、菅首相が浜岡原子力発電所の全炉停止を要請したことについて「一国の首相として、当然だと思う」との考えを示した。 川重は愛知県や岐阜県に航空機部品などの生産工場がある。このため大橋会頭は、中部電力が電力不足に陥った場合、「(生産に)少し影響が出てくる」と述べたが、「安全対策が取れてない時点では、止めてとお願いするのは正しい方向だと思っている」と話した。(佐藤卓史)
6日19時すぎからおこなわれた菅総理の記者会見の全文を掲載します。 国民の皆様に重要なお知らせがあります。本日私は内閣総理大臣として、海江田経済産業大臣を通じて浜岡原子力発電所のすべての原子炉の運転停止を、中部電力に対して要請を致しました。 その理由は何といっても、国民の皆様の安全と安心を考えてのことであります。同時に、この浜岡原発で重大な事故が発生した場合には、日本社会全体に及ぶ、甚大な影響もあわせて考慮した結果であります。 文部科学省の地震調査研究推進本部の評価によれば、これから30年以内にマグニチュード8程度の想定東海地震が発生する可能性は87%ときわめて切迫しております。 こうした浜岡原子力発電所のおかれた特別な状況を考慮するならば、想定される東海地震に十分耐えられるよう、防潮堤の設置など、中長期の対策を、確実に実施することが必要です。 国民の安全と安心を守るためには、こうした中長
4月14日〜18日、車に寝泊まりしながら福島と宮城を巡ってきた。きっかけはTwitterで震災後の自粛ブームについて語らっていたとき、宮城県白石市在住のしっとマスクさんに「船岡城址公園の花見に来てください」と誘われたことだ。現地の人がそう言うのなら自粛することはないだろう。あわせて福島の放射能汚染を自分なりに調べることにしたのだった。 個人取材のつもりではあるが、ボランティアとして働くわけでもなく、他人から見れば野次馬にすぎない。気安く被災地に行くべきでないのは百も承知だ。 しかし表現者のはしくれとして、今回の被災地はぜひこの目で見ておきたかった。阪神淡路大震災のときは、日帰りできる距離なのに、現地に入ったのは三年後だった。それでよかったのかもしれないが、ずっと後悔している。被災地を早期に見ていれば、その後の復興にもっと積極的になれたかもしれない。 本震から一か月以上がすぎて、内陸部のイン
・2011年4月27日(水)ON AIR <パート2> ▼<吉田所長に率直に現状を聞いた> 「1~3号機まで原子炉の状況は安定してきた。2号機の汚染度が高い排水をどうするかに ついても、集中ラドに送る作業を始めており、落ち着きを取り戻してきている。 ▼<工程表によれば来年1月までに冷温停止させる目標があるが、いかがか?> 「発電所長の範囲で出来ることと、もっと知恵を出して、オールジャパンもしくは 世界中の知恵の部分がある。我々の出来る範囲は一生懸命やる。そこに色んな サポートをして頂くことで初めて成立する工程だと思う。支援をお願いしたい。」 ▼第一原発は海にとても近いが、津波の威力がいかに強かったか...。 水素爆発を起こす前の原発は、構造物としては津波にはよく耐えた方だと思う。 津波後の対応をしっかりやっていれば、このような災害にはなっていなかった。 この点については所長も同じ認識で、人
・2011年4月27日(水)ON AIR <パート1> ▼先週のアンカーを見た良心的な政府の高官から 「専門家であれば原発構内に入れる許可を出せます」という話を受け、 調整して許可を得た上で、4月22日(金)に福島第一原発の構内に入った。 ▼福島第一原発所長(現場の最高責任者)の吉田昌郎さんから出迎えられた。 所長:「ようこそこんな最前線においで下さいました」と。 ▼原発の緊急時対策本部の内部を取材。 一番大変なときは600人が集まっていて、寝るのも大変な状況だった。 ▼原発構内を車に乗って2・3・4号機周辺を間近で取材。 4号機は思った以上に建屋の損傷が激しい。 3号機ではプールへの注水作業が行われていた。 周辺の土手には飛散防止剤が散布されている。 ▼<津波被害>クレーンやトラックなどが地面に突き刺さっている。 非常用ディーゼル発電装置や給水ポンプなどが破壊されている。 信じられないよ
福島第一原発事故にともなう東京電力の損害賠償について、理解しがたい主張が横行しているので、それについて私見を述べておきたい。 議論の前提として、東京電力は福島第一原発の安全管理に責任を負っているのだから、今回の事故が引き起こした風評被害を含むすべての損害に対して賠償義務があることは明らかだ。このような場合、資本主義社会では、会社法などの法律や金融市場のルールによって、誰が損失を負担すべきかを明確に定めている。今回のケースでは、賠償の原資は次のような順番で調達することになる。 東京電力は、第一に、保有する株式や不動産など、売却可能な資産をすべて現金化すべきだ。本社ビルや社宅など、キャッシュフローを産まない資産はすべて売却して賠償原資にすればいい(本社ビルなどはリースバックすればいい)。 役員報酬や社員の年収カットにとどまらず、整理解雇を含めたリストラによって経費を削減する。東京電力は今年度の
東京電力は27日、損傷が激しい福島第1原発1号機の原子炉建屋で、毎時1120ミリシーベルトの放射線量を検出したと発表した。建屋内部としては3号機で観測された同57ミリシーベルトを大きく上回る最も高い線量が検出されたことになる。 1号機の原子炉建屋1階にあるポンプ室の入り口付近で26日に観測した。ポンプ室は、炉内の残留熱を除去するためのポンプや熱交換器が設置されている場所。普段は配管を通じて原子炉内の水が行き来できる状態にある。 東電は当初、この残留熱除去系を利用して、循環型の冷却機能を復旧させる考えだった。ポンプ室入り口で高い線量が検出されたことは、今後の工程表の実現性にも影響が出そうだ。 東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「ポンプ室を経由しての作業は今後困難になる。迂回(うかい)するルートを確保したい」と述べた。ポンプ室入り口付近で床面がぬれているとの報告はなく、炉心からの水漏れは確
東京電力福島第一原発事故を受け、外部電源と非常用発電機の全ての電源が断たれた場合に備えて配備した電源車や発電機で、電力九社などでは、原発で原子炉を安定した停止状態にすることはできないことが、電力会社などへの取材で分かった。 容量が小さく、原子炉を冷却する装置を一部しか動かせないのが理由。地震後の福島第一原発と同様に、非常用発電機が使えない場合には代替電源がないという状況は事実上、改善されていない。 原発を所有する電力十社と、高速増殖炉もんじゅ(福井県)を持つ日本原子力研究開発機構によると、事故後に電源車や可搬式発電機を原発に配備したが、こうした電源で動かせるのは計器類や小規模の注水装置だけで「非常用発電機のバックアップとは言えない」(電力関係者)という。 東京電力だけは、柏崎刈羽原発(新潟県)に配備した四千五百キロワット(1キロボルトアンペアを1キロワットと換算)一台、五百キロワット四台の
福島第一原発の事故現場に投入される国産ロボットQuince。右は千葉工大未来ロボット技術研究センターの小柳栄次副所長=千葉工大国産ロボットの作業計画 東京電力福島第一原発の事故現場に、ようやく国産ロボットが投入される。日本のロボットは「実戦経験がない」と信用されず、まず現場に入ったのは米国製だった。「ロボット王国・日本」の威信回復なるか。 投入されるのは、千葉工業大未来ロボット技術研究センターの小柳栄次副所長や東北大の田所諭教授らが開発した災害救助用ロボット「Quince(クインス)」。長さ66センチ、幅48センチの車体に戦車のようなクローラー(無限軌道)が大小五つ。カメラやセンサー、ドアノブを回すアームも備えている。 2009年のロボカップレスキュー世界大会では運動性能部門とアームの性能部門で優勝した。米国の模擬災害現場で実験した際、がれきの走行や階段や坂を上る性能などで米国製を圧
◇残留・通勤希望者に柔軟対応を 東京電力福島第1原子力発電所事故で、福島県飯舘(いいたて)村が、大気中の放射線量が高いなどの理由で国から「計画的避難区域」に指定され、全住民の避難を求められる見込みになった。これに対して村は、放射線量が低い地区を除外することや、役場機能を残すことを認めるよう訴えている。放射線のリスク以上に高齢者ら弱者の心身に負担がかかり、主要産業の畜産が途絶するダメージも大きいからだ。復興への道筋をできるだけ確かなものにするためにも、少しでも村機能を残して“血を通わせておく”とともに、放射線の影響を受けやすい子供らを除き、可能な範囲で希望者の残留を認めた方がいいと考えている。 飯舘村は人口約6000人で、同原発から北西28~47キロに位置する。大半が「30キロ圏外」だが、風向きや地形の関係で放射線量が高い。全域が計画的避難区域とされる自治体には浪江(なみえ)町と葛尾(かつら
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